等電位線の実験の導体紙 (PDF版474KB)
湘南台高校:山本明利 「電界と電位」の単元では定番の等電位線の実験、本校でも生徒にやらせてい るのですが、ここで使う導体紙は教材屋から入手すると非常に高いものです。そ の昔、トーシャファックスの原紙の裏紙を利用していたころはタダで手に入った のに・・・ ところで、教材屋さんの導体紙は特殊な加工を施したものですが、市販の普通 の「真っ黒い紙」は顔料として炭素粉が練りこんであって、上記の導体紙ほどで はないもののけっこう電流を通すので、デジタルテスターを使えば十分実用にな るらしい・・・そんな情報を入手し、さっそくいろいろな「真っ黒い紙」を買っ てきて試してみました。なお、情報源は大阪府立清友高等学校の渡瀬先生(大阪 府理化教育研究会で発表)、並びに三省堂の教科書、物理IB(物B511)p.146 です。 結果として、黒画用紙、黒ラシャ紙、黒ケント紙、黒模造紙など、真っ黒な紙 ならかなりのパーセンテージでこの実験に使用できることがわかりました。抵抗 は10センチ離して二つの電極(ボルト&ナットでベニヤ板と共に貫通して締め 付ける)を取り付けた場合で数百kΩのオーダーです。教材用の導体紙に比べ百 〜千倍の抵抗ですから、可動コイル型のメーターを使った電圧計では全く実用に なりませんが、デジタルテスター(デジタルパネルメータ、デジタルマルチメー タ)なら入力抵抗が極めて高く、これらの紙でも十分に等電位線の実験ができま す。黒模造紙なら1枚100円ぐらいでB4の用紙が8枚もとれますから大変経 済的です。抵抗が大きくて電流はわずかしか流れませんので、電源は006P電 池で十分です。 さて、黒い紙なら何でも電気を通すかというと、実はそうでもありません。打 率はかなり高いものの、「ハズレ」もあるのです。つやを出すために樹脂を混ぜ ているものがだめなようですが、見た目では区別できないものもあります。テス ターを持ち込んで店頭で測定するのもちょっと大袈裟だし、試しに買って測定し てからまた出直すというのも面倒です。 なんとか簡便な判定法はないものかと、あれこれ思案している時に、ふと目に とまったのが同じく文具屋さんや書店で売っている「ぱぴちゃんぽむちゃんのス タディプレイ用アクションペン」(永岡書店\1200)です。シリーズの子供向け の本があって、問題の答を同じページに印刷されている選択肢から選び、そこに このペン先を当てると、正解なら「ピロピロ」と鳴って緑ランプがともり、不正 解なら「ブー」と音がして赤ランプが光るというもの。正解の上には透明な導電 塗料が印刷されていて、ペン先の導電ラバーの電極を当てて通電すれば「ピロピ ロ」、電流が流れなければ「ブー」というわけ。簡単な導通チェッカーです。実 はこれもかつてYPCのネタでした。そのときは「スーパーマリオ・アクション ペン」という商標で、紹介者は小沢さんです。サークルニュースNo.86(95/05/10) に報告されています。「楽しい授業」にも載っていたそうです。
この導通検査のしきい値がけっこう低くてかなりわずかの電流でもOKです。 上記の導体紙の判定にちょうどよいくらい。これを紙面にあてて「ピロピロ」な ら合格!等電位線の実験に使えます。「ブー」だとダメ。一瞬で判定できます。 これなら商品も傷つけないし、小型軽量で店頭で気軽に試せます。音がするので ちょっと恥ずかしいですが。実は私はペンのブザーに通じるリード線を切断し、 発光ダイオード表示だけに改造して持ち歩いています(^^)。この方が電池も長持 ちするし・・・ ●永岡書店の連絡先:〒176練馬区豊玉上1−7−14 Tel.03-3992-5155