KAST青少年科学技術フェスティバル1998・配付資料(中学・高校生向け)
物理で遊ぼうそして考えてみよう (PDF版294KB)
物理は難しいと考えていませんか?でも実は、物理の目で見ると世の中のあらゆる事が楽しく興味深いことに思えてくるのです。大切なのは「不思議だ、なぜだろう」と思う心を失わないことです。このコーナーでは、あなた自身も実験に参加して実際に確かめ、そして考えてみましょう。
1.偏光とは何か
光には「偏光」という性質があります。それは光が「波」の性質をもち、特定の振動方向を持っていることのあらわれです。偏光板というフィルターを通すと一方向に振動する光だけを取り出すことができます。偏光板を二枚使ったらどうでしょう。光に振動の方向があることを実感してみてください。
偏光は身近なところで観察できます。偏光フィルターでいろいろなものを見てみましょう。青空を見上げて偏光フィルターを回してみましょう。デジタル時計や電卓の文字盤はどうですか?物の表面で反射する光も偏光しています。特にそれぞれの物質に特有のある決まった角度(ブリュースター角といいます)で反射した光は完全な偏光になっています。
偏光板はおみやげに差し上げます。家でも実験してみましょう。
2.虹の謎
雨上がりの空にきれいな虹がかかるのを見たことがありますね。あの七色の光の帯は空中に浮かんだ水の粒がプリズムの役目をして、太陽の光を分光することによって起こる光のいたずらです。「虹スクリーン」では水の粒の代わりに直径約0.3ミリの小さなプラスチックの球(虹ビーズ)を使って虹を作ります。虹スクリーンにはこの虹ビーズが一面にすきまなくはりつけてあります。スクリーンの前に立ってあなただけの虹を楽しんで見てください。
虹ビーズをおみやげに差し上げます。 家でも虹スクリーンを作って観察して
みてください。
3.熱のパワー
自動車のエンジンはガソリンを燃やしてその熱を仕事に変える「熱機関」です。私たちが使っている電気のエネルギーは水力発電による一部を除き、熱エネルギーにより発電機を回して得られます。原子力発電も例外ではありません。火力も原子力も単にお湯を沸かし、高圧の水蒸気を得るために使われているにすぎないのです。
このように私たちが利用しているエネルギーのほとんどは熱から得られています。熱エネルギーから力学的エネルギーあるいは電気エネルギーへの変換を実際に観察し、そのしくみを考えてみましょう。
なお、この実験の内容は8/17,22にNHKの「やってみようなんでも実験」で放送されました。実験名人の市江先生が番組で紹介したのと同じ実験をご披露します。
4.真空の不思議
私たちのまわりには空気があって、大気圧という圧力があらゆる物を押し付けているのはご存じですね。その大気圧がどのくらいの大きさか実感してみましょう。
大気のない世界がどんなものか想像できますか?真空ポンプで空気を吸い出して、「真空」の状態を作ってみます。中ではどんなことが起こるでしょうか。水が冷たいままで沸騰する不思議な世界を観察しましょう。
水を満たしたコップに厚紙でふたをして逆さにしても水がこぼれない・・・よく知られたマジックです。大気圧が水と厚紙を支えているのです。それではそのまわりの空気を取り去ってしまったらどんなことが起きるでしょうか。まず予想をたててから実験をご覧ください。