ビースピを使った水平投射の実験 (PDF版575KB)
湘南台高校 山本明利
ビースピを利用した実験は、YPCが全国に先駆けて取り組んできました。白百合学園の馬目秀夫先生や駒場東邦の井上賢先生らの実践報告もすでにあります。いずれもビースピが優れた実験器具であるとの認識で一致しています。
一方、先日のYPC例会で座間高の水上慶文先生のが紹介された「的当て」でショーアップした水平投射デモにヒントを得て、楽しい「的当て式水平投射」の生徒実験を試みたところ好評だったのでご紹介します。実験はやはりゲーム感覚の喜びがあった方がいいですね。実験装置が手軽で量産しやすいのもウリです。
実験の要領は下の写真のとおり。斜面を転がしたビー玉を水平に投射する際、初速をビースピで測定します。これと投射台の高さから落下位置を計算で予想し、そこにPETボトルのキャップを置いて、もう一度同じ位置からころがしたビー玉がとんでくるのを受けるというものです。机の面の保護もかねて、落下予想地点に沿って直線を描いたマット(段ボールで十分)を机上に敷き、計算で求めた落下予想位置にキャップを置いて指で支えます。玉の来る方向に向けてちょっと傾けておくのがコツです。結果はほぼ百発百中で、ビー玉がキャップにぴたりとはまるので歓声がわきます。
事のついでに、斜面の高さHと投射速度vの関係をグラフに描かせてv2とHの比例関係を暗示しました。Hはレールをひっかける釘の位置で変えられます。この時点でエネルギーはまだ未習ですのでこの件は伏線として考察に加えました。なお、球の回転にかなりのエネルギーをとられるため1/2mv2=mgHとはなりません。
装置全景。投射台は木製の簡単なもの。
投射台の先端にとりつけたビースピ。
マットは机の保護のため。落下予想位置にキャップを置く。
的はPETボトルのキャップ。こんなふうに斜めに支えておくのがコツ。軌道面の面出しが正確で計算違いさえなければ、かなりの確率でぴたりとおさまる。うまくいくと歓声が上がる。やはり実験は楽しい方がいい。
【YPC(横浜物理サークル)ニュース1997/08 No.113掲載】 (PDF版575KB)