例会速報 2003/09/21 横浜桜陽高校
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授業研究:マグネシウムの燃焼 市江さんの発表
市江さんが中学理科の授業で行っている実践例。マグネシウムの燃焼前後の質量を測定して定比例の法則を示す実験で、班ごとに異なる量を与え、結果を報告させてただちにエクセルに打ち込むと、その場でグラフが完成、プロジェクターで投影してただちに生徒に示すことができる。短時間に結論を出して成果を共有でき、全員が寄与を自覚できる。傾向から大きくはずれるデータが出た場合はその原因を討論させるそうだ。
授業研究:落下運動の演示実験 岩下さんの発表
岩下さんの事例発表は、一学期の授業の集大成として運動関係の演示実験を集めて実験室で一気に見せるというものだった。「ころころリング」をツカミにして、単振動や波動まで盛り込みつつ、落下運動・放物運動・斜面の運動など、あらゆる力学実験を一時間で見せてしまうというてんこ盛りの授業だ。「えー、これだけを一時間でやっちゃうの〜。もったいないよー。」という声しきり。ポイントを絞って小出しにした方が教育効果が上がるのではないかという意見も多かった。
ちょっと興味を引いたのは、右の写真の「斜面を滑走する台車上の斜面を滑走する小台車」の実験である。結果を予想させる討論活動と組み合わせると面白いと思った。
起電ブランコ 右近さんの発表
このところ起電器に凝っている右近さん。今回は2003年6月例会で発表の「起電ポンプ」の前身として製作した「起電ブランコ」のお披露目だ。絶縁してつなげた2つの空き缶がブランコのように左右に振れる度に、左右にある覆いの金属板にそれぞれ反対符号の電荷が蓄積されて、二つの箔検電器の箔が見る見る開いていく。
A.D.Mooreの”Electrostatics 2nd edition”(1968,Laplacian Press)に掲載されている”The
Swing Generator”を参考にしたそうだ。2002年の科学の祭典・全国大会(科学技術館)にブースを出展されていた、吉村利明さん、板倉聡さんから紹介してもらったとのこと。
格安の大型ガリレオ温度計 平松さんの紹介と即売会
高さ約30cmのガラス製インテリアグッズ「Galileo Thermometer」。温度による液体(鎖状炭化水素)の密度のわずかな変化により、中のガラス球が浮き沈みする。温度が低くなると浮かぶ球の数が増える。台座に単3×3本を入れ、スイッチオンにすると、下からライトアップされて美しい。写真のカラフルタイプの他、青や緑の単色のものもあり、同色の高輝度LEDでライティングされる。
平松さんが「ドン・キホーテ」で発見、買い占めて来て分けてくれた。店頭価格はなんと税別\3000弱。底には小さく「Made
in china」とある。
Ring Catcher 加藤俊さんの発表
加藤さんが二本の指でつまんでいるのは何の仕掛けもない金属のリング。輪になった細いチェーンをこのリングの中に垂らし、写真のようにリングを持った手にかける。この状態から指を開いてリングを落下させると、次の瞬間リングはチェーンに絡んでみごとにキャッチされる。
このマジックのヒントはチェーンとリングの絡み方にある。左の写真がその拡大図。リングとチェーンには本当に何の仕掛けもない。どちらにも切れ目はないのである。さて、タネはわかるかな?タネを知れば誰にでもできるマジックだ。
皿回し 益田さんの発表
初心者用「皿回しセット」東急ハンズでたったの(?)1,000円。初めての人でもちょっと練習すれば回せる。授業の導入や、余った時間にいかが?簡単なようで、意外とコツがいることを生徒に実感させてみるよい。そのコツこそが物理なのだ。
ガリガリプロペラ 加藤さんの発表
科学の祭典などでもよく見かける玩具。これは塗りもしっかりしていて、民芸品のようだ。プロペラのついた棒のギザギザを別の棒でガリガリとこすると、プロペラが勢いよく回転する。往復運動→振動現象→回転運動という運動の変換のしくみは、追求すると面白そうだ。任意の向きに回転させるコツもあるらしい。
UVチェックビーズ 益田さんの発表
以前にも中村理科の渡辺さんが紹介して下さったことがある「UVチェックビーズ」。益田さんは2学期最初の「化学」の授業で「見えないものを見る」をテーマに紫外線を確認するために使用した。小さいので各自に配布して観察させたという。
暗いところでは光って見えないので、蛍光ではなく、紫外線により色が変わる色素のようだ。赤、黄、橙、青、紫などいろいろな色に変色するビーズがまぜこぜに入っている。中村理科で入手できる(S75−3615、50g入り\2300)。面白い使い方募集!
炭酸ロケット 小沢さんの発表
小沢さんは、運動量の単元でロケットの原理を説明するときに演示する実験のアイデアを紹介してくれた。一つは小さな炭酸ガスボンベ(家庭でカクテルをつくるときに使うらしい、東急ハンズで購入。)のロケット。ストローとボンベをガムテープでグルグル巻きにしてくっつけ、ストローに糸を通しガイドとし、ロープウェイのように糸を張ってボンベを吊る。ボンベに画鋲で穴をあけると、炭酸ガスを吹き出す反動で糸に沿って滑走する。危険防止のため、必ずガイドワイヤ方式で滑走させ、観察者を後方に下げて実験すること。
アルコールロケット(危険!まねをしてはいけません) 小沢さんの発表
もう一つ小沢さんが披露したのはペットボトルのアルコールロケット。炭酸飲料用PETボトルの中に燃料用アルコールを4、5滴たらし、直径5mm程度の穴をあけたキャップをして、気化するのを待つ。ボトルを台の上に置き、キャップの穴から火のついたマッチを入れると、燃焼ガスを噴射して飛んでいくというものだ。参加者はおそるおそる遠巻きにして実験を見守る。
しかし、この実験については例会参加者から、以下のような理由で危険であるとの意見が相次いだ。
(1)PETボトルが純粋アルコールにたえる保証がないこと。
(2)炭酸飲料用PETボトルには耐熱性がないこと。(燃焼後、ボトルはかなり高温になっていた)
(3)炭酸飲料用でないPETボトルは耐圧性がなく、底が破損して破片が飛んだ事故事例があること。
(4)アルコールの量が多すぎて発射時に火炎を浴びた事故事例があること。
防護眼鏡やガイドワイヤなどの対策をとったとしても、非常にリスクの大きい実験である。単元の学習効果を考えても、あえてそのリスクをおかす理由が見あたらないというのがその場の結論だった。
簡単モーター 佐藤さんの発表
どこまで簡単なつくりで回転するものを作れるか。佐藤さんの究極の挑戦の成果を見よう。
左はアルミホイルで包んだ乾電池の上に、別のアルミホイルで包んだネオジム磁石を載せたもの。磁石を包んだアルミの先を上に向かってちょっととがらせておき、回転軸とする。ここにやはりアルミホイルで作ったかさをかぶせる。かさは回転軸の先で保持されて水平に回転できる。かさの下端が、電池を包むアルミホイルに触れると、一瞬大電流が流れ、電流が磁界から受ける力で勢いよく回転する。そのはずみで別の箇所が触れてまた電流が流れる・・・といった不規則かつ偶然の導通を繰り返して、かさは勢いよく回転を続ける。
こちらはもっと簡略化した「横着バージョン」。アルミホイルで包んだネオジム磁石が乾電池の下にある。写真のようにアルミ箔を曲げた回転子を電池の正極の上にやじろべえのようにのせ、その一端が下のネオジム磁石に軽く触れるようにすると、接触して導通があるたびに回転子が不規則な回転を行う。
加藤俊さんが偶然にも同じネタを持ち込んでいた。こちらは単一電池をネオジム磁石の上に、正極側を下にして立てたもの。金属の回転子はやはりやじろべえのように、負極の上の支点を中心に回転する。ネオジム磁石に触れている部分がブラシの役割をしているわけだ。
人体の不思議展 山本の紹介
東京国際フォーラムで開催中の「人体の不思議展」を見学してきた報告。展示物は本物の人体を「プラストミック」という技術で標本化したもので、弾力性に富み、においもなく、半永久的に常温保存可能である。数年前に同名の展覧会で展示されたものとは標本が異なり、今回は南京大学の製作によるもの。実際に触れて感触を確かめられる標本も2点展示されている。
販売コーナーではいろいろな資料が販売されているが、図録\2500とDVD\2500が特におすすめだ。これらはインターネット通販で入手することもできる。
同展は2003年12月28日まで有楽町駅前の東京国際フォーラムで開催されている。詳しい情報はここ。
地震と防災 山本の紹介
財団法人・電力中央研究所が最近制作したDVDである。電力会社では発電所の建設にあたり、極めて入念に立地条件を選ぶが、地震防災に関してもそのための独自の研究を行っている。そのような背景から、地震についての一般的な知識から、最前線の防災研究までをわかりやすくまとめた8つの番組が収録されている。中学・高校の教材として活用できそうな内容である。
問い合わせは、電力中央研究所広報グループ(千代田区大手町1-6-1、Tel.03-3201-6601)まで。
二次会 戸塚駅前「北乃一丁」にて
台風接近の影響もあって二次会参加者はやや寂しく11名で、カンパーイ。しかし、台風は東にそれ、「夢の四連休」は実現しなかった(^^)。
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