例会速報 2005/01/15 県立新城高校


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授業研究:一般生徒対象のSSH 山本の発表
 柏陽高校のSSH事業は、全国でもちょっと異色である。多くのSSH校では、理数科コースなどの特別枠を設けて少数精鋭で取り組んでいる。柏陽高校は入学した生徒全員に学校設定科目としてSSH講座を履修させる。1学年では「科学と文化」と題して体験学習と調べ学習を行う。普通の学校での「総合的な学習の時間」に似ているが、バスツアーやインターンシップなど、より積極的に現地へ赴く点が特徴である。2学年では「人間と科学」と題して、講座選択制で探求活動や課題研究を行う。山本はデータロガーなどの計測機器をフル活用した探求活動の講座を担当している。生徒が自分で身近なところからテーマを選んで、実験計画を立案し、実験方法を工夫しながら、測定を行い、考察を加えて最終的に各自のWebページで発表する。内容自体は必ずしも新規なものではないが、特徴的なところはその対象が「一般の生徒」だという点である。

電気の史料館・3周年記念イベント 三上さんの紹介
 川崎市の電気の史料館が開館3周年を迎え、2月に記念イベントが開催される。2/12は大人向け、2/13はお子さま向けで、当日は入館無料。
 2月12日(土)14:00〜15:30 科学実験セミナ-『環境の科学』 マイクル・ノートン博士(東京工業大学大学院客員教授)、市村禎ニ郎教授(東京工業大学大学院教授)を招いて地球温暖化をテーマにセミナーを開催(同時通訳)。2月13日(日)は紙芝居&実験 『キュリー夫人の理科教室』 、映画名探偵コナン『銀翼の奇術師(2004.4公開)』など。紙芝居&実験は、前回例会でも紹介された、「キュリー夫人の理科教室」(丸善)の監修者、吉祥瑞枝さんが実演される。
詳しくは電気の史料館Webページ http://www.tepco.co.jp/shiryokan/home-j.html へ。
 

マックホルツ彗星 高杉さんの発表
 肉眼でもそれとわかるほどに明るくなったマックホルツ彗星だが、1月9日に富士山の登り口(静岡県富士宮市 西臼塚駐車場)まで遠征し撮影した写真をたかすぎさんが頒布してくた。
 すばるやヒヤデス星団も同じ画面に入っていて、彗星の位置やダストの尾・イオンの尾の伸びている方向もよくわかる。
 国立天文台のHPをもとにA3判でプリントアウトした「台紙」付で、そのまま教室や廊下の壁に掲出できるようになっているというサービスに感動!

ザ・デイ・アフター・トゥモロー 越さんの発表
  「デイ アフタートゥモロー・2枚組み特別版」DVDの中の「サイエンス トゥモロー」は、科学者、自然保護団体、映画関係者など、各界の著名人のコメントでつづられたドキュメンタリーである。
 本編を見て、映画は映画と思っていて終わらせてはいけない。映画ほど極端ではないにしろ、遠くない将来に、映画と同じようなことが起こる可能性がある。いや、もう起こりつつある、今すぐに行動を起こさねば! と、科学者たちは警告する。
 温暖化ガスの排出を減らしていくとともに、気候変動にどう対応していくか、が問題である。現在起きている気候変動は、’50〜60年代のCO2が原因なのである...などと、地球規模の環境問題について様々な観点から意見が述べられていて、大変参考になる。

コンタクト 越さんの発表
 カールせーガン氏原作の「コンタクト」、廉価版DVD(1575円)が発売されている。97年の劇場公開当時、オープニングの映像が話題になった。地球のクローズアップからどんどんカメラが引いていき、月、火星、小惑星帯、木星、土星、オールトの雲、ヴェガ、鷲星雲、銀河系、大マゼラン星雲、棒状渦巻き銀河、銀河群...と一連の映像が映し出されていく。
 土星くらいまでは、科学的に正確に描かれているが、それ以遠の天体については、想像の部分も多いという。ある一定の方角に遠ざかっているという訳ではなく、距離の順に映像が映し出されている。鷲星雲については、地球から見た映像とは裏返しになるのでは、などの疑問も湧くが、この3分30秒ほどのズームアウトは一見の価値あり。

白板ソフト 坂本さんの発表
 会社でソフトウエアを開発している坂本さんが、自ら開発したフリーソフト「白板ソフト」を紹介してくれた。このソフトはその名の通りホワイトボード代わりに使用するプレゼン・オーサリング用ソフトで、機能を絞り込んでシンプルで使いやすいものになっている。
 文字や絵をカラーペンで描いたり、テキストとしてキーボードから入力して作ったページを蓄えていくことができ、それをめくっていけばプレゼンができる。Webカメラなどから画像を取り込み、その上に文字を書き加えたりすることもできる。作成したページはHTMLとして出力してWebページとしての閲覧も可能。
 動作環境はWindowsXP以上、メモリ256MB以上。このソフトはフリーソフトとして公開されており、次のURLからダウンロードできる。→ http://www.vlab.jp/wbdoc/
 なお製品版の、インタラクティブなシミュレーションコンテンツや、計算するホームページなどを作成可能なシミュレーションツールVisual LABは http://www.vlab.jp/ で紹介されている。

 

アルカリを使わない金色メッキ 平松さんの発表
 先月、銅板上に亜鉛めっきして加熱すると「金色(=真鍮)」にめっきされる実験の紹介があったが、強アルカリを使う上での安全性確保や、後処理を間違えて火災事故(→2002年3月例会@電気大での平松さんが新聞記事紹介)などの問題がある。平松さんは先日の化学実験実習委員会の「公開実験」で紹介された「アルカリを使わない方法」を実演してくれた。これは吉田工さんが「化学と教育」誌に報告されている方法に手を加えたものである。
 


 平松さんは「さらなる改良版」を準備中で、神奈川県理科部会報とYPCニュース(5月?)に発表予定だそうだ。期待して待とう。

立方体の浮かび方 山本と加藤俊さんの発表
 水より密度の小さい物質でできた一様な立方体は、どのような姿勢で水の上に浮くだろうか。いろいろな密度の木材で試してみると、写真のように頂点を上に向けるもの、面を上に向けるものと様々である。発泡スチロールのような密度が0に近いものや、氷やカリン材のように密度が1g/cm3に近いものは、面を見せて水平に近い形で浮き、密度が0.5g/cm3前後のものは頂点を上にする。ついでに言うと、木場の角乗りのような角材は稜を上にして浮くのである。密度と浮かぶ姿勢には深い関係がありそうだ。
 

 下左の写真は氷のブロックを水に浮かべたもの、右はアクリルブロックを溶液はグリセリン+砂糖の飽和溶液に浮かべたものである(加藤さん提供)。面を上にして同じような浮き方をする。密度と浮かぶ姿勢の間の連続的な関係を計算で求める試みには、古川さんらが取り組んでいる。けっこう奥が深くて面白そうな課題である。

 

500円相撲ロボット 車田さんの発表
 車田さんが、日本科学未来館で小学生対象のイベントでロボット工作の要望が多かったので参加費500円という制限の中で、手軽に入手できる素材で作製した相撲ロボットである。本来なら科学館のコンセプトに合わせ、携帯の偏心モーターを使いたかったが、相撲ということで押しを基本に作動するようにしたとのこと。
 手もとのスイッチで前進・左旋回・右旋回にコントロールできる。本体はポリエチレンの密封容器を利用し、蓋はコントロール装置の台とした。スイッチのアルミ板はアルミ缶を切ったものだ。アルミ缶の丸みの反りがスイッチの押す部分にうまく利用されている。ケーブルはパソコン用のフラットケーブルを3本づつ裂いたもので、コストを抑えている。
 モーターの軸にゴムチューブを付け中に太い針金を入れて偏心モーターとしたという。がっぷり四つになった時にこの振動が決め手となる。ダイソーのハンディーマッサージャーが手に入るとモーターと偏心の軸受けが手に入り価格がさらに安くなる。
 車田さんは、コントロールボタンとモーターとの配線が見やすいと思い、右ボタンを押すと右のモーターが、左ボタンを押すと左のモーターが動くように配線を考えたというが、子供たちは右に曲がるためには左のモーターを動かさなくてはいけないという構造の理解に苦しんでいたという。「これもゲーム世代なのでしょうか?右のボタンを押したら右に動かなくてはならないみたいです。」とは車田さんの弁。
 

簡易真空実験 車田さんの発表
 YPCで普及をはかっている、渡辺泰樹さんが改良した簡易真空ポンプを使って、こんな実験ができる。PETボトルのキャップにチューブをとりつけ(もちろん「引きばめ法」で)、ポンプで吸引するとみごとにぺっちゃんこになる。右の吸盤は空き缶つぶし用のアダプタ。

ダイエットしたコーラ 加藤竜一さんの発表
 加藤さんの生徒がインターネットで見付けてきたネタ。多分http://www.hirax.net/dekirukana8/coke/index.htmlが元だろうとのこと。
 普通のコーラは水に沈み、ダイエットコーラは浮く。体積は同じだが−、溶けている糖の質量で比重が変わってくるからだ。質量を量ると、普通のコーラはおおよそ393g、ダイエットコーラはおおよそ375gで持った感じはほとんど同じなのに、ちょうど水に浮くか沈むかの境になっているところが、視覚的に面白い。350mL缶の体積は375cm3と393cm3の間ということだ。ダイエットコーラは、ダイエットして軽くなったコーラだったということで・・・。
 ちなみに、国産の某『コカコーラ』はダイエットも普通の方も両方とも浮かんでしまう。実験をするときは、輸入物かダイエーの安物でやるとよい。(ペプシでは実験していないので分からないとのこと)
 

二次会 武蔵新城駅前「和民」にて
 15人が参加してカンパーイ!雪の予報も出る悪天候だったが、今日の例会も大勢が集った。二次会も盛況。遅ればせながら、本年もよろしく!


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