例会速報 2008/02/17 神奈川学園中学校・高等学校


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授業研究:力学的エネルギー保存の法則の生徒実験 宮田さんの発表
 単振り子を上下さかさまにしたビースピに通して重力による位置エネルギーが運動エネルギーに転換することを確かめる実験(左)。これは例会参加者にも実践例の多い実験だったようだ。おもりにナットを用いるとおもりの重心を引くことができるので、おもりの高さを誤差少なく測定できるという意見が出た。また、宮田さんは、(グラフが直線になるように)おもりの高さと最下点の速さの二乗のグラフを書かせているが、あえておもりの高さと速さをグラフに取らせ、それが直線に成らないことを学ばせているという実践例も報告された。できれば両方描かせて考えさせたいところだ。
 つぎに、位置エネルギーが摩擦力による仕事に転換する実験。コの字形アルミアングルを木製ブロックに立てかけて斜面をつくりそこを鋼球をころがして、実験卓上においた木片に当て、木片を移動させる。木製ブロック、アルミアングル、鋼球、木片、すべて東急ハンズで揃い、10セット揃えても5000円程度という実験装置の安さがウリ。単純なのだが精度に問題があるためか、実践者は少ない。鋼球が実験卓上にぶつかるときのロス、鋼球が木片に当たりこれを押すときの鋼球と木片のこすれによるロス、鋼球が木片を飛ばしてしまう可能性など色々な課題が指摘された。
 

浮力のサイエンスショー 車田さんの紹介
 昨年2007年2月の「科学の鉄人」で決勝戦優勝した、益田先生(三浦市教育委員会)の浮力の実験のビデオ紹介。例会で紹介されたのは昨年末の科学ボランティア全国研究大会(京都)での講義風景。圧巻は真空デシケーター内でヘリウム風船の周囲を真空引きすると風船が浮かなくなる実験(右)。風船が割れないようにやるにはコツがいるようだ。
 

HallacU 車田さんの紹介
 千葉工大の古田先生の最新ロボット(2007年夏完成)の変形走行ボードのビデオ紹介。8本の車輪を動かして路面や周囲の状況に応じた形態を選んで移動します。路面を車輪で走る車両モード、車輪を左右に広げて昆虫のように歩行するインセクトモード、脚のひざの部分を前に曲げ犬猫のように歩行するアニマルモードがあり、環境に合わせた形態変形が特徴だ。「戦場の絆」もどきのコクピットにて操縦する。
 

カイコ・プロジェクト 寺田さんの発表
 山口県で中学の校長先生をしている寺田さんが久しぶりに参加してくれた。寺田さんは、入学式の式辞の中に山口県出身の童謡詩人・金子みすゞの「不思議」という詩の中の下記の一節を取り上げた。小学校よりいっそう専門的な先生がいるので、いろいろな疑問を解決する中学校生活にしてくださいと。
     私は不思議でたまらない、
     青い桑の葉食べている、
     蚕(かいこ)が白くなることが。
 

 まずは生徒昇降口でこの詩にある「カイコの一生・卵から卵まで」を呼びかけ、出席の保護者や来賓には「桑の葉情報」の提供を求めた。約2ヶ月の生徒昇降口での「カイコプロジェクト」は1学期の大きなイベントとなった。初めてみるカイコの成長、桑の葉、カイコの芋虫に触れた感触などの感想が聞かれたという。
 ソーセージのような人工飼料(上右)や黄色い繭(下左)を作る品種があることを初めて知った。下右は成虫になったカイコガの産卵のようす。
カイコ飼育セットの購入先(JA全農)約50個の卵と人工飼料のセットで約5000円。

ファラデーモーター 石井さんの発表
 石井さんは、科学の祭典で学んだファラデー・モ−ターの実験をさらに発展させ考察を深めた。
 この実験装置は乾電池、 鉄釘、 磁石、 導線と、直列的に回路を閉じただけの簡単なもので、 原理的にも分かり易くて優れている。最初の発想としては、ネオジム磁石の表面が金属でメッキされているので、その電気伝導性を利用してモーターが作られたのもと思われる。ところが、電気伝導性のないフェライト磁石を使っても、釘の部分で回路を閉じればモーターは作動する。磁石の磁力線が電流を横切って釘から外へ出ているからだ。
 

 この釘の部分から磁力線が出ているのであれば、磁石の下に別の釘をつければ、そこでは、 外から釘へ磁力線が入ることになる(Bの向きが逆になる)ので、 そこから電流を取り出せば、モーターは逆転するはずだ。ところが、 そうならないのは、そこまでの 電流I×磁束場B の積分値が効いているからである。それではどうすればよいのか? ここまで来ると、参加者から次々に意見が出て楽しい実験になった。  
 

 回転している釘に別の磁石を横向きにつけて電磁誘導でLEDを点灯させる実験は例会ではうまくいかなかったが、石井さんから予備実験の写真を送っていただいた(下左)。 もう一つ、 モーターにはたらく力を考えながら、 磁石ではなく電池の方を回してみたい、 というアイデアに対しても種々の意見が出た。

音波の干渉U 水上さんの発表
 前回発表の音波の干渉黒板演示実験の発展型が披露された。干渉の様子はマイクとパソコン・オシロで観察する。また,波面を表す同心円群を描いた紙を張ることで,原理が分かりやすくなる。
 (写真左)3.9kHzのブザーから出る音(波長λ≒8.6p)を塩ビパイプで分岐させる。分岐位置を中心からλ/4≒2.2pずらすと,二つの口からでる音は経路差がλ/2となり,互いに逆位相になる。したがって,干渉の様子(節線と腹線の位置)が同位相の場合と逆転する。
 (写真右)写真のようにブザーと板を置くと,板と線対称の位置に別のブザーが有るのと同じことになり,節線と腹線を観察できる。なお,光での「ロイドの鏡」実験と異なり、音波では密の状態は反射後も密なので,干渉の様子は同位相の音源による干渉(先月の例会速報)と同じになる。
 

力の分解演示器 徳永さんの発表
 2007年12月例会で発表された力の分解演示器は、好評のため4月20日に神奈川学園で開かれる「第14回神奈川の理科教育を考える集い」で「お楽しみ広場」に出展されることとなった。今回の例会では、素材の吟味や価格設定の話し合いが行なわれた。

ノイズ・マグネット 小寺さんの情報提供
 07年11月カリタス例会で紹介のあった「サウンドマグネット」と同じものが、「ノイズマグネット」として、秋葉原の「あきばお〜」の店頭に出ている、との情報が報告された。なんと税込100円とのこと。

二次会 横浜駅前「うず潮屋」にて
 15名が参加してカンパーイ!飲み会の席でも越さんの玉手箱から次々に繰り出される面白グッズを肴に大いに盛り上がる。初参加の人でもすぐにうちとけられる和やかさがYPCのウリだ。


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