例会速報 2008/01/19 慶応義塾高校


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授業研究:静電気 越さんの発表
 次のような組み立てで静電気の実験を中心とした授業4時間分の報告があった。
@静電気力を実感できる生徒実験(下記)
A摩擦電気や静電誘導を通して、直接目に見えない電子の存在を感じる実験。
B静電気モーターの実験(下記)
Cはく検電器の実験(携帯検電器を使用)
D電気ショック・感電実験(電気コップを用いた100人おどしの実験など)

(左)アルミホイルを丸めた筒を立て、帯電した塩ビパイプを近づけると、静電誘導により引き寄せられる。
(右)電気くらげ。マジックバルーン(細長フーセン)を半分に切ると、静電気実験にちょうど良い。表面積も大きいので、帯電量も多い。
 

(左)電気妖怪一反木綿。ティッシュペーパーを「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみの一反木綿の形に切り、帯電した塩ビパイプ接触させると、負電荷を受け取り、マイナス同士で反発しあい、宙に浮かせることができる。以前、米村さんが科学技術館で演示していたもの。また、塩ビパイプを鉛直に立て一反木綿の後方から近づけると、斜めに傾いた状態の一反木綿に揚力が生じ、上昇する。ちょっと練習すると、思うように一反木綿を操る事ができ、下手なラジコンのおもちゃより飽きずに楽しめる。
(右)バンデグラーフ起電機により、体に電気を蓄え、ティッシュペーパーをちぎって投げつけると、一反木綿の実験と同様に、一旦は誘電分極により体に引き寄せられるが、接触すると電荷をもらいマイナス同士で反発しあってティッシュペーパーがはじけ飛ぶ。絶縁台には厚手の発泡スチロール板を使用。


(左)電どんモーター。ムーアのモーターという静電気モーター。未使用の「スパ王」の容器にアルミテープを米の字型に貼り付けたもの。導体球としては発泡スチロール球(直径10o程度の物が適当)に墨汁を塗った物を使用。
(右)電気アニメ。フランクリンモーターとゾートロープという簡単なアニメーションを組み合わせたもの。
発表後、電荷の保存について強調した方が良い、等の意見も寄せられた。

ヒートパイプ 高橋さんの発表
 銅製のパイプの一方の端をお湯につけると、反対の端が数秒のうちに持てなくなるほど熱くなるという道具。普通の銅の棒ではそれほど熱くならないし、時間もかかる。パイプの中は減圧され水が入っていて、熱せられて気化した水蒸気が反対端で凝縮する際に凝縮熱を吐き出すので大量の熱が移動する仕組み。パソコンの冷却などに使われている。アメリカの通販(小河原さんでおなじみのEducational Innovations)で見つけてその後、ヒートパイプ単体を大量に入手したとのこと。その場で即売会が開かれた。(後日、ケニスですでに商品化されていることが判明)
 

デッサン人形 喜多さんの発表
 喜多さんはデッサン人形をスエーデン家具の「IKEA港北」で見つけた。一体\498であったので思わず衝動買いをしたとのこと。その後、秋葉原を出歩いていたとき、秋月電子の向かい側の店で同じものを見つけた。こちらは箱入り1000円であったという。重心の演示に使いたいという。
 

マジックジャンピングフィッシュ 山本の発表
 株式会社テンヨーから発売されているおもちゃ。マジックジャンピングフィッシュ 6匹入り(MJF-21104, 21104)定価:980円。ボール紙でできたお魚を口を広げて押しつぶすようにして机上に置くと、しばらくしてゴム動力で跳ね上がり空中で口を閉じる。2003年1月例会で加藤俊さんがロシア製の「コインを飲み込む金魚」として紹介してくれたものと同じだ。
 

 付属の釣り竿でうまく餌に食いつかせて釣り上げるという遊び方をするが、右の写真のようにあごの付け根にコインを乗せておくと、飛び上がりざま、跳ね上げたコインを空中で飲み込む。高速度撮影したら面白そうだ。

水位差と電位差 田代さんの発表
 中学で教鞭を執る田代さんは、抵抗の直列接続における電位降下の概念を感覚的に理解してもらおうと、写真のような演示装置を考案した。PETボトルの水タンクを電池に見立て、途中の水平な細いパイプが抵抗、そこを流れる水が電流というアナロジーだ。鉛直なパイプの水位がその点の電位を示している。水が流れているときには左の写真のように水位差が生じる。水圧が流れに沿って降下するためだ。右の写真のように流れを止めるとパスカルの原理に従って水圧は水位は等しくなる。
 

 左は抵抗の並列接続のモデルだ。どちらの道でも水位は等しい。当然といえば当然だが。

 例会の席では、このアナロジーが中学生にとってわかりやすいのかどうかということが議論になった。流体の定常流についての知識を持たない中学生にとって、この現象が理解の助けになるかどうかということだ。むしろ、流体そのものの面白い性質を演示する装置として高校生・大学生向けに有効ではないかという声もあった。

PICマイコンと高輝度発光ダイオードによる水波投影器 右近さんの発表
 右近さんは高輝度発光ダイオードを点光源とした水波投影機を作成した。PICマイコンはプログラムを書き込むことにより,複雑な処理を実行できるICだ。今回右近さんが使用したものはAーDコンバーターを内蔵しているタイプなので,入力端子の電圧を変化させることにより,実行するプログラムをコントロールすることで,出力端子の発振周波数を変化させることができる。出力端子にはスピーカーと高輝度発光ダイオードが接続されている。モード切替スイッチにより,発光ダイオードをスピーカーと同じ振動数で点滅させることも,点灯したままにすることもできる。スピーカーには平面波を作り出す棒,あるいは2波源用のL字型波源2つが取り付けてある。
 

 さすがに,電球よりは暗いが,点光源なので,かなりきれいな波動像が得られる。また,発光ダイオードとスピーカーは完全に同期しているので,すっきりと静止した波動像だ。ヤングの干渉実験では,節も腹も非常にきれいに見えた。腹では谷と山が交互に現れているところまではっきりと確認できる。平面波による回折もとても綺麗だ。もう少し明るければ文句ないところだ。波源と光源以外の全体の装置は島津製のものだが,もちろん自作も可能。
 PICマイコンを利用することで,発振回路はとても簡単になった。写真でもわかるように,PICマイコンの周囲に6個程度の抵抗,10MHzのセラロック,あとは駆動用のトランジスタなどがつながっているだけだ。実際に作る場合にはPICマイコンにプログラムを書き込むPICプログラマーが必要になる。開発ソフトMPLABはMicrochip社よりフリーで手に入る。

電磁力 石井さんの発表
 中指から順に「電」「磁」「力」。フレミングの左手の法則でレールの上を転がる金属棒(左)。これはよくある演示だ。金属棒を鉛筆に代えることもできる。鉛筆の芯は導体だからだ(右)。
 

 金属棒をコイルに代え、クリップモーターと同じようにして直流で回転させることももちろんできる(左)。その永久磁石を電磁石に置きかえれば交流モーターとなる。スライダックをつないだだけで回転・前進する。

 コイルに小型のネオジム磁石をぶら下げれば、界磁を持ち歩くユーモラスな直流モーターができあがる(左)。その磁石部分を小型の電磁石に置きかえれば、上と同じ原理で交流モーターとなる(右)。これはなかなか感動もの。 

 ところが、驚いたことにこの界磁がなくともコイルはちゃんと回転し、転がるのである。「直線電流が作る磁界」のためだ。これには一同びっくり。電流の流れるところ磁界あり。その磁界がコイルを流れる電流に力を及ぼす。この実験のためには回転子が軽く回るように、精度よく作る必要がある。

ゴム管の定常波 水上さんの発表
 黒板上に外径8mmのゴム管で1mの弦を張り,手で弾いて「弦の定常波振動」を演示する。磁石貼り付け式なのですぐに設置でき,4倍振動まで教室の後ろから容易に見える。

音の干渉 水上さんの発表
 「音波の干渉」を黒板上で演示する。教科書どおりの結果が得られる。
(1)音源:3.9kHzブザーから出る音を塩ビパイプで二つに分岐
(2)二つの円形波群・節線・腹線を描いたA3版の紙を貼り付け,節線上で音が小,腹線上で音が大を確認
(3)音の大小はマイク+パソコン用オシロスコープで提示。プロジェクター無しでもOK。


モーターの発電 渡辺さんの発表
 ゼネコンの手回し発電実験で気がつかれた先生から質問があった。直流モーターを発電機として使用した際に、負荷としてLEDとモーターを並列でつなぐとLEDが逆極性でも点灯するとのこと。渡辺さんはその理由を探るべく装置を作成した。
 模型用のモーター(RE-140)を利用した発電器に1.5V程度で点灯するLEDとRE-140のモーターを並列で接続。LEDが点灯する極性に発電側のモーター軸を回転させると普通に点灯するが、回転を逆にしてみると(極性を逆)、多少点滅しているように見えるがこちらも点灯している。
 例会の議論では発電側のモーターの整流子によって脈流が発生しており、これと接続されたモーターのコイルがインダクタンスとしてはたらいて逆起電力を生じているのが原因ではないかということになった。瞬間のパルス電圧が連続的に起こることで、LEDが点灯しているように見えてしまうのだ。発電実験でLEDを負荷とする際は注意が必要だ。
 

見えないケータイ 渡辺さんの発表
 12月に発表した液晶ディスプレイの偏光板をとったものの発展版。携帯電話の画面についている液晶を完全にはがした。偏光板がなければ画面を見ることができない。まさにシークレット携帯が完成!偏光めがねをかければ自分だけ見える。いつか発売されることがあるのかも!?
 

ガリレオプラネット 山本の発表
 株式会社テンヨーが発売している卓上オブジェ。どこに置いても自動でゆっくりと回転し続ける地球儀。単三電池1本で1か月動き続けるそうだ。底面の直径2cmほどの接地部を軸として回転する。中をあけてみると機構はいたってシンプル。百円時計と同じユニットが使われていた。ギア比を変えて流用しているのだろう。デザインはスタンダード、ゴールド、ブループラネット、クラシックの4種類。写真はクラシック(GP-04, 21124)定価:3800円税別。
 

浮宙儀(うちゅうぎ) 山本の発表
 「アーンショーの定理ついに破れる!」と言いたくなるようなオブジェ。これもテンヨーが発売元。地球儀が何の支えもなく宙に浮遊し続ける。しかけは下の台座にあるようだ。台座と地球儀の底には強力な磁石が内蔵されている。同社の磁気浮遊ゴマ「レビトロン・ゼロ」の技術を元にフィードバック回路を加えたものと見える。説明書には「フランスの物理学者シムレー博士とそのチームが完成させた。」とある。
 

 ビジュアルシートを使ってさっそく非破壊検査が始まる。地球儀の底にも台座にもフェライトのリング磁石が埋め込まれている。台座のリング磁石の穴の部分には電磁石の磁極らしき二つの黒い影が見える。これがフィードバック回路につながっているのだろう。詳しくは分解してみないとわからないが、もう少し中身を見ずに推理を楽しもう。黒板用マグネットを台座の上にかざしてみた。反発力は感じるが浮揚には至らない。磁力が弱すぎるようだ。
 浮宙儀もガリレオプラネットと同様4つのデザインがある。写真はブループラネット(UG-01, 21151)定価:12000円税別。実売9000円前後だが、現在品薄中で、テンヨーのWebページにも掲載されていない。

i-SOBOT 越さんの発表
 タカラトミーから世界最小165mmの赤外線リモコン二足歩行ヒューマノイド型ロボット「i-SOBOT」が発売された。17個の超小型サーボモーターにより、2足歩行、起き上がり、回し蹴り、腕立て伏せその他、様々な動きが可能。また、音声による10種類の命令を聞き分けられる。充電器と単4型エネループ3本付なのはお徳。実売価格30000円程度の入門機。近藤科学の「KHR2HV」が9万円程度(コントローラー別売り)なのを考えると安い。
 

IH炊飯器のコイル 喜多さんの発表
 馴染みの電気屋さんにIH炊飯器の廃品を頼んでおいた喜多さん、念願の廃品をゲット。早速分解した。電磁調理器と同じような平たいコイルが見出された。1991年製。
 

格安CCDカメラ 小河原さんの発表
 学校の備品であるフレキシブルアーム型の教材提示用カメラが故障したのをきっかけに、中古品(Yokogawa LC-3)を自費で購入した小河原さんが、動作を確認してから、残っていた2台を買い占めてくれた。新品を買うと4万円程度のところ、3000円という格安での販売で、いつもの通りじゃんけん争奪戦となった。

フェルミのパラドックスと「フェルミの質問」の紹介 宮崎さんの発表
 フェルミのパラドックスとは、地球外文明の存在確率の高さと、実際の接触が皆無であることの矛盾をさす。一方、「フェルミの質問」とは、「フェルミ推定」とも呼ばれ、「シカゴにピアノ調律師は何人いるか」など、仮定や推定を組み合わせて概数を見積もる問題である。
 宮崎さんが20年ほど前に読んだナフィールド物理の解説本に「フェルミの質問」の説明があったが、当時は理解しがたいことが多かったという。しかし、問題をいくつかの構成要素に分解し、それぞれについての推定を元に結論を出す、結論が妥当でなければ、構成要素について吟味していくというプロセスは物理の研究そのものと感じた。
 この「フェルミの質問」についてが、ビジネスの世界で話題になっているようで、これを扱った本が紹介された。分かり易い。

細谷功 著:地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」(東洋経済新報社)定価1,680円

 ドレイクの式もフェルミの推定の形になっているが、師弟関係があったのだろうか。宮崎さんは青少年センター時代のドレイクの式の解説を配付してくれた。

左手のフレミングの法則・その2 鈴木亮太郎さんの発表
 亮太郎さんの奥さんは文系の方だが、左手の法則ってあるでしょう?と聞いたらこんな答えが返ってきた。「時計の針と考えると、親指はニューヨーク、人差し指は東京、中指はロンドン」

 たとえば東京が昼の12時のとき、ニューヨークは夜の10時、ロンドンは夜中の3時なのだそうで。
東京以外がサマータイムのときには人差し指を1時間分右に倒すといいようだ。ちなみに、タイムゾーン(南中時刻ではなく、グリニッジ標準時を基準に1時間単位で時差をつける)ことを提案したのは、物理とは別人のフレミングさんなのだそうだ。授業の小ネタにどうぞ。


二次会 日吉駅前浜銀通り「龍行酒家」にて
 12名が参加してカンパーイ!いつもの中華料理屋で2008年の新年会だ。あとから遅れて二次会だけ参加という人も交えて、あらためて議論が盛り上がる。他のお客さん、難しい話ばかりで雰囲気壊してごめんなさいm(__)m。


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