例会速報 2011/07/10 鎌倉学園中・高等学校
YPCホームページ(本館)へ| すたのページ(別館)へ| 天神のページ(別館)へ| 他のサークル・団体等へのリンク| 次回例会のご案内
授業研究:等加速度運動 三宅さんの発表
本年度神奈川県で新採用となった三宅さん、最初に持った科目は1年生必修の理科総合Aだった。今回例会で報告してくれた内容は、理科総合Aの物理分野における授業の内容と、映像を用いた「鉛直投げ上げ運動」の実験のようすだ。
理科総合Aは必修2単位科目であり、時間の配分がかなりきつい。このような状況の中でも簡単な実験を取り入れ、生徒が物体の運動、今回は加速度について考えていけるような展開を行った。
実映像を用いた実験内容の一つ目は、「斜面を下る運動の加速度」である。メトロノームを0.5s間隔で振り、各経過時間における通過地点を、コマ送りによって記録する。最後は「鉛直投げ上げ運動の加速度」の実験だ。こちらもボールが各コマの間に通過する位置を記録し、最終的にv-tグラフを作成して加速度を判断する。映像の縮尺が実寸と異なるため、きちんとした形で値を出せないのが欠点。したがって、「鉛直下向きに等加速度になる」という定性的な面でのみ実験結果が出せる。
授業を行った結果、生徒に実験結果を踏まえさせて、自力で考察、結論を出させたところ、という加速度の大きさについては「加速度は一定である」という考察できたが、「鉛直下向きに」と向きについて考察することは難しかった。軸の向きと運動の向きから、加速度の向きに関して考えることに課題がありそうだ。 考察を行うとき、クラスの意見を発表させ、教師がまとめるような形によって議論するような授業展開が必要であると考えられる。
最後の写真は、期末テストの内容だが、加速度を記入させる部分ができた生徒は少なかった。
水平ばね振り子 水上さんの発表
東急ハンズで買った「ビックリ」という商品名の太い巻きばねを力学台車に取り付け、板の上で振動させる。板に車輪用のレールとして断面が凹状になっている飾りモール3本を貼り付けたところ、摩擦も軽減され20回近く振動が続くようになった。主な使い方は以下の通り。
(1)ばねと台車のばね振り子の周期は板の傾きθによらずT=2π√(m/k)になることを,あらかじめ撮っておいた映像をコマ送りすることで確認する。
(2)台車をばねに押しつけて手を放し、弾性力による位置エネルギーが台車の運動エネルギーに変わることを示す。
(3)板を斜めにして弾性力による位置エネルギーが重力による位置エネルギーと運動エネルギーに変わることを示す。(このときの速さυが(2)のものより小さいことも確認する)
剛体の授業 市原さんの発表
剛体棒の中央を支えた時、どのような状態で釣り合うかについて。中央上部の穴に支点を通すと、やじろべえのように揺れて水平になろうとする。つまり、重心が支点の真下に来るつり合いの位置を中心に振り子運動する。中央の中心の穴(つまり重心)で支えると、斜めなら斜めのまま、どのような状態でも安定する。重心は重力の作用点なので、その回りの重力のモーメントは必ずゼロになる。
リーごま再三 石井さんの発表
YPCではおなじみの石井さんの「リーごま」。リードスイッチにより磁石ゴマの回転を検知し、電磁石の電流をオン・オフして磁石ゴマの回転を加速する。回転軸の方向(鉛直方向)に対し着磁方向が水平になっていれば、大抵のものは回すことができる。回路にLEDやブザーを組み込んでおくと、光の点滅や音の高さの変化で回転数が上昇する様子がわかる。慣れると音の高さからおよその回転数を判定することもできるようになる。
球形の磁石、楕円球の磁石、左右NSの棒磁石に釘の軸をつけたものなどもよく回る(写真下左)。写真にはないが、ガウス加速器に使う球形のネオジム磁石1つに磁極のないステンレス球をもう一つつけたものもよくまわった。
写真下右は、鎌倉学園の生徒が作った学園祭用のプロトタイプ。磁石ごまにする磁石は、径方向に着磁されていなければならない。ケニスオンラインショップ片面2極型フェライト磁石K-2 ドーナツ型10個(1-118-128)がとても安価でおすすめである。
電磁石の代わりに、0.5mmφのホルマル線を10回巻いただけのコイルの中で磁石ごまを回す。巻き数はさらに少なくても可能か。
写真にはないがステイターを小型に作って時計皿に乗せ、これをガラスの上に置いて磁石ゴマを回すと、ステイターはこれとは反対向きに回る。石井さんはこれを<反作用ごま>と名付けた。
二次会 大船駅前「味太郎」にて
9人が参加してカンパーイ!本日は発表ネタが少なかったが、それぞれにたっぷり時間をとって発表ができた。もうすぐ夏休み。科学の祭典や科教協全国大会などでYPCメンバーの活躍が見られるだろう。
YPCホームページ(本館)へ| すたのページ(別館)へ| 天神のページ(別館)へ| 他のサークル・団体等へのリンク| 次回例会のご案内