例会速報 99/07/14 慶應湘南藤沢中高
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天燈(テンダン)製作会 鈴木亮太郎さんの指導
天燈は台湾のお祭りで使われる紙製の熱気球だ。鈴木さんが、台湾の職人さんから作り方の直伝を受けてきた。参加者全員でその伝達講習を受けた。材料も台湾直輸入だ。
本体側面を作る紙。これを4枚貼り合わせて袋状にする。紙は包装に使う薄紙程度の厚さだ。
まず下の写真のように3枚を重ね、のりで互い違いに縁を貼りつなげる。
4枚を貼り合わせて筒状にしたら、最後に天井を四角い紙でふさぐと本体はできあがり。これだけのことだが、伝授を受けた工程は無駄がなく、匠の技が感じられる。
これが袋の口の枠になる。竹でできた輪だ。針金をアーチ状に渡して中央に灯油をしみこませた紙をさして燃やす。この燃焼位置にも若干のノウハウがある。
この工程は一人ではちょっとつらい。両面テープを使うと簡単だそうだ。
完成した天燈。台湾では側面にいろいろな願い事を書いて、お祭りの日に景気良く空へとばしてしまうのだそうだ。わが国では、必ずひもをつけて飛翔を制限しないと大騒ぎになるのでご注意!!天燈はそのぐらい良く飛ぶのである。
青空に浮かんでいるテンダンの画像はここ。鈴木さんによる天燈の解説はここ。
ドライアイスの液化(かなり危険) 平松さんの発表
炭酸飲料用PETボトルにドライアイスを無造作に詰め込み、振る。内圧が5気圧に上がると、ドライアイスは液化して、常圧では決して見られない液体の二酸化炭素が観察できる。液化を確認したらただちに栓をゆるめ、圧を抜く。栓をしたまま放置すると、やがて大爆発して、大けがや鼓膜損傷のおそれがある。実際にそういう事故事例もあるので、素人は決してまねをしてはいけない!PETボトルの耐圧については「PETボトルの諸性質」を参照のこと。
青い液体酸素 平松さんの発表
液体窒素の実験では定番だが、せっかく液体窒素があるからと、液体酸素を見たことがない人のために平松さんが実演してくれた。風船に酸素をつめ、試験管に結んで液体窒素で冷却すると液体酸素ができる。液体酸素はきれいな空色をしていて、常磁性が強く、ネオジム磁石に引かれる。
赤鉛筆の色が変わる? 河野さんのアイデア、みんなで追試実験
河野晃さんがメーリングリストで報告してくれた現象をみんなで確認した。赤鉛筆を液体窒素で冷却すると色が薄くなるというのだ。もちろん常温に戻すと色は復元する。
紙にこすりつけても同じ現象が観察できる。下半分の色が薄くなっているところが液体窒素に浸かっていた部分。温度によって色が変化する現象は比較的少ないので、奇妙な感じがする。
サーモクロミズム 高杉さんの発表
「温度で色が変わる現象ならほかにもあるよ」と高杉さんが見せてくれたのは、先祖伝来の(ウソウソ(^^;))座布団カバー。
アイロンやホットプレートで加熱すると色が濃くなり、液体窒素で冷やすと色が薄くなる。色素分子による吸収帯が、温度変化により、わずかにシフトするのだ。
こういう現象を一般に「サーモクロミズム」というのだそうだ。
ピエゾクロミズム 高杉さんの発表
温度ばかりではない。圧力を加えると色が変わる物質だってあるぞ、と高杉さんが紹介してくれたのは「ジアントロン」という物質。黄色い粉末だが、スライドグラスの上に置いて、時計皿の凸面で圧迫すると、圧力を受けたところが緑色に変色する。こういう現象をピエゾクロミズムと呼ぶのだそうだ。
ジアントロンの分子構造を説明する高杉さん。「こういうふうにベンゼン環が反りあがっているのが、ストレスを受けて平面化すると、分子軌道が変化して・・・」分子の立体構造の変化が、マクロな変化として見えるというのは大変面白いことだと思う。
ジアントロンの溶液は温度による呈色の変化も示す。常温では黄色、熱すると緑色になる。同じように立体構造が変化するからだという。
ドライアイスを作る 平松さんの発表
せっかく液体窒素があるからというので、これも定番の二酸化炭素を凍らせる実験。二酸化炭素をビニール袋に入れて液体窒素に沈めるとたちどころに粉末のドライアイスになる。
魔鏡の製作 渡辺さんの発表
関東学院の渡辺さんは、科学の祭典全国大会に出展するネタを披露してくれた。光を反射すると絵や文字が壁に映るという「魔鏡」の製作を観客にその場でやらせようというのだ。
まず、銅や真鍮の表面をきれいにして、マジックで文字や絵を書く。裏はセロテープなので覆っておく。この状態でエッチング液につけると文字の周りが腐食されて薄くなり、文字の部分が凸部として残る。
次に、文字を書いた反対の面を紙ヤスリや磨き粉で磨くと、凸部の裏側がより深くえぐられて凹部になる。仕上げ磨きをしつやを出し、光を反射すると、このとおり。壁の反射光に文字が浮かび上がる。
渡辺さんの説明プリントより、魔鏡の原理図。
弾性・非弾性ハンマー 徳永さんの発表と即売会
以前、宮崎さんが例会で発表した、弾性ゴム・非弾性ゴムをハンマーでたたく実験を改良して、徳永さんはこんなハンマーを発明した。半球に切った弾性・非弾性ゴムボールが、木槌(肩たたきを改造)の両端に貼りつけてある。これで机をたたくと、弾性ゴム側は弾むが、非弾性ゴム側だと、ぴたりととまって跳ね返らない。手応えで違いがよくわかる。
おのおの50回ぐらいたたいて指先で温度を比べると、明らかに非弾性ゴムの側が温かくなっている。運動エネルギーが熱エネルギーに変わったのだ。
このスグレモノの発明は大変好評で、早速量産して科教協山梨大会お楽しみ広場で販売することが決まった。科教協に参加される方は迷わずゲットしよう。売り切れ御免!!
気柱共鳴の演示 水上さんの発表
教室に実験器具を持ち込む「出前実験」を得意とする水上さんがこのたび披露してくれたのは、長短の塩ビ管を組み合わせた演示用気柱共鳴装置だ。一番上の開管の基本振動に始まって、同じ音で共鳴する他の管をさがしながら、内部の気柱振動の共通点を推論していくという、きわめて巧妙な授業展開と一体になった実験器具である。水上さんの演示を効果的に使った説明にはいつもうならされる。
三門式静電モーター 右近さんの紹介
右近さんが紹介してくれたのは、ミニミニフランクリンモーターと、摩擦起電器のセット。塩ビ管を布で摩擦してアルミホイルで集電し、モーターに導く。
モーターは発泡スチロールの円柱にキッチンテープを等間隔に貼り付け、虫ピンを回転軸としたもの。エナメル線の電極を接近させると静電誘導により軽やかに回転する。
先日YPCでも販売された、3000Vの直流高圧電源につなぐと、ミニミニモーターは放電の電光を輝かせながら勢いよく回転した(写真下右)。
番外編:インターネットライブカメラ 鈴木亮太郎さん製作
時間がなくて発表できなかったが、写真だけ紹介しておこう。慶應湘南藤沢中高物理教室の窓辺に設置された定点カメラである。いずれ鈴木さんから詳しい説明があることを期待しよう。
二次会 湘南台駅前「八田」にて(14名が参加)
今回は、愛機のデジカメが二次会の時不調だったため、鈴木健夫さんのカメラで撮影しました。
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