例会速報 2010/03/14 神奈川学園中学校・高等学校


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授業研究:1年理科総合A「波動」のまとめ 小沢さんの発表
 1年生の理科総合Aで、「発展的な学習」として波動を扱った授業の報告。6〜7時間で弦の定常波まで進むことを目標に進めた。例会では、発問と、演示実験を中心に報告があった。
(1)波の性質を示すために、浅い水槽に水滴を落としOHPで観察する。2本のスポイトで同時に水滴を落とすと、波の独立性がよくわかる。(写真右)
 

(2)楽器の長さと、生じる音の波長との対応を、おおざっぱに示す実験。音階の波長と同じ長さに切った塩ビ管の口を、スリッパで叩くと、ドレミファソ…と鳴ることを示す(写真左)。また、生徒全員が体験できるように、音階の波長の1/10の長さの紙パイプを用意し机に落として音を鳴らす(写真右)。「かえるの歌」も演奏。(参照:生徒実験「紙パイプで演奏会」(小河原康夫))

(3)CQ出版「音波シミュレーション入門」(吉沢純夫)のプログラムを若干改造して定常波ができる理由をPCで説明。(写真左)
(4)弦の定常波の導入として、長いプラスチックばねにできる定常波の実験を行った。(写真右)


(5)弦の固有振動数が、基本振動の整数倍になることを、PCを用いてスペクトルで示した。wave spectraというフリーソフトで簡単に示せる。(参照:「wave spectra」(徳永恵理子))(写真左)
おまけ:蛇腹ホースをくるくる回して音を鳴らす玩具、メロディーパイプ(写真右)。弦とは違って振動の様子は見えないけれど、きっとホースの中にも定常波ができているということをイメージさせる。詳細は2年生の物理Tで扱う。

ピタゴラスイッチより最近のピタゴラ装置 車田さんの発表
 NHK教育の隠れた人気番組「ピタゴラスイッチ」のピタゴラ装置の近況報告。ピタゴラ装置DVDブック2の出版から2年経つ。車田さんは、毎週コツコツ貯め撮りしている。
 左側は、最近のピタゴラ装置より、ピタゴラ装置にマイクロカメラを搭載。外観の映像に続いて、搭載カメラの映像が流れる。
 右側は、慣性の法則。木枠にピ・タ・ゴ・ラ・ス・イ・ッ・チのブロックがはめられ、手前からハンマーがぶつかり、一瞬にして木枠をはじき飛ばす。スロー再生すると、ピ・タ・ゴ・ラ・ス・イ・ッ・チのブロックが慣性の法則により空中にとどまった後、一斉に自由落下を始める。
 

人が乗れる無限鏡像 水野さんの発表
 水野さんの学校の昨年の文化祭で理化部が研究発表した「錯視」の作品。水野さんはこれまでも例会でたびたび無限鏡像を発表してきたが、今回の作品の特徴は、人が乗って見られるということ。そのために人が乗る面には強化ガラス(10mm×500mm×700mm、コダマガラスで税込み13,500円で購入)を使った。照明はクリスマスツリーに使うLED100連のものと、ダイソーで買ったLED20連のものを使用した。ガラス面に乗ると、深い穴に吸い込まれるような感じがする。
 

反転遠近錯視絵 水野さんの発表
 これも文化祭用の展示作品。渋谷の東急ハンズで税込み4,200円で売っていたものを購入し、それを拡大コピーして、段ボールで作った台紙に貼って組み立てた。人が動くのにあわせて絵が動いて見えるのが何とも不思議だ。大型で視界いっぱいに見えるのでリアリティが増す。
 

凸レンズによる像 水野さんの発表
 水野さんの学校の中1の授業担当者からの以下の質問が発端の議論。Q1「凸レンズの焦点に物体を置くと結像しないはずだが、レンズの後方から見ると正立の像が見えるが、これはなぜか。」、Q2「焦点距離のわずかに外側に物体を置き、それをレンズの後方からレンズに近づいて見ると正立の像が見え、物体をそのままにして目をレンズから後方に遠ざけていくと正立像は次第に大きくなっていくように見えるのはなぜか。ちなみに焦点距離の内側に置いた物体の像(虚像)の場合は、目を遠ざけても像の大きさは変わらない。」
 例会で論議し、以下のように理解した。まず、Q1は無限遠にある物体を人間の目で見るときと同じで、平行光線を人間の目のレンズで集光して網膜上に結像するから見えるということだ。
 一方Q2は、まずこれを「像」と呼ぶかどうかが問題だが、これも網膜上に結像して見えているので、物体が焦点距離よりわずかに外側にあるとき(大きな実像がレンズから遠いところに生じる場合)、目のレンズを組み合わせた光学系では網膜上の像は遠ざけていくと大きくなるということだ。目のレンズはある範囲内で焦点距離を自動調節してしまうことも忘れてはならない。
 

回転磁界(その2) 石井さんの発表
 2007年4月例会に続く回転磁界の実験の第二弾。まずは、100円ショップのアルミ線を売られている束のままコイルとして用いたもの。位相をずらすために一方にはコンデンサーが接続してある。アルミの鉛筆サック(左)やアルミフォイルや炭素粉を詰めたプラスチック球(右)などが回り出す。
 

 次に大型コイルに低圧で交流を流し、別の小さな補助コイルを添えると、短絡した補助コイルに誘導電流が流れ、位相がずれた磁界を自動的に作るのでアルミサック(左)が回転を始める。鉄棒に巻いたコイル(右)を差し入れても同じことが起こる。位相の違う磁界成分があればよいのだ。

 中に差し入れる補助コイルはコイルである必要はない。銅のリングやただの銅板でもよい(左)。渦電流が磁界を作る。究極はスチールウールを丸めただけの回転子(右)。それ自身が導線なので、位相のずれた磁界を自動的に生み出し、自分自身が回転する。石井さん曰く「そして何もいらなくなった」。交流磁界内に置かれたコイルや金属に誘導される電流は90度位相が遅れる。

 次は「隈取りモーター(隈取磁極型誘導電動機)」の紹介。歌舞伎の隈取りに似た太い銅線が短絡コイルとして界磁の鉄心に組み込んである(左)。上の実験の補助コイルと同じはたらきをするわけだ。補助コイルが囲む部分だけ誘導電流により磁化が遅れるのだ。Uボルトで作った手作り電磁石でも、隈取りコイルを巻いておくとアルミサックを回転させることができる(右)。

 隈取りモーターは効率はあまりよくないが、構造が単純で安価であり、単層交流電源でも始動し、回転方向が決まっており、回転数が周波数に比例するなどの特徴がある。扇風機などのモーターとして用いられているそうだ。

教訓茶碗を焼いてみた 伊藤さんの発表
 写真左は有名な石垣島名物の「教訓茶碗」(「八分茶碗」ともいう)で、以前YPCの98年9月例会でも話題になったことがある。水をいっぱいに注ぐとシーサーの中に隠されたサイフォンがはたらいて水がすっかりこぼれてしまうという仕掛け。紙コップなどで工作する実践もあるが、伊藤さんはあえて、焼き物で再現することに挑戦した。写真右はその設計図。
 

 これが伊藤さんの作品。茶碗の底にあらかじめ穴を開け、サイフォンの部分を後から取り付ける形で制作した。サイフォン部分は紙パイプを埋め込み、焼成時に焼失させた。上薬が多すぎて焼いたときに穴をふさいでしまうという誤算があったが、なんとか補修してご覧の通り実験成功! 

「ちきゅう」乗船クルーズ2010のレポート 車田さんの発表
 JAMSTECの地球深部探査船「ちきゅう」の教育関係者乗船体験コースのレポート。
車田さんは2010年2月13・14日に「ちきゅう」がメンテナンスのため清水港に停泊中に実施された1泊2日体験乗船参加した。写真左は「ちきゅう」を前に参加者の集合写真、右はヘリポートでの乗船クルーの集合写真。後方の塔はボーリング用デリックだ。
 

 2日間、一般公開では立ち入れなかった研究棟の裏側から掘削エリアまで見学できた。実習では本物のコアサンプルを使って微化石抽出、顕微鏡観察、スミアスライド作成(サンプルのスライド)をさせてもらった。写真左は船内機関室、関係者でもめったに入らない場所だ。右はボーリングしたコアサンプルの観察。
 

 写真左はコアサンプルから採取した資料を顕微鏡で観察している様子、右は放散虫の微化石の顕微鏡写真。

 体験乗船して印象深かったのは、ドライシップ(アルコール禁止の船)は本当に存在するのだということ、日本の船なのに公用語は英語であること、研究者のための充実した環境、12時間交代で24時間稼動している眠らない船であること、ディーゼル発電の電気でスラスタを回して推進するオール電化の電動船であること、等々・・・・
 以下、JAMSTECのHPに体験乗船のレポートが掲載されている。

村田製作所のパンフ 水野さんの紹介
 「新理科教育メーリングリスト」で紹介されていた情報。村田製作所が郵送料も含めて無料で全国の小中学校に寄贈しているオールカラー26ページの冊子。「ムラタセイサク君とムラタセイコちゃんがナビゲート はじめよう!電子工作」

【連絡・問い合わせ先】
 株式会社村田製作所 広報部技術広報課
 TEL: 03-5469-6138/FAX: 03-5469-6157
 納品先(住所・電話・担当)、納品部数、希望納品時期を知らせて申し込む。
プレスリリース情報はここ

二次会 横浜駅西口前「うず潮屋」にて
 11人が参加してカンパーイ!。神奈川学園での例会は学校の都合で終了時刻が早いので、6時前から開いている店でなければならない。今日は三次会をやる時間もたっぷりある。本年度最後の例会だったが、来年度は所属が変わる人もいるかもしれない。また若い仲間が入ってくるのも楽しみだ。


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