例会速報 2014/09/21 多摩大学附属聖ヶ丘中学・高等学校


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授業研究:ピアインストラクション型物理授業の実践 西村さんの発表
 西村さんは、1学期力学分野でのピアインストラクション(PI)型物理授業の実践報告を行った。例会では速度・加速度といった運動学の分野の授業展開とPI問題の内容について議論した。
 

 例会参加者からは、
・授業者の教えたいことが漠然としているため、一つのPI問題にたくさんの要素が入ってしまっている。これでは生徒は何がわかり何がわからなかったのかが判断できない。
・生徒の実態に則して授業するために、生徒のことを知ろうとすることが大事である。
・議論を促進するために、議論ではグループを作らせ、グループの中で役割分担させるという工夫がある。
などのコメントがあった。
 

 2学期からは次のような形で改善を図りたいと西村さんは考えている。
・PI一問一問をこれまでよりも丁寧に扱うようにする。具体的には、自分の考えを書く時間や、議論する時間を長くする。
・生徒にとって情報が膨大となり処理しきれないため、「振り返りプリント」を配る事はやめて、毎回の授業の冒頭で前時の「振り返り」へのコメントをいくつか紹介することで振り返り形式に変える。
・授業との関連がうまくつけられないので予習シートはやめる。
 

飛行リング発射機を作ってみて 古谷さんの発表
 科教協のナイターで仕入れたネタの追試。紙の輪(飛行リング)を回転させながら打ち出すカタパルトである。ゴムバンドをひねりながら引いてリングをセットし、手を放すとリングが回転しながら遠くまで飛んでいく・・・はずだった。しかし、なぜかうまく飛ばない。リングが先端で止まってしまうのだ。原因は射出の最終段階でたるんだゴムにリングが触れてしまうためらしい。ストッパーの取り付け位置を工夫すれば改善されるだろう。
 

蛍光サインボード 海後さんの発表
 海後さんは今年の7月例会で水野さんが発表したサインボードの外周の発光に興味を持ち、本体側面に高輝度の青色LEDが5灯使われている楽天の「手書き蛍光サインボード」を購入して改造した。
 

 外周を45度に面取りした5㎜厚のアクリル板を、本体の表面に移設したLED基板上に立てた。面取りによって板の内面反射効率がアップし、外周や板面が明るくなる事を確認できた。蛍光ペンで裏面から文字を書くと、板の内面反射光がペンの色を効率よく散乱するので明るく見える(写真左)。さらに、蛍光顔料入りのアクリル板(蛍光板)を立ててみた(写真右)。
 

 蛍光板の発色は非常に強く、青色LEDやグリーンレーザー照射でも蛍光色の色変化がほとんどない。蛍光板の側面からレーザー光を当てると、光が全反射しながらジグザグに進む様子が横からはっきりと観察できる(写真右)。
 

リングキャッチャー実験器 海後さんの発表
 海後さんは、自作の樹脂製スタンドの上部に木製ピンチとクリップを固定して、内径3㎝のリングと2.5㎜のボールチェーンを20㎝の高さで垂らしたコンパクトな装置を考案。リングキャッチが下手な人でも百発百中でキャッチ出来る装置を目指しているが、もう少し調整が必要だそうだ。
 

 さらに、チェーンを長くするとキャッチできなくなる実験動画を見た人の、「もっと長くするとどうなるのか?」という素朴な疑問を聞き、さっそく170㎝ほどの長さに垂らして実験したら、何度か成功した。例会ではキャッチに失敗したが、リングは落下途中に角度が水平から垂直に変化することを繰り返している。チェーンの長さを、リングが垂直になったタイミングでチェーンの下端に達する長さに合せれば確実にキャッチできるはずだ。どこまで長いリングキャッチャーが出来るのか、追試を希望する。

オーバートーンフルート 海後さんの発表
 メロディパイプと同じように息の強さで倍音変化する指穴の無い笛。サイズによっては4オクターブほどの音域を出せるらしい。樹脂パイプ等で簡単に自作できる。動画(movファイル4.3MB)はここ
自作情報はこちら。→ http://ytmusik.web.fc2.com/page/inst/inst_overtone.html
オーバートーンフルートの音階の解説はこちら。→ http://gakki.temiruya.com/archives/1300/1000/
 

凝縮熱その2 田代さんの発表
 前回に続いて凝縮熱の演示実験を改良している田代さんの報告。ドライヤーから出る熱風(写真左)を約40cmのガラス管の中を通過させると出口では程々に温度が下がる(写真右)。(注:写真の温度計は料理用で、32℃の表示はアラーム設定温度で、測定温度とは関係ない。)
 

 それに対し、フラスコ内で水を沸騰させ、発生した水蒸気をガラス管に通すと、ガラス管の内側に水滴が着き、それが徐々にガラス管の出口の方へ進んでいくのが見られる。同時にガラス管は素手で持てないほど熱くなる。出口での温度もあまり下がらない。水蒸気が水滴になるときの凝縮熱がその原因だと考えられる。ドライヤーの実験とこの実験ではそもそも気体の流速や熱流量が全然違うなど、そのまま比較するのは乱暴だが、凝縮が起きるときは潜熱の放出により温度が下がりにくいことは演示する価値があると思う。
 なお田代さんが発表タイトルに用いたのは「凝結」だったが、物理・化学では用語が「凝縮」に統一されつつあるためここでは「凝縮熱」とした。中学校の教科書では「凝結」も使われているという。気象学では「凝結」派が多いらしい。
 

フエラムネにまつわる話 市原さんの発表
 昔懐かしいフエラムネは、ヤカンが沸騰したときに鳴るピーという音に似ている。その音が鳴る仕組み解明されたという記事が、Physics of Fluidsという雑誌に「The aeroacoustics of a steam kettle」として掲載されている。それによると、沸騰が始まったばかりの蒸気の速度が小さい時にはヘルムホルツ共鳴が、沸騰が進んで蒸気速度が一定速度を超えると小さなジェットの渦が発生して音が鳴るらしい。
 

 フエラムネも割ってみると中に空洞があり、ヤカンの笛の部分と似たような構造をしている。ピーという音が出るにはこの空洞が必要であり、同じ穴あきでも空洞を持たないパイン飴は鳴らない。ただし、パイン飴も工夫次第では鳴るようにできるという実験もあるが・・・。
 

マジック・ソード 海後さんの発表
 昔からあるマジック玩具を改造したもの。爪楊枝などを挿して脇のレバーを押すと、剣が穴に挿したものを一瞬で切断して反対側に突き抜けるように見える。だが、爪楊枝は切れていない。あら不思議・・・
 

 もとの製品は、左の写真のように丸かったのだが、海後さんはこれを四角く加工したのである。例会の参加者はトリックを知っている人ばかりだったので、枠を四角に変えた理由もすぐに理解された。
 海後さんによると、中身を分解してみたが、意外と難しい構造になっていて仕組みがよく分からなかったそうだ。

まちなか科学館いよいよオープン 竹内さんの発表
 2014年7月例会で竹内さんが紹介していた「まちなか科学館」が10月4日にいよいよオープンした。商店街の空き店舗を使って、津幡町が整備していた科学に親しめる体験型の施設。さしあたり、身近な材料で作れる実験器具を展示している。

立体ゾートロープ 竹内さんの発表
 百均のポーズ人形を使って作った立体ゾートロープ。スリットから覗きながら筒を回転させると人形が走っているように見える。

二次会 永山駅前「新撰組」にて
 永山駅下のいつもの居酒屋で、12名が参加してカンパーイ!今回は常連ばかりだったが、初参加の方も気楽に参加できる二次会だ。YPCルールで学生さんは会費無料なのでぜひ二次会にも参加しよう。今日の授業研究のレポーターの西村さんもここから巣立った。


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