例会速報 2014/12/14筑波大附属高校
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授業研究:浮力について Nさんの発表
浮力についての授業実践の報告である。自作の授業プリント(写真)に沿って授業プランの説明があり、参加者が感想を述べあった。論理の展開はもとより、矢印の板書のしかたなど細かいテクニックに至るまで詳細に検討した。
浮力の説明ではどうしても水圧の概念に触れることになる。この際、水圧が上からだけはたらくような誤解を与えないように説明を進めるのがむずかしいところだ。水の上の大気圧をどう扱うかも議論になった。授業案が内容を詰め込みすぎだとの指摘もあり、「来年の授業作りに向けて勉強になった。」とNさんは述べている。
光の三原色 佐藤さんの発表
東大サイエンスコミュニケーションサークル(CAST)で活動している佐藤さんが、子どもたちに指導している光の三原色の実験を披露してくれた。左はパスタケースに組み込んだ赤、緑、青の高輝度LED光源。トーチのように大きくてグリップもついているので扱いやすい。スクリーン上で光を重ねるとあらゆる色覚が作り出せる。
同じ三色の光源で多面体を三方から照らしてみる。面の傾きがそれぞれ異なるため、三色の混合比が面ごとに変わり、各面がそれぞれ違った色に色づく。その美しさに会場には歓声があふれた。
同じく実験教室で子どもたちに工作させてお土産にしている三原色の実験器の紹介もあった。銅箔テープと3色のLED、ボタン電池を巧みに使って、子どもでも簡単に作れるように工夫してある。完成度の高い工作キットである。提供されたサンプルは、いつものように大ジャンケン大会で争奪戦を行った。
超小型2線式デジタル電圧計 山本の発表
秋月電子が販売している「超小型2線式デジタル電圧計」は、1個250円という格安お値段とコンパクトさが魅力だ。電源を測定対象からもらってまるで寄生虫のように動作する計測器で、動作電圧範囲は2.7V~15V。改造により20Vまでとすることもできる。写真右はLEDパネルの裏側。わずか10×20mmほどの基板にむき出しでびっしりと回路が組まれている。もともと、充電式バッテリーのモニター用として開発されたものらしい。
動作電圧が限られている上、この電圧計自体がLED表示のため15mA前後という比較的大きな電流を測定対象から取るので、用途はかなり限られる。教育用としては、左の写真のように、キルヒホッフの第二法則の演示などに使えるだろう。写真上方の2つの抵抗で分割した電圧の和が、下の電池の端子間電圧に一致している。何しろ安くて場所を取らないので、このように回路の途中に複数取り付けて、各部の電圧を同時に見るという用途に適している。
下の写真のようにバッテリースナップに直接ホットボンドで接着してしまうと、バッテリーチェッカー兼電源電圧計となる。わりとスマートで使いやすいアイテムだが、うっかりつなぎっぱなしにするとたちまちバッテリーが干上がるのでご注意!YPCではさっそく大量に共同購入することになった。次回例会で分け合う。
2倍の虫眼鏡で光通信 喜多さんの発表
喜多さんは次のように光通信の演示を行っている。リモコンの赤外線を太陽電池で受け、アンプで増幅すると信号が音に変換されて聞こえる(写真左)。これも光通信だ。右は、メロディICからの曲を聴くためのスピーカー端子に、スピーカーの代わりに青色LEDを付けたもので、LEDの光の強弱を同じく太陽電池で受信すると、数十cmの距離での光通信ができる。
次に、このLEDが虫眼鏡の焦点にくるようにすると、レンズを通過した光は平行光線となるので、遠くまで光の強度が弱まらない。百均に手ごろな虫眼鏡(倍率約2倍)があったので、購入した。左の写真はレンズの中央にLEDを配置し、レンズの光軸上にLEDがくるように工夫した装置である。レンズの部分が光軸に平行にスライドするようになっている。右は白紙に平行光線となった光を当てて、光路を追跡しているところである。
装置全体を後ろから見る(写真左)。右端が光源のLED、中央にレンズが見える。暗くした教室の一番後ろ(左端)でもちゃんと受信でき、メロディが聞こえた。15mは楽にクリヤーしている。
右の写真は実験の音源として使用した、種々のTO-92パッケージのメロディICのコレクションである。通常出回っているトランジスタとパッケージの形が同じなので、一見するとトランジスタと間違えそうな形状だ。
犬とボールのおもちゃ Nさんの発表
犬のマスコットとプラスチック球の中に磁石を内蔵させ、磁石の反発力により、犬を近づけると球が回転するおもちゃを製作した。量産に適した球の材料はないかなど、参加者からいろいろなアイデアが寄せられた。動画(movファイル3.0MB)はここ。
手作りすっ飛びボール Nさんの即売会
10月例会に引き続き、自作のすっとびボールが販売された。彩りがカラフルでとても楽しい。先端にYPCのフラッグがついているのはYPC例会向けのご愛敬。
世界一簡単な「電車」 渡辺さんの発表
ネット動画(https://www.youtube.com/watch?v=J9b0J29OzAU)で話題になっている「世界一簡単な構造で作られた電車」を実際に作ってみた。材料は以下の3点をダイソーで入手。
・ネオジム磁石φ12×2mm・銅線φ0.9×10m・アルカリ単5乾電池
銅線をソレノイド状に巻き、アルカリ乾電池の両端にネオジム磁石を張り付けるだけで完成。(写真右)それを銅線のコイルの中に入れると自分で進んでいく。
どうして動くのか考えてみるのも面白く、原理もとても興味深い。一つコツがあり、ネオジム磁石の同極を合わせるようにして電池に貼りつけること。これが動く原理で重要である。動画(movファイル1.7MB)はここ。
セロハンの花 加藤さんの発表
加藤さんは、『理科教育ニュース』2014年10月28日号「手のひらに咲くセロハンの花」(写真左)で紹介した実験の実演をしてくれた。セロハンは、水を吸うとわずかに膨張する。水分を含む物に近づけると、水蒸気によってセロハンの片面だけが伸びるので逆側に丸まる。
この性質を利用して、いろいろな物にセロハンを近づけると、水が蒸発しているかどうかがわかる。常温の水に近づけると、わずかに丸まるのがわかる。また、手のひらから水分が蒸発しているのも確認することができる。
花びらの形に細長く切ったセロハンを何枚か重ね、中央を貼り合わせて放射状にして、手のひらにのせると、端が丸まって花のような形になる。なお、セロハンは、丸まる方向が一方向に決まっている。一部を切ってみて、縦横どちらの方向に反るのか確認してから、縦方向に丸まるようにセロハンの花弁を切り取るのがポイントだ。
理科実験大百科 加藤さんの書籍紹介
毎年32本発行される『理科教育ニュース』を年度ごとにまとめた縮刷版が毎年出版されている。現在、ベスト版2冊+第1〜第14集の計16冊が出版されている。第11集以降にはCD-ROMがついており、本書に収録された実験プリント「ためしてみよう」のPDF版と、実験ミニ動画12本、既刊の『理科実験大百科』の索引が収録されている。なお、2月上旬には、2013年度の理科教育ニュース32本をまとめた新刊『第15集』が発売される。
詳しい情報はこちらから→http://www.schoolpress.co.jp/s-414/
宇宙エレベータロボット競技会 佐々木さんの発表
11月23日に神奈川大学附属中・高等学校で開催された「宇宙エレベーターロボット競技会」の報告。教員、レゴエデュケーション、ナリカを中心に運営されており、アルファ企画も映像面で協力中。第2回となる今大会には全国から小・中・高生の33チームが参加、宇宙エレベーター研究者である日大・青木義男先生の講演、各チームの宇宙エレベーターロボットによる競技、開発の課程や工夫点などをまとめたポスター発表が行われた。
競技会は、レゴ・マインドストームで製作した宇宙エレベーターロボットで、ミニフィグを4m上にあるステーションまで、いかに速く・安全に運ぶかを競う。昇降のプログラムはもちろん、ロボットの形状やミニフィグの運び方・降ろし方もチーム毎に工夫が見られて興味深かった。結局、ミニフィグ20体を全て運び上げるチームが続出し、タイム勝負となるほどのハイレベルの戦いとなった。宇宙エレベーターは空想の段階を過ぎ、今年から実証実験もスタートする。NHKのコズミックフロントやサイエンスZEROでも特集され、少しずつ認知度も上がっていきそうだ。次回競技会には、ぜひ参加を検討されたい。
在りし日の北澤宏一さんを偲んで 竹内さんの発表
9月26日に急逝された北澤宏一さんを偲んで、思い出のシーンが紹介された。北澤さんはかつてわが国の高温超伝導ブームを牽引し、JSTの理事長も務めた。近くは福島第一原発事故の民間事故調の委員長としての活躍が記憶に新しい。2013年からは東京都市大学の学長職にあった。気さくで、理科教育の現場にも深い理解と強力な支援をしてくださっていただけに、早すぎる死を惜しむ声が多い。写真はサイエンスアゴラの会場での一場面。毛利館長と握手するシーンも。(写真右)
小学校の頃の「ぼくのゆめ」と題する作文集には、すでにしっかりとした世界的な視野に立って夢を語る北澤少年の姿がある。
中学の力学プラン・試験問題 武捨さんの発表
武捨さんはみんなで試験問題を共有したいと考えている。まずは自分の試験問題と実践した授業プランを持参し、発表した。武捨さんは中学1年生に力の授業をするのに、次のようなことに気をつけたという。
・「何が何から受ける力」という表現を徹底させる(垂直抗力などの用語をむやみに使わない)。
・ひとつのものから受ける力はひとつの矢印で表す(はじめの段階では抗力を垂直抗力と摩擦力に分けない)
プランを実践してみて、作用反作用の位置づけが中途半端であったと武捨さん自身は感じている。例会参加者からは、「何が何から受ける力」を徹底させるのは良い、試験問題の代表的な誤答は何か、面から受ける力を垂直抗力と摩擦力に分けて描い てもいいのでは、などの意見が寄せられた。
冬の課題 金子さんの発表
金子さんは生徒から出た質問を冊子にしたものを冬の課題として配布した。他の生徒がどのような疑問を抱いたかを知るのは考えを深める上でも大切だと思う。生徒の素朴な疑問は大切にしたい。
二次会 護国寺駅前「喜来福食館」にて
23名が参加してカンパーイ!2014年もあと半月、今夜は忘年会だ。中華食べ放題、飲み放題3500円で、たらふく食べて大いに盛り上がる。本日の総選挙の行方も気になるが、とりあえず来年もガンバロー。
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