例会速報 2015/01/18神奈川学園


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YPC歓迎電飾 物理室の展示品
 今回の会場は横浜の神奈川学園。会場の物理室前には歓迎の大型蛍光サインが・・・。「これが例の5万円か」と知る人ぞ知る。知らない方は昨年7月例会の速報を参照のこと。

定電流抵抗器製作会 有志参加
 例会に先だって、11時から有志参加で定電流抵抗器キットの製作会(第2回)が催された。工作のポイントを解説し、完成まで手引きする。初めての人でも1個一時間程度で完成できる。久しぶりの電子工作に奮戦した。製作会は今回で終わるが、今後はキットを希望者に実費でお分けするサービスを行っていくことにした。入手方法など詳しい情報ここ

授業研究:力のモーメントと重心 小沢さんの発表
 細長い板の上におもりをのせて水平を保つように、生徒に板の端を持ってもらう。おもりの位置を、手の近くから徐々に遠くしていくと、だんだん耐えられなくなっていく。
 次に、板の端をクリップで台はかりに固定して、板の上におもりをのせる。おもりの位置をはかりから徐々に遠くしていくと、はかりの指す値はどうなるかと問う。値は変わらない。これまでの2つの実験は一見矛盾し合うように感じる。
 

 次に、2台の台はかりに渡した細棒(実際はプラスチックアングルを使用)の中央におもりを下げて、はかりが指す値を調べた後に、おもりの位置を左から1/4のところに変えると、はかりの値は変わるだろうかと問う。この場合、値は変わる。これも前の実験と比べると矛盾するようにも思える。 このような発問をもとに、学習課題方式で話し合いを中心に展開することにより、力とは別の「力のモーメント」という量の存在に気づかせていく。
 次にミニホワイトボードを天秤のように使い、おもりとしてマグネットクリップをつける。(クリップは、あとで力の矢印の紙を挟んで説明するときに役立つ。)
 

 最初、2つのおもりと支点が水平に並ぶようにセットしておき、このあと片方のおもりを下にずらすと傾くか?と問う。「(力)×(長さ)」だけで考えると間違える。「うでの長さ」の意味や、力の作用点を作用線上で動かしてもモーメントは変わらないことを実験を通して伝える。
 

 厚紙の重心を糸でつるす方法で求める実習を、生徒全員が行なう。この方法で重心が求まる理由を考えさせてから、バランスバードや、かつてYPCで紹介されたワインスタンドを使って、1点で支えられて静止している物体の重心は、支えた点を通る鉛直線上にあることを説明する。
 

 デッキブラシを水平に1点で支え、その点で2つに切って、左右の重さを比較するとどうなるかを問う。考えをノートに書き、、話し合いをしてから、100円ショップで購入したデッキブラシを実際にのこぎりで切る演示実験で確かめる。(たいへん盛上がるが、ものを大切にするという観点から、再利用できるようにすることが今後の課題である。)このように話し合いと実験を通して、重心は重さ(質量)を2等分する点ではないことを学ばせる。
 

日常にひそむ数理曲線 小沢さんの書籍紹介
 佐藤雅彦監修「日常にひそむ数理曲線 DVD-Book」ポニーキャニオン(2,900円+税)。日常見られる運動に、サイクロイドや放物線などの数理曲線が見い出されることが、巧みな演出で表現されている。時間や説明が適度なため、授業で使いやすい。たとえば、放り投げられた金槌の運動は一見複雑だが、重心を中心に回転しながら、重心は単純な放物運動をしていることを示す映像は、上記の「力のモーメントと重心」の授業で使えるだろう。
 

間違ったことを教える? 古谷さんの発表
 杉山栄一氏(千葉県学習サポーター)は、理科教室(2014年12月号)の掲載記事「間違ったことを押しつけられた先生と子供たちはどうなるの」-小4教科書の訂正の経過からみえてきたこと-の中で、かつて古谷さんが2013年7月号に載せた「今月の授業 小4 とじこめた空気と水」にふれていた。記事では杉山氏が問題の発端とした,閉じ込めた水を圧した時の「手応え」について古谷さんは触れていない、とし「実践家でベテランの教員ならではのことだと思う」と結んでいた。杉山氏の主張は自己完結していると判断したため、古谷さんは、「手応え」の件にはあえて触れず、推奨した小4の実践内容を知ってもらおうという趣旨で、実験の一部を紹介し、体験してもらった。10mlのシリンジの先に附属(キット)の弁をつけ、空気と水を圧する操作に予想以上の興味を示し、嬉々として実験に没入していた参加者が多く、一人ひとりが実験を楽しむ機会が授業の中に位置づけられる必要性が再確認できた。
 

超小型2線式デジタル電圧計の使用例 山本の発表
 2014年12月例会で紹介した、秋月電子の「超小型2線式デジタル電圧計」の使用例を紹介した。測定対象から15mA前後の電流を吸うという、素子の動作特性によく配慮して使わなければいけない。写真は抵抗の直列接続による電圧分割を演示する「演示用回路板」。見やすいように銅箔テープで配線し、バナナジャックをとりつけて抵抗や電池の差し替えができるようにした。電池は006Pを2本直列にして使っている。右は100Ωのボリウムで、抵抗分割比を連続可変としたもの。どんな比にしても上の2つの電圧の和が、電源電圧に等しい。
 

 演示用回路板の裏側。百均のプラスチックトレー(メラミン樹脂)を使っている。4個の黒い円形はフェライト磁石をフェルトパッチと共に貼り付けた足。これでスチール黒板に貼り付けられる。右はデジタル電圧計の裏側。製品のままでは電源兼プローブコードのハンダ部が折れやすいので、このようにコードを基板の両端のねじ穴に通し、さらにコードもろとも基板全体をホットボンド覆ってで固めてしまうとよい。コードの保護、固定、絶縁、回路保護を兼ねた一石四鳥の対策だ。
 

 別の使い方の例。左は前回も紹介した、バッテリースナップに直接接着したバッテリーチェッカー兼電源電圧計。バッテリーがないときはただの電圧計として使える。右は、デジタル表示のない直流電源装置の出力端子付近に両面テープで貼り付けた例。アナログメーターとの併用でなかなか便利だ。
 

 下の写真は、手製のソーラー充電器。単三または単四電池を2本直列で充電する。充電モニター用にこのデジタル電圧計を組み込んである。プッシュボタンを押したときだけ電圧を表示する。ぎりぎり2.6Vぐらいまでは動作するので、電池一本では使えないが、二本直列ならなんとか実用になる。このような電源電圧のチェックが、この製品の本来の使用目的である。
 

ポスター発表報告 成見さんの発表
 成見さんは日本サイエンスコミュニケーション協会主催の第3回年会で、「カラフル・サイエンスコミュニケーションの実践」と題するポスター発表をした。実験道具の色目を華やかにした授業作りの有効性を検証した研究だ。その中で成見さんは、自作のすっ飛びボールの跳ね上がる高さも計算している。ポスターのPDF版はここ。多くのアドバイスをいただき、さらなる追実験を行い、小さな論文のようなものにまとめられたらと成見さんは考えている。続報が楽しみだ。
 

自転車のなぜ 成見さんの書籍紹介
 成見さんが校正のお手伝いをした本が出版された。主人公の少年が、自転車という身近な乗り物を通して物理のあれこれを学習していく、「高校物理・力学の学習」にもぴったりな本だ。「科学ずかん・自転車のなぜ」玉川大学出版部より1月25日発行。
 

誤答の集計 武捨さんの発表
 先月の例会で、武捨さんが中1の力学プランと期末試験について発表した際、期末試験の誤答に関する質問があったので、武捨さんは誤答の集計を試みた。大問ごとの正答率だけではなく、各問の代表的な誤答を記録に残しておくことは、授業プランを振り返るときにも有用な情報になると考えた。
 

二次会 横浜駅西口天理ビル25F「北海道」にて
 20名が参加してカンパーイ!天理ビル25階の宴会場からの眺めは最高!快晴の空、夕焼けをバックに富士山と大山のシルエットが美しい。部屋に入るとたんに歓声が上がり、しばしパノラマ撮影会となった。
 

 横浜市街と西側の山々のパノラマ。左から箱根連山、富士山、大山と丹沢山地、そして中程から右に続くのが、大菩薩、雲取、三峰といった秩父連山だろう。スーパービューをバックに新年会が始まった。今年もよい年になりますように。
 


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