2002年7月13日(土)惟信高校での例会の記録です。
台風一過で梅雨が明けたかと思いましたが、今日は雨。梅雨が明けるのはまだ先のようです。
今回もたくさんの発表がありましたが、イメージインテンシファイヤ(映像増幅装置)を使って人間の
骨をリアルタイムで見るという林さんの発表が圧巻でした。皆レントゲンになった気分です。
古いバッテリーと新しいバッテリーのつなぎ方 自動車のバッテリーどうしをつないで充電するときのつなぎ方は、まずプラス側をつないでからマイナス側をつなぐ、という話があるがこれはなぜだろうか。という問題提起。 |
手作りオカリナ (山岡さん) 空気隗の固有振動は、外気への開口面積で決まる、という説の具体化モデル。 卵形の容器に呼子笛の吹き口をつけた、手作りオカリナです。 3mmの穴をいくつかあけてありますが、指で押さえる位置によらず、開いている穴の数によって音程が変わります。 何とか1オクターブでましたが、やはり市販品の音にはかなわない・・・・・。 何でも吹き口をつければオカリナになっちゃう、ということで、醤油容器にリコーダーの吹き口をつけたものもありました。 |
渦電流 (山岡さん) 前回の例会で林さんが発表した、一様磁場の中での渦電流についての疑問が出されました。 一様な磁場では渦電流は起こらないのでは、というものです。それを実証するために、磁石を並べた板の上を十円玉を滑らしました。 磁石を同じ向きならべた場合(一様磁場)と交互に並べた場合いを比べてみました。確かに一様磁場ではブレーキがほとんどかかりません。(渦電流が発生していない) そこで林さん。前回の一様磁場の装置を出してきて再度検証。 確かに10円玉ではブレーキがかからないが、アルミパイプやアルミ缶ではブレーキがかかります。 そこで議論沸騰。いつもながらの風景です・・・・・・。 結論は、板状の10円玉では渦電流は起こらなくても、立体の管では、管が回転することで、磁束の変化が起こるので渦電流が発生する、ということでした。 「滑る」 と 「回転する」 の違いは大きかったのでした |
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地盤沈下モデル (清水さん) 地下水の汲み上げすぎによる地盤沈下の説明。 水槽に綿をいっぱいにいれ、綿が完全に浸るまで水を入れます。綿の上にビー球やおはじきをのせます。(おもりの役目) 灯油ポンプで水を吸い出すとどうなりますか、という問題。 写真のように、水位の低下により綿が収縮、つまり地盤沈下が起こった、ということです。 では、下がったところに水を入れていったら元にもどるでしょうか。 残念ながら、沈んだまま。一度地盤沈下が起こると、水がもどってきても元には戻らない、ということです。 |
水をくみ出すと、地面が沈下する。指のマークが 元の高さ。 |
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同じことを、今度は綿だけでやってみると、水を戻すと元の高さに戻っていきます。 水を含む層の上に十分な錘がなければ、水が戻れば元に戻ることができる、ということになります。 |
綿だけなら水を入れていくと元に戻ります。 |
脈波計の製作 (清水さん) 指先での赤色光の透過度を測定することにより、血流量の変化(脈波)を観測する装置です。 赤色LEDの光をCdSで受け、透過光の変化を電圧に変換し、オシロでみます。 脈を打っている様子がよくでています。 この作品は大当たりする脈があるかな・・・・(^^;) |
LEDとCdSの間に指を入れて測定します。 |
ニューベルバラ (清水さん) ベルトバランスからベルバラという名がきているようですが、一枚の金属板を曲げただけのもの。 当然指でバランスなどは無理ですが、ベルトをかけると、写真の通り、きれいにバランスして静止します。 これはシンプルの極みですね。 |
マリオットのびん (堀田さん) 水を満たした容器に穴をあけると、水が勢いよく出ます。水の量が減っていくと勢いが弱まります。(水圧が小さくなりますからね) ところが、容器のふたにパイプを通すと、水面がパイプの下端に達するまで勢いが(つまり出口の圧力が)一定になります。 おもしろいですね。 NGK(日本ガイシ)のNGK SCIENCE SITE にこの実験の説明があります。 http://www.ngk.co.jp/ |
容器の蓋にパイプを通します |
万華鏡いろいろ (奥谷さん) いろいろな万華鏡が紹介されました。 ○接眼部に回折格子を使ったもの ○受光部にビーズをいれた試験管を使ったもの (写真) ○偏光板の間にセロテープやポリプロピレンをはり 回転できるようにしたもの(色偏光により色づい た模様を見ることができる) ○鏡3枚のうち、1枚を無反射にしたもの などなどいろいろ。最も美しい模様のコンテストでもできそうですね。 |
ブームワッカーは打楽器、管楽器? (奥谷さん) やや柔らかめのプラスチック(材料名は?)でできている管。これをたたくと音がしますが、この音は管の振動、それとも管内の空気の振動?という問題。 この楽器はBoomwhackers(ブームワッカー)というまで、アメリカやヨーロッパでは100万本も売れている新しい楽器だそうです。 いろいろな長さのものがあり、それぞれ違う音程がでます。みんなで互いに叩き合って音楽ができる、というわけ。 でも、叩き方によっては、楽しい音楽より、険悪な雰囲気を作ってしまうような・・・。 ところで、最初の質問には次のような答えが出ました。 片方の口を押さえて叩いてみればよい。 音の高さが下がったら、気柱の振動ということになる。(実際に叩くと音の高さは下がります) ・・・・・・これでいいですか???? この楽器は名古屋の東急ハンズで購入したそうです。 |
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皆で叩き合って仲良くなろう |
目玉モデル (戸田さん) 錯視の効果を目玉の網膜上でも確認しようと、目玉のモデルを作りました。エイムズの部屋などでの人形の姿が、網膜上でどう写るのか確認してみよう、ということです。 光学上の出来事と、脳内での出来事を峻別するために、ひとつづつ実証していこうというわけです。 |
ウッケさんからの手紙
(戸田さん)
以前、海外の大会で知り合ったドイツのウッケさんとのやりとりを報告してくれました。もっとも、英文レターなので
すぐその場で読むというわけには・・・・・。
今度のスウェーデンで会うことができるようです。
彼のホームページには楽しい実験がたくさん紹介されているので、一度見てください。ただしドイツ語。
まあ、写真を見れば何の実験かだいたいわかるところが、物理実験のいいところですね。
http://www.e20.physik.tu-muenchen.de/~cucke/
浮力の原因は分子運動? (飯田さん) 筑波大学附属高校の鈴木亨さんの論文、浮力の原因は分子運動?−原子論万能の陥穽−、を紹介してくれました。 液体の浮力は、つまり液体の圧力は分子の衝突によるものだと考えるのは誤りだ、というものです。 (ちょっと衝撃的な結論ですね) 気体ではうまくいく分子運動論も、液体のような非圧縮性の流体に適用するのは誤りである、ということなのですが、またまた議論噴出。 論文全体をじっくり読んでから再度議論しようということになりました。 |
X線で物質内部を見る (林さん) イメージインテンシファイヤ(映像増幅装置) を使った実験パート2です。 陰極線を陽極やガラス壁に衝突させるとX線がでます。電圧がそれほど高くないので弱い制動放射になります。 このX線の光子を見ようというわけです。イメージインテンシファイヤの受光部にX線があたると光る蛍光版を置いて、クルックス管で放電します。弱いですが、ちゃんとガラスの遮蔽部を作ってあります。 |
この状態で、写真のように受光部に手をかざすと、何と骨が見える!
リアルタイムですから、指を動かすと骨も動きます(当たり前!!!)
レントゲンもきっとこんなふうに驚いたであろうと感じさせる瞬間でした。
もちろん弱いX線ですから、短い時間での実験では危険はありません。
受光部にいろいろなものを置いて、X線の透過度を見てみました。 ペットボトルに入れた水では、X線はかなり吸収され、透過はわずかでした。 ばねばかり、金属の薄い部分はX線がかなり透過します。 鉛の板ではほとんど透過しません。 鉛の板でX線を防ぐのは、確かに効果があることがわかります。 |