2002年9月28日(土)惟信高校での例会の記録です。
暑い夏でしたが9月中旬以降ぐっと涼しくなり、日々の授業や研究がやりやすくなりました。
今回の例会は、8月のスウェーデンでの大会、中国長春での大会の内容が、参加者により説明され、
物理サークルの活動が本当に世界的な広がりを持つようになったことを実感しました。
さらに、静岡から加藤さん、大塚さんが参加され、例会の参加者の範囲も広がっています。
遠くからの参加者に、参加してよかった、と思われる内容の濃い例会を続けていきたいものです。
新聞記事のなかの物理 (近澤さん) 最近の新聞記事の中で見つけた物理現象についての説明や質問です。 1 ピンポイントで音を伝えます。 7月24日中日新聞の記事。超音波に乗せる形にして人の声や音楽などを真っすぐに運ぶ仕組みで、スポットライトのように限定した地点に音を送ることができる、とのこと。 そのままでは聞こえないが、壁や床などに反射すると音が聞こえるようになるとのこと、これはいったいどういう原理か、という質問です。 誰も説明できませんでした・・・・・ 2 謎の揺れ? ・・震源大阪ドーム、実は3万人ジャンプ 6月7日読売新聞の記事。大阪ドームの周辺マンションなどでは年数回、地震でもないのに震度1−3程度の振動がおきているとの事。市などが調べた結果、揺れた時間にドームでロックコンサートが開かれており、観客が曲にあわせて「タテノリジャンプ」することが原因とのこと。 もし、世界中の人が「タテノリジャンプ」したら、どのくらいの地震がおきるでしょうか・・・。 3 逆位相の音で車内ノイズ相殺 7月3日朝日新聞。この記事にこんな記述があります。「車内が大きな箱型になっているワゴン車は、低周波の騒音が発生しやすい。車内の長さが4mだと、40Hzの騒音が全部座席に発生する。」 なぜ40Hzなのか。 長さ4mの箱に生ずる定常波の基本音の振動数を計算してみると、波長が8m、振動数は42.5Hz(音速340m/s)。基本的な物理現象である、という説明でした。 その他、いくつかの話題を提供してくれました。 |
リバーサルミラー (奥谷さん) 2枚の鏡を直角にして張り合わせると、左右が逆転しない(?)リバーサルミラーができます。左手を出すと、鏡の中でも左手が出ます。この鏡の奥行きは、1枚の鏡の幅の約0.7倍になります。 ところが、通信販売のカタログにうんと薄いリバーサルミラーの製品が掲載されていました。これはどんな仕組みだろうという質問です。 いろいろ試みてみましたが、結論でず。単価5000円のこの商品を購入して分解してみるのが早いとの最終結論。誰が買うのか・・・・・。 |
ユーフォース (奥谷さん) タカラ社製のおもちゃです。下の写真のようなビニール製のUFOを下の送風機で風を送り浮かせるというもの。送風のモータにコントローラーがついていて、風を調整できるのがみそ。 原理は、下からの風でピンポン玉を浮かせる実験と同じです。 浮かせる物体をいろいろ工夫しました。安定して浮くには、回転させるといいのですが、右下の写真のような穴をあけると、回転せずに安定に浮きます。生徒の工夫だそうです。何でも試してみなければわからない事があるのですね。 |
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ばね定数を使う (前田さん) ばねに錘をつけて伸びをはかり、ばね定数を求める。というのは一般的ですが、それだけでは面白くないので、あわせてバットの重心を求めさせよう、という授業の試み。 バットの先端と手元でのばねの伸びを測定し、モーメントの計算で重心の位置とバットの重さを求めさせる。 ついでにバットを両手に載せて手を滑らせ、摩擦による重心の位置を求めさせ、先ほどの測定結果と比較させる。 これを1時間で生徒実験でやってしまう、とのこと。手際のよさもさることながら、生徒実験用にたくさんの廃品バットを集める手腕が高く評価されていました!?。 |
摩擦でも重心の位置が大体決まる。もちろん指でつりあう位置を求めてもOK。 |
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2002日中科学技術研修会参加報告 (山岡さん 堀田さん) 8月に中国長春で開かれた上記大会の参加報告です。 中国の学生が大変よく学習している、地方の行政も教育に大変力を注いでいるとのこと。右は会場の農安県実験中学。町で一番立派(!)な建物だったそうです。 北京の中学でも発表したそうです。下はそのときの写真。みんな真剣そうですね。 いろんな意味で、中国の学生たちの様子にショックを受けて返ってきたとの事です。日本では教科の内容削減、あちらの国は技術立国になるべく教育に力を注いでいる。このままいくと・・・・・・・。 |
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Xunの話 (山岡さん) 空気隗の音にのめりこんでいる山岡さん。中国で購入してきた古代楽器だそうです。上が「Xun」(土偏に員と書いてシュンと読むそうです)、下が陶哨。 写真のような形(マンゴー型?)の空洞容器にいくつかの穴があいています。上の口を吹いて音を出します。穴をあけたり閉じたりして音階を出します。 下の陶哨は、Xunに吹き口がついたもの。現在のオカリナと仕組みは同じですね。 下は演奏中の山岡さん。相変わらず演奏技術は今今一歩。 ところで、古代の中国の音階は今と一緒なのでしょうか。 ひょっとしたら、古代人は現代人と全く違う音階の音楽をきいていたかも・・・。 |
回ると動くトランプ (山岡さん) 回すと並び順が動いてしまうトランプ。1回転の作品はありましたが、これは2回転可能。厚みを気にしなければさらに回転可能数が増やせるとのこと。 秘密は、移動するカードについている渦上のガイド。外れにくくスムースに回ります。 清水さんが、もっと簡単にできる仕組みを披露。 早速作ってみると、2枚とびで順が移動するタイプですが、何度でも連続して回転できます。これはいい。 いろんな工夫ができるものですね。 |
並んだカードの1枚を回すと並び順が変わる。 |
ピンアート (加藤さん) 写真は、加藤さんが授業の最初に使っているピンアート。 デジタル量の話もこれを使うとわかりやすい・・・。 |
眼鏡屋さんとの話 (加藤さん) 眼鏡屋のおじさんと話す機会があり、眼鏡のことやレンズについて学んだそうです。 この話を元にした、ものの見え方のレポートを出してくれました。 写真は、めがねに加工する前のレンズ。回転すると像がゆがみます。使う人に合わせたこのようなレンズがたくさんあり、これをメガネの枠にあわせてカットして、私達が使うメガネをつくっているとの事でした。。 |