2003年11月29日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 圧倒的な火力でフセイン政権を葬ったアメリカですが、小火器で抵抗するイラクの勢力に
苦汁を飲まされ続けています。
 日本も自衛隊を出し、アメリカに協力することになりそうです。
 人の心に響かない科学技術がまかり通ってしまえば、科学は氷のような冷たい存在になって
しまいます。
 人の心を豊かにする(自然の本当の姿を知ることは、人の心を豊かにすると私達は考えてい
ます。)科学や人を生かすための技術を生徒たちに伝えるため、日々研鑚していきたいと思って
います。


等速運動でのペン落とし
(林さん)
 輪を取り去ると、瓶の中へペンが落ちるペン落としですが、等速度で動いていても可能か、というテーマに挑戦しました。
 装置を台車に載せ、少しだけ傾いた斜面で動かします。完全な等速度ではないですが、動いている状態で輪を抜くと見事に瓶の中へ入りました。
 慣性の法則が成立している確認実験になりそうです。

教室いっぱいの虹
(川田さん)
 ビーカーに水をいれ、OHPの装置において部屋を暗くすると、教室の壁や天井に見事な虹の輪ができます。
 下から光を当てるだけでなぜ虹ができるのか考えてみてください。(OHPのフレネルレンズの上であることがポイントです)

散乱
(川田さん)
 前回の例会での奥谷さんの発表では、テニスボールの容器をつないで溶液を入れていましたが、それを作ってみた川田さん、落として溶液がこぼれてしまったそうです。そこで、何も容器をつながなくても瓶1つでできるのではないか、と考え試してみたところ、十分散乱を確認できることを発見(?)しました。
 失敗から学ぶ。みんなの工夫で、教材はよりシンプルにより根源的に進化します。
 写真の写りはよくないですが、左の懐中電灯から離れるにしたがって赤くなっていくことがわかります。

LEDで光の3原色
(山田さん、川田さん、飯田さん)
 船橋さんの発案で始まったLEDを使っての光の混色は、山田さんの黒紙を使った筒へ進化しました。
  今日は紙筒をつかっての混色です。
 筒の位置を変えることで、赤緑青の光の明るさを変えられるので、筒を適当な位置にすると、美術の教科書などでよく見る光の混合の図を、まさに目の前で見ることができます。
 残念なことは、LEDの光はややむらがあり一様ではないことです。この点が改良の余地がありそうです。

 白色LEDの光を色セロファンを通すことで3原色の光源として使えないか、という声があがり早速作成開始。
 残念ながら光がかなり弱くなってしまいます。
 出力の大きいLEDも出回っています。究極の3原色装置までにはまだまだ工夫が要りそうです。

色セロファンを筒に貼り光源として使えないか試みました。

発泡スチロール球でマグナス効果
(伊藤政さん)
 発泡スチロール球を紙筒に入れ、エイャと筒を振ると、球が勢いよく飛び出し、曲線を描いて飛んでいきます。
 筒を縦に振れば、球はホップし、横に振ればスライダーのように曲がります。
 カーブもシュートも自由自在(誰でも名投手になれます)。

 どうして曲がるのか、という問いに、川田さんが明快な解説をしてくれました。
 右図の通りです。発泡スチロール球が回転することで起こるのですね。

 ピンポン玉ではどうか、という声がでて、実験開始。
 ピンポン玉でも進路が曲がることが確認できます。


共振振り子
(伊藤政さん)
 磁石を2つ反発する向きになるようにして振り子を作ります。
 片方を振らすともう片方も振れ出します。
 磁石を使った共振振り子です。
 
 振り子の支点をくっつけると、2つの磁石は衝突球のような動きをします。(速度交換が起こっているように見えます)
 このときの磁石同士は弾性衝突といえるだろうかという声が出て議論になりました。
 
 振り子の支点を離すとエネルギーの伝達に数回の振動が必要です。しかも振動の位相がずれます。支点を近づけると位相のずれが変化するのだといえそうです。やはり強制振動による共振と見るのがよさそうです。
 









スピードガン
(奥谷さん)
 備品として購入したスピードガンを紹介してくれました。
 スイッチを入れたままにしておくと、動いたものの速度を示してくれます。手でもピンポン玉でも速度を測れます。
 
 いったい何を使って測っているのでしょう。
 超音波ではないか、ということで、超音波から可聴音への変換器で試してみましたが、何も聞こえません。
 赤外線では、ということでデジカメで覗きましたが何も写らず。
 電波?
 でもピンポン玉は電波を反射しないのでは?
 ・・・・・・・・・・
 
 購入時の説明書には何も書いていないとの事。
 もう分解するしかないか・・・・。
 (備品だから10年ぐらい後の廃棄後にしましょう)


 モーターを直列につないだら
(奥谷さん)
 2001年9月22日(土)惟信高校での例会で、三重の川上さんが出した電気回路の問題の応用です。右図の回路のX、Yをつなぐと豆電球はどうなるでしょう?というものでした。

 この豆球の替わりにモータを使います。

 さて、3つのモータを直列にして電池につなぐとどうなるとおもいますか。
 簡単な実験ですからぜひ試みてください。
 (1つののモータを手で止めておいて、電池をつないでから手を離す。どうなりますか。2つののモータを手で止めておいて、電池をつないでから手を離す。どうなりますか。)
 ほんの些細な性能の違いが浮き彫りになってきます。

 また、右図のように配線して電池をつなぐと、モータはどうなるとおもいますか。これもぜひ試みてください。
   
 



これは解答のひとつです。


川田さんの理論解説です。モーターが回転すると逆起電力を発生します。他のモーターには電圧がかからなくなります。そのため・・・・・

5分で作れる真空ポンプ
(船橋さん)
 神奈川の鈴木さんが理科教室11月号に書いた記事を元に簡単真空ポンプを作りました。
 使い捨て注射器50mlに小さな穴をあけビニールテープで穴をふさぎます。吸出口にも内側からテープを貼ります。(このテープが弁になります。すごいアイデア!)
 ピストンを出し入れすることで吸出口から空気が入りあけた穴からでていきます。パイプをつなげば真空ポンプです!
 
 これで容器から空気を抜くと、容器の中の風船が膨らむことがわかります。
 
 サランラップで蓋をした容器から空気を抜いていきます。どうなるとおもいますか。
 
 サランラップはどんどん凹んでいき、ついには大きな音を出して破れてしまいます。ゆっくりゆっくり凹んでいくので怖さ(?)が増します。

 参考:サランラップ以外ではうまく破れないようです。伸びきってしまうだけだとか。
 意外なところで材質の違いが出るものですね。

サランラップがへこんでいきます。

 パーンと音を立ててサランラップが破れました。

真空ポンプ2
(清水さん)
 清水さんも舟橋さんと同じような実験を用意していました。こちらは、100円ショップの吸排気ポンプを使っています。容器も端がサランラップと密着するよう出っ張りがあるものを使っています。
 やはり大きな音でラップが破れます。

 いろんな人の工夫が寄せ集まってよい教材ができていきます。
 
 

何でも真空弁と風船ポンプ
(児島さん)
 岐阜物理サークルの<風船用ポンプを真空ポンプに改造!(土肥)>のページを見て考え付いたマグデブルグ半球の実験です。
 半球に穴をあけスーパーの袋を切って穴をふさぎ、テープで止めます。これで立派な弁が出来上がり。風船ポンプをそのまま上に置くことで排気できます。
 ポンプの底がへこんでいないもの(平たいもの)は輪ゴムを弁の上においてから排気します。

 風船ポンプは100円ショップで売っているものです。100円ショップは本当に実験材料の宝庫ですね。


 濡れた新聞紙をパッキンがわりに使います。


空気を抜くと容易には取れません。これなら簡単に実験できますね。

バイク音発生器
(船橋さん)
 伊東家の食卓で放映されたものです。
 ゴム風船の中にさいころを入れて膨らまし、口を結びます。
 風船を回すと、バイクのエンジン音のような音がします。

 演劇などの擬音の担当者は、こういう工夫をして音を作っていたのでしょうね。

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