2005年9月24日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 9月中旬、2003年5月に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」が、小惑星「イトカワ」に接近しました。11月上旬にこの小惑星に着地して、岩石の一部を採取し、2007年6月に地球に持ち帰る予定だそうです。成功すれば、NASAの探査機ディープインパクトが、テンペル第1彗星に子機を打ち込んだ成果に勝るとも劣らない成果だと思います。
 数年先の行動を予定し、そのための仕組みを準備し、確実に実行させる、まさに科学と技術の大いなる成果です。

 教育の分野も、未来の社会を思い、その社会に必要と思われる知識と技術を次世代に確実に伝えていかなければなりません。そういう視点から現状を眺めると、残念ながら満足できる状態とはいえそうにありません。
 必要な知識を絞り、それを確実に伝えるための方法を考え、確実に習得させる、という教育科学と教育技術をしっかり打ち立てる必要があるように思われます。

 私たちも、どんな実験や演示が、自然の理解に効果的かを研究し続けていきたいとおもいます。


圧力計その後
(林 正さん)
 前々回の例会で発表した圧力計の更なる応用です。
 0.1気圧の変化の測定が可能なセンサーを取り付けることで、微小な圧力変化を測定できるようになりました。
 回路は前と同じです。センサーを取り替えるだけで様々な測定が可能になっています。

 今回は、メタノールの蒸気圧が、他の不揮発性物質が混ざると減少することを確認する実験です。(ラウールの法則)

 メタノールだけのときの蒸気圧をはかり、この中に1−ブタノールをいれて圧力の変化を測ります。0.04気圧程度下がったことを確認できました。

 黒い部分が圧力センサー

 メタノールの蒸気圧を起点に変化を測ります。

動物当て
(船橋さん)
 最初に親カードの15の動物から好きな動物を選んでもらいます。
 続いて、いくつかの動物だけが書いてある子カードを見せて、選んだ動物がその中にいるかどうか聞いていきます。
 4枚の子カードを見てもらって選んだ動物を当てます。
 子供は喜びますよ。

 中高校生にはなぜ当たるのかを考えさせましょう。
 
 原理が似ているものに、トランプのカードの順番を自動的にそろえる、という仕組みがあります。
 トランプの上に穴と切り口があります。もちろんカードごとに穴と切り口の構成が違います。でたらめにきった13枚のカードに棒を差し込み、上に抜き出して重ねることを4回繰り返すと、必ずトランプは1〜Kの順に並びます。
 
 昔、生徒の成績カードを番号順に並べる方法として使っていたことがありますね・・・・・(古すぎるかな???)
 
 
 児島さんのホームページに、このゲームについての関連情報を記載しています。アドレスは以下の通りです。      
      http://www.babu.jp/~kojima/jouhou/index.htm     

紙スプーン曲げ
(船橋さん)
 ハトロン紙にスプーンを印刷。平らな紙を手のひらに載せると、アーラ不思議スプーンが曲がります。
 どうして曲がるのでしょう・・・・

おもちゃ
(船橋さん)
 フィルムケース2つをつないで写真のような図柄の紙を貼ります。片端を指で回転させるように力を加えると、回りだします。
 何と中心に地球が、その周りに月が見えるではありませんか。
 面白いですね。
 
 このおもちゃの名称、知りませんか?

へロンの噴水
(鈴木さん)
 札幌の科教協の大会で入手した、ペットボトル6本で作るヘロンの噴水。北海道の佐藤宏さんの作です。
 右のように置くと噴水が噴出して上の水車が回ります。 止まったら、さかさまにします。なんと底にも水車があり、同じように回ります。
 リバーシブルなヘロンの噴水です。

 何度でも続けて見られるのが素晴らしい工夫ですね。

 

インドの楽器
(川田さん)
 インドの大会に参加した折、購入したインドの楽器。一弦琴です。
 これを改良(?)して、弦の張力を変えて音程を変える様にしてしまいました。
 発表中、力を入れすぎて弦が切れてしまいました・・・

 でも、弦の張力を変えて音程を変える楽器はあまり見ないですね。

新単極モーター
(川田さん)
 中国の韓先生のアイデアのよる新しいタイプの単極モーターの紹介です。
  写真のように、磁石は固定し金属輪が回るというものです。クルクルとよく回ります。

 いままでは磁石が回るタイプばかり考えていましたが、発想を転換すると面白いものができますね。
  

ホイヘンスの原理説明器
(川田さん)
 斜面に包装用のビニールを置き、車輪を転がしてやります。摩擦により、車輪は進路をまげて進んでいきます。

 目で見るホイへンスの原理です。

 レンズ型に切ったビニールで、光の進路が説明できます。

 ただ、車輪がビニールの端にぶつかって進路を曲げているのでは、という声もあり・・・・・







モーメントの説明
(飯田さん)
 プーリーをとおして4の重さの錘を吊り下げた板を、1の重さの錘でつりあわせるにはどうするか、というモーメントの問題を実物で演示できるようにしたものです。

 1の重さの錘の位置によって板の傾きは変わります。傾きが変わっても、左回りのモーメントは、腕の長さが一定になるので同じになります。
 プーリーを使っているので、板が傾いても右回りのモーメントは一定。

 モーメントを教えるのに、力を分解して、腕に直角方向の力の成分が回転を生む、と説明する方法と、力に腕の長さ(これが理解しにくい)をかけたものだと教える方法がありますが、この演示は、後者の方法の説明に使えそうですね。
 腕相撲に勝つ方法の一つに、合図と共に手首を曲げてしまうという方法があります。
 曲げられた方は力を出しても、力が上向きなのでモーメントは小さいというわけです。

手作りばね
(飯田さん)
 エコーマイクなどの作成にばねは欠かせないものですが、これを針金で作ってしまいました。
 0.4mmから0.5mmの普通の針金を鉛筆などに硬く巻くことで、十分実用になるものがつくれます。なんといっても長さが自由になるのがいいですね。
 弾性限界は小さいですが、エコーマイクのような長さが固定されるものなら完全にOKです。

 焼入れなどをすればもっと上質のばねができるかもしれませんね。

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