2006年12月10日(日)愛知工業高校での例会の記録です。
全国の高校で履修不足の問題が持ち上がりました。必修単位を履修せず、代わりに受験に係わる科目の授業を行っていたというものです。授業後や土曜日の補習で補うようですが、この時期になっての補習は、3年生の生徒諸君には時間的に厳しいものがあります。 履修不足とは異なりますが、高校理科において、地学の授業を行っている学校は非常に少なく、受験に有利な(?)物理・生物・化学のなかでの選択をしている学校が大多数です。 受験のことを考えれば、少ない科目に時間を集中させた方が効果的かもしれません。しかし、若いうちに、必要な科目、必要ではない科目に区分けして学習するのは、生徒の将来を考えると、いい方策だとは思えません。日本国内の受験競争には勝てるかもしれませんが、世界の若者達と肩を並べる知識を得る機会を失っている、ともいえるわけです。 未来社会の主人公である生徒達に、何をどう教えていくかということを考え抜いて実践することは、私達に課せられた責務だと思います。 |
おもりを固定した棒Aが、支点の上で水平に釣り合います。 おもりを糸でつるした棒Bも支点の上で水平に釣り合います。 さて、これらの棒を少し傾けて手を離すとどうなるでしょう。 ↓支点部分 Aは重心が支点より下にあるので、ヤジロベエのように元に戻ります。 Bはそのまま傾いていって倒れてしまいます。 なぜだか説明できますか。? |
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傾けた状態で手を離す。 |
Bが傾きを増す理由を説明する飯田さん |
偏光板を使って通り抜けることのできる壁を作ることができるのはよく知られています。 今回は、安価な釣用めがね(偏光板でできています)を使って壁だけではなく、作成用のセロテープの色まで観察しようという目論見。 めがねを通してみると、テープが色づいて見えます。 壁(偏光)とテープの色(旋光)は別々に観察した方がいいという意見も・・・・。 |
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石鹸の働きを、ラウリン酸ナトリウムの分子模型で説明してくれました。 分子内に水になじみやすい部分(親水基)と水になじみにくい部分(疎水基)があり、疎水基が汚れ部分に付き、汚れを取り囲みます。 全体が取り囲まれると、外側が親水基なので、水に溶け込みやすくなる、というわけです。 紙の上の式だけより、こういう模型で説明された方が、何となくわかりやすく感じます。 準備は大変ですが、生徒の理解に資するものになりますね。 |
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ラウリン酸ナトリウムの疎水基が汚れに付く。 |
ラウリン酸ナトリウムをピンクのボールで表しています。 |
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汚れが分子に取り囲まれた状態。 |
重曹(炭酸水素ナトリウム)にポッカレモンをたらすと、ポッカレモン中のクエン酸と反応して二酸化炭素の泡が出ます。 実はこの反応、吸熱反応です。 手のひらでこの反応をさせると、ほんのり冷たく感じます。 (感じなかった人もいましたが・・・・) 食べ物に使う物質ですから危険はないですね。 船橋さんは、さらに砂糖を混ぜて、食べてしまいました。濃いラムネというわけです。 まさに体で感じる化学反応(吸熱反応)といえますね。 |
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重曹にポッカレモンをかけます。 |
二酸化炭素の泡がでます。ほんのり冷たい。 |
高電場の中にアルコールランプの炎をおいたらどうなるでしょうか。 電場がないときは、炎はほぼ垂直。 電場(90kV/m)をかけると、炎は負極に傾く。 このとき電流計の読みは数mA。 ガラス板を電極に接するように挿入すると炎は垂直に戻る。このとき電流計は0。 ろうそくの炎でも同じです。 この一連の出来事の説明がつきますか? 下の写真のように炎の一部が正極側にふくらんでいるようにも見えます。これも説明できなくてはなりません。 炎の傾きは、炎の中の陽イオンの分布が負極側に偏るせいであろうということに意見に一致を見ました。(正極がわにふくらむのは?) ガラス板を入れることによる結果については, ガラス中の誘電分極、ガラスの表面への電荷の付着、など意見が出ましたが、決定打にはならず。 さらなる実験が必要なようです。 |
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高圧をかけると炎は負極側に傾く。 |
ガラス板を入れると炎は垂直になる。 |
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<参考> http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2004_02_14/newpage3.htm 電場中の炎(山岡さん) |
物質の磁性を表す磁化率(χ)の測定には、強力な電磁石と精密な磁気天秤がいると思っていました。あるとき、1mg,0.1mgを測れる電子天秤を使えば簡単に磁化率χを測れるのでは、と思いつきました。図のような装置を組み、いろいろな試料を置いて、磁石を近づけたときの目盛りの変化を読みます。 強磁性体は、磁石から強い引力を受け目盛りが減少します。(これをこの装置で試すと大変なことになるのでやりません) 常磁性体は弱い引力を受け目盛りがほんの少し減少します。 反磁性体は逆に目盛りがわずかに増加するというわけです。 右が直径5cmの強力ネオジム磁石 木材部分は回転します。 |
黒鉛は反磁性体 |
アルミは常磁性体 |
銅は反磁性体 |
試料の大きさをそろえないと、磁化率の相対的な大きさは比較できないのでは、という声あり。磁石と試料の距離も試料の大きさで変動します。 この装置では、定量的な比較は難しいだろうという結論になりました。 しかし、常磁性と反磁性を目に見える形で示すことができます。試料の大きさをそろえれば、相対的な大きさも比較できます。手持ちの道具で物質のいろいろな性質を測ることができる、ということを実感するのは大事なことですね。 |
ラザフォードの実験に金箔が使われています。金箔に触れる機会があっても(最近食べたり飲んだりもします・・・)、覗く機会はあまりないので、生徒に覗かせようと、アクリル板にはさんだ金箔板(?)を作りました。 ところが写真の通り、見るも恥ずかしい作品・・・・。息で吹き飛び、静電気でアクリル板にくっつき、しわを伸ばそうとすればちぎれる・・・。金箔を扱うのは難しい。 ところが同僚の先生の手にかかれば見事な平面に!。技量の差をまざまざと感じさせられました |
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金箔を扱うときは息を止め静電気に注意! |
技量の差は埋めがたい・・・・・ |
金箔を通して外を見ると、景色が緑っぽくすけて見えます。緑色レーザー光を当てるとかなり透過します。赤色レーザー光はほんの少し透過します。 そこで白色光をあてると、写真のようになります。 金色というのは、白色光から写真の色を除いた色なのですね。 |
太陽の日周運動でどんな影ができるかを見る装置です。 年周運動による太陽高度の変化も可能です。 夏至の日の影の軌跡は北に凸になります。 冬至の日は南に凸になります。 春分の日、秋分の日はどうでしょう。 軌跡が直線になります。面白いですね。 直感的には明らかではないと思えますが・・。 影の軌跡が直線になる日。 太陽が真東から昇り真西に沈む日。 昼と夜が同じ長さの日。 これらが同じ日だと理解できれば楽しくなりますね。 |
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赤が冬至、緑が夏至、青が春分秋分です。 |
黄道(太陽の通り道)が前後(南北)に移動することで 年周運動を表せます。 |
生徒を授業に引き付けるにはクイズがよい、ということで電気についてのクイズを考えました。名づけてクイズ「デンキショック」。 Q1:豆電球は点灯する? これは誰も点灯するとは考えないでしょう。 実際にやっても点灯しません。 ここで点灯しない理由を、電位で説明します。つまり負極は0V、正極は1.5V、同じ電位の所を結んでも電流は流れない・・。・ |
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次に、Q2を出します。 今度は4.5Vと1.5Vの高さをつないだのだから、高さの差があるから電流が流れ豆電球は点灯するでしょう。 では、0Vと0Vの間に豆電球を入れたら点灯するでしょうか? 高さの差がないから点灯しない!、と答えそうになります。 実際やると両方点灯しますね。 さて、説明のどこが変なのでしょう・・・・。 |
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