2008年2月23日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 例年、年初の例会では外部講師による講演をお願いしていましたが、昨年に2度講演を行ったこともあり、今年は 講演をお休みして、通常の例会を行うことになりました。

 文部科学省が2月15日、小中学校の学習指導要領改定案を公表しました。国語、算数・数学、理科、社会、英語と体育の授業時間を約1割増やしたほか、内容も理科・数学を中心に増やしました。ゆとり教育による学力低下批判を強く意識したのでしょう。
 文科省は09年度から算数・数学と理科を先行実施し、授業時間と学習内容を増やす方針のようです。

 毎回の改定で言えることは、それまでの指導要領の実施についての効果の検証がなされていないことです。何が問題点で、それをどう克服しようとするのかの分析がないのです。定例行事のように10年ごとに改定するようなことでは日本の教育がよくなるはずもありません。

 理科教育に絞れば、どんな内容(概念)をどのような順でどのぐらいの深みで教えていくのかの比較検討が必要不可欠です。現場にいる私たちに、そのような研究結果が示されることは残念ながら極々まれです。
 効果のある指導案なら改定する必要はないのです。

 物理サークルでは、生徒の自然科学の理解に効果的な教材を研究してきました。生徒の反応が教材の効果を示します。生徒の歓声が沸き起こるような教材の開発を、これからも続けていきたいと考えています。

 自作シグナルジェネレーター (田中さん  
 
 自作のシグナルジェネレーターと表示装置を紹介してくれました。

 テンキーで発振周波数をダイレクトに入力もでき、VRで周波数の増減もできるすぐれものです。

 この装置を2台使用してうなりを発生させます。正確に1秒間に2回うなります。

 
 超音波を発生させます。2台の出力を1つのスピーカーに入れると440Hzのうなり音が聞こえてきます。

 うなり音を439Hzにして440Hzの音さを鳴らすと1Hzのうなりを確認できます。

 周波数が高くなっても正確です。
 周波数信号は26ビットで、16MHz程度まで正確な発振ができるそうです。
 可聴音どうしなら空気中でうなりの音が聞けるかも・・・

 右の写真のように19、563Hz と20、000Hzでは残念ながら聞こえませんでした。

 2音の周波数を低くしていくと、聞こえるという人が出てきました。かすかですが・・・・・。


 デジミン (田中さん  
 テルミンをデジタル化して安定な音階を出せるようにしたデジミン(デジタルテルミン)の試作機です。
 雑誌「エレキジャックNo4」の記事を基に改良を加えました。

 ビール缶と手との間の静電容量の変化を感知して、手の位置によって音階をきめ、その振動数の信号を発振するというものです。小さいとはいえPICをつかっていますので、小型コンピュータといえます。

 テルミンは一定の音を出すだけでも訓練がいりますが、これは安定した音を出してくれます。

 テルミンのように振動数がゆらぐ方が面白いのでは、という声もありました。
 

 へロンのタービン (臼井さん  
 ヘロンの蒸気タービンです。水を多めにいれても大丈夫なように、回転部分に釣具のサルカンをつかっています。
 固形アルコール燃料に点火、しばらくすると缶が軽快に回りだします。
 

 錯視ドラゴン (臼井さん  
 前を横切ると、顔を回して自分を見つめ続けるように見える「ドラゴン」です。
 両目でみると、そんなにはっきりと顔を回すようには見えませんが、片目で見たり、ビデオカメラを通してみると、確かに顔をまわすように見えます。
 面白いですね。



<参考>
 http://www.catvy.ne.jp/~sig/experiments/exp_04_1.html
 ここで型紙をダウンロードできます。

 フライングディスク (臼井さん  

 回転プロペラを持ち、内臓充電池で飛ぶおもちゃです。

 おもちゃですが、右のようなコントローラーつきで、1回の充電でかなり飛ばせることができます。

 熟練すると、ホバリングもできます。
 天井へぶつけるのは誰でもできます。
 プロペラと外側の容器が双方逆回転プロペラになっているようで、約55gの本体を軽々浮かせます。

 物理サークルです。
 箱の中で飛ばしたら、その重さは・・・・の声。

 早速実験です。
 電子はかりの上に置き、飛び上がるときの目盛りを読みます。  浮きあがる際20gぐらい増えます。

 今度は密閉容器内で飛ばしてみました。
 狭い中でうまく飛びませんが、浮いてもはかりの目盛りは変化なし。

 おもちゃも使いようですね。

 テスラ城の奇跡 (杉本さん  
 新しいアドベンチャーブック「テスラ城の奇跡」です。
 出題される質問の答えにより違うページにジャンプします。正解を続けないと最後のページまでいけません。
 交流について確かな知識がないと、全部読破できないようになっています。
 1枚のB4用紙を折って、ホッチキスで綴じて、端を切って作ります。

 次は奥村さんの漫画で読む「すてきな物理の世界−熱力学第二法則への招待」です。
 これも1枚のB4用紙を折って、切って作ります。
 物理が苦手な子も漫画は読む・・・・・・?!

 除夜の鐘は四葉のクローバーコイルで (石川さん  
 岐阜の石川さんが参加してくれました。

 缶をたたいて除夜の鐘風の音を聞く取り組みです。
 厚手のスチール缶を写真のようにボルトで固定し側面をたたきます。このときの缶の振動は下図のような2種類になります。
(A)直径そのものが変化する振動
(B)缶の間口が波打つように振動

 Aの振動を電磁的に拾うには、缶の直径と同じ大きさのコイルを50回ほどまいてフェライト磁石に貼り付ければ可能です。コイルの出力をアンプに入れてやります。
 やってみると振動数が高めのカンという金属音が得られます。

 円形コイルではBの振動を拾えません。
 そこで4分の1周ごとに巻く向きが変わるクローバー型のコイルを考えました。
 
 Bのような振動を円形コイルで拾えないわけは、缶が右図の点線のように変形した場合、コイルの中に入る磁束と外に出る磁束が相殺するからです。

 クローバーコイルでBの振動を拾うと150Hzぐらいの正弦波に近い純音が得られました。たたく場所によってはゆっくりとしたうなりも聞こえます。

 振動の型に応じた検出器を使う必要があるのですね。

 家で鐘の音を聞きたい方はぜひ作ってみてください。
 説明する石川さん

 共鳴でろうそくを消せる?−その2 奥谷さん  

 前回の例会で、共鳴でろうそくを消すことに挑戦しましたが、残念ながらうまくいきませんでした。
 その後の奥谷さんの追求の結果、きちんと共鳴点を探れば、ろうそくの炎を消せることが確認できました。 

 メスシリンダー内の気柱の振動数と音さの振動数は一致していません。もちろん炎は消えません。

 メスシリンダーに水を入れて高さを調整します。
  

 今度は気柱の振動数と音さの振動数は一致しています。
 音さをたたくと共鳴音が聞こえる状態です。
 ここで炎をつけて音さをたたくと・・・

   見事に炎が消えました。!
    
    
 この状態で振動数の異なる音さをたたいても炎は消えません。 当然ですね。

 気柱の共鳴による空気の動きで炎が消えるなら、共鳴箱をはずして音さだけでも消せるはずだという意見が出ました。

 早速実行。
 
 まずは音さだけでは炎は消えないことを確認。
 次にろうそくをメスシリンダーの端にかけて、たたいた音さを近づけます。
 今度は波源の振幅が小さいので、共鳴をさらにきっちり取る必要があります。水の出し入れで高さを微調整すると消すことができました。
 
 うまく消すには、きちっと共鳴させることが最重要ですが、ろうそくの炎の位置なども関係しているようです。
 
 音さとメスシリンダーで定常波を作っても消せるはず、ということでやってみましたが、今度はうまくいきませんでした。
 時間の関係で、今回はここまでとなりました。

 音さの共鳴箱を固定して位置合わせをきちんとすれば可能かもしれません。
 

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