2008年2月23日(土)例会の記録の第2ページです


 音反動車 (石川さん  
 スピーカーを2個、反対向きに組み込んだ木箱を、中心の軸で回転できるようにしてあります。

 厚紙で作った円筒をスピーカーにかぶせ、円筒内の空気が共振する振動数の音を出すと、何と木箱が回りだしました。

 どうしてでしょう。
 円筒の口に手を当ててみると、中から空気が吹き出ています。これが推力になっていると思われますが、押し出される空気は、どこから来たのでしょう。

 共振していないときは、この空気の出がゆるやかで木箱を回すほどの推力が出ないものと考えられます。 
 線香の煙で空気の吸い込みを調べてみましたが、はっきりしません。
 ペットボトルでつくった同様な装置があります。
 これをスピーカーのうえに置いて、共振する振動数の音を出すと、やはり回りだします。
 ボトルの中に線香の煙を入れ、内部の空気がどう動くかを見てみると、内部に外から空気が流入していることが見えました。

 容器内への空気の流入は全方向から、流出は一方向へ、この差が容器への力積を生み出すと考えられますが、定量的な扱いははっきりしていません。
 ぽんぽん船が水の出入りにより推力を得ているのと同じではないか、という声も出ました。

 複雑な構造など何もないのに、動きを説明するのが簡単ではないのは何か落ち着かない感じが残りますね。

 周期表つきマグカップ (伊賀さん  

 アメリカで入手した周期表が印刷されたマグカップです。

 このマグカップについている周期表では、水銀と臭素以外に、ガリウム、セシウム、フランシウムも液体となっています。(黒字=固体、青字=液体、赤字=気体)

 ちなみに、融点は臭素=3.1度、水銀=13.6度、ガリウム=29.8度、セシウム=28.5度、フランシウム=27度となっています。

 生徒に持たせれば、周期表の記憶が促進されるかも・・・・。

 

 液晶の模型 (伊賀さん  
 前回の例会で偏光板が話題になりました。そこで、液晶の見え方を理解するための模型を作成しました。

 まずは液晶で透明になったり不透明になったりする現象を確認。
 液晶へ電圧がかかると、液晶分子の並びが変わり、電圧がかかっていないときと比べて偏光が90度変化します。
 このため、スケルトンの液晶表示器の前に偏光板をおくと、偏光板の向きにより、透明、不透明が逆転します。

 セロテープを偏光板で挟むと着色する理由 (伊賀さん  
 偏光板の間にセロテープをはさむと色がでますが、どうしてそうなるのかを詳しく調べて説明してくれました。

 偏光板の間にセロテープをいれ回転させると、45度ごとに色が変化します。また、重ねる枚数による厚みを変えても色が変わります。

 セロテープの旋光性で説明しようとしても、セロテープの厚さでは旋光角が小さすぎるので色変わりを説明できません。

 セロテープは光学異方体で、縦横の二方向で屈折率が異なる複屈折をすると考えることで先の現象を無理なく説明できます。

 模型まで用意して丁寧に説明してくれましたが、一度聞いてもなかなかすんなり理解できない・・・・。

 パスカル電線の紹介 (伊賀さん  
 パスカル電線って何?
 聞いたときは物理学者のパスカルに関係したものかと思いましたが、聞いてみると「パスカル」という名のサークルで開発した電線ということだそうです。

 何本かの単線を束ねた線をループにして、単線を1つずつずらして結合させています。
 単線に電流を流すことで、線は10倍の電流を流した効果が得られます。(線一巻きで単線10巻きの効果があるともいえます)

 方位磁針を使って電流の磁場の存在や方向を確認するには適した線ですね。

 ガウス加速器 (林 煕さん  
 
 等質量の物体の弾性衝突では速度が交換されます。
 磁石を利用することで、衝突前の鉄球の速度より大きな速度で鉄球が飛び出させることができます。

 このガウス加速器は磁石の磁場による位置エネルギーの差を利用して鉄球を加速するものです。
 理科教材の会社から市販されています。
 直径25mmの鉄球と磁石です。大きいと迫力がありますね。
 左のやや黒いほうが磁石(フェライト磁石)、右が鉄球です。

 鉄球、鉄球、磁石を静止させておき、鉄球1つを衝突させてやります。 1つの鉄球が反対側から飛び出します。
 ビースピーで衝突前後の速度を計ると、約2.5倍の速さで飛び出ていることがわかりました。→
 ← 鉄球と磁石のセットを衝突させると、どうなるとおもいますか。

 回る種子のなぞ (伊藤さん  
 向陽高校の科学部が行った、翼を持つ種(翼果)の研究成果を説明してくれました。
 写真は左からハナノキ、トウカエデ、ヒマラヤスギの種です。

 これらの種の翼の面積、質量、落下速度、回転数、重心からの長さ、回転時の角度などを調べ、相互の関係を調べました。
 羽根を細くしていったら諸量はどうなるか。 
 一例をあげると、ハナノキを1mmずつ細くはさみで切っていき、飛び方を比較したグラフが下図です。回転数は種子の幅にあまり影響されません。                                                                                                                   
 風洞装置にも進化があります。

 空気流の整流用に使っていたストローを、もっと細いタンブラー用のストローに変えました。種子の飛行が安定化しました。

 吊橋の曲線 (川田さん  
 等密度の紐をたらすと懸垂線を描きます。

 では等間隔に鉛直方向下向きの力(写真の木片の荷重)が加わったとき、紐はどんな曲線を描くでしょうか。

 放物線を描きます。
 実際の吊橋も」そうなんでしょうか・・・。

 LEDでプランク定数を測る (川田さん  

 茨城の根本さん方式に基く測定です。
 
 色違いのLEDに5μAの電流が流れるときの電圧を測ります。  横軸に光の波長、縦軸にエネルギーをとり各LEDの実測値を入れ、直線の傾きを求めるとプランク定数が得られます。
λ[m] V[V]
0.64×10-6 1.53
0.52×10-6 2.15
0.46×10-6 2.32



  データから得られた値は  5.4×10-34J・s
   
原理 
 電源電圧を変化させてLED点灯火時の電圧を測定

     eV=hν=hc/λ

      e:電子の電荷
      h:プランク定数
      c:光速度
      λ:波長


 管楽器 (川田さん  
 管や棒をたたいたときの振動は、振動数fと長さLの間に

 f ∝ L-2 

 の関係があります。
 音階の振動数になるようにLを決めていけば立派な楽器ができます。
 ただし、きった管を吊るすとき、管の端を吊るすのはうまい方法ではありません。
 この横振動の節は、端から0.23Lの距離にできるからです。

 振動の腹を持ってたたいては、うまく鳴りません。

 
 演奏の技量は楽器の物理の理解と無関係です・・・・。
 
 

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