2009年2月14日の例会の記録の第2ページです
弦の倍振動 (石川さん) |
金属弦の下に磁石を置いて弦を振動させると、弦の両端に電磁誘導による電圧が生じます。これをアンプに入力すると、弦の振動を聞くことができます。 エレキギターの原理ですね。 では、弦の下に3つの磁石を置いたらどうなるでしょう。 3つが同極のとき聞こえる音は、1つのときと同じ弦の基本振動ですが、真ん中を異極にすると、何とアンプから出る音は3倍振動になります。 正確に言うと、3倍振動を大きく拾うということです。 基本振動による誘導起電力は、中央と両端で逆向きになり打ち消しあうのですね。 |
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弦を弾いたときの振動は、基本振動と倍振動が混ざったものであることは、振動波形(音色)から頭では理解していましたが、この実験は倍振動の存在を直接確認できることを示してくれました。 やさしくて本質的な実験ですね。 石川さんのアイデアに一同感心しきりでした。 ところで、倍振動を聞くには、磁石をどう配置したらよいかわかりますか? |
缶でも同様なことができます。 クローバー型コイルと6つ葉型コイルを磁石のうえで重ねます。出力端子を選ぶことで、固有振動のうち特定のモードの振動を拾うことができます。 カーンという甲高い音から除夜の鐘の響きまで、小さな缶で聞くことができます。 |
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<参考>http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2008_02_23/newpage.htm 除夜の鐘は四葉のクローバーコイルで | |
強制振動・共振 (石川さん) |
昔(?)のターンテーブルのピックアップ風の形をした装置です。 回転軸は太陽電池モーターにつながっています。先端にはLEDがあり、モーターと並列につながっています。棒はばねにつながれています。 モーターに低周波交流を流すと、モーターが振動し、棒も振動します。 交流の振動数がばねの固有振動数に近づくと、大きな振動になります。 これを超えると、また振幅が小さくなります。 |
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この変化で、LEDはどんな光り方をするでしょうか。 共振の前後でLEDが光る側が入れ替わります。 棒に加わる外力(モーターの回転)と棒の振動の位相のずれが共振振動数を境に反対になることによります。 共振振動数でLEDの光る側が移動する様子は、光の尾を引く蛍の動きのようで美しいですよ。 |
振動中心の右側で光っています。 |
キラーパルス (川田さん) |
大きな地震でも建物の倒壊が多かったり少なかったりがあります。木造家屋を押し倒すのは周期1から2秒の「キラーパルス」と呼ばれる振動です。 これを理解するための模型を作りました。 長さの異なるプラスチック棒の先に錘がつけてあります。土台の木(地面)を適当な周期で振動させると、棒は揺れだします。 振動周期によって揺れる棒が異なっています。共振現象ですね。 でも、実際の地震ではどんな周期の波が来るかわからないので、固有振動対策はとりようがないですね。やはり建物の耐震強度を高めるのが良策ですね。 |
可聴音の干渉 (川田さん) |
可聴音での干渉を聞くための装置をつくりました。 クリスタルイヤホンを等間隔に並べます。これに 低周波発信機の出力をいれます。 3.4KHz クリスタルイヤホンで聞こえるだろうかという声もありましたが、やってみると結構大きな音が聞こえました。 音源を回転させると、角度による強弱がはっきりわかります。 小さな波源になっているのがクリアーな結果につながっているのでしょうね。 |
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平面での干渉 (川田さん) |
水面波の干渉の理解を進めるための実験のアイデアを披露してくれました。 長いばねを「く」の字型にして、中央(P点)にゴムひもをつけ引っ張ります。 手元の棒を上下に振動させ連続波を送ると、P点は大きく振動する腹になります。 2つの同位相の波源からの干渉の例になります。 棒をねじるように回転させると、P点は節になります。 2つの逆位相の波源からの干渉ですね。 理解しにくい平面の干渉をわかりやすくする教材ですね。 |
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同位相の波の干渉 |
逆位相の波の干渉 |
ジュール熱最小の原理 (田中 真史さん) |
写真の直流回路で、I0 が一定の元での I1、I2 を求め方について新たな見方を示してくれました。 よく使うのは抵抗値R1、R2の逆比になるという考え方です。 これは、2つの抵抗で発生するジュール熱の和が最小になるという見方で解ける、という ものです。 黒板で証明してくれました。 同じ現象をいろいろな見方で理解することは、自然現象の深い理解につながりますね。 |
振動モーター安価版 (飯田さん) |
100円ショップの電動字消しとデッキブラシを使った振動モーターです。 消しゴムも無駄にしません。スイッチの役目をちゃんと果たします。 モーターの先にゴムチューブをつけます。 200円+ゴムチューブ代で走るブラシの完成です。 どうして ブラシが進むのかを考えさせれば、立派な教材です。 走らせて見ると、ブラシは右にカーブしていきます。まっすぐ進むようにさせるのはなかなか難しい。小学生には、まっすぐ走らせるための工夫を求めてみるのもいいかもしれません。 |
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同じ振動ですが、超音波振動装置です。(黒い部分が振動します) スイッチを入れても何も変化は見えませんが、缶を載せると回りだします。これも振動モーターですね。 この装置をひっくり返して机に置くと走り出します。 |
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ミリカンの実験を理解しよう (奥村さん) |
見えない電子の電荷を測るミリカンの実験は、生徒が理解しにくいものの一つです。これをわかり易くするための問題を考えました。 箱の中にいくつかのビー玉を入れてあります。箱ごとに入れてある数が違うので、一つ一つ重さが異なります。台ばかりで測って記録します。データがそろったところで、「箱の中のビー玉の1個の重さと数を求めよ」と質問します。 クラスで質問すると、たいてい誰かが箱の重さの差を取ることに気づきます。 そこに気づけば、差の最大公約数でビー玉の1個の重さが、その値と各箱の重さからビー玉の数が、計算で求まります。 こういう問題で考え方を鍛えておけば、ミリカンの実験の意味は簡単に理解できますね。 |
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電荷ショック (臼井さん) |
静電気の分野では箔検電器が欠かせません。 検電器を横(!)に並べて帯電体を近づけたときの箔の動きを考えさせる問題はありますが、検電器を縦に重ねたらどうなるだろう?という試みです。 3個重ねて帯電体を近づける。 3個銅線でつなげて重ねて帯電体を近づける。 2個ではどうか。 みんなの意見を聞いてみると、意見が割れます。(静電気は難しい?) 簡単に実験できますからやってみてください。きっと予想が外れますよ。 臼井さんいわく、ちょっとした条件の違いで結果が異なることがある。静電気の実験は再現性がいまいちで困る。 生徒の前で予想と違う結果になると説明に困りますからね。 でも、検電器を重ねるなんて、すごい発想ですね。常人には思いつかない・・・・。 |
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ガリガリプロペラをうまく回す方法 (飯田さん) |
ガリガリプロペラです。普通、棒の部分に刻みを入れて振動が起こりやすいようにしてありますが、単に針金を写真のように巻くだけで、よく回ります。 刻みを入れる手間がないので短時間で製作できますね。 |