2010年5月22日の例会の記録の第2ページです
LEDで3原色 (船橋さん) |
光量の大きいLEDを使って、光のベン図を映し出しました。 各色のLEDはそれぞれデューティー比を可変できるようになっており、これによりLEDの光量を調節し、3原色が重なった部分が適切な混合色になるようにしています。 3原色の重なる部分が白くなっています。 |
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3原色LEDがスタンドにつけられています。 |
LEDに流す矩形波のデューティー比で明るさを調節します。 |
3原色の光を、正20面体にあてると、各面がいろいろな色を呈します。 光源との位置と角度により光量がかわり、各色の混合度合いが変化しているために起こります。 理屈抜きできれいです。 正20面体を動かすと色が変わっていくので、これもまたきれいです。 |
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これらは、昨年の科学の祭典で、日本碍子のチームが発表していた実験です。 LEDの光量をコントロールをすることで、より正確な色の混合が可能になりました。 |
ストローで作るパンパイプ (伊藤 昇さん) |
ストローの端を折り曲げて、テープで固定します。 この管を適当な長さに切って並べると、もう立派な楽器になります。 長さの比は下のとおりです。
細いストローだと演奏のとき吹きにくいので、業務用の8mm径のストローを使いました。 楽器作りの授業を計画できそうですね。 |
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<参考> 2009科学の祭典パンフレット_愛三工業株式会社のページ ストローショップドットコム |
ビニール管でサンポーニャ (川田さん) |
これはアンデス地方の民族楽器サンポーニャです。 閉管を並べて音階を奏でます。 |
ゴムホースでこのサンポーニャを作りました。 管の長さは、伊藤さんのパンパイプのデータと同じです。最初のドの音の長さを決めれば、他の音の管の長さは比から決まります。 端には厚さ5mm程度の円形の板が入れてあります。 管の違いによる音の違いを感(!)じてください。こちらも授業で作れそうですね。(ストローよりちょっと値段が高いかな・・・・・) |
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サルの大ジャンプ (杉本さん) |
実際に起きた出来事を使って、物理的に考えることの意味を理解させようという試みです。 昨年10月に東山動物園でニホンザルが運動場を逃げ出しました。屋外運動場は野生に近い形で動物を見せようというための設備で、図のような位置関係でした。 サルは擬木(樹木に似せた遊具)からジャンプをして外に逃走したのです。 |
生徒への出題は概略以下のようなものです。 新聞記事は、東山公園でサルが逃げ出したときのものである。 図から、サルは擬木のA点から斜方投射し、壁のB点に飛びついたことがわかる。サルの大きさは考えないことにし、この問題では重力加速度の大きさは10m/s2とする。 サルの飛び出す能力(初速度)の最大値を6.0m/sとして答えよ。 (1) サルが壁の真下から飛び上がり、4.0mの高さを上昇してBに到達することは可能か。ただし、サルは壁には触れないとする。 (2) Aからサルが水平方向から37°上方に飛び出したらBに到達することはできるか。 以下の文の( )に入る式または数値を答えよ。 この向き(37°上方)に飛び出すと、ちょうど初速度(Vo)の水平成分と鉛直成分との比が4::3になる。 また、 ABの高さの差を1.7m、 ABの水平距離を4.4mとし、図のようにx軸とy軸をとる。サルが飛び出してから t 秒後にのサルの位置がBに着くとすれば、t、Voを用いた斜方投射の式は、 水平方向:( ) 鉛直方向:( ) この2つの式から t を消去することにより Vo=( ) サルの初速度は5.5m/sになるようです。動物園の担当者も、サルがこんな速さでジャンプできるとは思っていなかったでしょうね。 |
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ゴム膜を通り抜ける! (杉本さん) |
ゴム手袋のゴム膜に1円玉を置き、エイヤっと押し込むと、何と1円玉はゴム膜を通り抜けて下に落ちてしまいました。 そんなばかな! もちろんこれは手品です。杉本さんも横浜物理サークルの方から学んだそうです。 |
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普通のゴム手袋であることを見てもらいます。 |
1円玉が膜の上にあるように見えますが、実は・・・・・ |
1円玉が膜を通り抜けた! |
膜に穴は開いていない! |
手品の種は、ゴム膜の性質にあります。 この手袋のニトリルゴムは、引っ張ることで極端に薄くすることができます。 薄いとほとんど透明に見えるのがポイントです。 後の部分は、自分で考えてくださいね。 この手袋、100円ショップで手に入れました。 |
レンズを通る光の道筋 (中山さん) |
レンズの像を求める際に、数本の光線を書いて求めます。その他の方向の光線を考えることは少ないです。 物体から出た光は、あらゆる方向に進みレンズに入り、そして像を結ぶのだ、ということを理解させるための装置を考えました。 2つの台の間にレンズをはさみます。 LED光源からの光(結構細く、目に入っても危険が少ない)をレンズに入射します。 光源を回転させると、いろいろな方向の光をレンズに入射させることになります。 レンズで光線は屈折しますが、反対側で、光がある一点(像)を通ることが見て取れます。 レンズを回転させることで、光線は無限にあるのだということを実際に目で確認できます。 |
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光源を回転させるというアイデアがいいですね。 |
レンズの前に物体を置いても、像はできるということも確認できます。 |
レンズと曲率 (佐野さん) |
レンズによる像のでき方について、日本の教科書では光線の屈折として扱っていますが、イギリスのアドバンシング物理は、凹凸レンズにより波面の曲率が変化するという考え方を用いています。 このレンズ内で波が遅くなるため、レンズを長く通るところでは波はそれほど進まず、薄いところは早く進み、結果として波面の曲率が変化するという考えは、非常に単純明快であるように思われます。 レンズは波面の曲率を変化させるものだという考えの理解を深めるための実験を紹介します。 1.凹凸レンズの重ね合わせをフレネルレンズで! 2.水の厚さで曲率を変える <参 考> アドバンシング物理 |
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凸レンズと凹レンズの曲率が同じであれば(焦点距離が同じということになります)、それを重ねるとどうなるでしょう。 光線の屈折で考えると難しそうですが、レンズは波面を変化させるという考えでは右図のように簡単に結論を出すことができます。 (考えやすいように平凸、平凹レンズを考えます) |
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凸レンズです。 |
凹レンズです。 |
2つのレンズを重ねるとどうなるでしょう。 |
透明な平板と同じになります。 |
アクリルスプーンを向かい合わせに貼り付け、内部に水を入れることで厚みを変えられるレンズをつくりました。 このレンズの上から光を当て、焦点の様子を見ます。 注射器で水を出し入れすると、それにつれてレンズの焦点が動くことがわかります。 水面の変化によるレンズの形は、きれいな曲面の変化をしませんから焦点の移動はスムースというわけではないのが残念。 人間の目の水晶体のように、レンズの厚みを連続的に変化させられれば、焦点の連続的な移動を見ることができるかもしれませんね。 |
注射器で水の出し入れをします。 |
水を満杯にすると焦点距離が短い。 |
水を抜いていくと焦点距離が伸びます。 |