2012年2月18日の例会の記録の第3ページです
核反応の模型 (臼井さん) |
原発事故による放射性物質の汚染が問題になっています。 原子核についての正確な知識を理解してもらおうと、模型を作りました。 まずは、自然崩壊。 238Uがα線を出してTh(トリウム)になるα崩壊の説明です。 |
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オレンジのピンポン球が陽子。 白いピンポン球が中性子。 Uの原子核がα粒子を放出して、 Thに変化する。 |
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β崩壊、γ崩壊についても説明します。 | ||
黄色い玉は電子。 | 紐は電磁波(γ線)。 | |
今度は、核分裂の話です。 238Uの同位体235Uは、中性子があたり吸収されると、核がほぼ同じ大きさに壊れて、別の原子核を複数つくります。 壊れ方のパターンは多種あるのですが、おなじみ(?)のCs(セシウム)ができたり、131I(ヨウ素)ができたりするパターンもあります。 生徒には、周期表を見させておきながら、どんな原子核ができるかをかんがえさせます。 話だけでは理解しづらい内容も、こういう模型を使いながらだと生徒の理解度も上がるでしょう。 |
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核分裂に伴って、中性子が2個、3個と放出され、これが次の核分裂につながると臨界になります。 白い玉は中性子。 | |
材料は、ほとんど廃品を利用していますので、かかった費用はほんのわずか。経費が削減される中、この点は重要ですね。 |
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スパークチェンバー (臼井さん) |
前回の例会で発表のあったスパークチェンバーをつくってみました。 いろいろな線で作ったのですが、線の太さと材質によりスパークの出方が大きく異なります。 試行の範囲では、スズメッキ線の0.5mm以下がよく放電が出ました。 0.6mmより太いとうまくでません。極端に細い線は試していませんが、細いほど出はいいようです。 なぜでしょうね。 |
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←放射線(α線)源は昔の煙探知機。 最近の煙探知機は、放射性物質を使わないタイプがほとんどのようで、このタイプのものは貴重品(?)になりつつあります。 |
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位相のずれ (臼井さん) |
おもちゃ屋さんで、出会って、天からのひらめきが舞い降りました。 ひれ(羽根?)が、車輪の回転により上下します。そこで、片側のひれと車輪の回転位置を半回転ずらします。 |
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左の方は左右のひれ(羽根)が同位相で動きます。 右の方は、左右の動きが反対になります。 |
この動きの違いを、「位相がπずれている」と表現することを説明します。 別の表現では、「半波長ずれる」とも表現します。 すなわち! 半羽鳥ずれる!?! (お後がよろしいようで・・・・・・) おもちゃは鳥ではなくイルカでは? との声あり。 |
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金属探知機 (成相さん) |
AMラジオに電卓を近づけると、電卓からの信号でノイズが大きくなります。 これを金属探知に利用しよう。 電卓とでラジオのセットを金属に近づけると・・・・ 残念ながら、音の変化ははっきりしませんでした。 金属による反射で信号強度が変化することはありそうですが、うまく検知できませんでした。 |
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電卓を近づけると・・・ | ラジオからの雑音が大きくなります。 | |
残念ながらうまく検知できませんでした・・・・・ |
CDRとDVDで電卓をはさみ固定します。CDRとDVDにイヤホンの線を接着し、2枚の間に電圧をかけることで金属探知ができるという、ネット上の話。 これを試してみました。イヤホンからは何も聞こえません。原理もはっきりしません。 これは眉唾の話? |
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今度は、本物の金属探知機。 あまり小さいものはだめですが、10円玉など感知すると、振動と音で知らせます。 小さい磁石を落とすと(静止状態では感知しませんが)、感知します。 磁場の変化を感知していることがわかります。 分解してみようという話が出ましたが、非破壊検査を徹底的にやってからにします。 |
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←小球型磁石を探知機の上に落とすと感知します。 | |
偏光板のはたらき (川田さん) |
偏光板を、方向をそろえて重ねると光が通過します。 方向を垂直に重ねると光が通りません。 では、垂直にした2枚の間に、斜めの向きの偏光板を入れたらどうなりますか? 写真ではよくわかりませんが、肉眼では光の通過がよくわかります。 |
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2枚の偏光板の方向がそろっています。 | |
2枚の偏光板の方向が垂直です。 | 垂直な2枚の偏光板の間に斜め向きの偏光板を入れます。 |
この出来事の理解のための道具を作成しました。 偏光板は細長いスリットを持ち、光の偏波を1方向しか通しません。スリットの方向をそろえると、光は先へ先へと進めます。 |
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偏光板は細長いスリット。 | スリットの方向が一致すると、光は進みます。 |
振動方向と垂直なスリットを波は通り抜けられない。 |
スリットの向きが垂直だと、光波はその先へ進めません。 間に斜めのスリットを入れると、斜め向きの振動が通り抜けます。 このため、 次のスリットに対して斜めの波が進むため、一部が通り抜けるようになります。 これまでの模型より縦方向を長くしたことが大事なポイントです。大きな振幅の波を通せるので、斜めの場合も動きの確認が容易になりました。 |
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Einstein ・ de Haas 効果 (川田さん) |
回転する車輪をもって、その向きを変えると、車輪を持った自分自身が回転し始めます。 角運動量が保存するようなトルクを受けるためです。 |
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ミクロの世界でも同じようなことが起こります。 強磁性体の磁化の向きを反転させると、角運動量保存法則により磁性体がわずかに回転します。この現象をEinstein ・de Haas効果といいいます (1915年)。 人が持つ回転体を電子スピンと考えます。磁化の向きが反転すると、スピンも反転し、磁性体は角運動量を一定に保つべく回転する、というわけです。 この実験の精密測定から、 強磁性体の担い手は電子の軌道運動ではなく、スピンである事が判明したのです。 この実験に挑戦しました。 実験 : (1) 図のように、大電流を得るため、コンデンサーに充電し(S1)、一気にコイルに放電させ(S2)試料を磁化します。 (2) コイルは自作(一様磁場を作るためコイルは長めに作る)。資料の鉄棒はよく磨き、棒の中心から吊るし、対称性をよくします。鏡の代わりに糸を結び、動きを観察します。 (3) 次に、コイルの端子をつなぎかえ、再度電流を流し、試料を反対向きの磁場にさらします。 実験結果は概ね予想通り。 棒が揺れるとうまくいきません。最初と逆磁場をかけた時、鉄棒全体が少し動きますが、回転も起こります。本来微弱な回転力なので、鉄棒に少しの揺れがあっても実験は成功しません。 再現性を高める工夫を考えています。 |
大電流電源装置 S1側でコンデンサに充電し、S2側で一気に放電します。 |
電源装置と自作コイル。 |
はく検電器の大問題2 (杉本さん) |
発泡スチロール上に置いた箔検電器の動作を理解するための実験です。 前回の例会でも示しましたが、発泡スチロール上での箔検電器の動きを説明するには、容器のガラスの表面が導体だと考えるほかないというものです。 |
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下の写真のように、発泡スチロール上に置いた箔検電器に、横から帯電体を近づけると、はくが開きます。 (机の上では開きません。机の上は静電気に対して導体と考えられるからです。) 開いた状態で、ガラス表面に手で触れると、はくが閉じます。 手を通じて、ガラス表面に勇気された誘導された電荷が逃げるためと説明できます。 ガラスは不導体と分類されますが、静電気に対しては違う振る舞いをすると考えるべきでしょうか。 |
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箔検電器に、横から帯電体を近づけると、はくが開きます。 | 手を触れると、はくが閉じます。 |