2012年9月29日(土)の例会の記録の第2ページです


 恐竜の卵? (杉本さん  
 今年の科教協の鳥取大会に参加した際に見つけた不思議な卵の物語です。
 
 まず、ビー玉をアルミ箔で包みます。
 (アルミを半分に折ってパイ包みみたいにする)
 次に、それを缶にいれ、缶を何度か振ります。 

 すると・・・
 1:ビー玉をアルミ箔で包みます。  2:パイ包みのように包みます。端を重ね折にします。
 3:包みを缶に入れます。  4:何度か振ります。
 何と、ふんわりした卵状のアルミの袋ができます。中にはビー玉が入っています。
 そっと転がすと、ラグビーボールのような微妙な動きになっておもしろいです。

 小学校では「恐竜の卵」と呼んでいて、よく知られているようです。
 (アルミ箔に模様を描いておいて、かわいい卵を作るようです。)
    コロコロ面白い転がりをします。
 どうして膨らんだ卵状のアルミの袋ができるのでしょう。

 缶の中での出来事を見るために、缶をペットボトルにしてみました。

 ペットボトルを振ると、同じように卵ができます。
 残念ながら、ボトルを振るので中はうまく見えません。
 (当然!?)
 容器の中が見えると思ったのですが・・・・
 次に、アルミ箔の包み方を、内部が広くなるようにすると、
大きな卵ができました。
 箔の内部でビー玉が動く範囲が拡がるためでしょう。



 さらに、箔で包むビー玉の数を増やしてみました。
 これもちゃんと卵ができます。

 卵の大きさは、最初のアルミ箔の包み方(内部でビー玉が動ける範囲の大きさ)で決まるようですね。


 最後に、鉄球とビー玉を入れてやってみたところ、振り方のせいか、アルミ箔が破れてしまいました。


 遊びながら(?)、分子運動の意味を理解できるための教材になるのではないかと思われます。
      卵の大きさは、包むアルミ箔の大きさで決まるようです。
 

 クントの実験における粒子の運動 (杉本さん  

 前回の例会でのクントの実験にもあるように、音の定常波で容器内部の小物体、粉体が模様を作ります。
 この理由についてははっきり説明できませんでした。
 学会誌「物理教育」(題57巻 第3号(2009))に、このテーマでの研究論文(笹川 民雄さん)が掲載されているのを見つけました。
 長い論文なので、全部紹介はできませんが、一部分紹介します。 
                                               1. はじめに
 クントの実験における管内の粒子の運動について,霧や石松子などの微粒子は変位の節に集まり,発泡スチロールなどの比較的大きな粒子は変位の腹に集まることは実験的に知られているが,その理由については明らかにされていない。・・・・

 管内の粒子が音波定常波の圧力場および速度場から受ける力を考察し,霧と発泡スチロールの粒子について運動を調ぺ,これらの問題について明らかにしたので報告する。

  〜〜〜

       6.まとめ
 ・・・・第1に,霧などの微粒子は音の速度場から受ける粘性抵抗力により,音の振動数とほぼ同じ振動数で微少振動しながら,速度場の節(変位の節)に集まる。
 第2に,霧などに比ぺ大きさが比較的大きく,密度の小さい発泡スチロールなどの粒子は音の放射圧勾配力により,圧力場の節(変位の腹)を中心として運動すると同時に,慣性抵抗力の影響を受け,圧力場の節(変位の腹>に集まる。第3に,共鳴状態の大振幅波は非線形効果により波形が急峻化する。その結果,倍音が励超され,縞状の模様は倍音の放射圧勾配力により形成される。
     論文の一部。

 読むのにかなりの努力を要する(?)難しい論文です。 時間をとってじっくり理解に努めます。
 
 <参考> 瓶を使ったクントの実験 (杉本さん)
 

 超音波振動によるモーター (近澤さん  
 前回に引き続き、手持ちの実験器具を紹介してくれました。
 超音波リニアモーターを反対向きにして2つ置き、レコードもどきの丸い容器をその上に置くと回りだします。
 直線運動を回転運動に変える装置ともいえます。
 このモーターの超音波が聞こえる、という生徒がいるそうです。
 とすると、このリニアモーターの超音波の振動数は20kHz以下・・・・。
 私たち年寄り(?)には聞こえませんが・・・・・

 超音波発振器(40kHz)でこのモーターの超音波とうなりをつくって聞いてみました。
 リニアモーターの倍振動と唸りが生じているのか、音が聞こえます。
 正確な値は次の機会に測定することにします。


 次に、超音波距離計。
 開管の端に距離計を置いて長さを測定します。
 管の途中に穴が開いていると、距離計の示す値が小さくなります。穴の部分で波が反射していることがわかります。
 こういうことを一つ一つ確かめながら授業を進めると、生徒の理解は増していくでしょう。
  穴をふさいだ状態と、開けた状態で、管の距離を測ると、長さの値が変化します。
 

 レンズが作る像と明るさ (佐野さん  
 レンズを板で半分覆ったら、スクリーンに映る像はどうなりますか、という問題があります。
 答えは、像はそのままで、やや暗くなる、です。

 では、 次のような問題はどうなるでしょうか。
 
 レンズによる像とレンズを通る光の進路とがごっちゃになってしまい混乱しますね。
 (1)のスクリーンCの位置での光っている部分の形は、写真のとおり ア ですね。
 光線の進路を考えると、スクリーンA、Bでの形は明らかですね。

 (2)はどうなるか、考えてみてください。
    黒板はレンズの焦点距離より外側にあります。
 

 超簡単歯車楽器 (飯田さん  

 前回の発表の簡単歯車をさらに簡単にした歯車(穴車?)楽器を、中部大学の岡島先生が考案されました。
 
 歯車ではなく、穴を置けた円盤をモーターで回転させ、針つき拡声器(厚紙の針と紙コップ)を押し当てて振動をひろうというものです。
 
 模型用モーターを使った回転台。  パンチの位置を示す黒点に穴を開ける。  裏側をプリーで補強。
 
 穴の数によって、針先の振動数が変わり、いろんな高さの音を出すことができます。 ラッパ型のスピーカー(?)を持っていた昔の蓄音機を見ているように感じられます。 


 最初の装置は、原理むき出しの装置なので、似てくるのですね。
    拡声器(厚紙の針と紙コップ)とレコード盤。                       針を当てる位置で、いろいろな高さの音を出すことができます。

 音の高さと構造力学 (飯田さん  

 いきいき物理わくわく実験2 に 「投げてこすってドレミファソ」という話があります。
 この話に関して、読者の方から「棒の横振動では、長さが半分になるとなぜ4倍の振動数になるのか、高校生にもわかるように説明できないだろうか」という質問がありました。

 これは、棒の縦振動と横振動の振動数は、棒の長さとどんな関係があるか、をどう教えていったらよいかということです。
 この関係の確認実験を再現してくれました。
 バネをつるして振動させると、ある周期で振動します。
 バネを半分に切って振動させると、その周期はどうなりますか。

 バネを半分に切るとバネ定数は2倍になり、あわせてバネの質量も半分になるため、全体で周期は半分になると計算されますが、実際やってみるとそうなります。
 
 これが、棒の縦振動にあたります。
 棒の長さを半分にして縦振動を起こすと周期は半分、振動数でいうと2倍になります。
 つまり1オクターブ高い音が出ます。

  棒の横振動ではどうでしょうか。
                                                                           細い棒の先におもりをつるしてたわわせます。
 棒の長さを半分にして、同じだけたわませるには、何倍のおもりをつるす必要があるでしょうか。
                              
  おもり(ナット)1個をつるすと棒がたわみます。
 長さが半分になると、質量は半分。また、同じ変形を起こすには8倍の力が必要ということで、振動の周期は1/4になると計算されます。

 つまり、棒の長さが半分になると、棒をたたいたときの振動(横振動)数は4倍、2オクターブ高い音が出るということになります。
 おもり4個では足りません。  おもりを8個にすると同じだけたわみます。
 
 質問に関する詳しい計算が、183頁の「音の高さと構造力学」にあります。
 この機会に精密な計算をやり直してみたところ、計算コーナーの式に係数3が足りないことを発見しました。
 質問の答や主題の結論には関係しませんが、式の訂正をしたいと思います。

  185頁の計算コーナーのC式
           
  正しい値はこの3倍で、式に係数3がつきます。
        


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