2012年9月29日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 今年のイグノーベル賞を日本人が受賞したというニュースが報道されました。
 イグノーベル賞 は1991年に創設され、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞です。  日本人が過去にどんな研究で賞を得ているのか調べてみました。
  年  部門   受賞事由
2012年 音響賞  自身の話した言葉をほんの少し遅れて聞かせることでその人の発話を妨害する装置、「スピーチジャマー」(SpeechJammer)を発明したことに対して
 2011年  化学賞  火災など緊急時に眠っている人を起こすのに適切な空気中のわさびの濃度発見と、これを利用したわさび警報装置の開発
 2010年  交通計画賞  鉄道網など都市のインフラ整備を行う際、真正粘菌を用いて、輸送効率に優れた最適なネットワークを設計する研究に対して。
 2009年  生物学賞  ジャイアントパンダの排泄物から採取したバクテリアを用いると、台所の生ゴミは質量で90パーセント以上削減できることを示したことに対して
 2008年  認知科学賞  単細胞生物の真正粘菌にパズルを解く能力があったことを発見したことに対して









 


                                                                    等
 確かに、面白いテーマが並んでいます。
 日本だけでも、いろんなテーマでの研究がなされているのだなあと感心します。
 私たちの活動にも、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」があるかもしれませんね。

 賞の選考は、論文の投稿から始まるようです。
 投稿する研究者は、自分の研究はイグノーベル賞に値する(?)、と考えているのでしょうか。一度聞いてみたいですね。
 

 卓上型光速度測定装置2 林さん  
 前々回の例会で発表した卓上型光速度測定装置の改良型です。
 前の装置は、レーザー光源を使っていました。それも、出力を変調できるレーザー光源でしたのでやや高価でした。今回は、光源を高輝度の緑LEDを使いました。これでも十分に役目を果たします。

 さらに、水中の光速度などを測るときに、赤色だと減衰が激しいのですが、緑だと到達距離が大きくなるので、物質中で光速度が遅くなること、屈折率と光速度の関係などが直接確かめられます。
 
 また、半透明鏡と 1/4・λ位相板を使って、検出をスムースにしてかつ部品数を減らしています。

 全体の費用が激減していますので、卓上光速度測定装置として商品になるかも・・・・。
 
 入射光の位相と反射光の位相を合わせておきます。   写真左のリフレクター(反射鏡)を動かすと、反射光の位相だけが、リフレクターを動かす距離に応じて変化します。これを読み取ります。
 
 <参考> 卓上型光速度測定装置(藤田さん、林さん)
        1/4・λ位相板(林さん)

 立体錯視 (前田さん  
 平行なレールがあります。
 
 
 手前のレールにビー玉を置くと、左にころがります。
 
 奥のレールにビー玉を置きます。
 何と、反対側(右に)に転がります。
 これは不思議・・・・・・。
 次に、
 中心が高くなった十字路。
 真ん中に球を置けば、どこかに落ちていくはず・・・・。
 
 何と、何個置いても落ちません。
 これは不思議・・・・・・。
 これは、ある一点から見ると、形が異なって見える錯視の一例です。立体で錯視が起こるのが面白いですね。

 実物を肉眼で見てしまうと、何の不思議も感じないので、見てもらうときは、カメラを通して見てもらいます。
  webカメラを使います。  コンピューターの画面でカメラ像を見ます。
 
 実際の形は右のとおり。平行なレールではありません。
 十字路も実は中心がへこんでいます。落ちないのも当然ですね。
 
 
 ある一点から見たときに生じる錯視。
 その点から、よりリアルに見えるように木材を斜め切りし、何度も見ながら削っていきます。
 見た人が驚くことで苦労が報われます・・・・(笑)。
 
 
 
 <参考> この2つの作品は、明治大学大学院 杉原厚吉先生のホームページにある作品です。
        YouTube: Impossible motion: magnet-like slopes 
 

 ピタゴラスイッチ (前田さん  

 広島の土肥さんの作品を参考に作ってみました。

 レールと磁石と鉄球だけです。
 鉄球を転がすと、U字型磁石の形に添ってU字形を描きながらゆっくり下っていき、最後に下の磁石に引き寄せられ止まります。

 動きがゆっくりで、なんとなくユーモラスで、見ていて面白いですね。
 でも、最後の位置にきちんと到着させるには、U字型磁石の位置、レールの位置等、かなりの試行錯誤が必要です。
 

 強力ファンで運動の法則 (前田さん  
  季節の移ろいにあわせて、夏に高価だったUSB端子を電源にして回るコンピュータ用(?)ファンが、値段を下げてきていて、1つ300円程度になっています。
 結構強力なモーターがついており、部品取りでもお値打ちファンです。
 
 これを使って、運動の法則を確かめる装置を作りました。
 台車の上に、ファンを載せて回します。
 徐々に加速していきますが、この加速度を測ろうというものです。
 
 駆動はファン1つで、おもりをいくつか載せて、質量と加速度の関係を調べます。                                                             
 次は、ファン3台の、力の大きさと加速度の関係を調べる装置です。
  ファン1台動作中。    ファン2台動作中。   ファン3台動作中。
 一定距離を走る時間を測定して、加速度の大きさを求め、加速度が力に比例するかどうか測定してみました。
 
  1台のファン:5.8秒
  2台のファン:4.5秒
  3台のファン:4.0秒
 
 理論では時間の2乗が力に反比例するはずですが、うまく一致しません。
 車輪の摩擦、動き出しのスタートの判定等、ファンの特性等を考慮した測定が必要なようです。
 

     [次ページヘ]