2013年7月6日の記録の第2ページです


 真空砲 (林ひろさん  


 ピンポン玉を空気圧で発射する真空砲を見せてくれました。横浜物理サークルで「ピンポンキャノン」として、小笠原さん、市江さんが紹介された実験です。


  アルミ缶が貫通するほどの威力です。   真空ポンプ空気を抜きます。

 真空ポンプで空気を抜き、発射します。あまりの速さで、手持ちのカメラでのハイスピード動画は撮影できませんでした。

 横浜物理サークル ピンポンキャノンのページ
 http://www2.hamajima.co.jp/~tenjin/ypc/ypc06y.htm


 元素の単体 (市川さん)  
 文部科学省から配布されている「一家に1枚 周期表」をはじめとして教科書等も、元素の周期表には元素の単体の写真がカラーで印刷され、元素がどのようなものかというある程度のイメージはつきやすくなりました。
 しかし、物質の実物そのものに勝るものはありません。 市川さんは円高を利用し、元素の単体をオークションサイト、ebayで購入しました。 写真はハフニウム、ゲルマニウム、ガリウム、モリブデン、レニウムそしてロジウムです。  これまで見たこともない単体を目にし、サークルのメンバーも興味深そうに観察していました。
 普段は目にすることのない元素の単体に興味津々でした。

 グラスの衝突音 (川田さん)  
 指の間にグラスをはさみ衝突させると、小刻みな衝突の末最後に音が高くなっているように感じます。

 これはどのようにして説明ができるのでしょうか。

 
 グラスを写真のように衝突させると、確かに高い音が最後に残ります。
 理科ねっとわーくからダウンロードできるオシロスコープのソフトで録音し見てみると、確かに高い音が残っているようです。

  川田さんは、コップ同士の衝突は徐々に角度振幅が減っていき、最終的に0に収束するので、衝突による振動の振動数は∞に近づいていき、最後にはグラスの固有振動が残るのではないかという考えですが。

  ビー玉を床に落としても同じような現象が起こりますが、同じような理屈なのでしょうか。  
 オシロスコープでは、周期の短い高音が残っているように見えますが

 小学生でも分かる(?)分光器 (川田さん)  
 飯田さんがグラフ用紙に目盛をつけ、回折格子による光の干渉を中学生にも分かるようにと工夫をしましたが、川田さんはさらに波長を計算し、グラフ用紙に書き込みました。

   
 グラスを写真のように衝突させると、確かに高い音が最後に残ります。
 まさに見れば小学生でも分かりそうですが、教える相手あってのもの。どこまで教えるのかは教育効果を考えねばならず、教えすぎないことも必要です。


  これは教えすぎか、それとも素晴らしい工夫か意見は分かれることでしょう。
 分かりやすいですが、これでいいのかという疑念も拭いきれません。

 サイフォンの鎖モデルへの疑問 (飯田さん、川田さん  

  山本さんの「真空中でのサイフォン」や「95pの水銀サイフォン」の実現可能性についての問題提起により、継続的に論議されてきた宮地祐司「サイホンの科学史」。
  飯田さんはこの本の鎖モデルの根拠となっている金山廣吉「理科実験の盲点研究」を購入し、熟読したところ、不自然な記述を見つけました。 
  金山氏が行った実験では、注射器を水で満たし、ピストンに3sのおもりをかけると、大気圧による力が1.82swであるにも関わらず、ピストンが抜けなかったというものです。
  かりにピストンと注射器の間に摩擦力がはたらくとしても、1sw以上もの摩擦力がはたらくとは考えられず、金山氏はこれを水の引っ張り強度によるものだと捉え、鎖モデルを提唱しています。
  例会では、この実験は再現性には疑問があり、たまたまピストンがひっかかったのではないかとの意見も出ました。

  さらに、上述の実験から金山氏は「純粋な液体の凝縮力(引っ張り強度)は極めて大きく、水では約3250s/p2、水銀では約24500s/p2である」と記述しています。
  飯田さんがこの値に疑問を持ち理科年表で調べたところ、軟鉄が4.6×108N/m2であり、換算するとこれは約4660s/p2となります。 つまり、金山氏の論拠となっているデータでは、水の引っ張り強度が軟鉄(針金)程度だということです。さすがにこの値には疑問があります。
 金山氏はこの実験を論拠に引っ張り強度を計算していますが…
 次に川田さんが一宮高校で川口さんとともに行った実験を映像で紹介してくれました。

  真空鐘の中に水銀を満たした高さ約20cmのU字型透明ビニル管を入れ、それを立てた状態で空気を抜きます。 すると、たちまち中央から水銀が切れ両側のビーカーに落下します。残った水銀柱の高さはわずかで、この高さは真空鍾の 水銀気圧計の目盛りと同じです。つまり、中の気圧を示します。
 水銀サイフォンの実験です。危険を顧みず、真理を追究する姿に脱帽!
 また、高さ30cmの水サイフォンも真空鐘に入れて減圧してみました。すると、まず初めに頂点の水パイプから気泡が発生し沸騰が起こり、サイフォンはとまります。 さらに空気を抜いていくと引くと貯水池の水が沸騰し始め、真空は2.5mmHg以上引けませんでした。
  しかし、再度、中に空気を入れると気泡はなくなりサイフォンは復活しました。

  サークルでの議論では鎖説は無理がありすぎるとの考えが支配的ですが…
 水サイフォンの実物です。

 静電気メーター (田中さん  

 物理サークルでは良く知られた田中さん考案の静電気メーター。高性能で見栄えもよいわけですが、高価で電子工作が若干複雑な事が玉に瑕でした。
 そこで田中さんは生徒実験でも使えるようにと、必要最低限の機能に絞り、低コスト化をはかりました。


  旧来の静電気メーターは、中心の青から帯電の大きさを正負それぞれ4段階で表してきました。中心より上のLEDが点灯すればメーターが正に帯電していることを、逆に下のLEDが点灯すれば、負に帯電していることを示します。
 例えば、アクリル棒をテッシュペーパーで擦り、静電気メーターに近づけると上のLEDがすべて点灯します。これは、アクリル棒が正に帯電するので、静電誘導によりメーターないの電子がアルミ缶の方に移動し、センサー部は正に帯電したことを示します。
 では、そこから少しアクリル棒を離してみると、どうなるでしょうか? 
  紙で擦ったアクリル棒を近づけると上のLEDがすべて点灯。
 点灯するLEDの数が減りますね。


 さて、今回田中さんが製作したのは下の測定器です。100円ショップ等で手に入る安価な材料を用い、電子回路も簡略化しましたが、帯電は正負とも2段階で示すことができ、赤外線通信にも対応しており、表示板に帯電量を表示する事ができます。
 
 最近は物理の静電気の授業だけでなく、化学のイオンの学習にも使われる先生が増えているとのことです。
  アクリル棒を少し離すと点灯するLEDも減ります。
  これが普及版見栄えはほどほどですが、実用には十分です。   赤外線通信で帯電の大きさを数値で表せます。

 空き缶マジック (山本さん  

 空き缶を斜めにして立てることができるかという問題です。

 空き缶の蓋を取り、そこに空き缶を引っ掛けます。そして、缶を安定して立たせようとすると、すぐに倒れてしまい、立ってくれません。

 
 何度、挑戦してみてもすぐに倒れてしまいます。
 ここで、山本さんがあることをした缶が登場です。
 山本さんが注意深く蓋に引っ掛けて、置いてみると、立ったまま安定しています。


  見かけは全く変わりませんが、一体、山本さん何をしたのでしょうか?

      
 「あること」をすると、倒れずに立つようになります。
 山本さんが秘密を明かすため、缶を倒すと、中から水が出てきました。

 重心の移動を利用した科学マジックですね。       
 缶を倒すと、中から水が出てきました。


 本の紹介 (井階さん  

 「東京凹凸地形案内」という本の紹介です。



  東京都内の地形について詳しく知ることができます。シリーズ2も出ており、そちらでは名古屋のデータも少し出ているようです。詳細な地形図を見て、洪水や津波の対策等を始めいろいろな想像力を掻き立ててくれそうですね。




 東京凹凸地形案内という本です。

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