2018年5月19日(土)明和高校での例会の記録です。

   

 3D磁力線シミュレーション (植田さん)  

 磁場を表示するシミュレーションに変更を加えました。

 以前のものは方位磁針を映し、磁場の向きを方位磁針の向きで、磁場の大きさを方位磁針の大きさで表示しましたが、磁力線を表示できるように改良しました。

 また、方位磁針を表示を消すこともでき、磁石を2つに増やし、空間内で自在に磁石を動かせます。(奥行きの感覚がスクリーンからは感じられないのは玉に傷ですが...)

 ただ、いくらか問題が。

 磁力線のプログラムにミスがあるのか、N極から出た磁力線が途中で途切れてしまい、S極までつながりません。
 また、右の写真では磁力線の数がS極に11本入り、N極から12本出ています。
 前回の方位磁針のシミュレーション。  改良され、磁力線を描くことができます。
 磁力線の定義に関わるところなので、ここには皆の厳しい目が。

 同一平面上で2つの磁石を平行にし、少しずつ離していったときの磁力線の変化を見たいとのリクエストがありました。しかし、磁石を合わせる操作が困難で、結局、同一平面にはおけず仕舞いでした。
 また、磁力線の間隔の変化はなんとか分かりそうではあるものの、磁石から出た磁力線の一部が、他方の磁石に入ってしまいました。2つの磁石を同一平面上に置くのが難しいためでしょうか?

 基本を確認できるように、平面でのシミュレーションもできるようにした方がよいのではとの意見も出ましたが、3Dでシミュレーションできなければ、このアプリの価値もあまりないような気もします。難しいところですね。

 生徒受けはいいようです。興味のある方は、feel physicsで検索してください。
 いくらか問題も...  


 ボールペンを用いたウォーターストロボ (石川さん)  
 ウォーターストロボはストロボと組み合わせることで、暗闇で斜方投射の軌跡を観察できる大変魅力的な実験であることから、「いきいき物理わくわく実験1」や石川さんの著書「視点を変えて物理を楽しもう」で紹介されてきました。

 まずは、実験の様子です。ストロボの発光間隔を1/100秒くらいにすると、右の写真のように、斜方投射の軌跡がきれいに観察できます。
 はじめて見る参加者などからは感嘆の声があがっていました。
 これまでの装置では、水流の水切れがいまひとつ良くない、ゴム管の劣化が早いという欠点もありました。

 そこで、ゴム管を劣化しにくいシリコンチューブに代えました。
 一方、水切りに関しては、シリコンチューブはゴムより固いため、改良方法を考える必要があるだろうと予想していました。ところが、理由は分からないものの、スピーカーの振動を軽くあたえるだけで、簡単に水切りができました。

 手作りの装置全容です。


 モーターいろいろ (前田さん)  
 100円ショップキャンドゥーで購入したというハンドスピナーを使い、様々なモーターを作りました。

 まずは、アラゴーの円盤といわれる、渦電流で回転する装置。ハンドスピナーにネオジウム磁石を埋め込み、これをアルミの円盤上で回転させることで、渦電流を発生させ、アルミ板も回転を始めます。
 アルミの円盤の下に回転の安定のためにつけた黒いおもりに対して、何か回転に関わるのか紛らわしいという厳しい声が。
 アラゴーの円盤です。
 続いて、ブラシレスモーターです。ブラシレスモーターとは一般的な直流モーターの整流子(ブラシ)を電子回路で置き換えたモーターのこと。
 耐久性が高く、PCのファンなどに使われています。

 ということで、早速、PCのファンを分解しました。外側にネオジウム磁石があり、回転するようになっています。また、内側の電子回路にはコイル、そして、コイルの間にホール素子があり、磁石の動きを検出し、コイルに流す電流の向きと大きさを制御し、一定の回転数を維持します。

 前田さんは、構造を参考にして、自作ブラシレスモーターを作りました。ハンドスピナーにネオジウム磁石を付け、サーチコイルやリードスイッチで磁石の動きを感知し、キックコイルに電流を流します。このモーター勢いよく回り続けていました。 
 PCのファンのブラシレスモーター。  原理むき出しのブラシレスモーター。


 ロウソクの炎が帯電するメカニズム (藤田さん)  

 ロウソクの炎が帯電することによる強い電場をかければ、炎が電場方向に引き寄せられることを紹介してきた藤田さん。

 これまで炎が帯電する理由は、炎が2000K程の高温になるため、わずかながらでも熱電離が起こるためと説明してきました。

 しかし、局所熱平衡状態にあると仮定しSahaの式を用いて電離度を計算すると、10-12と、非常に小さな値になります。

   炎の帯電の実験装置の概要。
 「ロウソクの炎が明るく輝くのは、煤つまり炭素の微粒子が2000Kほどに赤熱されているためである。」という仮説を立て、熱電子放出量を実験的に求めるための模索が始まりました。

 藤田さんは、煤の代わりに、同じ炭素ということで、細くて折れにくいカーボンナノファイバーを、竹串の先に固定し、高電圧をかけてみました。

 カーボンナノファイバーとピアノ線の太さの比較です。  電場の向きとカーボンナノファイバーの様子です。
 実験の結果は、ファイバーの向きが一定ではなく、まるで、α線、γ線、β線の軌跡のよう!

 カーボンナノファイバーの固定方法など改善を考えていく予定です。
 さすがに発表は手慣れたもの。ユーモアあふれる愉快なお話でした。


 手軽に現代版フィゾーの実験 (林さん  

 これまでにも何度目かの登場している、位相差から光速を測定する現代版フィゾーの実験ですが、名古屋EHCで10/14(土)に製作会が開かれることになりました。

 それに合わせ、コーナーキューブプリズムを、鏡と凸レンズの組み合わせに変更しました。

 見た目は、よりフィゾーの実験に近くなり、原理はシンプルにローコスト(材料費1万円+2現象オシロ)になりました。
 コーナーキューブプリズムを、鏡と凸レンズに変更しました。
 奥村さんからは、実験した科学部生徒の様子を見た経験から、鏡の方向合わせがかなり難しいとの声もありましたが、これまでのものはあまりにあっけなくに高精度で光速が測定でき、感動が伝わりにくかったのも事実。

 どちらがいいのかは使いようによるでしょうね。

現代版!フィゾーの光速度測定 (林さん)
 以前のものより、フィゾーの実験ぽいです。  位相のずれから光速を求めることができます。

 磁石の形と磁力の強度分布 (臼井さん  
 磁石はどこが磁力が強いでしょうか?

 円形のネオジム磁石に画鋲を近づけると、円の端に画鋲がくっつきます。
 円の中心付近はそれほど磁力が強くありません。
 次に、正方形の磁石ではどうでしょうか?

 これまた、端の方が磁力が強くなります。
 明らかに端の磁力が大きくなっています。  正方形(直方体)の場合も同様です。
 次に振り子にした金属球を磁石の上で離してみました。

 すると磁石の中央を避けるように鉄球が動きます。

 簡単に実験でき、しかも意外な結果が出る。自由研究に向いているような面白い実験でした。

 真ん中を避けるように鉄球が動きます。面白い!

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