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小川を濁らせる白い液体。もしや有害な廃液?・・・いえ、そうではありません。ここは群馬県の「草津の湯」のすぐ下流にある国土交通省関東地方整備局品木ダム水質管理所の草津中和工場という施設の一角です。
草津白根山の麓からわき出してここ湯川に流れ込む温泉水は硫酸を含んでpH2.1という強酸性を示します。このため、下流の吾妻川は魚などの生物も棲めず、農業用水にも使えないため、「死の川」と呼ばれていました。釘やコンクリートも溶けてしまうため、橋や護岸の建設工事も十分にできませんでした。
昭和39年から世界に先がけて河川の中和事業が始まりました。県内で豊富に採れる石灰岩を工場で粉砕して75μmほどの粒径とし、水に混ぜて「石灰ミルク」という縣濁液にします。それを写真のように投入して湯川の水と反応させるのです。
CaCO3+H2SO4→CaSO4+CO2+H2O という反応で生じる石膏はさらに下流の品木ダムで沈殿させ、浚渫船により回収します。人類と自然との戦いは24時間365日休みなく続けられています。(2008/08/17更新) |
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