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はじめの一枚:こんなところに小さな科学
 箱根彫刻の森美術館に野外展示されている代表的な彫刻「交叉する空間構造」。後藤良二氏による1978年の作品です。男女それぞれ72体ずつが規則正しく結び合った構造が、中ほどで互いに触れあうことなく交叉して空間を共有する巧みな構成となっています。
 男性、女性それぞれは、ダイアモンド構造といって、炭素原子が互いに共有結合してダイアモンドを構成するときの配置をとっています。胴体の部分が炭素原子で、両手両足の部分がsp3混成軌道をなす価電子の結合にあたります。見る方向により網の目が六角形や四角形に見えます。ダイアモンドの硬い、屈折率が高い、絶縁性が高い、熱伝導性がよいなどの性質は、この結晶構造に由来します。
 この作品は彫刻の森美術館10周年記念の依嘱作品ですが、そのもとになったシリーズ処女作「ダイアモンド構造」(1977年)は現在、長野の美ケ原高原美術館に展示されています。こちらは男性のみ81体からなる同様の構造の作品です。後藤良二氏のWebページはここ。(2009/10/12更新)
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