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はじめの一枚:こんなところに小さな科学
 神奈川県西部を流れる酒匂川はかつては暴れ川で、たびたび洪水を起こしては住民を悩ませてきました。写真は中流域の新大口橋付近の河原です。左右どちらが上流かわかりますか?
 ひと抱えもある河原の石は大雨の際に濁流によって運ばれてきます。川底を飛び跳ね、転がりながら流されてくる石たちは、たまたま扁平面を上にし、下流側が隣の石に乗り上げ、上流側が下がった形になると落ち着きます。水流から受ける力がその石を下向きに押さえつけるような形になるので力学的に安定なのです。その結果、多くの石が上面を上流側に向かって下げた形で折り重なった規則正しい構造が作られます。屋根瓦を積み重ねたようなこの構造を覆瓦構造または瓦状配列(imbrication)といいます。地層中にこのような構造が見つかれば、堆積当時の川の流れの方向を知ることができます。写真は右側が上流です。(2012/01/22更新)
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