この黒光りする物体は何でしょう。長さは約65mm。表面に丸い穴がたくさんあいています。これは「岩石」の一種です。答えは「テクタイト」。世界各地で同様のものが産します。写真はタイで産出した「インドチャイナイト Indochinite」と呼ばれる種類で、ミネラルフェアで購入した標本です。
テクタイトは成分が地殻の岩石と同じであることから、隕石の衝突によって落下地点の地表の岩石が一瞬にして溶融・気化して空中に放出され、空中を飛行中に急速に冷えて固まったガラス状物質と考えられています。隕石衝突時の「しぶき」と言っていいでしょう。衝突クレーターの周辺にこういうものがバラバラと降り注いだわけですね。
高温でとけた状態で飛行中に回転していたものは細長く引き伸ばされて棒状や亜鈴状の形状を示します。回転が速いと遠心力でまん中がちぎれて、2つの涙状の断片に分かれることがあります。いずれも高温で液体だったときの形をとどめているのです。(2023/08/31更新)
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