例会速報 2001/02/07 慶應義塾高校
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日本におけるイタリア2001年 新田さんの紹介
2001年3月から「日本におけるイタリア2001年」というイベントが始まるのをご存じだろうか。日伊両政府によるイタリア紹介事業である。新田さんはそのインターネット上の情報中心、ジャパニーズオフィシャルサイト運営事務局にお勤めだ。
新田さんからイベント内容の紹介と、ガリレオやダビンチなどの業績と科学史に関連づけたインターネット上のコンテンツづくりについて問題提起があった。YPCとしてはどんな形で協力ができるかについて討論が行われた。
期間中はビッグサイトや科学未来館を会場に、イタリアの科学技術と発明史に関連した各種の展覧会が開かれる。現地イタリアにもWebカメラなどが設置され、インターネットでリンクしたイベントが展開される。期待しよう。
「日本におけるイタリア2001年」の公式サイトはここ。→
遠い空の向こうに(October Sky)DVD版とLD版 喜多さんの発表
ホーマー・ヒッカム・ジュニアの自伝小説RocketBoysの映画版OctoberSky(邦題:遠い空の向こうに)はLDやDVDでも販売されている。先日は、その日本語字幕の重力加速度の記述をめぐって議論があったが、LD版の字幕にはもう一つ致命的なミスがあった。左がDVD版、右がLD版だ。squareという単語の誤訳なのだが、一度でも物理を勉強した人ならこういう間違い方はしないだろうと、議論になった。たぶん複数の人の校閲を経ているのだろうが、誰も気がつかなかったのだろうか。
二酸化炭素の液化実験ビデオ(危険!!) 平松さんの発表
平松さんは99年7月の例会で炭酸飲料用PETボトルにドライアイスをつめ、密栓して、5気圧以上の高圧下で二酸化炭素が液体になるのを観察するという実験を披露してくれた。しかしこの実験は危険を伴うため、コツと勘どころを熟知した平松さんでないとできない。そこで平松さんは実験のもようをビデオに撮影し、ダビングして希望者に配布してくれた。ビデオで見るだけなら安全というわけだ。しかし、ビデオとわかっていてもまだ怖い(^^;)。爆発の危険があるので素人の方は絶対にまねをしてはいけない。
くどいようだが、PETボトルにドライアイスを詰めた実験では、実際にいくつもの事故事例が報告されており、大変危険なので、授業で実際に行ったり、生徒にやらせたりしてはならない。PETボトルの安全限界についてのデータはここ。
TVで紹介された森さんの活動 ビデオ視聴
CSとケーブルTVで配信されている「サイエンスチャンネル」の番組で、森裕美子さんの活動ぶりが紹介された。逗子市の図書館が主催する実験教室で「もしもしホン」の製作を指導する風景や、お宅での予備実験のようすが紹介されている。一般の主婦がここまでやっていることに頭が下がる。われわれも負けてはいられない!
NEARのエロスContact 山本の発表
NASAのNEAR Shoemaker探査機は、1996年に打ち上げられ、昨年2月に特異小惑星エロス(地球に極めて接近することで有名)にランデブーし、小惑星を回る初の人工衛星になった。1年間にわたる観測を終え、燃料も尽きたので、最後のボーナスでエロスへの軟着陸を試みようという話になった。とはいえNEARは着陸装置など装備していない。当初計画にないダメモトミッションなのだ。そして、2001年2月13日(日本時間)、絶妙のフライトコントロールとエロスの極めて弱い重力(地球の千分の一以下)のおかげで、探査機は奇跡的に着地に成功し、その後もテレメトリを送ってきている。
かくしてエロスはアメリカが旧ソ連・ロシアに先駈けて軟着陸を果たした最初の天体となった。これまで、月、火星、金星と一番乗りはいずれも旧ソ連だったのだ。
写真はNEAR探査機とエロスのペーパークラフト。詳しい情報はNEARのWebページへ。
Physics2000 右近さんの発表
右近さんが紹介してくれたのは、米国ダートマス大学の教師による大学初年度の学生を対象とした意欲的な教科書だ。本にすると1123ページの膨大なテキストで、写真や動画も収録され、これでもかというほどの詳しさだ。これがなんと10ドルでPDFファイルのCD-ROMの形で手に入る。
Physics2000の入手およびサンプルファイルのダウンロードはここ。
ベルリンの水時計 市江さんの発表
この冬、ヨーロッパを旅してきた市江さんがベルリンで見かけた大がかりな水時計。フルオレセインで着色したと思われる水が奇妙な形をしたガラスの造形の中を流れ、時・分・秒を刻む。振り子時計の脱進器に相当する制御部が上部にあり、水の流れを振り分けている。機械部分は一切ない。水と空気の圧力だけで複雑な動きをこなしているようだ。
変身ウィングコマ 小河原さんの在庫放出ガレージセールより
小河原さんが、在庫整理で不要になった教材?を分けてくれた。これはそのうちの一つ。バネ仕掛けのスターターで回転させるコマだが、回すと遠心力でウィングが飛び出す。コマが急にふくらんだみたいで面白い。
蒸気機関を教材に 右近さんの発表
真鍮で作る蒸気機関のキット。ミニゴールドスチームカー(左)と弁慶号(右)。固形アルコール燃料でボイラを熱すると、かわいい蒸気音をたてて走る。はんだ付けなどの工作技術を必用とするが、お値段は数千円とおてごろ。「子供の科学」(誠文堂新光社)などに広告を出している科学教材社が販売している。製造元は有限会社あきら製作所。
どのスイッチでもON/OFFできる回路 平間さんと山本の発表
階段の明かりのスイッチは上階でも下階でも独立にON/OFFができるようになっている。スイッチ二つなら3路スイッチの組み合わせで比較的簡単に実現するが、3箇所以上で独立にON/OFFするにはどうすればいいだろうか。電気工学がお得意の平間さんに教わってモデル回路を製作してみた。もちろんスイッチだけで実現する。
答えは下の写真のとおり。両端は3路スイッチ、その間に4路スイッチ(逆転スイッチ)を配置する。中間の4路スイッチはいくつでも増やすことができる。平間さんが原理を解説してくれた。詳しくは次号YPCニュースを。
「携帯」ゲルマラジオ 鈴木亮太郎さんの発表
鈴木さんは無電源ゲルマニウムラジオを生徒全員に工作させた。エナメル線を巻いたプラカードのようなコイルアンテナを「携帯」して、歩きながらラジオを聞くことができる。右の写真は検波回路部分。ゲルマニウムダイオード、バリコン、クリスタルイヤホン、部品はこれだけだ。
トランジスタスイッチング 喜多さんの発表
喜多さんは永久回転コマ「トップシークレット」や電磁モビールに応用されているトランジスタスイッチの原理を示す回路を、鉄心の一部をはずしたトランスとブレッドボードで試作した。右はその回路図。
不思議な音のする球体 山本の発表
中国からのお土産にもらった不思議な球体。名称・用途は不明。真鍮でできているらしい球を手で持ってもてあそぶと、何やら中で転がるものがあり、音叉のような金属音が聞こえてくる。道教のお寺で販売しているという。構造が知りたいが、こわすのは惜しい。この物体について情報をお持ちの方はぜひメールを。
飛び出す実験本 小沢さんの発表
小沢さんが北欧旅行の途中で買い求めた大きな本。ページを開くとさまざまな実験器具がポップアップしてくる。左はカメラ、右は磁力の反発でカオス運動をする円盤型の振り子。わが国にもこんな本があったが、こちらはなかなか大がかりなものだ。実用性は疑問だが、この企画を通した出版社の意欲には敬意を表したい。
二次会 日吉駅前浜銀通り、龍竹酒家にて
二次会には16名が参加。お疲れさまでした。新田さんを囲んで、かんぱーい。
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