例会速報 2004/06/19 県立港北高校


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授業研究:摩擦力の実験の工夫と実験レポートの書かせ方 鈴木さんの発表
 鈴木さんは摩擦力の実験に関して、2点の工夫を取り入れている。いずれも他の方の実践を真似させていただいているものだというが、こういう情報を共有することが大切だ。以下、鈴木さん自身によるコメントを掲載する。

 1点目は、摩擦係数を一定にするために、木片と板に紙を張るという工夫。こうすると、面を変える場合も同じ条件で実験できるので、最大摩擦力は面の面積によらないということを確認でる。ただし、紙は水分の吸収により簡単に摩擦係数が変わるようなので、手の汗や湿度には要注意。
 2点目は、動摩擦力をはかるときに、バネばかりを引くとバネばかりの目盛りが読み取りにくいので、バネばかりを固定して下の板の方を動かすと言う工夫。このアイデアは、神奈川の石田誠一さんに教わった。
 ともに、私の実験プリントに方法をまとめているので、ご覧いただきたい。また、実験プリントの元ファイル(Word)が欲しい方は、メールにてご連絡を。(suzuki_takeo@nifty.ne.jp:@を半角に打ち直す。)
 実験レポートの工夫は、2004年3月末に行われたYPC授業研究合宿で、山本明利さんが発表したものを、そのときの議論を受けて改良した。ポイントは、項目別に自己評価するようにして、できていればその点に関して点を与え、その合計点を評価点とするということだ。詳細は、生徒に配布するレポートの表紙をダウンロードしてご覧いただきたい。
自分でチェックしてできているところは丸を書いて提出する。考察がわからなくて丸を書けなくても、出せばその分の点はつくということを明確にしてる。生徒本人は○のつもりでも、教科担当として不十分であると判断すれば、点は与えない。レポートの評価は、これまで教員をやってきて、いつも苦しむところ。この方式だと、かなりの公平性・客観性が確保できる。生徒も何をやればいいかということが明確になるので、取り組みやすい。

授業研究:物理I「電気」分野の授業の実践報告 右近さんの発表
 静電気から始め,電磁波を理解することを目標に,シラバスを構成した.授業の流れは以下の通り.1.静電気,電気振り子,フランクリンモーターの作製(静電気から電流へ),2.陰極線,3.電流,4.磁場,5.電流の作る磁場,簡易電流計の作製(電流を測るとはどういうことか),6.オームの法則,7.電流が磁場から受ける力,モーター,8.電磁誘導の法則,レンツの法則,モーターと発電機,交流発電機,9.交流,周波数,実効値,10.電場,11.電波,電波の発生,ヘルツの実験,電磁波の利用

物理I「電気分野」の趣旨に従い,演示実験・生徒実験を多く取り入れたが,特に工作の時間を確保することに留意した.フランクリンモーター(静電気モーター)と簡易電流計を全員が作製した.

 シラバスも優れているが、例会ではイラストレーターで描いたというオリジナルの図入りプリントが大変評判だった。右近さんの製図の腕前はプロ並みである。

しし座流星群DVD 山本の発表
 2001/11/19未明のレオニズ大出現はいまだ記憶に新しいが、あの興奮を永久保存するDVDが、アストロアーツから発売された。同内容のVHSテープは以前から出版されていたが、今回はさらに特典映像を加えてDVDで登場だ。超高感度カメラでとらえたリアルな動画映像など60分。¥2800(税別)

海図レターパッド,メッセージカード 宮崎さんの発表
 海図は安全な航海に欠かせない。また現状とあっていなければ役に立たないので、少しでも地形が変わると作り直しとなるそうだ。そのため,大量の海図が廃棄処分となる。その海図を裁断してレターパッドやメッセージカード,手提げ袋に加工したものが売られていた。遠足で行った横浜の港のおみやげとして,買って帰ったら,あっという間になくなってしまったという。例会ではその残りが販売された。各300円  販売:XーPort (045−650−8210)。大桟橋の客船乗り場の中とランドマークプラザの中にお店が出ている。

ヤングの実験用電球 宮崎さんの発表
 先月の例会で山本が持ちこんだ,グアムで購入した直線フィラメント電球(100v用)はとても明るく教室での観察実験に適していた。青少年センタープラネ放出品はやや暗く,また取り付けソケットも現在は販売されていない形状である。代用品として,平野さんよりウチダ理化学機器のヤングの実験用光源装置の補充部品「交換ランプ」,@5460円(税込み) DC10V-35W を紹介してもらった。また,中村理科のものでは直線電球6V  (D20−1281−01) 2200円、直線電球10V35W(D20−1284−01) 5800円がある。10Vのものはほぼ同じものだろう。
 上記のいずれもヤングに実験には使えるが,教室で実験するのに電源を持って行くのが煩わしいので,宮崎さんは100V用にこだわって市販品を探してみた。写真左は東芝インテリヤランプ 100V60W 税込み2300円。長さ27cmほどの管の中に3カ所フィラメントがあり,やや光のにじみを感じるものの明るくて教室用として十分だ。右はリンク 25WCE17K というインテリヤランプ(税込み1785円)。これもやや暗いが、十分教室で使える。
 

ジョージア(缶コーヒー)の「当たり」 車田さんの発表
 ジョージアの缶コーヒーの「あたり」です。携帯電話の着信時に「電話ですよ!」と声で知らせてくれる。アンテナより20cm前後で反応すると取り説にあったが、例会ではイマイチ反応が悪かったようだ。分解しようにも完全に密封されていて容易に中を見ることはできない。右は後日車田さんが提供してくれた解体写真。


ガリレオの定理 山本の発表
 任意の傾きの斜面を摩擦なく下る質点は、同時刻には常に同一の円周上に分布する。計算してみると確かにそうなるが、この面白い結論をガリレオ・ガリレイは新科学対話の中で指摘している。
 これを実験的に確かめるために写真のような装置を作った。ダイソーの100円金属トレーに、ナットを通したエナメル線を張り渡した。頂点から一斉にスタートしたナットは、同時に対岸の円周につき、同時に金属音を立てる。同時刻を音で示したところがミソ。
 詳しくは「ガリレオの定理」http://www2.hamajima.co.jp/~tenjin/labo/galileo.pdf(60KB)を参照のこと。

ローレンツ力 平野さんの発表
 帯電した箔検電器と棒磁石を使った,ローレンツ力が静止した荷電粒子には働かないことを示す実験。棒磁石の代わりに帯電棒を使った場合は,箔の開き具合が簡単に変化することと比較すれば,電場から受ける力との違いがわかる。教える側にとってはあたりまえのことでも、あえてやってみせるのは有意義だと思う。

ガウス加速器ダブルループミニ 越さんの発表
 04年1月の例会で右近先生が紹介され話題を呼んだガウス加速器、また、4月の例会で車田先生が発表された3段加速による宙返りを見て、これは面白い!と思った越さんは、ネオジム磁石(球形φ10[mm])同士を衝突させることにより、一度の加速でダブルループを実現した。鋼球3個とネオジム磁石2個をループ開始地点に置き、数[cm]離れたところにもうひとつの磁石を置くと、磁石同士が引き合い衝突し、鋼球ひとつが発射され、ダブルループ成功!鋼球3個と磁石2個の組み合わせでもなんとか成功できた。理科サークルのよい所は、互いに刺激しあい、新しいアイデアが生み出されることであろう。1メートルの配線カバー(0号)の下側を用い、角材への固定は一応、真ちゅう釘を使用。ループの直径は、1周目約15[cm]、2週目約12[cm]。
 

 また、12[mm]角のアルミアングル材を(60度くらいに)傾けて、ネオジム球をのせると、電磁誘導による渦電流が生じ、ネオジム磁石に運動を妨げる向きに力が働くため、球がゆっくりと転がっていく。球形磁石であるため(円筒形に比べて)、摩擦力の影響でゆっくりと転がるのではないことが、見て直感的に分かりやすい。

 金メッキのものは東急ハンズで、ニッケルメッキのものをまとめて必要な場合は、二六製作所HPまで、 http://www.26magnet.co.jp/index.html  「磁石を楽しむ」や「磁石Q&A」がとても面白い。

磁気浮揚 越さんの発表
 越さんが千葉の大山先生より譲っていただいたという磁気浮揚の実験セット。簡単に数個の鋼球が空中に浮かび、ちょっとびっくり!

パルス波の固定端での反射 平野さんの発表
 山のパルス波が固定端に入射すると谷のパルス波として反射する。その間に観察される波形は,固定端に対して入射波と点対称な波を考え,それと入射波との合成波としてえられる。しかし,この指導方法では,生徒は「なぜ山が谷になるのか」が納得できない。平野さんはその解決方法を探るために,一つの糸口を示したが、議論が沸騰し、結論は次回以降の例会に「継続審議(^^;」となった。

教育実習生による波の合成の教材 加藤竜一さんの紹介
 加藤さんの学校に実習に来ている教生が考案したという教材。三角波のすれ違い時の合成波を作図する実習だが、最後に各コマを切り離して順に重ね、一端をホチキスでとめてパラパラ漫画にして、動画として観察するというものだ。よい工夫である。

ミニ・エクスプロラトリアムのキャラバン 竹内さんの発表
 竹内幸一さんは、かつてソニーが出資して開催されたエクスプロラトリアム展の体験型実験を参考に、数々の実験器具を自前で取りそろえ、ワゴン車いっぱいに詰め込んで各地でミニ・エクスプロラトリアム展を開催している。この夏も、7月31日、8月1日の信州大理学部での科学の祭典と、9月11日の佐久市での長野県主催チャレンジサイエンスパークに、「科学の遊び エクスプロラトリアム」「だまし絵ミュージアム」を出展する予定だ。

二次会 大倉山駅前「樽平」にて
 18名が参加してカンパーイ。今年の6月は異常な猛暑である。今日も南から吹き込む風で、ムシムシと暑かった。ビールのうまいシーズンである。お店は満員。オーダーしてもなかなか品物が出てこない。大倉山界隈はどの店も混み合っていてサービスが悪い。しばらくは条件のよい店を探してジプシーが続くだろう。

 予約人数を超えてしまったので、4人ほど隣室にはみ出した。こちらの分会では、科教協札幌大会のナイターについての打合せが行われていた。こちらでも、食い物がちっとも来ないとぼやきが聞こえる。


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