例会速報 2011/02/13 神奈川学園中学校・高等学校
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Write on the Light 泉株式会社の製品紹介
今回は製品デモを兼ねて、Write on the Lightシリーズのスクリーンを泉株式会社さんに貸していただいた。写真はスチール黒板に貼り付けて使うケース一体型マグネットスクリーン(WOL-FX)である。ケースを黒板脇に貼り付けておき、片手で簡単に引き出して設置できる。黒板の一部がスクリーンに早変わり。しかもホワイトボードマーカーで書き込み、イレーサーで消去が手軽にできる。授業のみならずYPC例会の発表でも重宝な機能だ。
下は新製品WOLライティングパネル(WOL-P)。大型のテレビ・モニター画面にかぶせるように取り付ける、表面を特殊フィルム加工した透明アクリル板だ。画面を保護すると同時に、画面上に直に書き込みができる。視認性の高いポスカ風の専用マーカーも付属している。ビデオを映しながら、画面に直接マーキングして授業ができる。例えば物体の運動の様子を追ってマーキングしていき、軌道を解析するなどの板書がモニターを黒板代わりにしてその場でできる。
授業研究:波の授業 水上さんの発表
進学校における2年生の必修科目物理Ⅰにおける「波の性質」の「単振動」から「波の重ね合わせ」までの模擬授業である。ポイントは以下の通り。
①一般教室(暗幕無し)においてプロジェクターと書き込み可能な黒板貼り付け式スクリーン(泉の「Write on Light」ネットにて2.5万円で購入)を使う。授業開始5分前に教室に行って設置する必要あり。撤収も2~3分必要。
②作図方法や公式導出を説明するために自作のパワーポイントファイルを用いている(写真左)。手軽に何度でも使えるため,既習事項の再確認にも利用している。
③写真や図を豊富に使った公式プリントと穴埋め式の問題解答プリント(宿題も兼ねる)(YPCニュース参照)
④プリントの該当部分をスクリーンに拡大投影し,ホワイトボード用のペンで答や説明を直接書き込んでいく(写真右)。場面が変わるたびにいちいち消す必要があり,面倒なのが唯一の難点である。また,既習事項を思い出させるときにも使える。
⑤ウェーブマシンや水波投影器の動画(普通速・高速度)を投影し,これに書き込みながら説明を加える。(写真下)
⑥詳細な「授業案」(進行シナリオ,YPCニュース参照)(教材・教具が多く,授業で順序を取り違えることがあった)自分の授業を客観的に分析する際にも役立つ。
(補足)動画撮影にはCasioのEX-F1を使っている。毎秒30,300,600,1200コマで撮できる。また,画像がQuicktime形式なので「→」キーでコマ送りができ,授業での使い勝手が良い。
像の写る目の模型 岩間さんの発表
今回は岩手科教協の岩間滋さんが特別参加。お楽しみ広場さながらに披露された実験器具の一部はその場で実演販売された。写真は丸底フラスコに凸レンズをはりつけた眼球モデル。網膜は半透明ポリ袋。倒立した実像が写る。
空気の質量測定器 岩間さんの発表
炭酸用PETボトルのキャップに穴を開け、自転車または自動車のタイヤチューブ用のバルブを取り付ける。ポンプで空気を押し込んで、はかりで測れば空気の質量が測定できる。小さな風船やノズルを封じた注射器を入れておけば圧力に反比例して体積が変化する様子が観察できる。自動車・バイク用のバルブなら、タイヤゲージで圧力の測定も可能だ。
応用編として、PETボトルの底に小さめの穴を開け、大小の注射器のノズルをさし込めば、パスカルの原理を体感できる装置になる。「力=圧力×面積」が手応えとして実感できる。手を放したときにピストンが飛ばないように紐でつないであるのが安全に配慮した工夫だ。
密度測定用金属ブロック 岩間さんの発表
東急ハンズなどの素材コーナーでアルミや銅のブロックが入手できる。実際に寸法を測体積を求め、質量を割り算して密度を計算させる。そして、手で持った感触を比較させる。作業を通じて「密度」の概念を定着させる工夫である。
イオンの移動 岩間さんの発表
濡らした濾紙の真ん中に薄い塩酸を浸した糸を張り、これをはさむようにリトマス試験紙を並べ、280Vの直流電圧を加えると、イオンが移動してじわじわと試験紙の色が変わっていくのが観察できる。電源は商用交流をダイオード2個で整流する自作の倍圧整流器だ。四つ目基板と5個のパーツがセットで販売された。
セメント抵抗 岩間さんの発表
30Wのホーロー抵抗や20Wのセメント抵抗を使えば、白熱電球を電流計代わりに使って商用交流を電源にダイナミックな演示ができる。並列つなぎにするとフィラメントが明るく輝き、直列つなぎにすると暗くなる。セメント抵抗なら抵抗値に応じて、カラーコードを色鉛筆でマーキングできる。ちょっとした工夫だ。
バルサブーメラン 岩間さんの発表
針金のジョイントと3枚のバルサ板のキット販売。セロテープで貼り付けるだけでよく飛ぶブーメランが完成。適度な内反角がつけてある。
N体感ハンドグリップとN体感滑車 岩間さんの発表
百均のハンドグリップの復元力を実際に測定して、その大きさをニュートン単位で表示した札をつけて教室に置いておく。生徒たちが手にとって遊ぶうちに、ニュートン単位の力の大きさを体感として習得することができる。右はおもりをつるした紐を引くことで力を実感する装置。同様に力の大きさをニュートン単位で表示しておく。引きすぎたり落としたりして壊さないように細かい工夫がしてある。
受験に敗けた物理量/密度・圧力・抵抗 岩間さんの発表
「密度」はれっきとした物理量なのに、中学の理科教育では「質量÷体積」の計算結果としてしか扱われていないと岩間さんは嘆く。「圧力」や「電気抵抗」も同様に扱いが軽く、本質的理解を目指していない。それはペーパーテスト学力偏重の結果だというのが岩間さんの指摘だ。これらの物理量を実感させ、その必要性を理解させる方策を岩間さんは提案する。
静電誘導 石井さんの発表
長方形の木板の両面に塩ビとアクリルを貼り付け電気盆とする。乾いたティッシュでこすると、塩ビは負に、アクリルは正に帯電する。こうして帯電させた盆の上に、絶縁体の取っ手をつけた金属(皿)を重ねておき、金属に指を触れてアースすると、金属は逆符号に帯電する。ここまでは典型的な静電誘導の実験だ。電荷の正負は石井さ愛用の二段アンプで判定できる。
石井さんは金属の皿の代わりに、コルク、木の葉、皮のコースター、厚紙、乾し肉、するめ、岩石など、ありとあらゆるものを試してみた。プラスチック級の抵抗率をもつ絶縁体でなければたいていのものは電荷を運ぶ皿となりうる。
アルミホイルで折った折紙風船の穴から、導体球をストローの先につけた「電気匙」を差し入れ、風船の中から電荷をくみ出す。金属の内部は帯電していないことがわかる。もちろん外側は帯電している。
誘電体(発泡トレー)を帯電させてたてかけ、その近くでストローから水を滴下させ、二段アンプの電極につないだ金属缶で受ける。落下する途中の水滴に金属の針を触れてアースすると、水滴は静電誘導で帯電し、金属缶に電荷が蓄積する。ケルビン発電器の原理だ。
犬の散歩その2 田代さんの発表
2010年12月例会(ナリカ)で発表した「犬の散歩」その2。ローラー部分をキムチの容器から栄養ドリンクに変えると、伸び縮みの周期が短くなり、回数が増えた。今回、田代さんは紐の張力と糸巻きの回転で台車が進む距離に注目した。
どちらの写真も金属ブロックで瓶を固定している。左の写真では紐は柱の滑車を経由している。この時、紐の張力は大きくモーターの負担は大きい。平たく言うと力では損をしている。右の写真ではやや見にくいが、紐は柱の滑車を経由せず糸巻きから直接金属ブロックに伸びている。これだと小さい張力で台車は右に動く。しかし、テーブル上を同じ距離台車を動かすのに、右と比べて左は糸巻を少しだけ回転すれば同じ距離動かせる。力で損して距離で得していることになる。動画(7.8MB)はここ。
ゴム管の定常波 水上さんの発表
黒板上に内径8㎜のゴム管で長さ1mの弦を作り定常波を見せる教具である。基本振動から4倍振動までの様子を観察できる。’08年1月例会で発表したものだが若いメンバーが参加していたので再度紹介した。
超蝶 水野さんの発表
株式会社テンヨーのおもちゃ「超蝶」。極めて細いワイヤーで瓶の蓋の内側に繋がれている。ワイヤーのもう一方の端っこは超蝶の2枚ある内の1枚の羽根に繋がっていて、外部からの刺激により起動するモーターの回転がワイヤーと連動し、ワイヤーの一方の端にある1枚の羽根だけをばたつかせる構造になっている。瓶をたたくと反応してまるで本物の蝶のように飛び跳ねたり、羽をばたつかせたりする。単4電池3本で動作。パワースイッチは普通のONとデモモードのTry
meがある。ブルーモルフォ、ピンクモルフォ、キアゲハの3種類がある。動画(4.6MB)はここ。
おちないロボ・リベンジ 水野さんの発表
1月例会で紹介した「おちないロボ」の動きがおかしかったわけが判明した。三浦高校の机の表面は黒っぽくて、光の反射率が悪く、センサーがそこに机はない、と判断して後ずさりしてしまったのだ。そこで今回表面が白っぽい机で再度試したら、センサーが正しく反応し、机の端で後退して向きを変えて進む本来の動きになった。動画(4.0MB)はここ。
AIR HOGS【X-Flyer】 水野さんの発表
バンダイから発売されたおもちゃ。リモコンはなく、本体に搭載されているセンサーが下方の障害物を感知すると、プロペラの回転が増し、より高く飛び上がる。飛んでいる本体の下側に手や足を差し出すと、センサーが感知してより高く浮かび上がるので、手や足を使って飛翔体を操ることができる。つまみを持って浮遊する本体を投げ、キャッチボール感覚で遊ぶことも可能。動画(5.7MB)はここ。
物理の実験としては、密閉した容器の中にいる鳥などが飛び上がっても全体の重さは変わらない、という実験のモデルとして使えないかと考えている。単3形乾電池×6本で本体の充電池に充電して使う。約30分間の充電で、4分間飛行できる。緑と青の2色あり、本体サイズは約125(高さ)×138(直径)mm。
電気カップと電気ストロー 越さんの発表
ダイソーの「しっかりビーズ」(直径6.5mm程度の発泡スチロールの小球)に墨汁(食器洗い用の洗剤を混ぜておく)を塗り乾燥させると軽い導体球になり様々な実験に使える。
応用例その1「電気カップ」。フタ付のプラカップの底面とフタの裏側にアルミホイルを貼っておく。底に切れ込みを入れアルミホイルの小片を差しこみ、電極として外側に出しておく。フタの裏側のアルミホイルも余った部分を外側に折り返しておき電極とする。中に導体球と、不導体球
(墨汁を塗っていない発泡スチロールの小球)を入れておく。起電盆の上に載せ、上面のアルミホイルに指を触れるなどしてアースすると導体球が激しく上下し、アース側に電荷を運ぶ。それに対し不導球は帯電したまま、容器の壁面などにくっつく物が多い。写真左はマジックウエーブステッキに触れて導体球が踊っているところ。
応用例その2「電気ストロー」。直径が10mm程度のタピオカ用のストロー(ダイソーのスーパービッグストローなど)に上記の導体球を、動く余裕がある程度に入れ、両端をアルミホイルでふさぎ電極とする。写真右のように一端の電極を起電盆などの帯電体に接触させ、他端を手で持つなどしてアースすると、中の導体球が激しく衝突を繰り返しアース側に電荷を運ぶ。動画(3.7MB)はここ。
マジックウエーブステッキに電気ストローの電極を接触させると、中の導体球が激しく衝突を繰り返す。動画(3.6MB)はここ。電荷の移動が導体球の運動として見られて面白い。また、端の電極ではなくストローの中ほどを手で持った場合には、始めのうちは導体球が動くが、程なく止まってしまう。これは、手の位置にまで電荷を運ぶとその部分が帯電してしまうからであろう。ストローの中に不導体球を1つでも入れておくと、電荷の移動が続かないので他の導体球も動かなくなる。また、ストローの長さや導体球の個数によって、全体の抵抗値を変えることができる。
バンデグラフ起電機の近くに持っていくと(写真右)電場の強さに応じて、激しく導体球が衝突を繰り返し少しずつ電荷を運ぶ。近づけ過ぎると放電するので注意が必要である。ネオン管や蛍光灯を光らせる実験と共に行うと良い。
また、電気ストローをティッシュペーパーなどでこすり帯電させておくと、中の導体球も帯電し、他の帯電体を近づけたり外側から指を触れたりした時の導体球が動き面白い。導体球の使い方は、他にもたくさんありそうだ。
二次会 横浜駅前「うず潮屋・横浜西口店」にて
12人が参加してカンパーイ!遠方から参加してくださった岩間滋さんを囲んで盛り上がる。今回も発表件数が多くて、例会本体では消化しきれなかった。もちろん珍しいお客さんの発表を優先するので、次回廻しで持ち帰った常連も何人もいた。一部は、この二次会の席で酒の肴として披露されることもある。
ホバーホッケー 高杉さんの追加発表
例会本体の時間制限のために、はみ出してしまった、たかすぎさんのネタ。YPCメーリングリストでも紹介されたホバーホッケーだ。以前の「ワールドホバーサッカー」よりもふたまわりほど小さく、値段も安い。たかすぎさんは以前の製品(類似品)を持っていたのだが、小学生対象のイベントで何回か使用しているうちに壊されてしまい、代替品を探していたのだという。
厚木のドンキホーテで598円。等速度運動などのデモにはもってこいだ。生徒用にたくさんあってもよさそう。多少の破損が出ても、生徒に「実感」をつかんでもらえれば安いもの。どこかで見つけたらまとめ買いだ。
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