例会速報 2014/03/16 相模大野高校


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授業研究:物理基礎「仕事とエネルギー」 車田さんの発表
 車田さんの勤務校では、校務多忙の若手の教員は、1・2学期にまったく実験ができず、3学期に3年の授業がなくなったときに生徒実験、研究授業を実施している。今回の研究授業は、言語活動をとりいれることが目的である。
 1クラス6班に分け、「振子」と「自由落下」と「EM」(Energy Machineの略)に分かれて測定を行い、黒板に貼った記録用紙に記入し、各班が測定結果を見て比較できるようにした。
 

 「EM」は写真のように、ばねでビー玉をはじき、レールをつたってどの高さまで上がるかを測定する装置を自作した。バネでビー玉をはじいた時の速さはビースピで測定する。製作時には、バネの弾性力による位置エネルギーも視野入れたが、ちょうど柔らかいいいばねがなく、バネの射出部分の操作が難しいものになった。
 

 「自由落下」、「振り子」(下の写真)および「EM」の3種類の実験を各2班ずつ行い、実験によって得られた測定値を黒板の記録用紙に記入する。他の班の結果も見ながら、力学的エネルギーが保存されるかを各班で話し合う。3種類の生徒実験を行った結果、自由落下、振り子は理論通りの値か、近い値でおさまったが(90%~100%)、「EM」の値は40cmの高さから転がした結果、理論値から大きく違う結果が出た(58%~78%)。差の原因については生徒からは空気抵抗やレールとの摩擦などの答しか出てこなかった。
 喜多さんから、EM実験機でばねではじいた結果と40cmから転がした結果とでは、ばねではじいた結果のほうが理論値に近く、転がり摩擦が大きいのではと指摘を受けた。EM実験器のレールはコードカバーを曲げて作成し、いくつかの教室を移動している間に曲がったりレールの一部が折れた跡が影響していると考えられる。EMの実験において、ビー玉が転がることによる転がり摩擦が大きな要因と考えられる。が、そこまで生徒に説明、理解は指導するところまで授業展開されていないのが実情である。
 

ぶつからないミニカー 加藤さんの発表
 EyeSightのキャンペーンとして、SUBARUで試乗するとお土産にもらえるらしいミニカー。加藤さんは、子供を連れてお店に行ったところ、試乗していないがもらえたとのこと。
ミニカーには赤外線距離センサーがついていて、前方に障害物があると、適度な距離で止まるようにできている。
 

 YPCのメンバーはさっそく思いつく限りの実験を始める。障害物の反射率や、メッシュの荒さ、車の進行方向と面の角度など、次々に条件が示されて、片っ端から試してみた。赤外線の反射が元の車に届かないような条件設定をするとうまく止まれない。また、二台を真正面から対向して走らせると、あっけなく衝突してしまった。障害物が小さすぎるためか、相手の信号が干渉するためか真相は不明。

力学的エネルギー保存の実験 田代さんの発表
  田代さんは黒板に磁石で貼りつける装置を作り、中3の授業に使った。振り子のおもりはダイソーで購入したソケットレンチである。
装置の中央に振り子の糸がぶつかる棒を差し込むようになっている。おもりは左半分では半径の大きい弧を描き、右では半径の小さい弧を描く。左で高さの目盛2で離したおもりが右でどこまで達するかという実験をやる。中学生は左と右で同じ長さ(右は弧の半径が小さいので高く上がる)と予想する生徒が多かった。
 装置の下の台は、ビースピを置いておもりの通過速度を測ったり、木片を置いて任意の高さから下りてきたおもりをぶつけ、何cm押し動かされるかを調べるためのものである。

エネルギーの変換効率 田代さんの発表
 中3の理科に「科学技術と人間」という単元があり、どの出版社の教科書でも「エネルギー変換効率」を扱っている。その中でもT社は図のような実験が載っている。まず重力がした仕事を求めておく。一方、電圧×電流×時間で電気エネルギーを求める。そこから「エネルギー変換効率」を計算させる実験である。中学でここまでやる必要があるのだろうか。他社はここまで扱ってはいない。実際の火力発電の変換効率で足を引っ張るのは熱機関の部分で、力学的エネルギーから電気エネルギーへの変換効率は非常によい。しかし教科書にあるこの実験を行うと、運動エネルギーから電気エネルギーへの変換効率が低いという誤解を与えてしまう恐れがある。
 

 おもりが下りることで発電機を回す装置で、発電しても電力を使わなければ位置エネルギーの減少は運動エネルギーの増加になる。ガラスの鍋ぶたをフライホイールとして軸に付けると運動エネルギーの増加をスローモーションのように視覚でとらえやすい。おもりが床に達してからもフライホイールが回っている。回っているとき回路を閉じて電力を使うとフライホイールはすぐ止まる。これは電気エネルギーは運動エネルギーが変換したものだという理解を助ける。
 次に回路を閉じて電力を消費しながらおもりを降下させると、おもりはゆっくり等速で下りる。位置エネルギーの減少は運動エネルギーの増加にならず、電気エネルギーで使われることになる。 電気エネルギーを確かに使って いるのが視覚でわかるようにLED9個のライトを使ってみた。はずみ車を外してやるとなかなか調子かよい。
 

たたんでひろげる宇宙構造物 車田さんの紹介
 神奈川県こどもサイエンフェスティバル(大和・相模原・藤沢・平塚)でのJAXAのブースの出展内容の紹介。ミウラ折などJAXAの十八番の工作教室だ。折りたたんだ状態から簡単に展開・組立ができる立体などの宇宙展開構造物モデルがストローと輪ゴムだけで簡単に作れる。ストローを半分に切り、両端に5mmほど切込みを対称に入れる。ストローとストローを切れ込みに輪ゴムをはさみ、3本をつなぐ。ストローと輪ゴムがレの字になるように組上端と下端を輪ゴムで正三角形になるようにはめ込む。出来上がりは三角柱がねじれたような形になる(写真右)。
 

 応用として、ストロー5本で五角柱のものもできる。ねじるとストローを束ねた状態になり、ロケットに搭載され、宇宙に放たれたらゴムの弾性力で広がるという伸展モデルの工作だ。

サイエンスカフェ報告 青木さんの発表
 東工大のグローバル原子力安全セキュリティエージェント教育院の大学院生が企画した高校生向けサイエンスカフェの成果報告があった。あいにく当日の2月15日は、東京では45年ぶりという記録的な大雪の日に当たり、交通機関が麻痺する中での波乱の展開となった。
 

 「あなたはエネルギーについてどう考える?」というテーマで、エネルギーをめぐる今日的課題と、これからのエネルギーの可能性について語り合った。困難を乗り越えて集まった高校生は10人。アンケートからはよい手応えが得られたという。

落ちない飛行機 水野さんの発表
 商品名は「くるっぴー ANA」。ゼンマイ仕掛けのおもちゃで、机の端などに達するとくるっと右向きに進行方向を変えて、転落を回避しながら進む。仕掛けは簡単。進行方向と直角に回転する車輪がついており、通常はそれが接地せずに回転している。机の端などに来て、前輪が脱輪するとこの車輪が接地し車体が向きを変える。回転する向きは常に決まっており右回り。それはこの車輪の回転方向に依っている。センサーなど最新技術を使わなくても同じような動きができる面白いおもちゃだ。年配の参加者からは「ブリキのおもちゃの昔からあった仕掛けだ」との声も。
 私学研修会で羽田のANA整備工場見学をした際、売店で見つけて購入した。税込み504円。そういえば整備工場には、ANAが購入したばかりのボーイング社の新型旅客機787型機(バッテリー不調など騒がれた機)が1機置かれていた。
 

吸水ポリマー 水野さんの発表
 昨年の文化祭で水野さんの学校の理化部は「吸水・撥水」をテーマに研究発表した。その際使ったものの一つがこれ。あらかじめこの粉末をコップに入れておき、そこに水を注いでしばらくしてからコップを傾けても水がこぼれないなどというマジックにも使われている。説明には1gで約300ml以上の水を吸収できると書いてある。ただし、水以外のものが混じっていると吸収力は落ちる。成分はポリアクリル酸ナトリウム。紙オムツなどに使われている。ネットで200g1980円の商品を購入したが、調べればもっと安い商品もある。
 

ミラーリング 益田さんの発表
 以前、市原さんが紹介してくれたReflectorの再紹介。PCにインストールすることで、iPad/iPhoneをミラーリングする(iPadの画面をPCに映す)ことができる。WiFi環境が必要だが、手元のiPad操作がカメラも含めてPC画面に映せるので、授業でいろいろな活用が期待できる。さらに、複数台の画面を一つの画面に映せることも面白い使い方が出来そうだ。
 

仮説社の報告 長舩さんの発表
 2014/01/19例会の後日、長舩さんは仮説社を訪問して当書籍の指摘をしたところ、執筆者から回答の文書が届いたとの報告があった。回答の趣旨は、
 (1)この本の中では質量が等しいので「力×時間=速さ」が成立するということを示している。
 (2)誤解をまねきやすい可能性がある。
 (3)映画そのものを直すことはできないが、仮説社HPからダウンロードできるプリントで「質量が同じ」と明記して訂正したい。
というものだった。残念な回答というのが正直な感想である。今後に期待したい。


ホンダのピタゴラ風CM 越さんの発表
 越さんから、今話題になっている車のCMの紹介があった。イギリスの車情報サイト『Auto Express』が読者投票で選出した自動車のコマーシャル「歴代ベストNO1」に2003年にイギリスで放送されたホンダ・アコードのCMが選ばれた。
 

 すべてアコードの部品を用いた約2分間のピタゴラ装置。600回以上繰り返し、成功したという。そのメイキング映像はここ

ホンダ・CR-VのCM 越さんの発表
 錯視やトリックアートを取り入れたレクサスのCMが放送されているが、以前放送されていたホンダCR-VのCMでも面白いものがある。メイキング映像も見られる。
 

 上段の写真では、車は直進しているが2つのアーチを通り抜けることができる。下の写真のシーンは、大掛かりな「エイムズの部屋」の仕掛けである。 

教室で教えたい放射能と原発 宮崎さんの書籍紹介
 江川多喜雄さん、浦辺悦夫さんが「教室で教えたい放射能と原発」という本を出版した。子どもに教えるという視点で要点をおさえている。いかだ社刊。YPCでは著者割引でまとめて共同購入することになった。
 

二次会 相模大野駅ビル「新福記・相模大野店」にて
 18人が参加してカンパーイ!相模大野の駅ビルにある中華料理店「新福記」では2500円で全料理がオーダーバイキング時間無制限食べ放題、飲み放題つきでも4500円とリーズナブルな価格設定。本日は高級中国料理をたらふく食べて、これまでにない贅沢な二次会となった。この春で退職する人、転勤する人もいて、はからずもご苦労さん会となった。


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