例会速報 2024/08/24 国民生活センター・Zoomハイブリッド
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国民生活センター
8月例会は恒例により、宿泊例会である。今年から新たな会場を開拓し、相模原にある国民生活センターの研修室と宿泊施設を利用した。同センターは、国民生活の安定及び向上に資するため、情報の提供及び調査研究を行っている機関で、平日は商品テストなどの実験的研究もしている。
夏休みの研修報告 みんなの発表
8月例会では、夏休み中に各自が学会やイベントに参加した際の体験を報告し合って共有するのが恒例だ。
峯岸さんは、今夏はじめて科教協全国大会に参加した。手作りの教材や「これがあったらいいのに」という教材を入手できて、ご満悦。土肥さんの教材などにも大いに刺激を受け、「いままで自分の授業は、自分の思う学問としての楽しさを押し付ける授業をしてしまっていた。科教協に参加して、遊びの中の学びや、生徒が作ってわくわくするような教材を知ることができた。」とのこと。
天野さんも科教協に参加し、力の合力の図示のしかたについて厳しい討論が行われていたことが印象に残ったという。
古谷さんは、科教協いわて花巻大会で小学校中学年部会に参加した。岩手の玉山功さんの「子どもが楽しむ理科学習とは?~小3『じしゃくのひみつをさぐろう』の学習を通して~」の報告が記憶に強く残っている。児童1人、教師1人という特殊な、しかし、恵まれた環境での3年の磁石の学習。1つの問題に対して1時間をかけて行い、その内容をきめ細かく報告した。キャラクター化した磁石が登場する紙芝居を活用しながら授業を進めるのが特徴的だった。特にフェライト磁石を細かくハンマーで砕いて試験管に入れ、「これは磁石にくっつきますか」という設問のために準備をした部分が印象深かった。「磁石は細かくなっても磁石」という考えを導くため、徹底して準備のために時間を割く、という姿勢に古谷さんは感服した。
越さんも、科教協に参加し、2023年8月のYPC例会で発表した「戦争と環境問題」のレポートを元に、社会と自然分科会で発表した。発表後、CO2排出については総量で考えないといけない、戦争は結局、経済との関わりで考えないといけないなど多面的に意見をもらい、大いに勉強になった。会後の感想用紙には、広く議論ができて良かった、皆が心の奥底に沈殿している思い、テーマについて話し合えた、などの感想があった。
更に越さんは、東京物理サークルの夏合宿に初参加し、ノーベル賞受賞者の梶田隆章氏の誠実で丁寧な講演を間近に聞くことができた。また、自身でも「面白物理とコミュニケーション」というテーマで、生徒にとって親しみにくい物理の内容をいかに工夫して身近に感じてもらうかなどについてレポートした。
市原さんも、科教協大会のわくわく+(旧ナイター)に参加した。兵庫のファラデーラボ/かがく教育研究所の森本さんの「回路カード」についての報告。「黒板演示用回路」と原理は同じである。回路図通りに直感的に回路が組める点で、効果的な教材だと思うが、「どのような回路を扱うか」は対象が小学生なのか中学生なのか高校生なのかによって変わってくる。市原さんは会場で見た「通電はしているが電流が小さすぎて光っていない状態」の豆電球(右図の左側2個)が登場する回路は少なくとも初学者には避けておきたい、という感想を持った。どんな授業でも、対象者に適した教材を選ぶことが大切なのだと再認識した。
益田さんからは、同じく科教協の物理分科会の報告。埼玉の石井さんの「MetaMoji」を使った授業報告についての情報共有だ。「MetaMoji」は生徒一人一端末にて利用される授業支援アプリで、画面のワークシートに直接書き込んだり、ノートやプリントをカメラから写真に撮り貼り付けたりして生徒の回答を集めることができる。左図のように、全生徒の作業状況を教員用画面で一覧できる。
石井さんは、物理基礎の運動の単元で「xーtグラフの傾きが速度になる」の説明で、生徒の端末で配布したグラフを限界まで拡大することで接線のイメージが、紙のプリントで行うよりも強まったと報告していた。図形の拡大縮小は、デジタル端末の強みになる。その他、vーtグラフの面積を求める際も、アプリ内のツールで直線が簡単に描け図形の調節がしやすいとの報告もあった(右図)。
益田さんの私の勤務校でもMetaMojiを使っており、有意義な情報交換ができたという。なお、MetaMojiは個人での購入は難しいようで、学校ごとの購入となる。
鈴木さんは、同じく科教協大会の、「わくわく+」での「奈良教育大学付属小学校の目指した理科教育と今」という講座の参加報告をした。奈良教育大付属小学校は、指導要領に沿った教育をしていない、とマスコミや文科省から指摘され、「指導」が入り、教員も3年間で全員交代させられる、という事態になっている。理科だけの問題ではないが、理科は指定された学年ではない授業(カリキュラム)が組まれている、ということを指摘された。この「講座」では、どうして学年を変えてカリキュラムを組んでいるのかを、昆虫の学習を例に、子どもたちの発達段階を見据えて、長年にわたって研究した結果としての理由の説明があった。とても説得力があり、教育研究をしている学校の研究の深さを知ることができた。鈴木さんは今後も奈良教育大付属小にかかわる問題に注視していかないといけないと感じた。
山本は工学院大でのAPEJの研究大会の業者展示で見た、ナリカの新製品を紹介した。右図は「投射装置ML」。黒板に貼り付けて実験できる鉄球射出装置で、射出口付近にビースピがとりつけられ、発射角も変えられるようになっている。マグネットメジャー付き。動画(movファイル8.2MB)はここ。
もう一つはコリオリの力による運動体の転向を観察できる「コリオリの力実験器・コリーくん」。装置を手に持って、小さな穴から噴出する水を上から観察しながら観察者自身が「地球」になって回転すると、水流が曲がるのが観察できる。動画(movファイル6.5MB)はここ。
Seestarで黒点観測 鈴木さんの発表
鈴木さんは、1年以上前から「電視観望」に挑戦している。新たに発売された「SeeStarS50」というスマホ天体望遠鏡を昨年末に購入し、電視観望が簡単にできるようになり、ときどき太陽黒点や月や星雲・銀河の写真を撮って楽しんでいる。
例会では昼間は晴れていたので、黒点観測の様子を実際に披露してくれた。セッティングは簡単。GPSをとらえるために何回か回転させたり、水平をとったりする程度で設定完了。あとはスマホアプリで捕まえたい天体を選択してタップするだけ。太陽の場合は動き始めてすぐに減光のためのソーラーフィルターを装着する。
起動して1分ほどで目標天体(ここでは太陽)をキャッチ。リアルタイムでスマホの画面で確認できる(左図)。右図は当日撮影した太陽像。黒点が普段よりもたくさんあるのがわかる。動画(movファイル24.2MB)はここ。
例会の夜は曇りで残念ながら星雲の観望はできなかった。下の写真は、鈴木さんが自宅ベランダで撮った月(左)と冬に撮影したM42オリオン大星雲(右)。市街地の明るい空のもとででの撮影である。参加者からは「すごい時代になったものだ」と感嘆の声が聞かれた。例会後半の、宮﨑さんの発表も参考にされたい。
CD(DVD)コマ2024年バージョン 古谷さんの発表
古谷さんは以前、CDやDVDのスピンドル穴に耐油チューブを差し込み、それを軸としてコマにするアイデアをもらい、その後も、例会発表時の助言や科教協のお楽しみ広場での参加者の意見等を足がかりに改良を重ねてきた。今年、たまたま外径15ミリのPVC製のパイプがAmazonで扱われていると知り方向性が決まった。コマを二段式にして回転させた場合(右図)、下段のコマの軸が歳差運動のごとくブレることが回転時間上の問題点であった。長年使用してきた耐油チューブ(左図奥)からPVCパイプ(左図手前)に変更したことで問題点はかなり改善された。上段のコマを受ける軸の頭にはボタンを使用しているが、接着方法とボタン以外のパーツの選択、及び軸に取り付ける球をより小型にするための工夫が今後の課題ではないかと、古谷さんは思っている。動画(movファイル5.0MB)はここ。
かぶるプラネタリウム 宮﨑さんの発表
宮﨑さんは夏の科教協花巻大会で、参加者から20年以上前にYPCニュースに書いた記事について聞かれ、帰宅後、古いデータを探しまわった。この捜索の副産物として、「かぶるプラネタリウム」のデータが見つかったので例会に持ってきた。昔、港北高校で地学を担当したときに授業で生徒に作ってもらい、楽しそうに作って遊び、「帰って弟に見せる」と喜んで持って帰った生徒を懐かしく思い出したという。
北天星図2枚、側面の星図6枚を、印刷が内側になるように貼り合わせ多面体にする。その中に首をつっこんで内部から見る。アトウッドタイプのプラネタリウムといえるだろう。宮﨑さんが持参した展開図4セットはその場で希望者に譲渡された。
光弾性の実験キット 宮﨑さんの発表
宮﨑さんは、昔、埼玉の湯口秀敏さんから購入したという光弾性実験キット40セットを会場に持ち込んだ。二枚の偏光板の偏光軸を直交させて、間に塩ビの透明ブロックをはさみ、物体中のひずみを視覚化し、作用反作用の現象を「見る」。湯口さんは「できるだけ生徒一人一人に体験させたい」と40セット用意していたので、これを購入したのだが、残念ながら塩ビが経年劣化で白濁してしまった(右図)。
しかし、オンラインで例会に参加していた竹部さんから、「ダイソーなどで購入できる耐震マット(左図)で代替できる。」という情報を写真と共にいただいた。右図は竹部さん提供の写真。PCなどの液晶ディスプレイには偏光板が使われているので、その前でブロックにストレスを加え、もう一枚の偏光板を通して見ると、光弾性の実験になる。なお宮﨑さんが持参した40セットは、峯岸さんに譲渡された。
ぜんまいおもちゃ 鈴木さんの発表
綱引きの勝敗が垂直抗力で決まるという教材をこれまでも何度か紹介してきたが、動物のぜんまいオモチャはもう売られておらず、2024年6月例会では昆虫のおもちゃが紹介されたが最適ではなかった。鈴木さんは、何か他にないかと探した結果、アマゾンでぜんまいオモチャを入手できることが分かった。
HOLIDYOYO 12個 ぜんまい歩行機 キッドクラフトプレイセット 12個セット1589円(価格は変動する)。
紐を結びやすく、またおもりもカードリングを使うとちょうどよい。おもりを載せると勝つし、おもりの載っている方のぜんまいの巻きがなくなっても、そちらは動かず、逆におもり載っていない方のぜんまいの巻きがなくなって止まっても、おもりの載っている方が必ず引いていく。大量に購入できるので、班で1個の実験を行えるようになった。授業は9月に実施予定。動画(movファイル3.8MB)はここ。
ピンポン射出機 天野さんの発表
天野さんは、ダイソーの「ピンポンショット」というおもちゃを改造して、ギアモーター(中国製)を取り付け、ピンポン球の自動射出機を製作した。手作り感あふれるカム機構だが、手軽に作ることができそうだ。力学台車に載せることもでき、鉛直投射/斜方投射の実験などに使えるとのこと。動画(movファイル2.0MB)はここ。
合わせて、ダイソーつながりで、以前にも発表のあったストローと「発泡しっかりビーズ」を使った紙玉鉄砲の紹介や、小物の袋詰めに便利な「イージーシーラー」の紹介もあった。
APEJ公開講座報告 植田さんの発表
植田さんは、磁場が教えにくいという課題解決に向け、MRを取り入れた磁場の視覚化教材の開発に取り組んでいる。日本物理教育研究会(APEJ)の夏期研究大会でも企業展示を行った。また、2024年8月21日に埼玉県立与野高校で開催されたのAPEJの公開講座のあとに、フィール・フィジックス社の磁界観察装置の体験会を実施した。
この体験会には12名の生徒が参加し、磁場の3次元的可視化を体験した。以下は、そのときのアンケート結果である。
・観察はとても面白かった:100%
・磁場の理解が深まった:100%
・理由:実際に確かめられる、リアルだから、立体的でわかりやすい、イメージしやすい
植田さんは、このような観察を多くの子どもたちに体験してもらうには、科学館での展示が最適ではないかと考えている。また、大変忙しいなか機会を設けて下さった埼玉県立与野高校の後藤先生と石井先生への感謝を表明した。
ニュートンのゆりかご 宮﨑さんの発表
宮﨑さんは、昨年10月の例会でセリアの「百均の自由研究 テンセグリティ」を紹介した。今年はダイソーの「夏の自由研究」コーナーの「ニュートンのゆりかご」の紹介。いわゆる「衝突球」で、ガラス玉7個からなる。完成品だとAmazon等で¥980~¥5,980で売られているが、この工作キットは330円。宮﨑さんは最寄り駅のダイソーにあったもの全て買い占めてきて、例会会場で原価販売した。作り方は、岐阜物理サークルの村田さんのYouTubeに詳しい。
土肥さんの電気のフライパン 越さんの紹介
越さんは、2014年8月例会で紹介した電気のフライパンの土肥さんによる改良版を紹介した。ダイソーなどで売られているパーティーカーテン(左図)は幅1m、長さ2mのすだれ状のカーテンで、プラスチックフィルムにアルミコーティングした幅7㎜位、長さ2mのリボンからなる。このリボン状のフィルムを30㎝ほどの長さに切り、直径10cm程の輪にする。つなぎ目は接着剤や両面テープを用いる。
電気のフライパンは、大きめ目のアルミ皿に発泡ポリスチレンなどの不導体の柄を大きいダブルクリップを用いて取り付けておく。プラスチックボードをサランラップなどでくるみ、ティッシュペーパーなどで擦りマイナスに帯電させておく。その上に電気のフライパンを乗せ縁の部分に指で触れると、マイナスの電荷が逃げ、フライパンはプラスに帯電する。このフライパンに、予めパーティーカーテンで作った導体フィルムの輪を乗せておくと、フィルムもプラスに帯電するので、輪は宙に浮く。以前紹介したものより、輪が大きいので安定して浮遊する。例会では、ラップの帯電が不十分で、輪は浮かなかった。やはり夏場の静電気の実験は難しい。科教協いわて花巻大会で土肥さんは、猛暑の中でも十分にラップを帯電させていて、見事に輪を浮遊させていたという。流石である。
夕食後第2部へ 国民生活センター食堂・研修室にて
例会第1部を終えて、宿泊する11名は夕食と入浴。19:30から研修室に戻り第2部を再開する。第2部はアルコールも含めて飲食しながら楽しく議論する。ここからが合宿例会の本領だ。それではカンパーイ!
逆立ちゴマ 寺田さんの発表
山口からオンライン参加の寺田さんは今、逆立ちゴマ(左図)の自作に取り組んでいる。通販の逆立ちゴマは3個セットでまともに逆立ちするのは1個ぐらいの歩留まりだという。不良品を修理しようにもそのコツがわからない。子供でも作れるような身近な材料で安価に作れるといいが・・・アイデア募集中。右図はビー玉4個を正四面体配置で接着したもの。逆立ちゴマではないが、強くひねると頂点を下に、底面を上にして回転する。ブレイキンのヘッドスピンに見立てて興味をひこうと考えている。
AMラジオ 山本の紹介
おもしろ科学たんけん工房の科学工作教室「体験塾」のメニューの一つに「ICラジオ」という工作がある。同工房横浜北2グループの松本聡さんは、この工作をコンパクトに改良し「フラットラジオ」と名付けた。山本は分けていただいた材料で組み立てた見本を会場で紹介した。
同調回路は紙皿に10mのホルマル線を巻いたスパイダーコイルと、アルミテープをクリヤーフォルダーで絶縁したコンデンサーからなる。コンデンサーの一方の電極を抜き差しして選局する。アンプ・スピーカーはダイソーのミニスピーカー(\330)を使用している。
検波回路は1チップ3端子AMラジオIC・UTC7642を使用。小学生対象なのでハンダ工作を避けて全てネジ止めで配線する設計である。窓際に寄って選局すると明瞭にラジオ放送が聞こえてくる。LC共振回路の部分が手作りでむき出しなので、高等学校の教材にもなるだろう。
スマート望遠鏡の比較 宮﨑さんの発表
宮﨑さんは、MLで話題になった、スマート望遠鏡のSeestar S50(例会の冒頭、鈴木さんが見せてくれた)とDwarf 3の情報をネット検索してまとめた。SeestarはD50mm、f250mmのレンズだけなので画角が限られるが、価格的には例会当日よりさらに安くなってきている。
Dwarf3はまだ日本では販売されておらず、クラウドファンディングで購入者(支援者)を集めている段階である。発送は10月以降とのこと。Dwarf3は、望遠の他に広角レンズも装備しており、星野写真や広がりのある天体(星雲)を撮るのには良いようだ。ただ一人で買うのにはまだ少し高い、何人かで共同購入すると安くなる。希望者は宮﨑さんに連絡を。
私の素朴概念 峯岸さんの発表
峯岸さんは、幾何光学を教えるとき、「像ができること」と「像が見えること」の違いを意識しながら授業を行っている。その中で、「像が見えること」について大きな勘違いをしていたことに気づき、共有してくれた。峯岸さんは今まで、
A:目に入ってきた(最低2本の)光を逆にたどったとき、その光の交点の場所に「モノ(実際の物体や像)」があるように見える(下の左図)。
B:物体の1点から出た光が、網膜上で再び1点に集まるように、水晶体は自在に厚みを変える(下の右図)。
という2つの素朴概念を抱いていた。この2つの概念は一見、どっちも正しいように思える。
ところが、いろいろな現象を考えたときに、どちらかに矛盾が生じることが分かった。果たして、どちらの概念が間違っているのだろうか。例会では、目のレンズ(水晶体)も含めた組み合わせ光学系の例も挙げて議論が沸騰したが、峯岸さんと参加者で考え方が異なり、討論は時間切れで宿題を残した。
血液型と免疫力について 古谷さんの紹介
古谷さんは、藤田紘一郎著「血液型と免疫力」(宝島社新書)の内容を紹介した。知人夫妻が最近新型コロナに感染したことをきっかけに購入し、いつになく丁寧に読んだという。例会で古谷さんは、「本の概要の一部、及び血液型を決める基礎的な部分について知り得たこと等」を報告した。
カバーの説明には、、「もしも血液型が1つしかなかったら、人類は早くに感染症で絶滅していただろう。血液型とは(中略)後世に命をつなぐために築かれた免疫システムの一部だった。」とある。
著者も「血液型に触れることについては、エセ科学としてタブー視されていた」ことを十分に承知した上であることを記述している。古谷さんも「それは科学ではない」という意見が出ることは予測の上で例会の話題にした。例会の流れは古谷さんの予想通りになったが、「科学と対立したり、科学を冒涜する」内容でない限り、報告の内容に少しでも立ち入って考えて欲しかったと、古谷さんは考えている。「『血液型人間学(能見正比古)』による血液型性格判断とは趣がかなり違い、科学として醸成する?数歩手前の見解を示す本として一読に値すると思う。」が古谷さんの主張である。
これに対し鈴木さんは「学術論文でなく啓蒙書で出されているだけのデータは、「そういう話もある」というだけで、それを科学的に取り上げるにはデータ不足だし、学術的に認められるレベルではない。こういう情報は慎重に対応すべきである。」という意見を述べた。
物理を好きになってもらうために 越さんの発表
「はぁって言うゲーム」(幻冬舎)は1~4までシリーズ化された人気のゲーム(左図)で、同じ言葉を言い方を変えてニュアンスを伝えるカードゲームである。「お題カード」には右図のようなシチュエーションが書いてあり、自分が担当することになったお題の一言を、シチュエーションに応じて“声”と“表情”だけで表現する。演技者以外はそれがA~Hのどれを演じたものかを当てる。正解すると投票者と演技者の両方に得点が入り、最も得点が高い人が勝ち。
LINEなどでテキストコミュニケーションは得意だが、対面コミュニケーションが苦手な生徒が多いので、越さんは授業の導入で「なんでやねん」という関西弁を言い方を変えてどのような意味で言ったのかを生徒に当てさせてみた。生徒は越さんの名(迷)演技に惹きつけられ、たいへん盛り上がった。そして、科学はクリティカルシンキング、批判的思考が大で、常に「なんで?」、「なんでやねん?」と本当かどうか問い続ける姿勢が大切であるとまとめた。理科の授業で「はぁって言うゲーム」を取り上げたのは、大変珍しいケースではないだろうか?
朝食 国民生活センター食堂にて
おはようございます。宿泊した11名が「いただきます」。例会本体には宿泊11名、日帰り4名、遠隔で3名の参加があった。朝食後は解散して三々五々家路についた。一部の人たちはすぐ近くのJAXA宇宙科学研究所の交流棟に立ち寄って見学した。
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