2007年2月17日の例会の記録の第2ページです


 波の干渉デモ実験 (川田さん  
 日立エンジニアの外村彰さんがロンドン王立研究所の金曜講話で行った最初のデモ実験です。
  
 2つのプラスチックバネをY字型に張って、図のようにパルスを送ります。

 同位相の波を送る
    ↓
 干渉で大波が伝わる

 逆位相の波を送る
    ↓
 干渉で波が消える

<参考>
 量子力学を見る
 岩波新書

 外村さんは1時間のレクチャーに半年の準備をかけたそうです。
 1時間の授業にどれだけ準備しているか・・・・反省しきり。

      同位相の波を送る

    逆位相の波を送る

 手の入らないゴム手袋 (川田さん  

 ゴム手袋の中に手を入れようとしても入りません。あせって強く入れるとますます困難に・・・     

 簡単で生徒が大喜びする実験です。各自が実際に確かめられるからいいのですね。

 ペットボトルにゴム手袋をつけて、中に空気が入らないように密着させます。   原理はボイルの法則です。
 ペットボトルの蓋をとると簡単に手を入れられます。

 2006年12月藤里小学校の科学広場で小学校の先生が行っていた実験だそうです。中学生も高校生も十分楽しめます。






 












 ペットボトル中に空気が入らないように密着させるのが大事
 センター試験に疑義あり (川田さん・飯田さん・杉本さん  
 今年度のセンター試験第一問は右のようなものでした。

 解答は、周波数は変化せず、巻き数比が2:1だから電圧は5VになるからCということです。

 高校生はそう答えるほかはありませんが、問題としては現実に合わないおかしな問題となっています。
 
 図のようなコイルでは磁束の漏洩が激しくて2次コイルの電圧は2:1にならないのです。
 鉄心の太さ、コイルの巻き数によって2次コイルの電圧は異なってきますが、図のような配置のコイルでは、決して出力電圧が2:1にならないのです。




 飯田さんが磁界の様子を見やすくしてくれました。
問1 図1のように、鉄心に1次コイルと2次コイルが巻かれている。1次コイルと2次コイルの巻き数の比は2:1である。1次コイルに周波数50Hz、電圧10Xの交流電圧をかけるとき、2次コイルにはどのような交流電圧が生じるか、その周波数と電圧の組合せとして正しいものを、下の@〜Hのうちから一つ選べ。

← 左のコイルに直流を通電したときの次回の様子です。鉄心が開いていると、いたるところから磁力線が出ている事がわかります。



 コイルを2つ巻いて逆方向に電圧をかけてあります。あいだの鉄心からたくさんの磁力線が出ています。 
 鉄心が閉じていると、磁力線の出はすくなくなります。
 磁束が2次コイルにもれなく入る為には鉄心は閉じていなくてはならないのです。

  入試センターに質問状を出しました。

 @入試センター試験という大事な問題を出題された方は、どのような実験的裏付けがあってこのような問題を出されたのか。
 A私は第一問は採点から削除すべきだと考えます。
 B是非、専門家の意見も聞いて、早急に対処してほしい。
 
 「質問状」の返答が電話で来ました。1月29日(月)午後7時05分。ヒロセ氏から。
「センター入試作成委員は全科目で400余名いる。毎月会合をもっている。次回は2月中旬に質問や意見について検討する。この問題についても真摯に対応するので一ヶ月ほど待ってほしい。担当者の見解は伝える」というものです。

 「一ヵ月後にあの問題は間違いでした」では済まされません。

 この件は中日新聞にも大きく取り上げられました。
 日本中の多くの高校生が受験するセンター試験の問題に、事実を無視した問題が出されたままというのは良い事とは思えません。
 どうして閉じた形のトランスで出題しなかったのでしょう。不思議でなりません。



  鉄心はトランスに使われている鋼板です。300メッシュの鉄
分をふりかけ、鉄分を飛ばさないように上からスプレー糊をかけ
ます。半日ぐらい立つと乾きます。
 次は屈折の問題です。
 屈折に関係ないとしてCが答えだとしています。

 夜中に遠くの音がよく聞こえるという現象は <温度効果>による屈折です。夜間上空ほど温度が高く、音速が速くなります。下向きに屈折します。
 昼夜の気温の変化がおよそ10℃程度とすると、音速の変化はせいぜい6m/s程度。風速が地表より上空で6m/s程度速くなることは十分あり得ます。このとき温度変化の時と同様な現象が起きます。 <風速効果>による屈折です。
   参考 「物理学総論(上)」 堀健夫、大野陽朗 学術図書出版 p280
       「ハテなぜだろうの物理学T」 J.ウオーカー 培風館 p101
       「音と音波」 小橋 豊 裳華房 p125
 原因が何であれ,音速が変化すれば屈折が起きる。音が大きく聞こえるのは聞こえないはずの音が伝わるので、大きなエネルギーが届くからです。

 
   センター試験物理T問題 第3問B

 問5 波の屈折と関係ない現象はどれか。次の@〜Dのうちから1つ選べ。
 
 @砂浜に打ち寄せる波の波面は海岸線に平行になる。
 A凸レンズで光を集めることができる。
 B湯を入れると浴槽の底が浅く見える。
 C音源の風下の方が風上より音がよく聞こえる。
 D冬の晴れた夜,遠くの音がよく聞こえることがある。
   
  1月24日 杉本より大学入試センターヘの質問
  1月29日 飯田より大学入試センターヘの質問
  
  1月29日 センターから杉本へ回答
  高等学校の物理Tの学習範囲内で「屈折」は、静止している媒質内の波の位相速度の不均一さによって伝搬方向が変化する現象を指します。他C以外の選択肢は,明確にこの現象の例となっており,「物理T」の問題としては選択肢Cが正答となります。

 2月5日 杉本より再質問
 (1)指導要領には、静止媒質の屈折に限定する記述はあるか。範囲外の学問的に正しい正しいことを教えるとセンター試験では不利にならないか。
 (2)逆に,物理Tの範囲でないCの選択肢をなぜ入れたか。
 (3)Cの現象はどのような理由で起こると考えて出題されたか。

 2月16日現在 センターから回答なし               

 ワンダーボール (佐野さん  
 スイッチを入れると転がりす。壁にぶつかると予想外の方向に転がります。猫などのおもちゃとして使われているようです。

 中を見ると錘がモータで回転するのみ。偏芯モーターによる運動ですね。

 これは日本製です。




 ソーラークッカー (佐野さん  
 韓国のソウル科学博物館で購入した紙製の簡易ソーラークッカ-です。凹面の角度も変えられます。
 中央部の容器に水とタマゴを入れて約1時間。ゆで卵ができるそうです。
 夏の日差しならもっと短くなるでしょう。

 値段は31500ウォン。日本円で約4000円。安い?高い?

 
 科学博物館でいくつか購入したら、売れていないのか大変喜ばれたそうです。韓国製です。

 韓国で手に入れたグッズ (佐野さん  
 ソウル科学博物館でいろいろ購入しました。

 右は角度を変えると色が変わるシート。どうして色が変わるかはこれから究明です。

 下は2色の液滴落下装置(正式名称不明!)
 振ると2種類の液体が大小の液滴となって落下します。終端速度の話に使えるかも・・・・・。

 どうして2液が混ざらないのかと思ったら、横から見ると解決です。

 外国に行ったらぜひ科学館を覗きましょう。

 これらは中国製だそうです。
  

 大型回り続ける円錐 (山岡さん  

 前々回の例会で臼井さんが持ちこんだおもちゃを大型化してみました。

 磁気で力を受ける物(磁石または鉄など)を乗せた回転体を床上に置き、床下で磁石を回すと、回転体がくるくる自転します。

 回転体が磁界から受ける力の中心と回転体の重心がずれていると、回転体と床との接地点はその間になります。また下の磁石の回転により磁界が動くので回転体にトルクが生じます。 

 回転体の磁力を受ける物(臼井さんのおもちゃでは傾いた磁石が使われていた)は傾いている必要はなく、磁力を受ける中心と重心がずれていることが本質です。いいかげんに作っても必ずそうなります。つまりなんでも回るということです。
 こういうことって作ってみて判ることですね。

 作成上の問題としては、磁力が強すぎると回転体が引きずられたり、弱すぎると回転体が回らない、ので適度な磁力になる距離が大事です。回転体の重さ、移動する磁界の速さなどもうまく回転するかどうかに影響します。

        
 <参考>
 http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2006_07_08/newpage2.htm
 回り続ける円錐(臼井さん)


半球の木の上に丸い磁石を載せています。
      
 磁石でなくても鉄でも回ります。                            お玉の先だけでも回ります。

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