2008年12月13日(土)愛知工業高校での例会の記録です。
12月10日に、国際教育到達度評価学会(本部・アムステルダム)が、世界の小中学生を対象に実施した「国際数学・理科教育動向調査」の結果を発表しました。 日本のテスト成績は、中学理科が前回03年調査の6位から3位に上がり、数学も5位(前回5位)。小学生は算数と理科がいずれも4位(同3位)で、前回並みの成績です。 気になったのは、テストと同時に行われた学習環境調査での日本の中学生の学習意欲の低さです。 「勉強が楽しい」と答えたのは、中学理科が59%(国際平均78%)でワースト3位。中学理科の「日常生活に役立つか」との問いでは、日本が最下位で、国際平均より31ポイントも低い53%だったようです。 ( これに対し、小学生は「勉強が楽しい」とする回答が理科で87%。国際平均(83%)を超えています。 ) 中学になると、理科の学習が、出題範囲が指定されて答が決まっている問題を速く正確に解く学習(一種の訓練ともいえます)がおおくなり、科学の面白さを感じる機会が減っているといえるかもしれません。 科学の基礎概念を習得するには、問題を正確に解くなどの繰り返しの学習が必要です。ですが、そればかりでは自然の出来事を自分で考えるようになるわけではありません。 本当の「科学する力」は、自然に問いかけて、答えを自分で見つけ出していく過程そのものにあります。 基礎概念の習得と科学する力をバランスよく育てていくことが求められていると思います。 そういう授業に役立つ教材を開発する研究を続けていきたいと思います。 |
リードスイッチモーター (船橋さん) |
大人の科学の最新刊は、リードスイッチを使ったモーターです。 リードスイッチとは、磁場でオンオフするセンサーです。 手元にある材料で自作してみました。 リードスイッチの位置で回転状態が変化します。 |
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リードスイッチです。 磁石をつけた回転子の下にリードスイッチを入れます。 |
リードスイッチのオンで電磁石が磁石をひきつけます。 磁石が十分近づいたときにリードスイッチがオフになります。 これが繰り返されて回転子が回り続けます。 |
リードスイッチの働きを確認するために、スイッチをテスターにつないで磁石を近づけました。 スイッチに垂直に近づけると写真のリード間は導通しません。 磁石を平行に近づけると導通します。 |
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資料によると、リードスイッチは、下図のような構造をしており、磁石が平行に近づくと、強磁性体であるリードが右図のように磁化します。 このため、接点が異極になり引き合って接触します。 磁石が垂直に近づくときは磁化が小さく接点が離れたままになっているわけです。 強力な磁場なら、垂直方向でも、接点が磁化して接触してもよさそうです。 試しにネオジム磁石を垂直方向からごく近くまで接近させると導通しました。 |
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とまらないこま (船橋さん) |
次は、リードスイッチを使った「とまらないこま」です。 群馬の石井信也さんから学んだものです。 構造はいたってシンプル。釘に巻いたコイル(200巻ぐらい)とLEDとリードスイッチ。 2極磁石に軸をさし、こまにしています。 |
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<参考> 石井信也さんのwebページ: http://www.sound.jp/oze_isihi/index.html |
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こまを軽くまわすと加速してかなり速く回ります。 こまが加速されるためには、スイッチとコイルの位置が重要なようです。 こまが加速する原理を考えてみましたが、決着にはいたりませんでした。 |
こまはスイッチとコイルの間で安定に回り続けます。 |
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<参考> http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2008_02_23/newpage3.htm 回り続けるこま |
素焼きのつぼ (林 正さん) |
前回の例会で、林さんが発表した「水素が水を吸う?」の実験は、いくつかの実践では生徒に大変好評のようです。 壷に水素を入れたにもかかわらず、内部が負圧になることが不思議に思えるのでしょう。 素焼きの壷そのものも見る機会がないので、これもめずらしく思うのでしょう。 この壷とゴム栓、実験用のチューブをセットにして安価で配布してくれました。たすかります。 決して霊感商法の壷ではありません・・・・(^^;) |
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<参考> http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2008_09_27/newpage.htm 水素が水を吸う? |
方位ぶんぶんごま (林 正さん) |
ぶんぶんごまの要領で箱を水平に右回転させます。回転中にLEDが北向きのとき光ります。反対向きに回転させると南向きのとき光ります。 地球磁場によるコイルでの電磁誘導の起電力を増幅して光らせています。 林さんは知人の依頼で、南北を示す装置の一例として作ったそうです。 問題は、この装置をいつ使うかということ。 ぶんぶんごまとしては重いし大きいし・・・・・ 南北を知るのに回転が必要では役立ちそうにないし・・・・・ その他の使い方のアイデア募集中です! 仕組みを考えさせる教材としては役立つかもしれませんね。 |
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電波検出器 (杉本さん) |
携帯電話にロッド型アンテナがついていたころは、アンテナにコイルを巻いてダイオードで検波すればLEDを光らせることができました。 生徒に電波を実感させることができました。 しかし、今の携帯はアンテナが本体に内蔵されていて、先の方法が使えません。 そこで、電波検出コイルの微弱な電流をオペアンプを使って増幅し、電流計の振れで電波を見ようと思い立ちました。 増幅率は最大100倍ほどです。 |
検出コイルは、直径1cm程度の大きさで10巻きほど。検波はショットキーダイオード。オペアンプでDC増幅します。 |
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検出コイルの近くで携帯電話をかけると、電流計がびゅんびゅん振れます。 名古屋のテレビ塔の近くに持っていくと、増幅率を最低にしてもメーターが振り切れました。さすがテレビ塔というべきでしょうか・・・・。 |
電子レンジの回転台をはずし、中に水入りのコップを入れて、レンジを動作させます。 外に微弱な電波が漏れて、検出器のメーターが触れます。 |
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電波を完全に遮断できてないのですね。離れるほど弱くはなりますが・・・。 レンジの前にアルミ板を置くと振れがなくなります。完全シールドすれば、電波の漏れはほとんどなくなります。でも中が見えなくなりますね。 マア、ずっと覗き込んでいることはないでしょうから、そんなに危険ではないのかも・・・? アルミ板を反射板として使い、電波の定常波ができるかやってみます。 アルミ板を動かして、検出器のメーターの振れを読みます。メーターの値は大小を繰り返します。電波の定常波ができているのですね。 隣り合う極大の距離を2倍することで波長を求めることができます。実測してみると6cmぐらいになります。 電子レンジの周波数は2.45GHz帯(波長は約12cm)です。いい一致ですね。 |
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<参考> http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2004_08_20/newpage3.htm 携帯の電波で光るLED(川田さん) |
Umbrella Coil (杉本さん) |
元AAPT会長だったクリスさんから頼まれた、THE PHYSICS TEACHER 誌への投稿記事です。 内容は、杉本さんおなじみの傘を使った電磁誘導の話です。 <参考> AAPT:AMERICAN ASSOCIATION. OF. PHYSICS TEACHERS THE PHYSICS TEACHER 誌はAAPTの機関誌。 http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2005_12_03/newpage.htm 地球磁場による電磁誘導(杉本さん) |
マスクで錯視 (成相さん) |
クリスマス用マスクが100円ショップに並べられたので、これを使って錯視マスクを作成しました。 普通のマスクを、縁の部分を反対側に折り返してつくりました。 鼻や口の部分が引っ込んでいるお面ができます。 |
縁を折り返して作ります。 |
正面から片目で見ると普通のお面のように見えます。 |
ただ、元のマスクを反対にしてみるだけでも、へこんだ鼻や口が出っ張って見えます。 角度を変えてもこっちを見てます。 やや恐い感じ・・・・。 |
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ところで、このようなマスク、クリスマスのどこで何に使うんでしょうか?? |