2009年7月18日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 7月22日に日食があります。名古屋は8割弱の欠け具合です。
 午前9時47分から欠け始め11時08分に最も大きく欠け、午後零時26分に終わりの予想です。
 
 太陽と月と地球の動きが織り成すめったに起こらない天体ショーですから、仕事の合間に、いや仕事
を休んでも(?)ぜひ観察をしたいですね。(その際は目の安全に気をつけてくださいね。)
 宇宙規模の出来事に思いをはせることで、心が広くなるかもしれません。
 幸い、万が一見逃すことになっても、実は3年後の2012年5月に、名古屋で金環日食が見られる予定
です。こちらも楽しみですね。
 
 秒単位で正確な日食予測ができることに科学のすごさを感じます。


 色素増感型太陽電池キット (伊藤さん  
 教室で太陽電池を自作できるキットの紹介です。導電性プラスチックフィルムを使う色素増感型太陽電池です。これまでのものは、ガラス板を電極に使い、しかも酸化チタンをガラスに焼き付けなければなりませんでした。その作業を必要としなくなったので教室でも作成できるのです。

  導電性プラスチックフィルムです。
     

 導電性プラスチックは、片面に、「透明導電膜」が薄く付けてあります。その面はテスターで抵抗値を測ると約100Ωです。裏面は導通がありません。 この面に、酸化チタンペーストを塗り、次に色素を塗り、電解液を塗ってステンレス板をかぶせます。
  酸化チタンを塗ったプラスチックフィルムは、色素増感太陽電池の「マイナス」極になります。ステンレス板がプラス極になります。
 これで1枚あたり、「0.5 V, 100 μA」の太陽電池の出来上がりです。簡単ですね。
 3枚で電子オルゴールを鳴らせます。電卓などの電源にもなります。

 若干の問題点をいえば、作成した電池は数時間の寿命しかないということと、キットの値段がやや高い(約1万円)ということでしょうか。生徒一人ひとりが作成して学ぶにはまだちょっと高すぎる・・・・
 
 <参考>http://www.peccell.com/pectom/index.html

 どっちが勝つ? (伊藤さん  
 電池で動くおもちゃのコーギー犬です。綱引きをさせると、引き分けです。


 それぞれの犬に摩擦係数の靴(椅子用のゴム足)をはかせてやります。片方はざらざら。片方はツルツル。
 さてどちらが勝つでしょうか・・・・。

 
 次は、片方に錘としておサルの人形を乗せてやります。
 今度はどちらが勝つでしょうか・・・・。

  摩擦力の性質を考えるのに、楽しい教材を使って学んだほうがいいですよね。
 

 高く飛べ!アルコールロケット (児島さん  
 アルコールの燃焼を利用したロケットです。原理は、ボトル内でアルコールを空気と混合し燃焼させ、膨張した気体でロケットをとばすというものです。アルコールの爆鳴気ですが比較的安全にできる実験としてよく知られています。

 ボトルの底近くに5mmの穴を開けておきます。ボトル内にアルコールを霧状にして吹き入れ、 紙コップ(これがロケット)をかぶせて、穴に点火です。
 
 ポン! と音がして、ロケットが飛び上がります。
 

   5mmの穴があけてあります。

  霧吹きで燃料用アルコールをボトル内に入れます。

    穴から点火!
 どうせ飛ばすなら、遠くへ飛ばす工夫をしてみました。
 膨張した気体の圧力をとことん利用するために、大砲のような筒をつけてみました。
 筒の径に合うように紙コップを切ります。
 
 今度は点火するとかなりの勢いで飛び出します。
(実験するときは、筒を人のいる方向に向けないでくださいね)
 音も大きくなります。
 筒をつけただけなのに不思議ですね。
 ボトルの口に合うチューブをを使っても高く飛ばすことができます。
 チューブの径に合うロケットを作るのがコツです。
 どこまで飛ばせるかの工夫を競っても面白いかもしれませんね。

 危険は少ないとはいえ、爆発を利用するロケットですから、実験は安全に留意をして行ってくださいね。 

 空気中の放射性物質 (林さん  
 霧箱の高性能化を研究し続けています。



 過冷却したアルコール蒸気内に気体のラドンを注射器で入れると、写真のようにアルファ線の軌跡がくっきり見えます。


 注射器にはランタンマントルを入れてあります。
 
 装置の全景です。  コイル状のものに高電圧(4000V程度)をかけて、内部の雑イオンを除去します。
 ブロワーで室内の空気を綿に20分ほど吹きつけました。
 綿には室内の固体放射性物質が付着しているはず。

 綿をテープでつるし、霧箱内に入れると、見えます、見えます。アルファ線の軌跡がはっきり見えます。
 高速度撮影をして、軌跡の数から半減期を求めてみると約20分だったそうです。
 線源の放射性元素は何でしょうね。(まだ特定できていません。)

 容器の底にはドライアイス。

 容器の底には金属板を貼り付けます。

 綿にアルコールをしみこませ、内部にもアルコールを入れます。

 白色LEDで照明。このため軌跡が非常に見やすいです。

<参考> http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2008_12_13/newpage3.htm 霧箱によるラドン半減期計測 (伊藤さん)
       http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2007_05_12/newpage.htm 宇宙線を見る霧箱3 (林さん)
       http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2007_02_17/newpage.htm 宇宙線を見る霧箱2 (林さん)

 盆踊り (臼井さん  
 お盆が倒れるとき、こまのように回りながらばたばた音を立てます。

 ごく普通に見られることですが、この音から、単振動が起こっているのでは、と考えました。

 お盆だけでなく円形のものなら何でも同様に起こります。
 単振動のような音だから、行きつ戻りつの振動が起こっているに違いない!。
 肉眼でははっきりしないので、ビデオで撮ってスロー再生を試みました。
 残念ながら、一方向の回転が続いており、往復運動は認められませんでした。

 では単振動もどきの音はどういう仕組みで出てくるのでしょう。
 
 臼井さんの次なる考えは、お盆は回りながら歳差運動をしているのだというもの。
 歳差運動ならばたばたという音が説明できるかというと・・・・・・・??
 
 説明に悩むより、これを楽しんでしまおうと「エッ歳差、ホイ歳差」としゃれていました。
 凡(盆)人にはわからない・・・・
    
 乾電池を横にして、片側を強く回転させると、乾電池が立ち上がって回り続けます。
 この回転もお盆の回転と同じかもしれません。
 身近な出来事も、よく考えてみると簡単には説明できないことがたくさんありますね。
 乾電池の動きの高速度撮影の連続写真です。立ち上がって回っていることがわかります。

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