2010年9月25日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 「亜熱帯の気候」と思えた猛暑続きの夏もようやく終わり秋らしい気候になりました。
 9月21日、大阪地検特捜部の検事が証拠隠滅の疑いで逮捕されました。証拠品のフロッピーディスクのデータの更新日時を書き換えたという容疑です。起訴のために、自分たちの筋書きに合う証拠をでっち上げようとしたと思われています。真相はこれから調べられるようですが、詳細を明らかにしてほしいですね。
 科学の世界にも似たようなことが時々起きます。実験データの捏造です。はては、実験事実そのものを捏造することまでおきています。 しかし、科学の世界では最終的に他の科学者が追試することで成果が確認されますから、最後まで虚偽がまかり通るということはまずありません。
 いつかは真実が明らかになる科学の世界と違って、司法の世界で証拠の捏造が行われると冤罪を生む可能性が大です。無実の人を獄中に送り込むことになり、最悪の場合、真実が明らかにならないまますんでしまうことも考えられます。本当に恐ろしいことですね。

 どんな分野でも、それを司る人々の倫理が狂うと大きな影響を世に及ぼします。教育にかかわる自分たちについても、省みて身を律する必要が大かもしれません・・・・。

 ロケット発射見学 (尾崎さん  
 ロケット好きで、打ち上げの見学に何度も足を運びました。
 日本でのロケット打ち上げ団体は、JAXAやHASTICなどがあります。JAXAは種子島、内之浦に発射場があり、HASTICは北海道です。
 ロケット打ち上げでは、日程が公開されることもありますが、非公開での打ち上げも多いです。そんなときは、ロケットの進行下方の水路に関して落下の危険を周知するための水路情報などをもとにして打ち上げ日程を予想します。

 発射見学では、同じ顔によく出会います。無言のうちに仲間意識が育ちます。
  

 ロケット関連の書物です。
  
 市販の本もありますが、コミックマーケットでしか手に入らない貴重な本もあります。

 ロケット発射見学についてのお薦め本は、「宇宙へのパスポート1」、「宇宙へのパスポート2」、「宇宙へのパスポート3」(いずれも 笹本 祐一著、  朝日新聞出版)です。

 費用を節約して発射場に行くのですが、発射が延期されると、全部無駄足になります。いろんな意味で痛い・・・・。
 でも、うまく発射を見ることができたときは、感動です!

 来年1月頃に、JAXAが、国際宇宙ステーション(ISS)へ補給物資を運ぶ宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)2号機を種子島から打ち上げる予定です。
 <参考> JAXA
        HASTIC

 半導体テスラコイル (市川さん  
 テレビの高圧トランジスタを使って半導体テスラコイルを作りました。
 電源電圧は20V程度までかけています。
 2次コイル(L1)に蛍光灯を近づけると光ります。

  Rは100Ω程度。電解コンデンサは10〜100μF。
  その他のコンデンサは0.1μF程度。
  L1は800巻、L2は16巻、L3は3巻。
 回路は図のとおり。
 L1は回路上浮いていますが、実物では片方がアース電位になっていると考えられます。
 発振振動数を測ってみると、約1〜2MHzになっています。安定しません。
 トランジスタは高圧用のものですが、ときどき壊れます・・・。
 耐圧より高電圧がかかるのでしょう。

 2次コイルの片側に手を近づけると、わずかですが放電が見られます。立派に(?)テスラコイルです。
 放電はわずかですが、全体の大きさが小さくまとめられるので、原理を理解するための装置として役立ちそうです。
 発振振動数を調べています。  当然ですが、2次コイルがないと発振しません。

       <参考> http://rayer.ic.cz/teslatr/sstce.htm

 林式簡易高性能霧箱 (林さん  
 β線の見える高性能霧箱を開発してきた林さんですが、今度は安価な簡易型です。
 透明な窓の部分から斜めに光を当てます。   容器のそこにはドライアイスの板を置きます。
 線源を用意しなくても、宇宙線や壁からのβ線を見ることができます。(宇宙船由来のβ線は上から下向きに飛跡を残します)
 材料は、ペットボトルの円筒、アルミ箔、黒紙(植毛紙があればさらによい。光の反射を抑えられます。)、針金と綿、ラップフィルム、ゴムバンド、懐中電灯、ドライアイス、エタノールです。
 
 ペットボトルの円筒の中に黒紙をいれます。そのさい光を入れる窓ができるようにします。
 アルミ箔で底を作り(底にも黒紙を入れます)、上口には、綿と針金で作ったエタノール溜り(エタノールをたっぷりしみこませておきます)を置き、中にも少量エタノールを入れておきます。
 上口をラップで覆い完成です。材料がそろっていれば30分もかかりません。

 装置をドライアイスの板の上に置き、しばらく冷やします。 
 
 十分冷えたら、懐中電灯の光を窓から斜めに入れます。
 霧の中で、β線の飛跡がたくさん見られます。
 ランタンの芯にはトリウムが含まれるものがあり、これを線源とするとよりたくさんの飛跡を見ることができます。(もっとも最近の芯には放射性物質が含まれていないものが多いようです。)
 放射線源を使うとたくさん飛跡が出て見やすいのですが、やがて見えにくくなります。容器内に雑イオンがたまることが原因のようです。そんなときは、塩ビ管を摩擦して静電気を起こし、これを容器に近づけます。これで雑イオンの除去ができます。
 これまでの霧箱は、この雑イオン除去のための高電圧装置をつけていたので、装置がやや複雑でした。これを静電気で行うことで装置は大きく簡易化されました。

  <参考> 宇宙線を見る霧箱3(林さん) 

 太陽光でレンズの集光を見る (鈴木さん  
  透明容器に線香の煙を満たします。
 この箱の前にレンズを置き、鏡で反射させた太陽光を当てます。
 凸レンズによる集光が一目でわかります!
 レンズの違いによる焦点距離の違いも一目で明らか。
 
 レンズを半分隠した場合の光の進み具合もわかります。
 安価な材料でできますで、グループごとにこの実験をさせて、レンズを通した光の進み方を確認させているそうです。
 (太陽光がレンズを通るように鏡の位置をうまくあわせなければなりません。そこがゲームっぽく、楽しみながらできる実験になっているようです)

 光の屈折 (鈴木さん  
 ミニ水槽に水を入れて、中に指を入れ、斜めから見ると・・・・・、指が切れて見えます!
 指ではなく、棒でも切れて見えます。

 では、このミニ水槽の容器を空にして、大きな水槽に、浮かべたり、蓋をして沈めたりして同じことをします。
 大きな水槽の外から見るとどう見えるでしょう?
 
 
 容器に蓋をして水槽に沈めています。  容器を水槽の水面に浮かべています。
 棒の切れ方(見え方)が違って見えますが、なぜ違って見えるのだろうか、という形で生徒に考えさせると、自然現象を説明するよい演習問題になりそうですね。

 自由落下と水平投射 (伊藤 昇さん  
 写真のような装置を作ります。板の裏には磁石をつけて、黒板に貼り付けられるようにしてあります。
 さて、何をする装置かわかりますか?

 L字金具にコインを置いて、定規を曲げます。
 手を離すと・・・・。 手側のコインはそのまま自由落下し、、反対側のコインは水平投射されます。 2つのコインが同時に着地するのを見よう、という装置でした。
 横方向速度にかかわりなく同じ落下をするという、落下運動に関する重要なポイントを、簡単な装置で示せます。

 重力加速度を測る (伊藤 昇さん  
 最新型ビースピーを使って、簡単にすばやく重力加速度を測る装置を作りました。
 
 (1) パイプの中でに鉄球を落とします。
 (2) 2つのビースピーの値を読みます。
 (3) V2 ― V02 = 2as の式を使って加速度を計算します。

 s=0.25mです。データを使って重力加速度を出してみると 10m/s2になります。

 最新型の特徴は自動リセットで、ビースピーのリセットをしなくても次の測定がすぐできます。これは便利です。
 
 初速度が大きい状態でどんな値が出るかを試みましたが、残念ながら鉄球が、パイプの端にあたりうまくいきません。
 長いパイプを準備すればすぐできます。

 この装置を斜面に置けば、斜面上での加速度も簡単に測れます。

     [次ページヘ]