2011年5月7日(土)愛知工業高校での例会の記録です。
2011年3月11日に起きた東日本大震災で多くの方が亡くなられ、また、被災されました。 犠牲になられた方々とご遺族の皆様に対し深くお悔やみを申しあげるとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申しあげます。 地震、津波、そして原子力発電所事故、「人間の驕り」という言葉が脳裏をめぐります。 1994年1月17日のロサンゼルス大地震で、高速道路などが多くの箇所で崩壊しました。日本での同様の災害が予想される中、道路技術者達は「日本の高速道路は耐震設計されているから決してロサンゼルスのようにはならない」と述べていました。 翌1995年1月17日、阪神淡路大震災が起こり、高速道路が倒れたり崩れたりなどの大きな被害が出ました。 「想定外の直下型地震だった・・・・」 「原子力発電所は何重にも安全のための仕組みが備わっており、スリーマイルやチェルノブイリのような事故は日本では起こりえない。」 原子力発電の説明には、枕詞のようにこの説明がなされていました。 そして地震、津波による全電源喪失、原子炉や使用済み燃料の冷却ができずやがて水素爆発・・・・。 「想定外の津波だった・・・・」 科学者や技術者の言うことが信用されない社会で、生徒たちにどのように科学や技術を伝えていくのでしょうか。子供たちが信頼感を持ってあこがれることのできる科学、技術であってほしいと願わざるを得ません。そのためには、事実に謙虚に向き合う姿勢が何より必要だと思います。とりわけ原子力分野で活動している科学者の責任は重大です。 最後に、福島原発最悪の事態の回避のため発電所内でねばり強く奮闘努力されている方々に、心よりエールを送りたいと思います。 |
アオギリ (柘植さん) |
メイトウサイエンスの柘植さんが、アオギリの幼木を持ってきてくれました。 今はこの大きさですが、成長すると2階位の高さにまでなるそうです。 アオギリの特徴は種子。飛ぶ種をつくる木で、種の形が独特です。 大きな庭がないと個人で育てるにはちょっと難しい・・・・。 被爆アオギリ2世というものがあるようです。広島で被爆し、爆心地側の幹半分が熱線と爆風により焼けてえぐられましたが、焦土の中で青々と芽を吹き返し、被爆者に生きる希望を与えたアオギリの子孫だそうです。 植物の生命力はすごいですね。 |
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タイムカプセル (柘植さん) |
試作品を紹介してくれました。 名付けて「私のタイムカプセル」。 3月11日の東日本大震災は、今後の日本の進み方を変える歴史的な出来事になると考えています。この日を忘れないために、また今の自分を未来で思い起こすために、今の時代の記録(新聞や広告、家族の近況や写真・・etc)を容器にいれ密封します。 容器を写真のような箱に入れ、本棚や戸棚に埋め(しまい)ます。 何年後かに本棚を、あるいは戸棚を動かすときに発見するでしょう。そのとき過去の自分と時代に遭遇するのです・・・・。 ちょっとしたロマンですね。 成長の早い子供さんには良い教材になるでしょうね。 |
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中に容器が入ります。 |
震災の新聞記事などは役立ちそうです。 |
容器にしっかり詰め込みます。 |
指南車 (柘植さん) |
車がいかなる方向に向きをかえても車の上に立つ仙人像の手は常に南を指しています。ここから指南車と名づけられました。 この指南車のキットです。 プラスチック製は¥3500、一部紙製は¥1500。 力のある高校生には、「指南するためにはどんな仕組みが考えられるか?」という工学を考えさせるテーマに使えそうですね。(至難の業??) じっくり考えた後でこのキットを作ると、きっと先人の知恵に畏敬の念を抱くに違いありません。 |
ギヤの噛みあわせで仙人が指南します。 |
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キットの全部品です。 |
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台車を引いて回転しても仙人は南を指し続けます。 車輪が滑らないことが大事です。滑るとうまく指南しません。 | |||
複数レンズでの実像 (伊藤 昇さん) |
牛乳パックでつくる簡易カメラはおなじみですが、レンズを複数枚使ったときの像の位置を考えさせようという教材です。 外側容器(牛乳パック)に凸レンズをつけ、中側容器(黒色厚紙)にハトロン紙をつけ簡易カメラにします。 |
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凸レンズをつけます。 |
中側容器のハトロン紙に外の景色が映っています。 |
ここで、外側容器と中側容器の間に別の凸レンズを入れます。 ハトロン紙の位置がそのままではピントは合わず、手前側か奥側かどちらかにずらす必要があります。 どちらにずらすとピントがあうか考えてみよう、という問いです。 レンズ一枚のときの像が、2枚目のレンズの物体に成ります。レンズの公式( 1/a+1/b=1/f )でいうと、2枚目のレンズのaの値が負になっている場合になります。 f が正だから b は |a|より小さくなければなりません。よってハトロン紙を奥にずらす、という答えになります。 |
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外側と内側の容器の間に2枚目のレンズを入れます。 |
ハトロン紙の位置がそのままでは像はぼけます。 |
作図でも解は得られます。 レンズを凹レンズに換えたときも予想通りになります。 複数レンズの演習問題に適した問いですね。 |
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2枚目のレンズによる光の進路を考えます。 |
レンズを凹レンズにしたらどうなるか確認します。 |
手動ドップラー効果 (伊藤 昇さん) |
ドップラー効果理解のための教材です。 波源が静止している場合は、右図のように波面は同心円になります。 波源が動くときの様子を、波面を印刷した透明シートを重ねてつくります。 波源の進行方向では波長が短くなること、波源の速度が大きいほど波長の変化が大きいこと、が自ら確認できます。 |
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波源の移動にあわせて、透明シートを重ねていきます。 |
3枚の透明シートを重ねています。 |
一人一人確認できるよう、生徒数分のセットをつくります。 (透明シートはOHP用のインクジェット用のOHPシートに印刷します。) |
磁石が回ります (奥谷さん) |
棒の先に小さな磁石を付けます。 紙を十字に貼って中心にピップエレキバン(これも磁石ですが・・・)を貼ります。 ストローに棒をいれ、十字の紙をくっつけ、棒を出し入れします。 何と、出し入れに合わせて十字の紙が回転しながらストローの表面を移動します。 これは面白い! |
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ボールに猫を近づけると、ボールが回りだします。 マグネット鋲をひっくり返して、上にボールを乗せ別の磁石を近づけます。これも回りだします。 近づける磁石が大きすぎるとうまく回りません。 近づける磁石が適度な大きさで、しかも傾いていることが必要なようです。猫の中にも磁石が埋め込まれているのでしょう。 |
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マグネット鋲も別の磁石を近づけると回りだします。 |
磁石が大きすぎるとうまく回りません。 |
<参考>大型回り続ける円錐(山岡さん) |
DVD分光器 (奥谷さん) |
国立博物館で購入したDVD分光器です。 右の写真の下側に光の取り入れ口のスリットがあります。 のぞく窓は裏側にあり、見る角度によって回折光の色が変わります。 |
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DVDを切り取って小型の分光器を作りました。容器の型紙は「ashiさんの教材室」のページからダウンロードしました。 のぞき窓に筒をつけ、内部を黒くするのがくっきり見えるコツのようです。 太陽光を覗くと、フラウンフォファー線まで見えました。 |
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<参考> レコード、CD、DVD、そしてBDの回折 |
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