2011年5月7日(土)の例会の記録の第2ページです


 熱電流モーター (川田さん  
 銅とコンスタンタン( 銅 55% Ni 45%の組成の合金)の板を片側だけハンダで接合して、接合点をライターで加熱します。すると、他端の間に10mVの電位差が発生します。そう、これは熱電対ですね。

 この2種の金属で下の写真のような回転子をつくります。
 磁石を近づけて、接合点の片側を加熱すると回転子が回りだします。

 ゼーベック効果による熱電流が流れていることを示しています。
 中部大学の岡島先生に教えていただいた装置です。

 片側を加熱して磁石を近づけると回りだします。

 加熱をやめても、温度差があるので回り続けます。
 さて、回転子はどちら回りをするか予想できますか?


 コンスタンタンは値段が高いので(厚さ0.5mm、B5の大きさで¥7000くらいだそうです)、銅をたくさん使う安上がりの回転子もつくりました。
 (両方作るともっと経費がかかったでしょう・・・・・・)
 コンスタンタンは高いので、銅線と釘(鉄)で熱電対を作って調べてみました。
 ライターで加熱したときの熱起電力は約 1mVでした。

 でも、鉄と銅での回転子はうまく動かないはずです。おわかりになりますね。

 ニッケルは強磁性体で磁石にくっつきます。ところがコンスタンタンは磁石につきません。 ですから回転子は回るわけですが、なぜ合金になると磁性を失うのでしょう。
 そういえば50円硬貨や100円硬貨もニッケル合金です。これらも磁石にくっつきませんね。

 合金になると、ただ混ざるだけではない性質が表れるのですね。面白いですね。

 <参考> コンスタンタン注文先: 株式会社「ニラコ」
 

 回り続けるコマU (林さん  
 ハイテクゴマのニューバージョンです。
 回り続ける原理はすでに解明したと考えていたのですが・・・・

 <参考> 4時間回り続けるコマ(奥谷さん)
        回り続けるコマ(林さん)
       ハイテクごまの分解鈴木さん・船橋さん
 
 回転中のコマの発光が7色になるなど進化していることがわかります。
 でも、回り続ける原理は同じでしょう。
 もったいないけどまた分解してみるしかないか・・・・。
 ネットで調べてみると、何と開発者の話(LEDハイテクゴマの誕生ストーリー)がありました。
 
 ただ、原理を知ることと理解することは違います。理解することで新たな進歩につながる・・・・・。

 モータで自己誘導 (林さん  
 LEDと直流モーター(マブチモーター)をつないで、モーターの回転子を手で回してやります。少しは発電するのでしょうが、さすがにLEDはつきません。

 ところが、右の回路のスイッチを入れた状態で同じ事をすると、LEDが一瞬つきます。なぜでしょう。
 ゼネコン(手回し発電機)では、軽く回すだけでLEDが点灯します。出力をショートした状態では点きません。ゼネコンの中身は直流モーターですから同じことが起こるはずなのに・・・。


  LEDをショートさせた状態でモーターを回すと一瞬点灯。

  ゼネコンではLEDをショートせずに点灯。

 林さんは次のように考えました。
 モーターを手で回すときの発電は高が知れている。だからLEDをつないでも点灯しない。
 しかし、LEDが直結されていると(モーターの出力をショート)、手で回したときわずかに電流が流れる。この電流が直流モーターのブラシで回路が切断された瞬間、モーターのコイルで自己誘導起電力を発生させ、この高電圧で放電が起こるためLEDは一瞬点灯するのではないか。

 ならば、ゼネコンでも出力をショートさせた状態でハンドルをゆっくり回せば、同じ状態なのだから、LEDは一瞬点灯するはずだ、ということになります。早速やってみました。
 ゼネコンの出力端子にLEDをつなぎ、出力をショートして、ハンドルを短い時間で軽く動かします。
 何と点灯しました!

 ハンドルの位置でつかないときもありますが、何度もやるとときどき点灯します。
 なかなか気づかない現象ですね。
  ハンドルを一定の速度で回すと点灯しませんが・・・・。   ハンドルを瞬間的に動かすと一瞬点灯します。

 アルソミトラの種の飛行研究 (伊藤 政夫さん  
 向陽高校の科学部の生徒たちの「アルソミトラの種の飛行研究」を発表してくれました。

 アルソミトラ・マクロカルパ(Alsomitra macrocarpa:アルソミトラの正式名称)の種子が長距離を飛行することを知り、その飛行の仕組みに興味を持ったため、研究を始めたそうです。
 アルソミトラとはインドネシアの熱帯雨林に生息するウリ科ツル性植物で、種子は翼果と呼ばれるものの中心部です。
 右のような同じ飛ばし方で、市販されているアルソミトラの翼果を飛ばし、飛行距離と滞空時間を計測しました。 

  翼長、全長、面積、質量などで、よく飛ぶ翼果の特徴が見えてきました。
 
 よく飛ぶ形状がわかってきましたので、発泡スチロール(種子の部分-おもりになります-はポリスチレンを使用)模型を作り、さらに飛行の秘密にせまりました。
 なぜすぐに落下しないのか?
 落下しながら徐々に姿勢が水平に近づいていくのはなぜか?
 飛行中にどんな力が働いているのか?
 です。
 


 右は作成した模型のアルソミトラです。
 これを先の飛ばし方で飛ばし、その運動から模型に働く力を解析しました。
 
 模型の動きの軌道は下の図のようになります。
 動きをビデオにとり、一定時間間隔での位置を求めグラフにしました。
 模型は、波打ち運動が少ないものを選んであります。 それでも最後のところで波打ち運動を起こしています。

 一定時間間隔での位置から、飛行中の速度がわかります。速度の変化から力がわかります。
 運動中、模型が受ける力は、重力、抗力、揚力で、この合力が運動を決めているはずですから、軌道から合力の大きさを求めます。
 
 すると、運動中の合力の向きが下右図のように変化していることがわかりました。重力は一定ですが、翼の向きの変化で揚力と抗力の大きさが変化していくためです。
 
    
  各時間ごとの位置変化から加速度を求めます。

 合力はまるで回転しているように変化します。  
   
  
 
                                          飛行中の各点で受ける力の向きの変化です。

 この実験の測定や解析からわかったことをまとめます。
   飛行中のモデルにかかる力は次のように変化する。
        進行方向→水平方向→上方→後方
   迎角が適当な大きさになることで揚力が増加し、徐々に姿勢が水平になっていくため、すぐに落下しない。
   モデルの実験の結果は実際の翼果にも適用できると考えられる。

      ※モデルが落下せず姿勢が水平に近づいていくのは翼に生じているそりによるものではないかと考えられる。

  ビデオやコンピュータを使った解析のプログラムも高校生が自力で行った研究です。すごいですね。
  うかうかしているとこちらの立場がなくなってしまう・・・・・・・

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