2011年5月7日(土)の例会の記録の第3ページです
蓄光テープで半減期の理解を (伊藤 昇さん) |
黒髪で作った筒の底に蓄光テープを貼ります。強い光で蓄光し、反対側から覗きます。 すると、最初は明るかったテープが、時間の経過とともにだんだん暗くなっていきます。 これを半減期の理解のための教材にできるのではと考えました。簡単な構造なので、生徒全員分作っておけば、一人ひとり確認できます。 肉眼での観測なのであくまで定性的なものですが、話だけよりはずっと理解が深まるのではないでしょうか。 |
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最初は明るいが・・・ |
時間がたつと暗くなってしまいます。 |
フォトダイオードとオペアンプで作った測定装置で光量の変化を定量的に調べてみたところ、実際には半減期一定の指数関数ではなく、よりなだらかに減光していきます。 |
福島県震災現地調査報告 (清水さん) |
4月8日から10日まで、福島県に行き調査活動を行いました。 自分が生きている間に再び大地震が来ると確信。そのときのための対策を現地で学びたい。 福島原発について、マスコミが報じない部分を知りたい。 ためです。 あわせて、福島の浪江町で土の採取をおこない、放射性物質の飛散の研究に役立たせています。 |
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瓦が割れたところにブルーシートがかけてあります。 |
道路のひび割れ箇所はたくさんありました。 |
南相馬市から南に浪江町あたりまでを通りましたが、建物・道路の被害の特徴としては、津波以外で倒壊した建物は少ないようです。 民家の屋根瓦がずれる被害が、かなり広い地域であります。 道路の凹凸や亀裂、土砂崩れ、石垣の倒壊も多い。 多くの場所で、橋が地面から浮き上がる現象が見られます。 昔からある農村の家、寺社などは、被害が全く見られないのは先人の知恵の賜物でしょうか。 津波の最前部では、道1本隔てて状況が全く違う様子が見られました。 土台を高くした家は、被害が少なかったようです。 |
道の両側に津波の来た跡が残っています。 |
走行中、ラジオ福島で1時間おきに放射能情報が聞け、詳しい解説があり、NHKより分かりやすかったです。 屋内退避地域では、放射能情報を独白に判断して、生活の事情で白主的に動いている入が多いです。 コンビニや個人商店は営業再開、大型ショッピングセンターやドラッグストアは休業していました。 ライフラインが復旧している地域では、自宅で生活する人も多いようですが、困っていることがあってもマスコミの関心は低いようです。 |
福島原発まで20km地点です。(浪江町) |
南相馬の道の駅が、警察の基地になっており、たくさんの車両や警察官がいました。 |
右図は、福島原発での水素爆発以降、米軍が観測した周辺地域の放射線量のマップですが、浪江町は20km圏の外、黒色の地点(125より多い)に当たります。 下は浪江町で採取した土です。 |
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放射線量率の測定 (林さん) |
放射線測定器です。シーベルト/時が測れます。 例会会場の値を調べると 約0.4μSv/h でした。コンクリート建物の中のため外で測るよりやや大きい値になるようです。 名古屋大学では約0.2μSv/h ぐらいです。 計数管の前にマントルをおくと、値が大きくなります。 そこで、計数管の前に、清水さん採取の福島の土をおくと、値はマントルより大きくなりました。 やはり放射性物質が拡散しているのですね。 |
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測定器全景です。β線γ線を測ります。 |
計数管の前にランタン用マントルをおきます。 |
福島の土の放射線を測ります。 |
向きと距離を変えると値が変化します。 |
学校現場でも、こういう時代になったのですから、定量的な放射線測定ができるように測定器を設置する必要があるように思います。 写真はRADEXのデジタル放射線測定器です。 ¥38、000です。一番安価かも。 |
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鉛の板で放射線を防ぐことができるはずですが、実際にやってみると、そんなに値が減るということはありません。 薄い鉛ですと、γ線によるコンプトン散乱で、鉛原子の電子が跳ね飛ばされて、β線として出てきてしまうようです。 鉛が厚ければ効果はどうなるかを調べてみました。 鉛の板を数重に巻いた管です。 形が問題ですが、厚さの効果は出ており、計数管の値はぐんと減りました。 2つを重ねて使うと、値は激減!。 厚い鉛は放射線を防ぐのに効果ありです。 |
計数管と土の間に薄い鉛の板を置きます。 |
鉛板を数重に巻いた管。 |
鉛板と管とを重ねると効果抜群。 |
次に、この放射線を見るために霧箱を用意しました。 霧箱の組み立ては「最新型林式霧箱の組み立て」に詳しく記述しています。 右は、バックグラウンド状態の霧箱です。結構な数のベータ線が見えます。 霧箱の外側に福島の土を置くと、内部は飛跡でいっぱい。 確かに多くの放射線が出ていることが目でわかります。 |
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福島の土を近づけます。 |
ベータ線の飛跡がたくさん観測できます。 |
下図のように設置して、飛跡の数をカウントします。 2秒間隔で写真を撮り、5cm桝の中の飛跡の数をカウントします。
計数管を使った同距離での比較とよい一致を見ました。 霧箱での飛跡の数を数えることでも放射線値を測定できるということがわかりました |
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自宅での放射線量測定値 (井階さん) |
井階さんが持っている放射線量測定器です。 積算値を示すために、μSv/h で表すには、差をとって時間で割って、とデータ処理に手間ですが、場所をとらずに総被爆量がわかります。 この測定器で、自宅の居間の放射線量率(μSv/h)を3月13日から4月30日まで測定しました。そのグラフが下にあります。 大きな変動は見られませんが、愛知県が測定している値(例として 平成23年3月23日〜29日 の平均値 0.040μSv/h )より大きめの値になっています。 コンクリートに囲まれた部屋では大き目の値が出るせいかもしれません。 <参考> 愛知県における空間放射線量率の測定結果について |
線量計 ALOKA POM-111 |
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下のグラフは、名古屋から北京(2003年)、大阪からグアム、そして帰路の船上(2001年)での放射線量率の変化を測ったデータです。 飛行中に地上での値の十数倍の放射線量率であることがグラフからわかります。宇宙線量が多くなるせいですね。 太平洋上の船上では地上とそんなに変わらないことから、地面からの放射線量はそれほど多くないといえそうですが・・・・。 |
イメージインテンシファイヤによる放射線の観測 (井階さん) |
かすかな光を観測できるイメージインテンシファイヤを使って福島の土を見てみました。 装置をセットします。 装置の働きについてはここ(イメージインテンシファイアについて)を見てください。 |
装置全景です。 |
ラジウムをソフテックス(蛍光面)に近づけると、放射線による光電効果で放射性物質の像が見られます。 ほぼ点状の放射線源ですので下右の画面のような像が見られます。 |
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手持ちのウラン鉱物を近づけると、ほぼ鉱物の形があらわれます。 | |
福島の土を近づけると、画面全体がうっすらと白っぽくなります。線源がたくさんあるということですね。 |
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<参考> イメージインテンシファイヤによる放射線の観察(井階さん) |
測定値からわかる半減期 (杉本さん) |
中日新聞に載った、放射線量の測定結果のグラフです。場所は、福島第一原発の南南西200km地点。 3月15日以降、数回のピークが見られます。福島第一原発などの爆発で放出された放射性物質が風で運ばれてきたためと考えられます。 21日の急上昇は、浮遊していた放射性物質が降雨のため地上に付着したためと思われます。 |
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放射線量は、右下がりの直線で減少しています。 縦軸は対数目盛りになっているので、これは放射線量が指数関数的に減少していることを示しています。 すると、この直線の傾きは半減期を示していることになります。 右のヨウ素131のグラフから半減期を求めてみると、約8日になります。 |
0.1、0.5、1は記事のグラフに書き加えた対数目盛りです。 |
テルル132(半減期 3.2日)はβ崩壊をしてヨウ素132になるので、両者の減衰の傾きが等しくなります。 ヨウ素132の半減期は2.3時間です。 新聞のデータからもいろいろなことが読み取れるのですね。 <参考> 日本分析センターにおける空間放射線量率 と希ガス濃度調査結果 |
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本の紹介 (井階さん) |
福島の原発事故があって、反原発の声がまじめに取り上げられるようになりました。御用学者の中では疎外されていた著者ですが、今こそ、その声を学ぶ必要があるのではないでしょうか。 隠される原子力・核の真実 ― 原子力の専門家が原発に反対するわけ 小出裕章 / 創史社 (八月書館) ¥1,470 (税込) |
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