2011年12月3日の例会記録の第2ページです


 簡単で本質的な実験シリーズ (土肥さん  
 広島から土肥さんが参加、多くの実験装置も持参してくれました。

 
 電気の葉っぱ

 アルミ箔とストロー、そしてアラザンで写真のように作ります。

 円形アルミ部分に帯電体を接触させると、アラザンが激しく動き出します。
 これは電気振り子の原理で、円形部分の電荷を枝部分のアルミに運んでいるのです。電荷がなくなるまで動き続けます。
 
<参考> アラザンは、製菓の材料で、銀色に光った小さな粒のことで、一般的にはコーンスターチを混ぜ合わせた粒子状の砂糖に食用銀粉を衣がけして作られます。洋菓子の飾りやクッキーなどに使われます。

 
 簡単検電器

 透明カップの中に発泡スチロール球を密封した装置です。
 この装置に帯電体を近づけると、発泡スチロール球が動きます。
 密封時に発泡スチロール球が帯電しますので、同種の電荷が近づくと反発して遠ざかります。異種の電荷だと近づいてきます。

 安価で結果がよくわかります。生徒一人ひとりに渡して実験させると、見えない電荷が理解しやすくなるかも。

    帯電したアクリルパイプを近づけます。

    帯電した塩ビパイプを近づけます。
 電気シャボン玉

 100円ショップで購入した「われにくいシャボン玉」です。
 ストローの先にアルミ箔を巻きつけ、シャボン玉に電荷が移れるようにします。
帯電体に接触しながらシャボン玉を膨らませると、できたシャボン玉は帯電しており、電気くらげの実験をシャボン玉で行うことができます。
  粘度の高いシャボン液をストローの先につけます。   帯電した塩ビパイプに接触させながら膨らませます。
 
 生身の口でアイウエオ発声器

 ストローの先を引き伸ばし(土肥さんはアイロンで伸ばしたそうです)斜めにカットしてブーブー笛を作ります。
 この部分にゴム風船をつけます。

 反対側から風船を膨らませて口を離すと、ブーブー音を出します。


 このブーブー音を出しながら、ストローの反対側を口に入れ、口の中をアイウエオを発音する形にします。すると、聞こえる音がアイウエオに成っています。
 口の中で共鳴して音が出るのですが、まるでしゃべっているように聞こえます。驚きですね。
 うまく出る音と出ない音があり、ア行、マ行、ラ行はよく出るようです。

 
  ブーブー音を出しながら口に入れます。  やり出したら止まらない。みんなでアイウエオ、やかましい・・・・・・。
 今度は音源をシンセサイザーとスピーカーにします。こうすると、音の高さを変えられるので、歌も歌えます。
 
 学研の「大人の科学」のアナログシンセサイザーです。出力は単振動の音です。針先を滑らすことで振動数を変えられます。
 出力をスピーカーにつなぎ、これを口に当てながら、口の中を発生したい音の形に変えます。
 
 本人が歌っているように聞こえます。面白いですね。


 赤い金属針を滑らせて、出力の振動数を変化させます。
 
 1弦琴
 
 カップヌードルの容器を共鳴箱にして、ナイロン糸を写真のように取り付けます。底には、振動が伝わるようにコマを置きます。
 糸の反対側は割り箸につないで、手で引っ張ります。

 弦を引く張力を変えることで、弦を弾いたときの音の高さが変わります。
 
 練習すると1曲弾けるようになります。
 拍手喝采間違いなし!
  三味線の名手臼井さんならうまく弾けるはず・・・。   ぴんと張った弦を指で弾きます。
 
 釘オルゴール

 釘を板に打ちつけ、プラスチック棒(草刈用のものだそうです)で順に釘を弾いてやります。
 釘の太さと長さで決まった高さの音が出て、順に弾いていくと一曲のメロディが奏でられます。

 プラスチック棒で弾くぐらいで硬い釘が振動するとは最初思えませんでしたが、確かに、しかもまあまあの強さで音が聞こえます。

  プラスチック棒で釘を弾きます。

 ギターの上でやってみたらより大きな音になるかもしれないとやってみました。
 位置によりますが、うまくいくときは音がやや大きくなりました。共鳴箱をつけるといいかもしれませんね。

 でも、音程にあわせた釘の種類(太さと長さ)を選択するのは大変な作業のように思われます・・・・・。
 

 ポン楽器

 適当な長さの塩ビ管の片方の口を手のひらでかるく打ち付けると、ポンと音がします。
 管の長さを変えると違う高さの音になります。
 いろいろな音程の管を用意して、順にポンポン鳴らすと曲を奏でることができます。これもみんなでやると楽しいですね。

 管の長さと聞こえる音の高さから、閉管の固有振動が聞こえていると思われます。手を押し付けたときの圧力変化で管内に固有振動が起きたと考えられます。 
   

 小型Xジャイロ

 塩ビ管とヨーグルトの容器でXジャイロを作りました。弾をセットして、容器を引いて、ねじって発射!
 弾は見事に飛んでいきます。
        紙製の弾です。     弾をセットして、引いて、ねじって発射!
 
 キックモーター「エリー」

 100円ショップで購入の人形、女の子の名はエリー。
 足にネオジム磁石をとりつけ、バランスをとり、回転できるようにします。
 足がコイルに近づいたとき、手動スイッチでコイルに電流を流し回転を加速します。(手動キックモーターですね)

  回転をうまく持続、加速するためには、優れた反射神経で、丁度良い位置のときにスイッチを入れなければなりません。これは結構難しい。
 

 泣き顔・笑い顔

 顔写真を折り曲げると、角度によって笑い顔に見えたり泣き顔に見えたりします。

 上戸さんの写真がたくさん入手できたので、顔の輪郭に沿って切り抜き、折り曲げます。これをガムテープに貼り付けて転がり振り子にします。(電池はおもりの役目)
 揺らしてやると、顔の表情が変わります。面白いですね。(上戸さん、ごめんね!)

  
 左側は笑い顔、右側は泣き顔に見えます。
 
 小便小僧

 空き缶に少量の水を入れ、管を密閉し、出口を写真のような水溜めにつなぎます。水溜めからの出口はキューピーのおちん・・に。

 ここで缶を加熱します。
 すると、小便小僧のように、勢いよく水が飛びます。
 (こぼさずキャッチ!)
  キューピーさんから勢いよく小便が飛び出します。

 加熱で生じた水蒸気が、ペットボトル内の水の水面を押し、水を噴出させているのですね。

 でも、水蒸気なら、水溜めの水面で凝結してしまうのではないかという声が出ました。
 早速確認実験。
 
 缶を空にしてセット。加熱します。
 空気の加熱でも水は噴出しましたが、勢いはいまひとつ。やはり水蒸気による圧が主なものでした。

 缶に水を入れずに密閉。空気だけで加熱します。

  空気だけでも水は飛び出しますが、勢いは劣ります。
 
                          ヘロンの蒸気機関

 アルミ缶の蓋にネオジム磁石をつけてあります。
 缶に水を少量入れ、棒の先の釘に吸い付かせ、下から加熱します。

 しばらくすると、缶は勢い良く回りだします。
 缶に斜めから穴をあけるのがみそ。
 蒸気の噴出に向きが生じるために、反作用でトルクが生じます。
 超簡単な蒸気機関ですね。


 

 アルソミトラの風洞実験 (伊藤 政夫さん  

 5月の例会で発表してくれた「アルソミトラの種の飛行研究」の第2弾の研究報告です。
  <参考> アルソミトラの種の飛行研究 (伊藤正夫さん) 

 アルソミトラの種の向きによって受ける力が、運動から解析したとおりになっているかを風洞装置を製作して調べました。



 風洞装置は以下のとおりです。
 
 先の研究から、次のような形をアルソミトラの種の標準型として扱います。(実物は傷みやすく、数回の実験で使用できなくなります 
  筒の中に線香を入れ、ドライヤーで煙を装置に送ります。
 
  送られた煙は、金属パイプから、19本の平行な流れとしてでていきます。

 整流装置(厚紙で作成した蜂の巣状の通路)を通った空気流は、煙を平行に出口まで送ります。
  整流装置の板は、金属パイプの支えを保持するために使っていますが、実験時にははずします。

 アルソミトラの種は、糸で空気流に対する傾きを変えられるようにしてあります。
 煙を出して観察すると、種の翼の傾きが小さい間は、煙は層流を保ち、傾きが大きくなると、背側に渦が生じてくることが確かめられます。また、煙が渦巻き始めるころから種の翼の後端部分で煙が波を打つ様子が見られました。

   糸で傾きをコントロール。

  種の背側に渦が生じています。
 層流が乱れ渦を生じることと、揚力の低下が関連していることがわかりました。
 また、角度がついて渦ができることで、翼の上部を流れる空気が翼に引き寄せられ、それが翼の下部から来る煙と合流することで、後端の波うち現象が起こると考えられます。

 
 この研究は、向陽高校科学部の生徒達の研究ですが、本当にすばらしいものですね。
 AITサイエンス大賞で賞をとったとのことです。
 

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