2013年2月23日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 2月15日に、驚くべき映像がTV等で放映されました。
 ロシアに落下した隕石の映像です。まるで映画の1シーンのように、まばゆく輝く火球がはっきり見え、落下してくる様子がリアルに記録されていました。
 中生代・恐竜の時代の終焉を引き起こした巨大隕石の衝突が、妙に現実的なものに感じられる出来事でした。
 宇宙からの攻撃(?)に対して、私達はどんな対応を取るべきなのでしょう。
 確率的にまれな出来事だから、何も特別なことをしない、という考えもあるでしょう。
 あるいは、大きな小惑星の観測を強化して、必要な対応(ほとんどSFの世界ですが・・・)を模索するという方法もあるかもしれません。

 こんなことを悩むのは、それこそ杞憂なのでしょうね。
     

 電磁誘導の基本問題 (石川さん  
 右の写真のような、トロイダルコイル(磁場を調べるために、わざと隙間を作ってあります)と円形のサーチコイルを使って、電磁誘導現象を調べます。

 トロイダルコイルに音声信号電流を流します。
 サーチコイルをアンプにつないで、音声が聞こえるかどうかを調べます。
 サーチコイル内部に磁場の変化があれば、電磁誘導によって電流が流れ、音声が聞こるはずです。聞こえなければ磁場の変化は小さいといえます。
 
  上下方向の磁場の変化はないことが確かめられます。
 外側には磁場の変化はないことが確かめられます。  中央部には横方向の磁場の変化はありません。  中央部には上下方向の磁場の変化もありません。
 トロイダルコイルの隙間に、写真の方向にサーチコイルをおいたとき、音声が聞こえます。
 つまり、トロイダルコイル内部にトロイダルコイルの円周方向の磁場があることがわかります。
 
 次に、トロイダルコイルの中央部と外側を通る2次コイルを設置します。
 2次コイルをアンプにつなぎます。
 
 音声は聞こえるでしょうか?

 2次コイルの導線は、どの部分も磁場の変化を受けていませんから、電流が流れないようにも思えます。しかし、2次コイルの内部には、トロイダルコイル内部の磁場の変化があります。この磁場の変化による誘導起電力が起こるはずです。

 同様に、中央部を通る導線も、磁場の影響を受けません。しかし、大きな半径の青い2次コイル内部には磁場の変化が起こっています。

 やってみると、どちらも音声信号を確認できます。
 ファラディーの法則通りになりました。
 
 青い線は、大きな半径の円形コイルです。
 アンプにつないで音声信号を調べます。
    
 今度は、トロイダルコイルではなく、2つのコイルで同様の確認をします。
 2つのコイルは同方向に巻かれています。これに音声信号電流を流し、先ほどのサーチコイルで磁場の変化を確認します。
 当然ながら、サーチコイルで大きな音声信号を得ることができます。
 2つのコイルは同じ向きに巻かれています。  サーチコイルで音声信号を確認できます。
 
 ところが、径の大きな2次コイルでは、音声信号を得られません。これは、中心コイルからの磁束が、大きな2次コイルの中で戻ってきてしまい、差し引きの磁束はほとんど0だからです。

  大きな径の2次コイルの線をコイルに近づけると音声信号を聞くことができます。
 今度は、差し引きされない磁束が生じることになるからです。
 反対側も近づけると、もっと大きな音になります。
 
 大きな径の2次コイルの線を近づけると音が聞こえます。  両側の線を近づけると、さらに大きな音が聞こえます。
 中心コイルを逆向きにして離して置きます。
 2つのコイルの磁束は逆向きになるので、サーチコイルを横から近づけても音声信号は得られません。 
 ところが、 大きな径の2次コイルの線を、2つのコイルの中心を通すと、(そこには磁場はないにもかかわらず)音声信号を聞くことができます。
 対照実験として、2つのコイルを同じ向きにおいてやってみると、今度は、大きな径の2次コイルで音声信号を得られません。
 サーチコイルなら音声信号を得られるのにです。



 磁場の変化を、どんなコイルで検出するかによって、誘導電流が得られたり得られなかったりします。これを、磁束の変化で全て説明できるファラディーの法則は、すごい法則ですね。
 

 蛍光で定常波くっきり (杉本さん  

 スピーカーのコーン紙を取り去り、中央部の穴に糸をつなぎます。 実物は、ペットボトルの口部分を切り取り、テープで径を調整して、スピーカーの穴へのはめ込み式にしています。糸は蛍光色の水糸です。反対側におもりをつけ、糸を張ります。
 低周波発振器とスピーカーをつなぎ、適当な振動数で振動をさせると・・・・
 糸には定常波ができます。
  低周波発振器とスピーカーとブラックライト(右)。   スピーカーの穴に、はめ込めるようになっています。   糸に定常波ができています。
 
 蛍光水糸を使う理由は、これです!
 
 部屋を暗くして、下からブラックライトをあてると、糸が光ります。
 定常波の形がくっきり。
 
 振動数を変えることで、腹の数を変えることができます。
 腹の数と振動数との関係を簡単に確認できます。
 腹1つの定常波。  腹2つの定常波。振動数が2倍になっています。
 振動数を一定にしたまま、片端のおもりの数を変えることで、腹の数が変わることも確認できます。

 杉本さんが授業で見せたときは、生徒が大喜びだったそうです。(部屋を暗くするだけで興奮する(?)傾向がありますが・・・・)


 長時間実験をするときは、ブラックライトの光を、水糸のみにあて、肉眼には入らないようにする工夫が必要です。






  腹が4つの定常波ができています。
 

 ゴム糸電話はなぜ伝わらないか (杉本さん  

  糸電話の糸にゴムひもを使うと、音はうまく伝わりません。

 <参考>糸電話における音の伝わり方2(伊藤さん)

 この疑問について挑戦しました。

 前の実験で使った水糸の先に、プラコップをつけます。
 コップに耳を当てれば、当然、低周波発振器の振動数の音が聞こえます。
 
 面白いことに、糸をたるませてもちゃんと聞こえます。
 途中を指でつまむと聞こえなくなります。指に振動を感じます。(伝わっているのは横波??縦波??)
  糸をたるませても聞こえます。   途中を指でつまむと聞こえなくなります。
 糸を、水糸からゴムひもに替えると、今度は聞こえなくなります。
 途中を指で触ると、小さいながら振動を感じます。
 ゴムひもだと聞こえない・・・・。
 
 そこで、ゴムひもの振動を受けるコップの底をゴム膜に替えてみました。

 何と聞こえます!

 正確に言うと、500Hz程度の振動はわずかに聞こえ、振動数を下げていくと大きく聞こえ出すということです。この装置では164Hzで一番大きく聞こえました。

 ゴムひもとコップの底とのマッチング(材質、振動数など)が重要ということなのでしょうか。

 そこで、再度プラコップに変えて、今度は振動数を変えてみました。
 500Hz程度ではまったく聞こえなかった音が、164Hzに下げると、わずかですが聞こえます。
 プラ底からゴム膜底に替えます。  何と!、今度は聞こえます。
                                         

 ゴムひもをバネに変えると(プラコップ))、今度は調べた振動数範囲内ではよく聞こえます。
 
 糸電話の音が聞こえるかどうかは、糸が波を伝えるかどうかだけでなく、コップの底が、糸が伝えた波をうまく底の部分の振動に変えられるかどうかも重要であることがわかりました。
 糸電話、本当に奥が深いですね。
  糸をバネに替えると、500Hz程度でも160Hz程度でもよく伝わります。
 

 平行光線による円形干渉模様2 (井階さん  
  前回の例会で発表された「平行光線による円形干渉模様」に刺激されて、疑問点を追及しました。

 <参考>  平行光線による円形干渉模様(飯田さん・川田さん)

 まず、CDの種類によって反射光の明るさが違うという点について、
 CD−Rはレーザー光を使って色素を焼いてビットとするので反射面に銀や金を使って効率を上げています。プレスで大量生産するCD−ROMは反射面にアルミを使っています。
  右がプレスで作られているアルミのCD。反射光が弱いです。
 CDの前に穴の開いた黒紙を置き、狭い部分での反射回折による干渉模様を見ると、中心の点の両側に、普通の干渉模様が見えます。
 紙の穴を中心に近づけていくと、各点からの干渉模様が見えます。

 CDの場合は、CD上の全ての点からくるこの色模様を重ね合わせたものができることになります。
 反射点の中心からの距離によって、虹の位置が異なります。   CDの半面を紙で覆っています。
 4つの点での、両側の虹を書いて、重ね合わせの状況を図示してみました。
 内虹、外虹」とも、単色に見えている部分が、実は、波長の異なる多くの光の重ねあわせを見ていることがわかります。
 CDとスクリーンの位置によって、見える干渉模様は違いますが、適度な位置に置くと、内虹と外虹の境目が消えます。こんな模様を見たら、1次、2次の干渉模様と思ってしまいますよね。

 CDの干渉模様も奥が深いです。
  内虹と外虹の境目が暗くなっています。  内虹と外虹の境目がなく、色が連続しているように見えます。
 

 スリット幅と回折虹 (川田さん  
 川田さんも、別の観点で前回の発表「平行光線による円形干渉模様」の補強をしてくれました。
 可動式のスリットをつくり、スリット幅により干渉模様がどうなるかを見る装置です。

 回折格子シートを箱の片面に貼り付け、その前に、可動式のスリットを置き、反対側に半透明板を置き干渉模様を見ます。
                                       スリット幅が狭いときには、きれいな7色の虹が現れ、色がくっきりしています。
   スリット幅が狭い ⇒ くっきりした虹
 一方、スリット幅が広いと、スリットから出た光がそれぞれ回折し、汚い「混色虹」が出来ます。特に中央部の色が鮮明ではなく、スリット幅によっては混色の結果白っぼくなります。
   スリット幅がひろい ⇒ ぼんやりした色の縞

 CDによる反射回折虹の場合、 CDとスクリーンまでの距離によって虹の様子が違います。
 十分離れた位置S1の時は、虹の色のずれが小さく、比較的「きれいな虹」が出来ますが、スクリーンをCDに近づけるとだんだん混色が激しくなり、S3の場合中央部はほとんどすべての光が来るため、白くなります。両端が色ずく程度となります。
  

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