例会速報 2006/12/10 中村理科工業・交流広場
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授業研究:オープンキャンパスでの浮力の授業2 水野さんの発表
前回例会に続き、水野さんの勤務校で、来年春に受験を考えている小学校6年生を主な対象に行った「浮力」の授業をDVDで披露してもらい、批評会を行った。前回の例会でのアドバイスが早くも反映されて、11月25日のオープンキャンパスではグレードアップされた授業になっていたのはさすがである。以下は水野さん自身のコメントから。
今回は物体が水から受ける浮力を、その場で実験して定量的に求め、浮力の理解が得られるようにすることと、水を食塩水にしたらなぜ浮力が大きくなるかということを主眼にして授業した。この授業を終わった後、参加されたお母さんから「食塩を水に溶かすと体積も増えるのではないか」という質問をされた。このことからも、水に食塩を溶かしたとき、溶かしただけ重さが増えること、体積も若干増えるが密度が大きくなっていることを実験して、食塩水にしたときの浮力の増加を丁寧に説明すべきであったと思った。また、水の浮力(水から物体が受ける浮力)が、水に沈めた物体によって押しのけられた水の重さ、ということを納得してもらうために、ナットだけでなく、色々な形の物体で実験して、丁寧に結論に導くべきという貴重なアドバイスも頂いた。生徒相手に授業するときには、今回の経験を生かしたいと思う。
例会での議論の中で「浮力の原因はなにか?」という本質的な問題提起があった。この問題は、あらためて例会で論議していただければ有り難い。
力のモーメントと単振動 近藤さんの発表
大学入試問題などにしばしば出題される力学問題で、互いに逆回転する二つのローラーに渡された棒(あるいは板)の単振動というのがある。近藤さんはこれを机上の空論とせず、実際に教壇で実験してみせるため、写真のような装置を工作した。
二つのプーリーがモーターと輪ゴムで結合されて互いに向き合う逆方向に回転する。アルミの棒を両者の間に渡してモーターを回転させると、棒は左右に単振動(減衰振動)を行う。(動画はここ)
棒が偏った側のプーリーでは垂直抗力が増し、動摩擦力が増え、他方では逆のことが起こる。このため合力は常に復元力としてはたらき単振動が起こる。発展問題として右の写真のように、装置全体を傾けるのも面白い。つり合いの位置が下に移動して中心のずれた単振動になる。
カエルの声を出すおもちゃ 加藤俊さんの発表
加藤さんは蛙の声のおもちゃを集めている。左の写真はセミ笛?のカエル版・・・京都の野遊び研究会の方から分けていただいたという手づくり品。構造はセミ笛と同じだがカエルの鳴き声にそっくり。太鼓膜に使われているトレーシングペーパーの膜質とうまくマッチングしているようだ。ネットで調べたら「けろけろかえる」(@210円)という名で民芸品が市販されていることがわかった。
左は「かえるすな」・・・飯豊山麓にある鳴き砂を1000時間くらいきれいに磨くと水中の中で砂どうしがこすれて音を発生するようになるらしい。道の駅「いいで」と島根県にあるサンドミュージアムで市販されている。ほかに木製で背中を木の棒でこするとゲコゲコ鳴く楽器(ヤマハ楽器で購入)も。これは以前小河原さんがアメリカ土産で紹介してくれたものと同じだ。
ストロー笛 加藤俊さんの発表
大阪の当銀さんに分けていただいたという台湾製の蛇腹つきのロングストロー。オリジナルの長さでは音はしない。ある程度の長さに切って短くすると一方方向だけ音がでるようになるふしぎなストローである。メロディーパイプの小型版といったところか。発音の原理を究明したいものだ。
パズル紹介 加藤俊さんの発表
パズルが大好きの加藤さんが、またコレクションを披露してくれた。左はナットケース・・・はなやまのキャストパズルシリーズとして限定販売されているもの。限定販売後は小型化して量販化されるらしい。ボルトとナットを分解して、また元に戻せというとっても難しいもの。オランダ人が考案した。
右はトリック・ロック1・・・鍵なしで錠をはずせというもの。なおトリック・ロック2も発売された。いずれも中村理科から歩いて6分くらいにあるパズルショップ「トリト」で入手した。
ネコ回るシステムPart.3 山本の発表
10月例会でネコが回転するオルゴールを越さんが紹介した。その回転の原因を11月例会に続いて追求する。文具のマグネットはプラスチック部分が丸みを帯びていて実験に好都合だ。透明板の上にマグネットを裏返しておき、下から別のマグネットで引っ張る。左のように二枚のマグネットの面が平行な状態では回転が起こらないが、右のように駆動用のマグネットを垂直に立てるとよく回転する。(動画はここ)
回転のためには力のモーメントを生じなければならないので、摩擦力の作用点と磁力の作用点をずらす必要がある。そのためには磁場の分布を回転軸に対して非対称にするか、回転子を傾けて床との接点を中心からずらすかすればよい。右のようにマグネットを配置すればその両方が同時におこる。これならオルゴールの中心にあった磁石はいらない。駆動用の磁石を垂直に立てれば部品点数を減らして製造コストを下げられる。これすなわち「垂直思考」。
蛍光実験いろいろ 小河原さんの発表
10月例会の車田さんの発表を受けて、小河原さんがいろいろなものをブラックライトで観察した結果を紹介してくれた。パスポートは、95年取得のものはスタンプだけだが、05年取得のものには、顔写真が浮かび上がる。はがきやお札への蛍光塗料の印刷についてはよく知られているが、クレジットカードにも使われていた。それにしても、いつの間にか世界各国のお札が次々と出てくるのが、YPCのすごいところである。
粉末洗剤の蛍光増白剤は青色蛍光、蛍光チョークは橙色蛍光が鮮やかだ。
ドリンク類では、オロナミンC、新グロモントが黄色蛍光の性質を示したが、ドデカミンゴールドは光らなかった。これは、ビタミンB2が原因であると考えられ、ビタミンB2の粉末を用意して水溶液を作ったところ、同じ蛍光が見られた。
また、油にも若干の蛍光が見られる。サラダ油、オリーブ油、ごま油、グレープシード油など、種類によって分子構造が異なるため、違う色の蛍光が観察できて興味深い。蛍光が弱いためデジカメではよく写らなかったのが残念。夜に台所をブラックライトで観察すれば、油汚れの場所が光って分かるとのこと。
ダイソーで買った「光る棒」は、酸化剤を混ぜる前、混ぜて発光中、発光が終わったものの3種類で、蛍光が見られた。反応前と反応中では、ほとんど違いが見られず面白い。
原因はまだ調べていないそうだが、トニックウォーターにも青色蛍光が見られた。
他にもまだいろいろあるかもしれないので、どなたかによる続編に期待しよう。
世界一美しい周期表 高橋さんの発表
アメリカのテオ・グレイさんという人が趣味で作った元素の現物写真を使った周期表。同じようなものは以前にもあったが、これは特に「美しさ」にこだわったもの。数年にわたって自分で撮り続けた写真を使っている。
A4版から68cm x 134cmまでサイズは5種類。以下のページから注文できるが日本では、仮説社から2月頃から売り出す予定。
http://theodoregray.com/PeriodicTable/Posters/index.html
サイエンスアゴラより 車田さんの発表
昨年11月25・27日に科学未来館や国際交流館で「サイエンスアゴラ」という科学啓発イベントが行われた。その一環としてチャーリー西村さん(米村でんじろうサイエンスプロダクション)が親子を対象にの「音」に関する実験を行った。
人が2〜3人は入れる巨大なビニール袋にヘリウム:酸素=8:2の混合気体をを満たし、音が変わるか?という大掛かりな実験ショーである。最初は、オペラ歌手の男女に会場で歌ってもらい、次いでヘリウム酸素ガスの中で歌って声を比較する。さらにフルートとバイオリンも同様に比較する。肉声とフルートは音が高くなり、バイオリンは変わらないという結果だった。気柱の共鳴がからんでいる音源は音速により音程が変わってしまうのだ。バイオリンは弦の振動が音程を決めるから音速によらない。
「スクイーク」というソフトを使い、プロジェクターで後方のスクリーンに音の振動数と波形を映して、音の変化を演出していた。
「パペットマペットのサイエンスでしょ」で理化部が紹介される 水野さんの発表
毎週日曜日の11:00〜11:30、TVKで「パペットマペットのサイエンスでしょ!?」という番組が放送されている。06年9月、その中の一つのコーナー「田中さんをさがせ!」に神奈川学園の理化部が出演した。今年の文化祭で「国際宇宙ステーション」をテーマに研究発表し、その活動風景が1分間の内容となってオンエアされた。
この番組では毎週県内の理系クラブなどを採り上げている。こういう企画は、生徒の意欲を引き出すきっかけにもなるので歓迎である。
空気砲のおもちゃ 越さんの発表
越さんが、エポック社から発売されたおもちゃ「ドラえもん ひみつ道具 くうき砲」(定価2,079円)を紹介。レーバーを引き、トリガーを引くと、空気の渦輪が飛び出す。「くうき砲」といえば、元はドラえもんの道具だが、米村でんじろうさんが空気の渦輪を発生させる実験器具に「空気砲」と名づけて以来、理科では後者の方が有名になった。なお、写真のタケコプター付の帽子は、「空飛ぶドラえもん」をトイザラスで買うと付いてくる。
空飛ぶドラエモンとドラミちゃん 越さんの発表
06年6月の例会で紹介されていた、「空飛ぶドラえもん」。これを「空飛ぶドラミちゃん」と一緒に、屋外で飛ばした映像を紹介した。兄妹で仲良く飛行する映像はかなりレアだろう。
上昇する様子をビデオカメラで撮影し「運動くん」を用いて加速度を求めたところ、最大加速度1.3m/s2、平均で0.6m/s2、離陸直後は、ローターの回転が上がり切らず、加速度小さめ、その後ほぼ等加速度で上昇し、ある程度速くなると空気抵抗の影響で加速度が小さくなっていった。その形状から、Flying Saucerに比べ、空気抵抗の影響が強いようだ。
歳末バーゲンセール 越さんの即売会
YPCでは、お買い得品を発見したら、なるべく数多く仕入れてきて例会で実費販売するのが仁義とされている。越さんは最近例会で話題になったおもちゃをいくつも仕入れてきて格安にて歳末セールを行ってくれた。希望者が多いものはその場でジャンケンをして落札者を決める。
商品のラインナップは、エアロソアラ、Q−STEER、ホバークラフトV2、ジャンボかみつきヘビ、など。いずれもその場で完売。
下はエアロソアラの回路部分とQ-STEERの内部。いずれも高密度実装された基板が見える。
二次会 御徒町駅前「おかってや」にて
18名が集まって、カンパーイ!アツアツの鍋をつつきながらみんなで今年一年を振り返る。景気は回復基調。今はどん底の教育界もそろそろ光明が見えてくるのではなかろうか。明くる年が希望の年になるように願って2006年をしめくくろう。
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