例会速報 2010/10/17 鎌倉学園中・高等学校


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授業研究:運動方程式 小沢さんの発表
 今回は小沢さんの「運動方程式」の授業報告。以下、小沢さん自身によるコメントを掲載する。
 台車を「後ろから2押し、前から1押し」するときの運動の様子を記録タイマーで調べさせた。事前にv-tグラフを予想させたが、正答率は高くない。とても単純な実験だが、1時間使ってやってみる価値はあると感じている。
 次にゴムひもで台車を引く実験。ゴムひもの伸びを一定に保つことで、一定の力で引き続ける。すると速度が増加し続けることを、すべての生徒が体感することを重視した。ゴムひもを2本並列にしたり、台車の数を増やしたりして、加速度は力に比例し、質量に反比例することを確かめさせた。ちなみにゴムひもは輪ゴムを5本チェーン状にしたものを用いている。
 例会の議論では、力と質量が同時に変わったときにもF=maが成り立つことは、生徒にとって自明ではないという点が指摘された。


 最後に、練習問題では定番の、滑車を介したおもりで台車を引っ張る実験。おもりの質量を2倍にしても加速度は2倍にならないことを、実際に測定して確かめる。加速度は、ビースピ2個で2か所の速度を測り、計算で求める。だいたい理論通りの結果が出る。なお、この実験はビースピを用いなくても、記録タイマーでも、よい精度で行える。私の授業ではまず演示実験で記録タイマーを使い、次の時間に生徒実験でビースピを使っている。 

文化祭報告 水野さんの発表
 神奈川学園の9月の文化祭で理化部は「発電の未来」というテーマで研究発表した。例会では発表内容の概要がパワーポイントで紹介され、その後発表した実験のいくつかが実演された。文化祭での発表は、大きく3つの部分に分けた。最初はコイルと磁石の組み合わせによる発電、いわゆる電磁誘導を利用した発電方式、次に、その他の発電方式(ペルチェ素子による温度差発電、燃料電池、太陽光発電、振動発電など)、最後に「自然に優しい未来の家」の提案である。
 (写真左)手作りシャカシャカライト。振ると中のネオジム磁石がコイルを通過して電磁誘導でLEDがともる。
 (写真右)手回し発電機で豆電球を点灯。点灯するとハンドルが重くなるのを体験。
 

(写真左)燃料電池自動車。これはH-racer(水素カー)を購入して実験。水素発生器がセットになっている。
(写真右)電気自動車。これは中村理科(現ナリカ)のガレージセールで購入したもの。大容量コンデンサーに充電した電気エネルギーで走る。

(写真左)風力発電機。これはサイキット株式会社のキットを購入。ペットボトルでプロペラを作り、モーターを発電機として使う。
(写真右)振動発電。これは千石電商秋葉原店で購入した。圧電素子を板バネではさんだもので、ぎゅっと押すとLEDが光る。

(写真左)色素増感太陽電池。これはペクセル・テクノロジーズからキットを購入。例会では不調でメロディーICが鳴らず、残念。

 この他写真の記録がないが、火力発電、原子力発電で使われる水蒸気のパワーを示すために手作りしたぽんぽん船も展示された。
 
 文化祭では、発表の最後に「自然に優しい未来の家」を提案した。提案内容は以下の通り。
 ・屋根にはシリコン型太陽電池 ・庭のある家には小型風力発電 ・窓には色素増感太陽電池 ・床には振動発電 ・リモコンは音声発電 ・車は燃料電池自動車か電気自動車

 この文化祭発表のために水野さんは生徒を引率して次の8施設を訪問した。電気の史料館だけは3月に、残り7施設は夏休み中に訪問した。 
 ・電気の史料館 ・井川水力発電所 ・浜岡原子力発電所 ・小雀浄水場 ・音力発電株式会社 ・横浜火力発電所 ・ハマウイング ・新日鐵化学株式会社

雲発生装置 車田さんの発表
 車田さんが井の頭公園での青空実験を見学したとき、渡辺昇さんから教えていただいた演示実験。空気入れは、ダイソーの手押しポンプ(自転車用)。穴を切ったゴム栓に空気入れのホースをねじ込み、炭酸用のPETボトルの口にはめる。ゴム栓とボトルを丈夫なひもで結んでおくと、ボトルから栓が抜けて分離するときに両者は運動量保存の法則で必ず静止するので危なくない。ペットボトル内はアルコールを1滴か水で湿らせ、空気をめいっぱい入れると、ゴム栓が外れ雲(霧)発生が観察できる。動画(6.4MB)はここ
 

DNA折紙色々 車田さんの紹介
 前回例会で紹介のあったDNA折り紙を神奈川理科サークルでも紹介したところ、平塚市立中の斎藤篤先生がさらに見栄えのいいものをデザインしてくれた。折り目は付いてないので、前回の折り目を参照のこと。斎藤先生からご提供いただいた型紙PDFデータはここ

NEOPIA 大箭さんの発表
 今年6月の慶応例会で紹介があった韓国製のNEOPIA電子ブロックシリーズの日本語版製品化が完成し、大箭さんの株式会社「丸越」で取り扱うことになった。5×3列の穴をもつ黄色いブロックが基板上に自由に配置できるのが特色で、付属の電子パーツとジャンパ線をブロックにさし込んで回路を組む。電子パーツは市販品を自由に追加できる。日本語版はNEO SCHOOL(写真左)が7種類の回路が組めて¥2,520、NEO SCHOOL Jr (写真右)は4種類の回路が組める他、各パーツの基本実験の解説があり¥1,470とそれぞれ非常にリーズナブルな販売価格となっている。できれば生徒一人ひとりに持たせたいアイテムだ。例会では発売開始記念特価販売があり、さっそく飛ぶように売れていた。詳細は株式会社「丸越」へ。
 

電車の綱引き(改良版) 山本の発表
 前回例会では準備不足で失敗した部分を改良した。まず、ダイソーのプラレールもどきのうち「タイプ1・駆動車」(@105円)を2台そろえる。車両は5種類あるが「タイプ1」が屋根の上が平坦で突起物がなく、おもりをのせやすい。動輪のゴムは両方ともはずす。机の表面の材質によっては摩擦が大きくなりすぎるからだ。適度に滑るようにするのがポイントである。
 

 一方の車両の連結器をとりはずす。写真のように軸に通してあるだけなので簡単にはずせる。この軸に他方の連結器のC型部分をさし込んで連結すると手軽である。車両の区別がつくようにカラーシールなどで目印をつける。また押しているのか引いているのかがわかりやすいように、進行方向を示す矢印を描いておくとよい。アルカリ単三電池は新品と、弱って起電力が1.1Vぐらいに落ちたものを用意する。並んで走らせると明らかにパワーが違うが、連結して引き合いをさせるとつりあって動かない。そこで屋根の上におもり(単2または単1の乾電池で可)をのせると、パワーの強弱に関係なくおもりをのせた方が必ず勝つ。なお、おもりは動輪の真上にのせるのがコツだ。作用反作用、力のつり合い、摩擦力などに関する投げ込み教材として効果的だと思う。動画(14MB)はここ

リードスイッチの共振現象 石井さんの発表
 前回の例会で報告されたリードスイッチを含む回路で起きる奇妙な発振の再現と原因究明に挑んだ。

 まずは復習から。リードスイッチを鉄心入りコイルに直列に入れる。PETの板バネでつるした磁石をその近くにかざす。うまく位置を選ぶと磁石の振り子運動が増幅される。正帰還がかかっているのだ。

 しかし、今回発見された発振現象は、下の写真のように磁石をしっかり固定して、動かないようにしてもちゃんと発生し持続する。しかもその振動数はスピーカーにつないで音で確認すると1000~2000Hzは出ていそうだ。おそらく磁石が振動しているのではない。リードスイッチ自身のリード部分のチャタリングとそこを通る電流が磁界から受ける力の作用がうまくカップルして振動が持続するのではないだろうか。リード部分を顕微鏡で拡大しつつハイスピード撮影することはできないものだろうか。

 

ストロー発電棒 石井さんの発表
 ストローで作った実に発電棒。ストロー部分を抜き差しするようにスライドすると、ティッシュペーパーとの摩擦で静電気を生じ、アルミホイルで捕集されてゼムクリップ電極の先端に集まる(写真左)。さらに高圧コンデンサー470pFをとりつけると(写真右)、約400回の摩擦でピリッと電撃を感じる程度に充電することができる。ドライヤーをあててよく乾燥させておくと効果的だ。
 

教採模擬授業 三宅さんの発表
 神奈川県の教員採用試験では模擬授業が課せられる。三宅さんは自作の黒板取付式斜面装置で等加速度運動の授業を行った。非常にコンパクトにできており分解組み立ても短時間でできる。メジャーテープを貼り付けて移動距離も直読できるようになっている。会場からは感嘆の声が上がっていた。
 

ハワイ研修のお土産 益田さんの発表
 益田さんが学校の理科研修で訪れたハワイ島ハワイ大学のイミロア科学館で購入したお土産。

 合成樹脂の糸をヘビひものように編んだものだが、手の平で押し縮めて放すとロケットの如く飛んでいく。スローモーション動画(8.1MB)はここ。力学的エネルギー…とこじつけることもできそうだが、さて授業にどう使うか、アイデア募集中。科学館では一応、「指を入れないように」と注意書きがあったそうだ。「指ハブ」同様、抜けなくなってしまうからだ。

生首争奪 越さんの頒布会
 越さんは、2010年6月の例会で紹介した美容理容師のカット練習用ウィッグ(人毛を使用)を複数入手できたので、希望者に配布した。バンデグラーフ起電機を用いた帯電実験に用いる事ができる。いつものようにジャンケンの争奪戦が繰り広げられた。

龍勢祭のスローモーション 越さんの発表
 2010年10月10日の秩父吉田龍勢祭にはYPCからも何人もの見学者が赴いた。越さん撮影の竹ロケット打ち上げの1/10のスローモーションが上映された。竹の長さは約15m、最高点(300~500m)手前で仕掛けが放出される(写真右)。

 仕掛けにはパラシュートや発煙筒の他、グライダーが放出されるものもあった(写真左)。色付いた煙も見事。写真右は回収されたロケット本体。燃料は黒色火薬らしい。越さんのYou tube映像はhttp://www.youtube.com/watch?v=iWSEsDE6a80 へ。  

線香花火のスローモーション 越さんの発表
 越さんは、2009年9月の例会でも線香花火の7分の1の速さのスローモーションを紹介したが、今回は40分の1の速さのスローモーション映像。約10cmの距離から撮影。通常では火花は黄色っぽく見えるが、スローモーションで見ると、青、赤紫、オレンジなど、素早く変化しながら飛び散っていく様子が見られ、大変美しい。火花を散らしながら火球が落ちて行く姿も風情がある。越さんのYou tube映像はhttp://www.youtube.com/watch?v=jrIeiV37XUE へ。

二次会 大船駅前居酒屋「あじたろう」にて
 11人が参加し、採用試験合格祝いも兼ねてカンパーイ!楽しく飲みながらも科学論、教育論、子育て論が熱っぽく語られる。


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