例会速報 2013/12/08 ナリカ
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ガレージセール 5階自由実験室にて
例会に先立ってナリカさんのご厚意により、恒例のガレージセールが開催された。考えられないような破格のお値段の掘り出し物がいっぱい。一瞬で品物の価値を見分けられる目利きが求められる。鍛えられた常連さんはさすがに素早い。
授業研究:仕事の導入 小沢さんの発表
例会の前日に小沢さんが勤務校で行った公開授業のビデオををもとに、授業研究をおこなった。
テーマは「仕事の導入」で、課題を出して話し合わせたのちに、生徒実験で確かめさせるという展開である。教室は実験室を横に使い、授業者は右の写真の図の右側に立つ。生徒(黒丸)は互いに対面して討論でき、すぐに実験にも移れるように配置されている。
課題は、滑車を用いておもりを持ち上げるときに「手ごたえ」と「手を動かす距離」はどうなるかを考えさせるものである(写真左)。とくに見慣れないCの設定が鍵で、ここで意見が分かれて議論になるだろうという予測のもとに授業は組まれている。授業では、すべての生徒が体感しながら確かめられるように、戸車とひもで作った簡単な装置を2人に1つ用意した。この装置を例会で紹介したところ、参加者は生徒のように自発的に実験を始めて、Cの「手ごたえ2倍、距離半分」を確かめていた(写真右)。
なお、力の大きさを測るときにはamazonで格安の310円で売られている「コンパクトフィッシングスケール」(写真)が使えそうだという紹介もあった。
サイフォンの「鎖説」は正しいか 鈴木さんによる川田さんの代理発表
11月例会で紹介があった川田さんの論説の続報である。川田さんと飯田さんは、理論的考察に加えて、水銀アーチと水サイフォンを真空鐘の中に入れて減圧する実験を行い、サイフォンが液体の凝集力で切れないという「鎖説」を論破し、サイフォンを駆動するのはあくまで圧力差だということを証明している。この記事は間もなく「理科教室」に載る予定。
真空中のサイフォン 山本の発表
川田論文に関連して、山本が1997年に行った実験を例会で再現披露した。写真のように2つのビーカーをサイフォンで結び、真空デシケータに入れて排気する実験である。例会では排気が十分でなく沸騰に至らなかったが、十分に減圧するとビーカーの水は沸騰し、泡が入り込んだり、管内で泡が生じたりしてサイフォンが切れる。気泡が成長して管内の水を押し出すとサイフォンは停止する。ところが、この状態で容器に空気を戻すと水柱がつながりサイフォンが復活するのである。この現象は「鎖説」では説明できない。川田さんの主張の通りである。
ただし、この実験はそう簡単ではない。気泡は主に水中の溶存気体によって発生している。十分に溶存気体を追い出した水を使うと、この装置ではサイフォンは切れなくなる。あたかも「鎖説」を支持するようだが、そうではない。実は容器内には水があるのだから、わずかながら水蒸気圧が残っていて完全真空ではないのだ。その圧力の影響が及ばないようなサイフォンを実現するには、もっと真空容器の背丈とポンプの排気力が必要である。機会があればチャレンジしてみたいものだ。
真空中の逆さコップ 山本の発表
「真空中のサイフォン」の実験のついでに、「真空中の逆さコップ」の実験も披露した。逆さコップの水を支える主要な力は表面張力ではなく、やはり大気圧による力なのだということを証明する実験である。
水を満たした逆さコップを真空デシケータに入れてゆっくりと排気すると、コップ内の水が泡立ち、気体部分が膨張すると共に、ふたは落ちずに水が静かにしたたり落ちる。外の圧力で支えきれなくなった水は隙間から流れ出るのである。表面張力によるパスカル圧では、軽いふたは支えられても水は支えられないのだ。
取材者が実験しているため写真がなくて残念。
電池テスター 舩田さんの発表
電池になっているかどうかを確かめる方法は、LED、豆電球、メロディーICなどいくつかあるが、みな1ボルト程度の電圧が必要である。色LEDは3ボルト程度の電圧を加えないと光らない。舩田さんが紹介してくれたこの電池テスター回路は0.4ボルトで青のLEDが点灯する。
ニュートンビーズ・Part2 海後さんの発表
2013年10月例会の続報。テーブルにボールチェーンをジグザグに並べて、奥の端をテーブル手前に引いて落とす水平ニュートンビーズの実演があった。動画(movファイル5.2MB)はここ。
海後さんはひたちなか市で11月に行われた科学の祭典にコマのブースを出展したが、余興でニュートンビーズを実演し好評を得た。その時に直ぐに再演できるアイデアとして、同じ形のコップに大きな漏斗を挿したものを床に置いてそこへチェーンを落とす方法を試したところ、再演のための時間が大幅に短縮できた。
逆立ちボトル 海後さんの発表
空のペットボトルを逆立ちさせて手で止める遊びを知り追試していた海後さんは、手で止めなくても逆立ちした状態で止まる方法を見つけた。アルミボトルでもなで肩のものを選び、フタの中にオモリを貼って重心バランスを調整すれば逆立ちする。フェルト地の上で倒すと余計な跳ねが無いので成功率が高くなります。例会では惜しくも立たなかったが、成功映像はここ→http://youtu.be/Efxcc7PL7TI。
ケミカルライト 徳永さんの紹介
科学発光の実験材料の紹介。「(株)ルミカ」の製品だが、直接販売は今のところしていないようだ。「オキドキサイエンス」等で扱っている。価格は五千円弱。
セットは二種類あり、1つ目は光の三原色の発光キットで2つの液を混ぜるとそれぞれ赤、青、緑に発光するもの。例会では、参加者にサンプルが配付され、下の写真のような幻想的な光景となった。
もう一種類は薬品が分かれていて4つの液を混ぜると光るタイプ。こちらは緑とオレンジで化学反応や化学平衡の説明に使える。ナリカのカタログにも載っている。
前者は光の三原色になっているので、混ぜる割合により色々な色が作れる。赤の波長が他の波長を吸収しやすいので赤1に対し青10~20、緑10位に混ぜないと白い光にならないそうだ。試験管3本にそれぞれ青、緑、赤と光らせておいて、青の側から重ねて見ると白い光に見える。目薬びん(滴下びん)に分けていれると使いやすいが、材質により漏れることがあるので要注意。
エネループで100V 渡辺さんの発表
ナリカの渡辺さんは電池のショートの際にどれぐらい電流が流れるか、3Aヒューズを乾電池の+極とー極に接続して調べてみた。マンガン乾電池ではヒューズは切れないが(写真左)、エネループだと切れる。エネループの内部抵抗が非常に小さいことがわかる。右の写真はたまたまヒューズが切れた決定的瞬間をとらえている。満充電なら7Aのヒューズが切れたという。
このエネループの能力を利用すると、12本直列にするだけで、100Vを作ることができる。車のシガーソケット用のDC-ACコンバーターに12本直列にしたエネループを接続する。60W程度の電球でも明るく点灯させることができた。この実験はアルカリ電池などではできなかった実験で、エネループの性能の良さがわかる。
バットディテクターを使って 渡辺さんの発表
アンドロイドタブレットでのアプリを使用して、スピーカーから高周波の音を鳴らして耳年齢などを測定する実験がある。ただ、実際に20kHzの周波数は聞こえる人が少なく、本当に音がでているかどうかも確かめにくい。そこで、コウモリの出す超音波を人間の耳でも聞こえるようにする検知器「バットディテクター」で高周波を聞こえる音に変換してみた。
周波数のわずかに違う音を同時に鳴らすとうなりが聞こえるのは高校物理で習う(写真左)。バットディテクターはこのうなりを超音波領域で起こして可聴音に変換する。
使用したバットディテクターは、レンジ調節によって、20kHzも変換できる。実験では、2つのスピーカーを利用して、20kHzを同時にならしての共振実験や、周波数をずらしてのうなりも確認できた。
エネループの寿命測定器 斉藤さんの発表
エンジニアの斉藤さんは、エネループの寿命測定器を開発中だ。装置の電池ホルダーに一度満充電したエネループをセットし完全に放電するまで放置して標準データをとる。こうして特性をおぼえさせると次からは、セットした電池があとどれだけ使えるかが表示される。
東工大生企画!サイエンスカフェ 風間さんの発表
東京工業大学グローバル原子力安全セキュリティエージェント教育院の大学院生である風間さんたちは、「これからのエネルギーって何?」というテーマで高校生向けのサイエンスカフェを企画している。2014年2月15日15時から、大岡山キャンパスにて。募集定員は高校生30名。参加費無料。お茶とお菓子がつく。詳しくは右のURLへ。http://www.nr.titech.ac.jp/u-atom/Japanese/Events/index.html。
コマ大戦八王子場所報告 海後さんの発表
海後さんは11月16日のコマ大戦の「アイデア部門」と「単独回転時間部門」に参加した。「単独回転時間部門」には、「18分回るコマ」の軸を抵抗の大きい今回の土俵にあわせて改造したコマでチャレンジしましたが、調整不足で8分26秒で3位に終わり残念だった。
なお、海後さんは2013年9月例会で紹介した「18分回るコマ」の記録をギネス申請していたが、回答は【弊社の記録カテゴリーにおきましては、独楽の直径毎の記録は取り扱っておりません。 弊社記録カテゴリーの基準に、「具体的に過ぎないこと」「微細化されていないこと」「狭義に過ぎないこと」が条件としてあげられます。】という事で残念ながら申請は認められなかったそうだ。
一方、「アイデア部門」にエントリーした「鈴(りん)コマ」は手作りの小さな座布団に載せて演出したところとてもウケが良くて、和のテイストがプレ世界大会にふさわしいという理由でAOI賞という特別賞を受賞した。動画(movファイル2.8MB)はここ。
0.5ミリのコマ 海後さんの紹介
「アイデア部門」にマイスターという会社が作った直径0.5ミリという極小のコマがエントリーしていた。海後さんは本当に回せるのか試したくて1個分けてもらい会場ロビーのテーブルで拡大写真を撮ってから、早速チャレンジしてみた。
しかし、1回だけ偶然に回っているのを確認できたが、すぐに床に落として見失ってしまった。
どうしても確実に回せる方法を見つけたくて、マイスター社にメールしたら数個送ってもらえたので、失くさない工夫を考えながら現在挑戦中だという。
iPhone風速計 佐々木さんの発表
iPhoneの他、iOSやAndroidの各端末で使うことができるコンパクトな風速計。風速、風向を測定でき、m/s、ノットなど様々な単位に対応できる。元々、パラグライダーのショップなどで話題になっていたものだが、測定結果をアプリを通じてすぐに共有できるようなので、複数ポイントでの気象観測などに使えそうだ。
折り紙オブジェ 佐々木さんの紹介
佐々木さんがデザインフェスタで見つけたオリジナル折り紙の紹介。先に縦横斜め16等分の折り目をしっかりと付けるなどして、一気に折り上げる独特のスタイルを「ススム折り」と名付けて、複雑な形の飛行機やオブジェを作っていた。自由に折って偶然できたモノが多いとのことだったが、子供向けに簡単に折れるモノも試作中だそうだ。
ISSの4Kビデオカメラ 佐々木さんの発表
アイソン彗星を撮影するために、NHKとJAXAが共同で準備した超高感度4Kカメラシステムの紹介。撮影を担当したのはISSに搭乗中の若田光一宇宙飛行士。ベースとなったカメラは、映画・ドラマ撮影などで使われる事が多い「Canon EOS C500」という機種で、最大感度がISO20,000からISO160,000に引き上げられるなど、独自仕様のモノとなっている。本来の目的は、宇宙という特等席から超高感度・高解像度で、彗星の尾を捉える事だったのだが・・・。他にもオーロラなどの映像が古川聡宇宙飛行士の時より高解像度で撮れているはずだ。
ところでこのカメラ、同じ仕様のモノが現在3台ある。ISSの1台は任務終了後に「こうのとり」に積まれ、大気圏で燃え尽きる予定。もう1台は民間には出てこない。
そして最後の民間唯一の1台が、なぜかアルファ企画に・・・。ノーマル使用に戻して通常のレンタル機材にするのが常識のようですが、それはモッタイナイ!大学や研究機関向けに用途開発をしていこうと考えているそうだ。流星、夜行性生物など、ほぼ真っ暗な環境下でカラー動画が撮れるはずだ。このカメラで観てみたいモノがあれば是非教えてほしいと佐々木さんは呼びかけている
電通大の学園祭 竹内さんの発表
竹内さんは電通大の学園祭の出し物として、こども科学ミュージアムを公開した。建物の外にまで実験器具が展開されていて、キャンパスに訪れた親子連れなどに好評を博した。
二次会 御徒町駅前「おかってや」にて
28人が参加してカンパーイ!例年、12月のナリカ例会は集まりがよいが、二次会のこの人数はおそらく最多記録だろう。今年の最後を飾るにふさわしい盛大な忘年会になった。来年もガンバロー!
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