例会速報 2018/08/25 八王子セミナーハウス
YPCホームページへ| 天神のページへ| 他のサークル・団体等へのリンク| 次回例会のご案内
八王子セミナーハウスからの眺め
YPCの8月の例会は、例年合宿して夜までたっぷりやることにしている。夏休み最後の土曜日。よく晴れて残暑の厳しい日となった。会場の大学セミナーハウス(通称:八王子セミナーハウス)は八王子市南部の小高い山林の中にあり、東京都内とは思えないほど緑に恵まれた環境にある。宿舎からは大山~丹沢山塊を望むことができる。
コイン選別器(2018/08版) 喜多さんの発表
喜多さんが昨年11月の例会で発表したコイン選別器(2017/11版)は段ボール製だったが、今回はダイソーのカラーボードNo.118(サイズ約450×300×厚さ5mm)を使い、収納するときのことを考えA4サイズとスマートにした。組み立てに要する時間は2分弱である。動画(movファイル10.8MB)はここ。
右下の写真は、コインをおもりとした単振り子の動きを磁石を近づけて渦電流で制動する、いわゆる「ワルテンホーフェンの振り子」実験である。コイン選別器の前にこの実験を取り入れた方がいいのではないかと喜多さんは考えている。動画(movファイル1.9MB)はここ。
二体問題の解き方について 水上さんの発表
水上さんは、高校物理の「連結された2物体の運動方程式の問題」(以下「二体問題」)の授業での扱いについてレポートした。資料として、二体問題の解法の授業プリントが配られた。内容は以下の通り。
① 『軽い』糸の張力が両端で等しくなることの説明(教科書には理由の記載なし)
② 二体問題のすべての解答には『加速度aと張力Tまたは及ぼしあう力fとして物体ごとに運動方程式を立てて解く』(すべての教科書・問題集の解法)に加えて、『質量m1+m2の1つの物体とみなして運動方程式を立てて加速度aを求めた後、どちらか1つの物体に注目した運動方程式を立てて張力Tまたは及ぼしあう力fを求める』(教科書ではほとんど見かけない)が併記されている。
① については参加者も実践例を紹介しあったが、共通点は『糸の質量が0でない→両端の張力をT1、T2とする→糸の質量が0ならT1=T2』の展開だった。
なお、今月の『YPCニュース』に水上さんの授業プリントが掲載される予定。
超簡単モーター2 市江さんの工作教室
市江さんの指導のもと、参加者全員で簡単工作を楽しんだ。市江さんが2003年10月例会で発表したフィルムケースで作る簡単モーターは、2004年、2005年、2008年の科学の祭典の全国大会に出展して好評を得た。工作は非常に簡単だが、フィルムケースの入手が大変困難になっている。ヤフオクでは1個数十円で売られているようだ。今年の学園祭の出し物として、フィルムケースを使わずに如何に工作を簡略化するかということにこだわった結果、早稲田摂陵中高の塚平氏のやじろべえモーターにちょっとした変更を加えた。同氏は電池のプラス端子を下にして使ったが、ここではプラス端子の脇がかすかに窪んだ写真のダイソー乾電池をそのまま立てて使った。磁石はダイソーの25個108円のフェライト磁石を2個重ねたものをアルミ箔で包んでいる。ネット上では、銅線で磁石を囲み高速回転するものが多く見受けられるが、工作が簡単で、優雅にまわるやじろべえモーターの方が小さい子供の工作には適している。ただし、このモーターはほとんどショート回路に等しく、液漏れ発火の恐れもあるので、回して楽しんでいるとき以外は電池に銅線を接触させることのないよう配慮が必要だ。動画(movファイル6.3MB)はここ。
浮動弁付きホバークラフト 天野さんの工作教室
天野さんの新開発ホバークラフトも、みんなで作ってみた。円盤はダイソーのカラーボードを切り抜き、二枚合わせにしたもの。空気だめは普通のゴム風船の頭をちょっと切り取って、ペットボトルのキャップ(中央に小さな穴を開けておく)にかぶせて輪ゴムで縛る。このキャップを円盤の中央の穴に合わせて空気がもれないように貼り付ける。
一方、風船の口には浮動弁付きの空気入れバルブを取りつける。このバルブは水風船(ヨーヨー)用の小型風船の横腹に5mmほどの切り込みを入れたものを、太いストローにかぶせただけ。この弁が、自転車のタイヤの虫ゴムつきバルブのように、空気の逆流を防いでくれる。
風船用の空気入れでストローから空気を押し込む。あとは手を放して平面上で円盤を滑らせるだけ。風船に溜まった空気は下の小穴から少しずつ噴き出し、平面と円盤の間に空気層を作り、その気体潤滑で滑走するわけだ。天野さんはコストダウンのために円盤にカラーボードを用いたというが、平面性や慣性の大きさなどを稼ぐ意味では、やはりCDまたはDVDを用いるのがよいのではないかという参加者の意見が聞かれた。
半分、暗い。 舩田さんの発表
NHKの朝ドラ「半分、青い。」にあやかった実験。クロスした偏光シートに45°板をはさむと中間の明るさになる。これを青色の偏光シートでやると明るさ(暗さ)が半分になることから「半分、暗い。」というオチでした~。やるなら、今でしょ!
世界一簡単な構造の電車 市江さんの発表
今年度鎌倉学園科学部に入部した中学1年生が2014年12月例会でも紹介された「世界一簡単な構造の電車」に取り組んだ。ダイソーの単5電池にこれまたダイソーの直径13mmのネオジム磁石をいくつか重ねたものを同極が電池を挟んで向かい合わせになるようにつけ(写真左)、らせん状の銅線のトンネルをくぐらせる。動画(movファイル1.7MB)はここ。
使ったのは#20(直径約0.9mm)の被膜なしの裸銅線。ダイドーハントの1kg(約175m)約3000円の銅線を購入し、長い銅線トンネルに挑戦した。写真のような長いトンネルをつくる際に途中で1か所でもキンクができると台無しになってしまう。そこで、夏休み中で人気の少ない長い廊下を使って、43mの銅線を真っ直ぐに伸ばし、それを外径15mm長さ1mのアクリルパイプに丁寧に巻き取っていった。ところが素手で巻き取ったため、翌日には表面が酸化して所々黒ずんでいた。新しい電池でつくった電車でも決まってそこで止まってしまう。そこで銅線をサンポールを薄めた水にしばらく浸して、よくすすぎ、乾かしてみると見事復活させることに成功した。この電車が動かなくなったときは、まずは電池の消耗や前後の磁石の向きをチェックし、それでも動かないときはこの方法を試してみるとよい。(写真右)。
長いトンネルの両端を結んでループにすれば「電車」はエンドレスで走り続ける(写真左)。動画(movファイル3.3MB)はここ。ただし、ショート回路なので長時間動作は電池破損の恐れがあるのでご注意。
この電車の動作原理については例会の席で議論になったが、電流が磁界から受ける力の反作用により、磁石がその逆向きに移動するというのが結論である。喜多さんが後日「磁界観察器」で観察したところ、右の写真のような磁力線が見られた。両端がN極だとするとそれぞれからでた磁力線は電池中央の側面にほぼ垂直に立つ形になる。その磁界の中を、電池の両極の間だけ、画面に垂直な電流が流れるから、電流が磁界から受ける力は「フレミングの左手の法則」により横方向となる。その力の向きを仮に左向きとすると、「電車」は右向きに力を受けることになる。
ところで、銅線のトンネルの両端をオープンにするときは「電車」の前方および後方には逆向きの磁界があるが、そこには電流は流れていないから逆向きの力は発生しない。一方、トンネルの両端をつないでループにすると、面白いことが起きる。このときは、電池の側面付近のみならず、コイル全体に電流が流れる。+極からでた電流が、コイルのループをぐるっと遠回りして-極に入るルートも可能になる。この電流は最短距離を行く電流とは逆向きに流れるので、電流は電車の前方・後方でも中程と同じ向きに力を受けることになり、両者は助け合う。したがって、オープンの場合に比べて、電車はより力強く前進することになる。これは新しい発見かもしれない。
夕食タイム
午後6時で例会前半を終了。日帰りの参加者は解散して、合宿に参加する人は夕食・入浴タイムだ。宿舎から見下ろす食堂のバックには、昇る月と橋本~町田方面の夜景が見えた。食堂は昨年新築されたばかり。木の香りも新しい素敵な施設だ。
二次会 交友館セミナー室Aにて
16人がセミナー室に集まって「カンパーイ!」。午後8時に例会を再開。ここからは二次会も兼ねて飲みながらじっくり腰を据えて議論する。今年はなぜか男性ばかりだが・・・
ペルチエ霧箱 舩田さんの紹介
舩田さんは、大阪府立大学放射線研究センターの秋吉優史准教授が開発し、大阪ニュークリアサイエンス協会(ONSA)を通じて販売を行っている格安のペルチエ霧箱を入手し、例会の席で披露してくれた。ドライアイスを必要とせず、ペルチエ素子で冷却して温度勾配を作り、エタノールの過飽和状態を作り、放射線(α線、β線)の飛跡を観察することができる。
動画(movファイル3.4MB)はここ。 なお、この霧箱の入手方法や各パーツの価格など、詳しいことはONSAのHPにある霧箱のリーフレットを参照のこと。明瞭なサンプル動画もYouTubeに公開されている。
黒板演示用回路・簡易セット 山本の発表
リリースして3年目を迎えた「黒板演示用回路キット」はおかげさまでご好評をいただき百セットほどを出荷した。この夏の科教協群馬大会でもお分けしたが、初日のお楽しみ広場で完売した。ただ、このキットは若干のはんだ付け工作を伴うので、経験のない小学校の先生などは壁を感じておられることも、マーケットリサーチで判明した。そこで今回、小学校へも普及を図るため、最低限のパーツで構成した「簡易セット」をキットではなく、完成品として提供することを計画し、その試作品を紹介した。
「簡易セット」は電池ユニット(×2)、電球ユニット(×2)、導線ユニット(長、中、短各2)、ジョイントユニット(×2)、マグネットピン(×1)および収納ケースからなる(写真左)。元祖、「黒板演示用回路」との主な違いは、電池を単三1個ずつに分離したことと、抵抗、LED、コンデンサーを省略したことである。電球は1.5V、0.5Aを採用している。黒板上にマグネットバーと同じ容量で貼り付け、貼り重ねていくことで自然と回路がつながって、回路図通りの実験装置ができあがり、黒板上で演示実験ができる(写真右)。
電池の並列・直列および電球の並列・直列に対応しており、スイッチを構成することもできる。組み合わせると10種以上の回路パターンが実現できる。
収納ケースはダイソーのステンレス容器(安物のステンレスなので磁石につくのが好都合!)が、ジャストフィット。電池も含めてきれいに格納することができる(写真左)。試作品3セットのモニターをつのったところ、一斉に手が上がり、YPC恒例のジャンケン大会となった(写真右)。
使用上の注意点はただ一点、「電池ユニットのショートに注意すること。」である。電池を入れたまま、金属の上に置いてはいけない。
正規分布マシン 高橋さんの発表
高橋さんは大学の情報基礎の授業で正規分布をわかりやすく説明したいと考え、パチンコの玉が釘に当たって二項分布になるイラストを使っていた。本当は動く模型を作りたかったが難しすぎて断念。
最近になって製品化されているものがあることを知ってすぐに購入したのが、この「ゴルトンボード」。3000個の小さな鉄球が分岐して溜まった様子がほぼ正規分布になるところが見える。上下をひっくり返して玉を落とすようになっていて、作りも大変美しい。動画(movファイル6.2MB)はここ。
アメリカのamazon.comから49.99ドルで購入。送料込みで日本円約6500円。https://www.amazon.com/dp/B078Y7RN6Y
大気圧と真空ポンプ 田代さんの発表
田代さんがダイソーで見つけた水鉄砲。加工する前はオレンジ色の太いパイプが付いていて、その先端を水中に入れて使う。その部分を適度な太さのビニールパイプに取り替え真空ポンプとして使った。逆流防止に、自転車のバルブ(虫ゴム不要タイプ)をパイプの先端に取り付けた(写真右)。
結果はなかなかの性能で、減圧沸騰など色々な実験ができる。ただし70℃ぐらいの湯で中に素焼きの鉢のかけらを沸騰石として入れた(写真左)。
写真右は関連実験。真空掃除機の吸引力の宣伝でアクリルパイプ内のボウリングのボールを吸い上げる実験があるが、炭酸飲料のペットボトルにぴたりと収まるオロナイン軟膏入りの容器を口で吸い上げる装置を作った。
あることをするといくらがんばっても上がらない。ペットボトルの底に小さな穴があり、それを指でふさいだのである。大気圧が下から押していることを理解させることができる。
カメラ・プロジェクター 田代さんの発表
田代さんは、凸レンズを使って外の景色を写す装置(カメラ)を作った。箱は試行錯誤の跡で、今回使ったのは黒い紙の筒である。ピント調節のため出し入れのできる二重の筒になっている。
筒の横からプラ板を入れる切込みがある。プラ板に半透明のポリエチレンをはさんでカメラとして使う。今度はプラ板に絵を描いたポリエチレンをはさみ、後ろからLEDの光を当てるとプロジェクターになる。
安い光ファイバー結束線 水野さんの発表
水野さんは、およそ20年前に光ファイバー結束線を作って、勤務校の文化祭で理化部として発表し、YPCの例会でも発表した。そしておよそ10年前に約3mの光ファイバー結束線を理化部の生徒が作り、それも文化祭とYPC例会で発表した。そこで気になっていたのは光ファイバーの値段が高く、太い結束線を作ると材料費が高くなってしまうことだった。
そこで今回は、100円ショップで売っていたFiber light interiorという商品に入っていた光ファイバー(?)を使って結束線づくりをしてみた。YPCの合宿例会前、8月4日の科教協全国研究大会のナイタ-で発表したが、そのときはファイバーがきちんと揃えられなかったので、今回のYPC例会では一列揃えたら0.2mmのプラスチック板を敷きその上にファイバーを揃える方法を試みた。ファイバーの径が約0.37mmに対してプラスチックの板が0.2mmであったので、浮かんだ文字が飛び飛びに見えてしまった。例会では、参加者から「このファイバーは光ファイバーではくテグスではないか」との指摘があった。確かに視野は暗く、途中ファイバーの外への光の漏れもあるようだった。100円ショップの商品では光ファイバー結束線づくりは難しいか。さらに検討する必要があると感じた。
土肥さんのアナログな実験 越さんの発表
越さんは、今年の科教協全国高崎大会で広島の土肥さんが行っていた「手動レコードプレーヤー」(写真左)の実験を紹介した。
写真のように、木の円板、ハンドスピナー、石の丸プレート(ダイソーの食器)、コルクボードを中心を合わせターンテーブルとした。また、簡易ターンテーブルとして、レコード盤にハンドスピナーを直接固定してもよい。テレビなどを台に固定する衝撃吸収パッド(ダイソー)を用いた。
ピックアップ(写真左)は圧電スピーカーに待ち針を張り付けたもので、軽い角材の先に取り付け、ミニアンプのマイク端子に接続する。アームの中央付近を手で軽く持ち、適度な針圧でレコード盤の上に置く。写真のように、手で持つ代わりにプラコップを適度な高さで切ったものの上にアームを載せておいてもよい。ターンテーブルは手動で回しておくが、摩擦により回転数が次第に落ちていき音程が変わるのがかえって面白い。
タミヤの変速ギアに取り付けたタイヤを中心から適当な距離のところに接触させ回転数を調整すると、モータードライブにもできる(写真右)。
EP盤(ドーナツ盤)の中心の穴には、ダイソーのLEDキャンドルでちょうど径が合う物がある。ちなみに曲は「帰って来たヨッパライ」。動画(movファイル14MB)はここ。
EPレコードやLPレコードはネットで中古のものが200~500円程度で数多く入手可能だ。
なお、オリジナルの土肥さんの実験では、木の円板の中心にプラスチックの試験管を逆さに取り付け、鉛直に立てたボールペンの上に被せていた。摩擦が小さいので、試験管をつまみ、コマを回す要領でターンテーブルを回転させると回転が長時間持続する。
輪ゴムでつないだ2球コマ 越さんの紹介
青森の野呂先生がFBで紹介されていた実験を、高崎で土肥さんが行っていた。オリジナルは兵庫の北野さん、村田さんである。
2個のスーパーボールを輪ゴムで繋ぎ、片方を手で持ち、もう一方を床の上で転がしながら円運動させる。するとしだいに輪ゴムがよじられていく。手を放すと、互いに共通重心の周りを勢いよく転がりながら公転する。よりが戻れば、今度は慣性で逆向きに輪ゴムが巻き上げられ、やがて逆回転しだす。質量が異なる球の場合も面白い。輪ゴムの固定はセロテープでよい。また、ビー玉やゴルフボールなどを用いてもよい。
動画(movファイル19MB)はここ。
放射線のホントのこと 古谷さんの紹介
原子力教育を考える会が制作していた中高生向け放射線教育DVD教材「放射線のホントのこと・下巻」が先頃完成し、上巻と合わせて頒布されている。古谷さんが例会に持参したDVDを参加者みんなで視聴した。こうしたことにじっくり取り組めるのが合宿例会のよいところだ。内容はなかなかよくできていると思う。
原発事故被害者の視点で捉えているが、ただやみくもに反対という立場でなく、「文科省・経産省・電力会社などの存在を無視することなく、それでもきちんと『放射線のホントのこと』を伝えるために」制作したとウェブサイトの「立ち位置」には書いてある。内容インデックスはここ。上巻:22 分、下巻:35 分、併せて¥1500、送料¥180。入手については、同サイトにもあるフライヤー(表)および(裏)を参照のこと。
物理教育・小学校の先生は? 古谷さんの発表
古谷さんは、湘北地区の教育研究集会の理科分科会の共同研究者として一番発言したいことについて発表した。時間節約のため、文書発言の形式をとった。この夏に身体でじっくりと味わった教育の本質とも感じた一人の女生徒の対応を紹介した。同時に特にYPCに通うようになって強く思うようになった「小学校の先生の物理嫌い」についてメスを入れるきっかけとしてアンケートをとった。
古谷さん提供の発表資料PDFはここ。
ガリレオの指 市原さんの書籍紹介
「アトキンス物理化学」で知られる、化学者ピーター・アトキンスの著書。2004年に出版されたもので、市原さんは10年くらい前に一度全部読んだのだが、最近、調べ物をしていて再びこの本に行き当たったので、本棚から引っ張り出して読み直している。
重厚な現代科学啓蒙書、とでも言ったらいいのか。進化論から量子論、宇宙論などなど、10のテーマについてまとめ上げている。科学のエッセンスが凝縮されている。科学全体を俯瞰して大きく掴み上げている一方で、一つ一つのテーマも深く掘り下げている。
難点は、450ページくらいあり、「一気に読み終えた!」とはいかないところである。市原さんでも読むのに気合が必要で、まだ半分ちょっとしか読み直していないという。
元々は、市原さんの教え子に「この本オススメですよ」と嬉々として紹介されたものであるが、この本を物理教員に薦めるような彼女の将来(というか現在)が楽しみである。
キュリーエンジン 市江さんの発表
こちらも今年度鎌倉学園科学部に入部した別の中学1年生が取り組んだテーマだ。入部早々このようなテーマを選ぶとは、なかなかマニアックな中学生である。写真左のNIMSがつくった動画「(鮮やか!実験映像17)不思議な反復運動装置」(写真左)を見て興味を持ったらしい。磁石につかないステンレスの針金をL字型に曲げ、角は丸く1巻きして弾性を高める。L字の先端を1cmほど残し、そこに3cmほどに切った磁石につく鉄の針金を巻く。振動の中心が磁石から少し離れたところになるように配置し、かつ、はじめはステンレスの針金の先端が磁力で磁石についている状態にする。鉄の部分を加熱し、キュリー温度(鉄では約750℃)に達すると強磁性が失われ、磁石から離れると同時に炎からも離れる。冷やされた鉄の針金は再び強磁性を取り戻し、磁石に引き寄せられる。これの繰り返しで振動する。炎が磁石に近すぎると熱で磁石が割れることがある。動画では簡単そうに見えても実際やってみると細かいノウハウが必要となる。写真右は生徒が再現したときのようす。この実験を通していろいろなことを学んでくれたにちがいない。将来が楽しみである。
一夜明けて
今日もよく晴れて遠くに富士山が見える。食堂のテラスは朝のうちは木陰になり涼しい。
7時半から朝食。零時で例会後半を終了した後も、宿舎で深夜まで自主的に第3部を続けた人たちも元気におはよ~!このあと、方面別に自家用車に分乗して帰路につく。また来年も来ようね。
YPCホームページへ| 天神のページへ| 他のサークル・団体等へのリンク| 次回例会のご案内