例会速報 2022/12/18 株式会社ナリカ・Zoomハイブリッド


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授業研究:Plickersの使い方と授業例櫻井さんの発表 
 櫻井さんは、10月の例会で予告したPlickersの使い方について、デモンストレーションと利用例の紹介を行った。
 Plickersは、手軽にクリッカーの機能を導入できるWebサービスである。基本サービスの利用は無料。生徒側に端末は不要で、レスポンスカードなどの特別な機器を生徒数分導入する必要もなく、インターネットに接続されたスマホ1つとPC1台から利用できるため、これなら試せる、使えるという学校の先生も多いのではないだろうか。
 櫻井さんがこのサービスを知ったのは2016年の夏休みに実施された東アジア科学教育学会の東京大会で、Plickersを利用した授業実践についの口頭発表をきいたことがきっかけだった。当時はPCとの接続も遅く、あまり実用的でないなと思っていたが、それから1,2年のうちに改善され、ストレスなく授業利用できるようになった。
 インストールの方法や使い方はこちら。アプリのインストールと合わせて生徒に配布するPlickers Cardの原稿をダウンロードし、印刷しておく。パウチすると回収再利用できる。
 

 例会会場では、実際に参加者にPlickers Cardを配布し、デモンストレーションを実施した。各カードには、カード番号と大きな二次元バーコードが印字されており、四角いバーコードの4辺にはA〜Dの記号が書かれている。回答の際には配られたカードを、向きを決めて掲げ(下右)、それを教師がアプリから立ち上げたカメラ(スマホでよい)で映すと、カメラ画面上に正答・誤答が表示され、記録される。
 

 スマホのカメラで撮影した生徒席の映像には、認識された番号が重ねて表示される。教員のPCには回答状況がリアルタイムで表示されていく。
 

 問題はアプリ上で準備する。選択肢は四択まで可能。生徒の回答状況一覧や、クラス平均もたちどころに教員PC上で確認できる。
 

 櫻井さんは、簡単なデモンストレーションの後に、授業での使用例についても紹介してくれた。連結物体の運動や、熱伝導と潜熱による現象など、「それまでの授業や日常知を通じて、必要な基礎知識はギリギリあるが、誤概念により正答するのが難しい」という問題を採用し、ディスカッションを経て実験で答え合わせをするパターンが多い。特に演示実験を行う際には有効で、ただ講義と演示を並べるだけよりも生徒は積極的に活動するし、実験とその結果に興味を持ってくれるようである。
 

 会場の参加者からは、便利で画期的なツールと肯定的な意見があった反面、単にクリッカーを使う授業を導入しただけでは教育効果を上げるのが難しい、ペンを持って記述する活動が必要であることは教育研究により明らかになっているという意見も聞かれた。Plickersを初めとするサービスは、多くの先生にとって授業スタイルの選択肢を広げる有用な道具ではあるが、あくまで道具である。きちんと単元ごとに授業のねらいを持って、一つの方法に固執せず、あの手この手を尽くして進めていくことが重要だと、櫻井さんも理解している。
 

簡易減法混色 加藤さんの発表 
 加藤さんは『理科教育ニュース』2022年9月28日号「カラー印刷の仕組みを学ぶ」でとりあげた実験を紹介してくれた。シアン・マゼンタ・イエローを混ぜる「減法混色」を簡単に体験できる実験ができないかと模索していたところ、油性マーカーでシアン・マゼンタ・イエローに近い色が販売されているのを見つけた。ここで使用したのはハイマッキー(ゼブラ株式会社)の「ライトブルー」「ピンク」「黄」です。「色の三原色」そのものではないが、近い色なので、混色を体験するには十分だ。
 

 100円ショップで売っているプラ板を中性洗剤で洗って拭いてから1枚に1色ずつ塗って重ねると、2色ずつ混ざった部分がそれぞれ「赤」「緑」「青」となり、3色重なった部分は黒く見える。
 発展として、「シアン」「マゼンタ」「イエロー」でプラ板に1枚ずつ絵を描き、3枚重ねると、「シアン」「マゼンタ」「イエロー」「赤」「緑」「青」「黒」「白(何も塗らない)」の8色で色分けした絵になる。
 

 ちなみに、100円ショップで販売されているクリップ付きマクロレンズをスマートフォンやタブレットにつけ、カメラを起動して倍率を最大にすると、印刷物の網点が見えるくらいに拡大して観察することができる。
 

大型投影板を使った水波投影実験 中島さんの発表 
 ナリカの中島さんから、2023年4月より発売開始予定の新製品の紹介があった。
 900×900mmサイズの透過型の大型投影板を使った実験である。光の透過に適した乳白色の散乱板を使用しており、光の三原色の実験や、ナトリウム光源装置を使った実験、水波投影装置を使用した実験などの使用を目的としている。
 

 反射型のスクリーンではなく、透過型なので、光源を後ろに設置することができ、前面はすっきりと大きくみることができる。水波投影装置(下右)は、反射鏡を利用して、前面投影の他に鏡を外すことで天井に投影してダイナミックに実験もできる。 

筑波大学附属視覚特別支援学校での物理実験の工夫 石﨑さんの発表 
 石﨑さんは視覚に障がいのある生徒を教えてきた。視覚障がいの生徒はいわゆる「見よう見まね」ができない。授業の進め方には配慮が必要で、実験器具も聴覚や触覚に訴える工夫が必要になる。例会では石﨑さん自身が開発・工夫した実験が紹介された。
 最初に見せていただいたのは握力計を改造した「力比べ」装置。力のつりあいや作用反作用の説明に使う。デジタルではなく針式なので、触覚で確認できる。「力の強かった方に景品をあげる」と言って生徒にやらせるが、2つの握力計は必ず同じ値を示すので常に「あいこ」になる。
 

 ばねばかりにおもりをつるして浮力を示す実験も盲学校では工夫が必要だ。ばねばかりの方を固定して、下からラボジャッキで水入りビーカーを持ち上げていく。水に浸るとおもりが持ち上がってくるのが触覚で確認できる。おもりが水に浸りきるとそれ以上浮き上がらなくなる。おもりは20号のゴム栓。大きくて浮力の効果が確認しやすい。体で感じることが大切だ。
 

 さらに実験のいくつかがスライドで紹介された。電気の実験では端子に必ずターミナルを使う。触覚でとらえやすく接触不良を起こしにくい。正極側の赤いターミナルのそばにはプラスねじがねじ込んであり、指で触って正負が判断できる。接続用の導線は必要最低限の長さに短く切り詰めてある。長いコードを手で追うのは大変だからだ。
 右のコイルは1mmの銅線5000回巻き、質量が10kgもある。これも石﨑さんの手づくり。巻くのに一夏かかったという。ネオジム磁石を棒状につないだものを出し入れすると豆電球がつく。同時に磁石を持つ手に手ごたえを感じる。
 

石﨑喜治(著)「中学・高校物理の学びに役立つ実験集」 宮﨑さんの書籍紹介 
  石﨑さんの本の紹介が宮﨑さんからあった。宮﨑さんは1月のYPCニュースの巻頭言でもとりあげている。
 石﨑さんは盲学校での35年間の授業実践の中での実験の工夫を本にしたという。盲学校以外の教員にも役に立つ示唆に富む。石﨑さん自身の発表を見てもわかる通り、以下のような特徴がある。
・実験の方法が学習の遅い子にも理解しやすい、適している。
・聴覚に訴える実験が多い。
・写真でなく手書きイラストが豊富で、どこを見ればよいかが明確になっている。
・実験器具の製作方法が載っている。
 おもりや、定滑車動滑車をぶら下げるための支点を天井につける方法や、音叉の叩き方、大型コイルの巻き方、巻く装置の作り方、真空ポンプを一人で扱うときの工夫、など最近の実験書には見られない記事が。単振り子の実験では、明暗を音の高低に変えるデジタル感光器を使った周期測定が紹介されている。これは非常に測定精度が高いという。別に、15kgの錘の単振り子で記録タイマーを使った実験も紹介されている。東レ理科教育賞を受賞した「雨どいを使った波動の実験」も載っている。

単振動の実験 中島さんの発表 
 石崎さんの書籍にも掲載されている、力学台車を使用した実験で使用しているつるまきばね。20年ほど前に中止品となり長らく取扱いがなかったが、ナリカでは2023年4月より販売を再開する予定である。
 鉄製の板を両端につけて、磁石で力学台車と固定ができる。鉄製の板は、取り外して使用もできるので、クランプでばねを固定することも可能。
 

 ナリカで扱っているGo-Directシリーズのセンサカートに合わせて、コイル径を小さく設計している。左はセンサーカートで記録した位置(上)と速度(下)の時間変化のグラフ。手軽に水平ばね振り子の単振動が観察できる。

ドライアイスの上に乗せたスプーンの出す高音を
phyphoxで調べてすぐグラフにまとめる
 夏目さんの発表 
 夏目さんは以前から、ドライアイスを机の上にばらまき、その上にスプーンを丸みを下にして置くと、位置によってキーンという甲高い音が出るのが気になっていた。配置はおおよそ下左の写真である。スプーンが温かいうちはよく鳴るが、冷えて来るとあまりよく鳴らなくなる。冷えるとともに、写真のようにスプーンには細かな水滴がついている。そこで、スペクトル(どの程度の振動数の音がどの程度含まれているか)を調べてみたいと考えていたが、冷凍食品を買うとついてくるドライアイスでは量が少ない。そのため、納戸から重たくて大きな中古品のオシロスコープを持ち出してセットする気持ちがなかなか起こらなかった。
 ところが、YPCでもおなじみのスマホ用計測アプリphyphoxでは、即座に簡単にスペクトル解析のデータが取れることを知ったので、実験を試みた。しかもその数値データの整理も簡単である。すぐにパソコンへ(Eメールで)送ってグラフ化出来る。つまり、観測から数分でスペクトルのグラフが得られるという手軽さである。このphyphoxはドイツのアーヘン大学が開発提供しており無料で、かつ宣伝はいっさい無い。AndroidでもiPhoneでも同じように使える。右の図にその画面を示す。これは図の下部にあるサイトの図を改変して載せたものである。
 

 本実験では「オーディオスペクトル」を選択する。スマホの内蔵マイクを実験対象に向けて、画面の横向き三角▶を押すと観測が始まり、結果は直ちにスマホ画面でグラフが確認できる。その数値データを使ってエクセルでグラフにしたものを下左に示す。これをみると4000Hz付近に大きなピーク群がありさらにその2倍の8000Hz付近にも構造がある。
 この高い音の起因を推測してみよう。右の図に模式図を描いてみた。温かいスプーンによってそれに接したドライアイスが気体の二酸化炭素になってスプーンを押し上げる。しかし気体なのですぐスプーンの底から上に逃れる。そこでスプーンは落下する。この上昇落下運動が振動になっているのではないかと考えた。おおよその数値をあたってみる。気体の動く速さを秒速3m~10mとすると1mm動くのに0.0003~0.0001秒かかる。この時間が振動の周期と振動数3000Hz~1万Hzを与えることになるのではないだろうか?このモデルが適切かどうかの検討、実験、理論計算の精密化は今後に残された課題であるが、15分でまとまる「実験/理論解析の自由研究」であることを強調したい。
 

スライムを用いた錯覚実験 越さんの発表 
 越さんは、テレビで紹介されていたスライムを用いた錯覚の実験を紹介した。左の写真で被験者(右側)はスライムと鏡に映ったスライムを見て、反対側の手(右手)を見ない。実験者(写真左側)が被験者の右手の手のひらの淵の部分を摘み少し引き伸ばす、と同時にスライムを摘みできるだけ水平方向に引き延ばす(写真右、手前が実験者)。越さんが事前に勤務先で予備実験を被験者3人に行った際は、3人とも見えない方の皮膚が10~30cmほど伸びたように感じたとの感想を得ていた。例会では被験者が結果を予測したためか、「皮膚が伸びた」という感覚は得られなかった。物理関係者は何事にも懐疑的であり騙されにくいためであろうか?心理学実験では、被験者の状況により結果が異なることも分かった。
 詳しい説明はこちら。関連のYouTube動画はこちら。
 

πの本 車田さんの書籍紹介 
 車田さんが東大駒場祭の同人誌コーナーで見つけたコミケ本の紹介。題して「π 円周率100,000,000桁表 縮刷版」。円周率π1万桁の本は、以前発行されていたが、これは1億桁の新刊。なんと、同人誌界初のマイクロ文字印刷である。オフセット印刷でマイクロ文字チャレンジしたことが評価できる。スマホに百均のマクロレンズをとりつけて拡大するとちゃんと読むことができる。マイクロ文字印刷のために作成された精細印刷用数字フォントが別に掲載されている。同書はアマゾンでも販売されている。(円周率100,000,000桁表 縮刷版 で検索)
 車田さん情報によると、コロナ禍でのコミックマーケットの入場チケットが有料となり、東京ビックサイトの東・西・南で、2日間別会場扱いなので、各所5000円で2日間で全部回るのに30000円もかかるという。車田さん自身、有料になってからはコミケからまったく遠ざかっているそうだ。
 

電池の話 車田さんの発表 
 車田さんは、12月の化学基礎の授業で、電池の単元の最後に乾電池の名前の由来を実物で示そうと演示実験を予定した。ダイソーにマンガン乾電池(写真)を買いに行ったものの、すべてアルカリ乾電池になっていた。コンビニ数店を回るもマンガン電池は発見できず、ノジマ電気でも店員に店内を探してもらったところマンガン乾電池はなく、「需要がないので国内ではパナソニックくらいしか製造してません。お取り寄せになります。買う人は学校の先生くらいです。」と言われたとのこと。
 例会当日の会場参加者からのアドバイスにより、その後セリアで三菱電機製のマンガン電池を発見したそうだ。何気ない日常だが、意識してマンガン電池を使うことがなくなっていたことに気が付いた一件だった。
 なお、アルカリ電池は(特に百均のものは必ずと言っていいほど)古くなると液漏れする。電気器具に入れたままにして長期間放置すると、漏れた電解液で回路が腐食して器具自体が使えなくなるので注意が必要だ。使わないときは電池をはずす習慣をつけよう。また、アルカリ電池を分解するのは危険なので、電池の内部の観察用に使ってはいけない。

使える?計算方法 市原さんの発表 
 2001年9月の例会(20年以上前!)で紹介されたブレンドの公式(天秤算)のような、特殊な状況に特化した計算方法の紹介。
 写真左側のように三角形を組み合わせた図を描く。左の縦線と右の縦線をa:bとしたとき、底辺の比もa:bとなる。このことを覚えていれば、中央のtに相当する長さは三角形の比から求めることができ、t=ab/(a+b)となる。
 これは、電気回路の並列つなぎの合成抵抗を求める計算と同じ式になる。数学的・物理的に意味があるというわけではなく、たまたま同じ式になるだけだが、数学が得意な生徒向けの小ネタとして使えるのかもしれない。
 

仕事・熱・エネルギーをどう指導するか 山本の発表 
 2016年ごろから物理教育関係者の間でしばしば話題になってきた「仕事・熱・エネルギー」の概念のとらえ方、指導のしかたについてどのように教程を組み立てるかを中心に考察した。指導原理としたのは右近修治さんが強調している「系」選択の重要性と、西尾信一さんが提案している、仕事よりもエネルギーを先に扱うこと、終着点としての熱力学を意識すること、などである。エネルギーや仕事という言葉は中学校でも学ぶ。中高の接続も大事である。
 「系」の概念を導入するのは早い方がよい。物理基礎の単元で言えば、力のつりあいや運動方程式のあたりだろう。「系」という言葉こそ用いないが、力の合成は「着目物体にはたらく外力のみで行う」ことは必ず扱う。この「着目物体」こそが「系」に相当する概念である。なお、系のとり方は任意である。
 現行の高校教科書は、まず仕事の定義をしてからエネルギーの定義へと進むが、エネルギーの方が主役なので、まず中学校の延長としてエネルギーの全体像を概略押さえてから、仕事とエネルギーの関係に進む方が、生徒にとっては見通しがよいだろう。式の導出にこだわるべきではない。
 

 「系」の境界を意識して、その外の「環境」から「系内」に流入(あるいは流出)するエネルギーが「仕事」である。系のエネルギーは流入分だけ増え、環境のエネルギーはその分だけ減る。これがエネルギー保存の法則である。
 中学校でも学ぶ「仕事の原理」は滑車やてこなどの道具を使っても仕事は得しないことを示唆している。道具を系と考えると、系内のエネルギーは増減せず、流入する仕事と流出する仕事の絶対値が等しい。仕事の出入りが等しくない場合が「エネルギーの原理」(仕事と運動エネルギーの関係)である。この場合単一質点を系と考えているので、系は位置エネルギーも内部エネルギーももたない。流入した仕事の分だけ運動エネルギーが増すのである。
 位置エネルギーを考えるときは、相手物体(重力の場合は地球)も系内に取り込んで考えていることになる。このとき重力やばねの力は内力となり、環境との仕事のやりとりがない限り力学的エネルギーは保存する。もちろん、系外からの外力が仕事をする場合は力学的エネルギーは保存しない。
 

 次に、系のエネルギーを変化させるもう一つの流れとして「熱」を考える。仕事と同様に、環境から系に流入した熱の分だけ系の総エネルギーは増加する。熱力学で、熱機関(エンジン)の働きを示すのによく使われる左端の図は、高熱源から熱が流入してその一部が仕事に変換され、廃熱が低熱源に排出されることを示している。定常運転状態の熱機関は系内のエネルギーを平均して一定に保つので、出入りの熱の差額が、熱機関がした仕事に等しい。
 これを一般化すれば、エアコンなどのヒートポンプや電動アシスト自転車なども同様に扱える。(後者では熱を電気的な仕事で置きかえる。)
 かくして、一連の流れの終着点として右側の図「エネルギー保存の法則(熱力学第一法則)」にいたる。物理現象はエネルギーの「流れ」の中で起こる。代表的なエネルギーの流れは「仕事」と「熱」である。物理現象によってエネルギーは互いに変換する。そしてエネルギーは例外なく保存するのである。
 ついでの提案として、力学と熱力学の一体感を演出するために、内部エネルギーの記号として「U」を用いるのはやめよう。位置エネルギーにUを用いているから、生徒にとって混乱の元である。
 詳しい資料(PDFファイル:754KB)はここ
 

授業で使ったコンテンツ 竹部さんの発表 
 実験をスムーズに行うために動画を見せながら説明する。どうしても文章では伝えにくい微妙な「ピンと張る」の「ピン」加減は動画を使うと分かりやすい。(写真付きの説明文はGoogle classroom にもアップするが、あまり見る生徒はいない。)また、授業はmeetで中継(画面共有)して生徒の端末に授業スライドを映すと後ろの席の生徒も見やすい。実験室は広いので前方のスクリーンやモニターだけでは、「2乗」や「小数点」は非常に見にくい。
 プリントの挿絵について「いらすとや」は白黒印刷すると消えてしまうことが多い、そこでアイコン、ピクトグラム、シルエット等を使用すると鮮明に印刷される。
 NHKのミミクリーズ は「“似たもの探し”で子供たちの観察眼と想像力を育む」番組。「うごきのふしぎ なみ」や「ひかりのすじ」など物理関連の内容もあり映像が綺麗だ。NHK+で一部視聴可能だがすぐ見られなくなるので放送予定をこまめにチェックする必要があるのが難点(再放送は時々している)。
 

新幹線から見た虹 長倉さんの発表 
 静岡県から新幹線こだまの始発でYPC例会に参加した長倉さん、小田原付近を通過する際に大きな虹が見えて、思わず撮影した動画を紹介してくれた。動画は40秒ほどで、その間に2kmほど移動しているが、虹は画面上で常に同じ方角にあるように見える。考えれば当たり前だが、虹の中心は光源と観測者を結ぶ直線上の光源と反対側にあるので観測者が移動しても、空の星が動かないのと同様に、虹の位置は変わらない。(厳密には太陽や星と同じく、ゆっくりと日周運動している。)
 長倉さんが撮影した動画はこちら
 

問題演習型AL 長倉さんの発表 
 2022/10月例会で宮崎さんは「問題演習の授業」の中で小林昭文さんのアクティブラーニング型の授業について紹介してくれた。これに関連して、長倉さんからは上越教育大学の西川純さんが広めている『学び合い』について紹介があった。問題演習に特化した授業形態ではないが、ネットで検索すると、この授業形態で高校理科を指導している先生方の実践例を見つけることができる。例会では時間の都合上、書籍の紹介程度しかできなかったが、長倉さんの実践発表に期待しよう。

二次会 Zoomによるオンライン二次会 
 例会参加者は対面27名、遠隔12名、計39名だった。慎重を期して二次会は帰宅後の20時からZoomのオンラインで行われ、16名の参加があった。
 Zoomを使うようになって二次会も全国ネットになっている。山口県の寺田さんは、地元の鴻ノ峰(高嶺城跡)展望所を拠点に、旅する蝶「アサギマダラ」の観察を続けている。「アサギマダラの会」のネットワークで、台湾や沖縄から海を渡って北上してくるアサギマダラを観察する。5月頃に山口に飛来し、さらに北へと向かう。マーキングの情報をもとに経路を追跡できるのだそうだ。一般のハイキング客にも呼び掛けて、観察の輪を拡げている。
 二次会では、各自が持参したドリンクをPCの前で飲みながら、いろいろな話に花が咲く。コロナでここ数年、忘年会ができないのは残念だが、代わりにこうして広がった交流の輪は大切にしたい。


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